クリスチャン人格の美しさ
『神のご意志にそいつつ真の義と忠節のうちに創造された新しい人格を着けなさい』― エフェソス 4:24。
1 ここでわたしたちが説明したいと思っているのはどんな美しさですか。
『美は見る人の目の中にある』ということわざがあります。美しさは相対的なものであるという意味です。ではクリスチャンの男性あるいは女性の美しさとは何でしょうか。これからその点について討議したいと思います。
クリスチャンの男性の美しさを定義する
2 身体的な特質のみが神に属する男性を形造るわけではないとなぜ言えますか。
2 まず最初に,一緒にいて快いと感じさせる,気持ちの良い外観をクリスチャンの男性に付与する特質から考慮することにしましょう。身体的な特質のみが「神の人」[神に属する男性]を形造るわけではありません。(テモテ第一 6:11)その推論するところにおいて無能な者であるなら,男性の表面的な外観は,見栄えをよくするとしても,ほとんど意味をなしません。その人が誇り高くて不作法な,また下品で無知な人であるなら,人を引き付けるどころか遠ざけてしまいます。感謝の気持ちを持たない人であることが態度に表われていれば,その人はほかの人々のつまずきの元となるに違いありません。自分自身のことや,自分の外観,あるいは他の人に与える自分の印象ばかり気になるとすれば,その人は他の人が交わりたいと思うような人ではありません。
3,4 (イ)男性イエス・キリストが実証しておられる通り,神に属する男性の特質にはどのようなものがありますか。(ロ)神に属する男性の幾らかの特色をどのように説明できますか。
3 むしろ,神に属する男性は公正・憐れみ・愛・親切などの特質を培っています。イエス・キリストはその完全な体によってではなく,原則と真理に対する忠節によって知られました。その教え方によって,イエスが神から権威を与えられて語る人であることが見分けられました。(マタイ 7:28,29。ヨハネ 7:46)神に属する男性は権力や目立った立場を手に入れたいという欲望のために堕落させられることはありません。特定の地位に伴う利点もその人の買収には役立ちません。その人には意志力が備わっています。謙遜さを愛していますし,うそをつきません。エホバに対する健全な恐れを示します。(箴言 22:4)これが,神に属する男性に見られるべき特質の幾らかです。
4 神に属する男性には,良心,良い心,正しい動機があります。(テモテ第一 1:5。箴言 4:23)義にかなった原則を無視して,良心に反するようなことは行ないません。良い心と正しい動機を持っているので,他の人と接する際に不正な手段を用いることはありません。(ヘブライ 13:18)自分の良い動機が汚れた行為や活動によって不純なものとなるのを許しません。(ホセア 4:11)心が不実にならないよう常に自分を鍛錬します。原則を曲げない人として,言行両面で際立っています。―詩編 15:1,2。
5 神に属する男性の生活において,同情心はどんな役割を果たしますか。
5 神に属する男性は,他の人への同情心を持ち,快く許し,親切です。同情心のある男性は思いやりがあります。他の人が,扱いの難しい,不安を生じさせる問題を抱えているときには,感情移入と理解を示すことができます。それにとどまらず,だれかから悪いことをされたときには,快く許すことができます。危害に危害,ののしりにののしりを返すという本能的な欲求を超越することができます。まさにペテロ第一 3章8節と9節の言葉が当てはまる人です。のろいではなく祝福を与えることにより,自分が親切であること,また他の人に同情心を示したり,快く許したり,親切にしたりすることのできない狭量な人の特色であるさもしい欲求を抑えていることを示します。―エフェソス 4:31,32
6 (イ)神に属する男性の際立った特質として,ほかに何がありすか。それらの特質は何を意味していますか。(ロ)そのような男性の妻や子供たちは,その人をどう見ますか。
6 神に属する男性の特色となるもう一つの際立った特質は,その寛大さです。また,もし結婚しているなら,その人は誠実な夫,正直な父親です。既婚者の立場にある,神に属する男性には,妻にも子供たちにも良い影響を与え手本を示すという実にすばらしい機会があります。(コロサイ 3:19,21)そのような男性は寛大さを示すという問題において,主イエス・キリストのりっぱな助言に従います。イエスはこう言われました。「いつも与えなさい。そうすれば,人々はあなた方に与えてくれるでしょう。彼らは押し入れ,揺すり入れ,あふれるほどに量りをよくして,あなた方のひざに注ぎ込んでくれるでしょう。あなた方が量り出しているその量りで,今度は人々があなた方に量り出してくれるのです」。(ルカ 6:38)そして,家族関係の中では,家の者たちに真の気遣いを示しますが,同時に,「自分の手で良い業を行ない,窮乏している人に分け与えることができるようにしなさい」というエフェソス 4章28節の優れた訓戒にも従います。誠実な夫として,神に属する男性は,結婚の取り決めにおいて忠信な態度を保ちます。妻は,結婚のきずなで正に一つに結ばれている男性として夫を完全に信頼し,信用することができます。(箴言 5:18,19)それに加え,子供がいるならば,自分が他の人と接する際にずるいことや不正直なことをせず,正直な父親であることを示します。そのようにして,子供たちに正直に関する原則を教え込むのです。(箴言 4:1-5)そのような男性は,影響を受けやすい子供の思いにとって,実にりっぱな手本です。子供たちは,忠節な人,忠誠を保つ人としてそうした男性に頼ることができるでしょう。―箴言 11:3,4。
7 神に属する男性は負債に関してどのような釣り合いのとれた見方をしますか。
7 その点に関して言えば,神に属する男性は,動きが取れなくなるほど負債を抱え込むと苦しい問題が生じかねないことを知っているので,自分と家族がそうした負債を抱え込まないようにも見守ります。言うまでもなく,それは自分自身も家族も資力を超えた生活をしないことを意味します。その人は特定の行動を取り始める前に費用を計算する人です。(ルカ 14:28-30)将来のために現在の自分自身を否定し,言わば見えないもののために見えるものをあきらめることができます。(ヘブライ 11:8-10と比較してください。)そのように生活することは,神に属する男性がその日常生活の中でクリスチャンとしての自分の道徳観念を保つための助けとなります。
8 そのような男性は生活の中で不快な状況にどのように立ち向かいますか。
8 人はだれも,罪と不完全さゆえに,生活の中で時として不快な状況に立ち向かわなければなりませんが,神に属する男性はそうした状況にあってもイエスの示された型に倣い,勇気を奮い起こし,原則を固守します。(ヨハネ 16:33)助けと導きを求めてエホバに頼りつつ,自分の神エホバの力のうちに難しい問題に立ち向かいます。―箴言 18:10。
9 エホバを喜ばせようと努める男性の道徳的な生活をどのように説明できますか。
9 真に神に属する男性は自分の体の主人です。すなわち,自分の体が極悪な主人となるのではなく,礼儀正しい僕となるべきことを知っているので,自分の欲求と情欲をよく制御します。使徒パウロが述べた,「自分の体を打ちたたき,奴隷として引いて行くのです」という霊感による言葉を絶えず思い起こします。(コリント第一 9:27)ですから,いつでもあの「霊の実……自制」を培う努力を払い,自分を腐敗させる事柄を避けます。(ガラテア 5:22,23)賢くあり,不道徳な考えにふけると不道徳行為に走りやすくなることをわきまえています。この場合も,その人の信頼は神エホバと,神が与えてくださる力にあります。―フィリピ 4:13。
10,11 (イ)神に属する男性は判断を誤ったとき,償うためのどんな特質を示しますか。(ロ)家族研究に関し,家族の頭はどんな型に倣いますか。
10 最後に,神に属する男性は自分の過ちを認め,謝罪の言葉を述べ,自分の不完全さゆえに何らかの点で怒らせたり傷つけたりした配偶者や他の人に,申し訳のない気持ちを言い表わすことができます。エホバのもとへ行き,妻や仲間,子供たちにも許しを願い求めたので自分の罪を許していただきたい,と清い心で願い求めることができます。「すまなかった。自分が悪かった」と言えるのは,真の男性,特に神に属する男性の証拠にほかなりません。―マタイ 18:21,22。マルコ 11:25。
11 それだけの度量を持った男性・夫・父親であれば,エホバの助けが得られると言えるのではないでしょうか。(詩編 54:4)その人は正に,結婚また幸福な家族という単位を含め,あらゆる良いものを台なしにしようとするサタンの企てと目的ゆえに,現代のこの世界からわたしたちすべてにもたらされる様々な問題に対処する備えをすることになります。そして,家族の霊性に気を配り,聖書時代の神の忠実な僕たちの型に倣い,定期的な神の言葉の研究や祈りにおいて家族を指導します。―申命記 11:18-21。箴言 7:1-3。
12 次にどんな重要な役割について考慮しますか。
12 しかし,さらに考慮すべき事柄があります。家族の問題に対処する上で妻にも役割が課せられています。今度は妻がその生活の中で培う必要のある特質に注意を向けてみましょう。―箴言 19:14。
クリスチャンの女性の美しさを定義する
13,14 女性はエホバと,もし結婚しているなら自分の家族の是認を得るためにどんな方法を取ることができますか。ペテロ第一 3章1-5節にある,女性一般に対する使徒ペテロの諭しはどのようなものでしたか。
13 箴言の書は神に属する女性について次のことを述べています。「麗しさは偽りであることがあり,美しさもむなしいものとなることがある。しかし,エホバを恐れる女は自分に称賛を得る」。(箴言 31:30)では,女性はどのようにして,夫や子供,また独身であるなら他の人に慕われ,一緒にいるのは楽しいと他の人に感じさせる特質を身に着けるのでしょうか。まず最初に,神に属する女性は親切な人です。つまり,寛大であり,何にせよ物質的また霊的に可能なところで他の人を助けることを願うという意味です。困っている人がいれば,他の人の必要に純粋な関心を示し,まっ先に助けたいと望みます。しかし,言うまでもなく,そうした関心と,もし結婚しているなら,自分自身の家族に示すべき世話や注意との釣り合いが保たれるようにしなければなりません。―テトス 2:3-5。
14 さらに,そのような女性はごう慢ではなく謙遜な思いを持ち,無愛想ではなく親切で,だらしのないところがなくきちんとしており,けんか腰ではなく思いやりがあります。また,もし結婚しているなら,使徒がペテロ第一 3章1節から5節で与えている諭しに従うよう努めます。
15 (イ)神に属する女性はどんな目標を持つべきですか。どのようにその目標に到達できますか。(ロ)妻はどのように夫の支えとなりますか。(ハ)妻がいつまでも家族に愛されるのはなぜですか。
15 それに加え,神に属する女性はこの世的に賢い人ではなく,霊性を培うように努めます。聖書の熱心な読者であり,生活に聖書の原則を当てはめることに関心を向けます。(詩編 119:66)ただ自分のために知識を得たいと願う利己的な気持ちでそうするのではなく,クリスチャン宣教においても,近所に住む人々や親族,友人と日々接する際にも自分の学んだ良い事柄を分かち合うという意図を持ってそうするのです。クリスチャンである夫は,自分を補うものとして一緒に霊的な事柄について会話することができ,また霊的な事柄を高く評価し,夫とともにエホバをよりよく知るようになりたいと願う妻を好みます。(箴言 9:9,10)したがって,神に属する女性は識別力と理解力を備えています。もし結婚しているなら,夫を補うものとしての自分の役割をわきまえ,とりわけ夫が家にいない時には,子供に霊的な教えを施す面で,夫の支えとなります。(テモテ第二 1:2,5; ヨハネ第二 1,2と比較してください。)ずっと前に若者としての美しさが衰えてしまったとしても,相変わらず優しく,いつまでも家族に愛されます。夫としては,妻が気立てがよく,思慮分別があるので,妻の至極適切な観察や,健全な意見,誠実な励ましを信頼することができます。(箴言 25:11)アビガイルが識別力を働かせ,敏速に行動した時,ダビデは「あなたの分別がほめたたえられ……るように」と言いました。―サムエル第一 25:32,33。
16 神に属する女性はどんな言葉と行動によって見分けられますか。
16 妻が夫の支えとして慎みをもって良い影響を及ぼすときには,鋭く辛らつな言葉や皮肉を決して口にすべきではありません。夫からの好意は,上品な外見,適切に語られる言葉,愛を表わす思いやりある振る舞い,勤勉さ,優しい親切,深い理解によって得られるのです。(箴言 25:11; 31:10-28; テサロニケ第一 2:7と比較してください。)柔和,信仰,慎み ― 神に属する女性はそれらによって,いつまでも慕われるのです。―詩編 37:11。ヘブライ 11:11,31,35。箴言 11:2。
17 愛という特質は神に属する女性にとって,どのような価値がありますか。
17 神に属する女性のもう一つの際立った特質は思いやりと愛情を示す能力です。(ローマ 12:10)女性の最も美しい飾りは愛であり,愛があればささいなことで気むずかしくならずにすみます。コリント第一 13章4節から7節にはその愛が実に見事に描写されています。日本聖書協会発行の口語訳聖書によれば,こう記されています。「愛は寛容であり,愛は情深い。また,ねたむことをしない。愛は高ぶらない,誇らない,不作法をしない,自分の利益を求めない,いらだたない,恨みをいだかない。不義を喜ばないで真理を喜ぶ。そして,すべてを忍び,すべてを信じ,すべてを望み,すべてを耐える」。
自分はどんな者だろうか
18 ここでわたしたち一人一人は,どんな個人的な質問に直面しますか。自己吟味によって何が分かりますか。
18 ここで重要なのは,わたしたち一人一人は,結婚しているにせよ独身であるにせよ,クリスチャンである人間とみなされるだろうか,という質問です。エホバと仲間の人間を喜ばせようと努めるとき,さらに調整を加える必要があるとみなせる分野があるでしょうか。少しでも自己吟味をすれば,改善できる分野が明らかになることは確かですが,自分自身のうちに改善がみられること,いや,それ以上に,神の言葉とその教えにわたしたちが堅く従ったために遂げた変化に他の人々が気づき,その変化を指摘してもらうのは本当にうれしいことです。―コリント第二 13:5。テモテ第一 4:15,16。
19 平和で敬虔な生活を送ろうとする際に直面する問題をわたしたちはどのように解決すべきですか。
19 独身の生活を送りながら,人はこれらの特質を培うよう努めることができます。(コリント第一 7:32)結婚を決意する日が来た時,それらの特質はそれを培った人にとって大いに役立つものとなるに違いありません。すでに結婚している人々には,クリスチャンの徳を培い続けることにより,大きな幸せと喜びが訪れます。(フィリピ 4:8,9)問題を解決するには,結婚の取り決めのもとにある配偶者双方に努力が求められます。人を不愉快にさせる癖が自分にあることを進んで認め,その癖を進んで変えることは,喜ばしいクリスチャンの人格を着るのに大きく貢献します。(コロサイ 3:8-10)クリスチャンの男性あるいは女性の特色は,「すみません,許してください」と言えることでしたが,そのことも忘れてはなりません。わたしたちはみな間違いをします。その間違いを認めるとき,わたしたちは慎みと謙遜さという特質を十分に培った証拠を提出しているのです。―ミカ 6:8。ヤコブ 3:2。
20 コロサイ 3章12-17節にある使徒パウロの適切などんな言葉は,すべての人に役立ち,当てはまりますか。
20 コロサイの会衆に宛てたパウロの次の言葉は何と適切なものなのでしょう。「だから,あなたがたは,神に選ばれた者,聖なる,愛されている者であるから,あわれみの心,慈愛,謙そん,柔和,寛容を身に着けなさい。互に忍びあい,もし互に責むべきことがあれば,ゆるし合いなさい。主もあなたがたをゆるして下さったのだから,そのように,あなたがたもゆるし合いなさい。これらいっさいのものの上に,愛を加えなさい。愛は,すべてを完全に結ぶ帯である。キリストの平和が,あなたがたの心を支配するようにしなさい。あなたがたが召されて一体となったのは,このためでもある。いつも感謝していなさい。キリストの言葉を,あなたがたのうちに豊かに宿らせなさい。そして,知恵をつくして互に教えまた訓戒し,詩とさんびと霊の歌とによって,感謝して心から神をほめたたえなさい。そして,あなたのすることはすべて,言葉によるとわざによるとを問わず,いっさい主イエスの名によってなし,彼によって父なる神に感謝しなさい」― コロサイ 3:12-17,日本聖書協会 口語訳。
21 わたしたちの振る舞いと活動は他の人々をどのように励ますことができますか。
21 聖書中の,そしてこの20世紀のクリスチャン会衆に見られる優れた模範は,だれにとっても新しい人格を身に着けるよう努力を続けるための励みとなるはずです。(エフェソス 4:22-24)そうすることによりわたしたちは,交わるすべての人々にとって祝福となります。さらに,わたしたちが王国の音信を携えて訪ねる大勢の人々は,わたしたちの言葉だけではなく,エホバの証人の全地の家族のうちに見られる熱心さと良い振る舞いから感銘と励ましを受けることでしょう。―ヨハネ 13:34,35。
この記事の要約として,どのように答えますか
□ 神に属する男性はどのような特質を培うべきですか
□ クリスチャンの男性は自分の妻と家族をどのように顧みますか
□ クリスチャンの女性はどんな徳によって見分けられますか
□ 独身の人はどのように賢明に将来に向けて生活を築くことができますか
[22ページの図版]
霊的な男性は他の人を自分に引き寄せる特質を示す
[24ページの図版]
敬虔な妻は愛し,また愛される
[26ページの図版]
独身のクリスチャンは,満足のゆく喜ばしい生活に備えて,新しい人格を培うことができる