-
新しい聖書の翻訳 ― 容易なことではない目ざめよ! 1971 | 6月8日
-
-
訳者が対処しなければならないもうひとつの問題は,理解しにくい箇所に対して,それをはっきりさせる脚注,つまり説明をどの程度もうけるかということです。委員会は,マタイ伝 5章13節の,塩が効力を失うことについてイエスが述べた有名な箇所を適例としてあげています。普通ならば塩が効力を失うことはありませんから,委員会は,その節に次のような脚注を付すことを提案しました。「塩が効力を失い外に投げ捨てられて人に踏まれるたとえは,ベドウイン人が今なお板塩を彼らの原始的なかまどに入れて使う方法から説明できる。かまどの中で塩は,最初のうち,ラクダの糞の燃焼を刺激するが,やがて化学変化を起こし,逆効果をもつようになる。そこで,使えなくなった板塩は道路の穴ふさぎに使われる」。
この種の脚注の多くは,翻訳の仕事に加えて,広範囲にわたる調査を要求するでしょう。しかも,これで新しい翻訳をつくるさいの問題が尽きたわけではなく,まだこれから,本文をどのようにページに収めるか,章と節をどのように配列するか,どんな活字にするか,などの問題を決定しなければなりません。
新しい聖書の翻訳は必要
聖書の新しい現代訳が多くの言語で必要なことは疑いありません。しかし,今まで考えてきたように,その必要を満たすことは容易ではありません。近年,新世界訳聖書委員会が訳出した英語訳聖書などもそうですが,どんな言語に訳すにしても聖書の完訳が,いかに大事業であるかは前述のことから理解できるでしょう。新世界訳聖書委員会がつくった翻訳は,「目ざめよ!」誌の多くの読者に楽しまれています。
正直な心臓の持ち主ならばほとんどだれでも,聖書があらゆる人種,あらゆる国民の手に渡るようにすることの重要性を認めます。聖書の音信をその人たちに理解できるようにすることも同じく重要です。聖書の現代語訳は,その目標の達成に大きな貢献をするものです。
「彼は熟考し,かつ,徹底的な探究をして,その格言を順序正しく配列しようとした。召集者は喜ばしいことばを見い出すこと,また,真実のことばを書くことに努めた」― 伝道 12:9,10,新。
-
-
死とはなんですか目ざめよ! 1971 | 6月8日
-
-
「あなたのみことばは真理です」
死とはなんですか
「死とは今日の最も重要な問題である」。これは,アメリカのエール大学教授で精神医学者のR・J・リフトンのことばです。彼は一生を死の研究にささげ,「死んだ人は現に死んでいるのである」という一つの結論に達しました。―ニューズウィーク,1970年4月16日号。
辞書や百科事典は,死とは何かに関する問題にほぼ同様の解答を与えています。したがって,省略されていないウエブスター第三新国際辞典によれば,死は「もはや生きていない状態」,「動物や植物またそれらのいかなる部分においても,回復の可能性がなく,あらゆる生活作用が終わること」と定義されています。
また「大英百科事典」(1959年版)の第7巻,108,110ページはこうしるしています。「動物および植物体の生活作用が永久
-