真の崇拝に導かれる,「羊」のような人びと
去る7月29日,旭川におけるエホバの証人の「神の支配権」地域大会でバプテスマを受けた人の中には,69歳の男の人がいました。その人は以前から脳神経の病気をわずらっており,そのうえ,3年前には妻をなくして,自分の前途を悲観していました。しかし,もし真の神が存在するなら,自分の心の苦しみと悲しみとを見て,必ず何らかの方法で慰めと希望を与えてくださるだろうと考えていました。それがその人にとってはせめてもの慰めでした。神はその人の心からの願いを裏切りませんでした。はたしてひとりの奉仕者の訪問を受け,聖書から真の神について教えられました。
こうしてその人が聖書の真理を学び始めたのは二年前のことでした。それ以来何度も脳神経の病いと戦い,また自衛隊の幹部であるむすこ夫婦の猛烈な反対と冷偶に会いながらも真理を学び続けました。エホバの証人の大会に出席する時など,協力を望むことは全くできず,自分ひとりで準備しなければなりませんでした。それでも,すべての大会に欠かさず出席しました。
ところが今度のエホバの証人の旭川大会で,バプテスマを受ける喜びをいっそう大きくしてくれることが起こりました。それまで真理に反対し,冷たい態度を示していたむすこの嫁が,「あなたの信仰には負けました」と言って,大会のための準備を手伝い,また新しいズボンとベルト,それにネクタイをプレゼントされたのです。
また,ある奉仕者は,旭川大会で経験したことを,次のように語りました。「私は旭川大会で,『あなたにぜひ会いたいと言っている人がいるので,今会わせてあげますからね』と,ある婦人の奉仕者からことばをかけられました。でも,それがだれだかすぐにはわかりませんでした。
話は,昨年の春のエホバの証人の帯広の巡回大会の時にもどりますが,野外奉仕に参加していた時のこと,2人の子どもさんにまつわりつかれながらも,私がする聖書の話に熱心に耳を傾けたひとりの主婦がいました。いつものように『とこしえの命に導く真理』という本や,『ものみの塔』誌,『目ざめよ!』誌を勧めてみましたが,その人は求めませんでした。でも,話している間に,この方になんとか真理を伝えることができたら,という気持ちになり『真理』の本をプレゼントし,聖書を学ぶ機会のあることを説明しました。私は地元の者ではないので,再び訪問することができないため,その方に住所と名前を書いていただき,大会会場でエホバの証人の帯広会衆の奉仕者に訪問を依頼しました。
それから1年3か月間,時おり,そのかたのことを思いだすことはありましたが,この旭川大会でエホバ神への献身を表明するまでに,霊的に成長を遂げられたその方と,ここで再会できるとは思いもよらないことでした。こうして何十年も会えなかった肉親と再会する時のような大きな喜びをあじわい,そのかたから,『エホバ神のそなえてくださった新しい秩序にはいれるよう,お互いに最後までがんばりましょうね』と,励まされるありさまで,涙ながらの再会を喜び合いました。
この経験から,王国を伝えるわざは自分ひとりで行なっているのではなく,確かに天のみ使いの導きのもとに行なわれているということをしみじみと感じ,エホバ神に深く感謝せずにはいられませんでした」。
旭川大会でバプテスマを受けた別の奉仕者は,集会に出席することをご主人から反対されていたので,大会に出席するために大きな努力を払いました。以前にも,大会に出席させてくださいと何度もご主人に頼みましたがその都度,無駄なお金を使ってはならないと,強硬に反対されました。そこでその奉仕者は自分で働いて大会のための費用を生みだすことを決意し,真冬でしたが新聞配達を始めました。6歳の子どもが目を覚まさないうちに,そしてご主人の朝食の準備がおそくならないように,午前5時に起きて働きました。こうしてこの奉仕者は,春の函館巡回大会に出席することができました。その大会のあと,その人は今度は仕事を変えて朝の4時半から牛乳配達をし,旭川の地域大会に出席することを計画しました。ところが出発の当日になって,子どもが急に熱を出し,旅行が無理になりました。しかし,大会へ行く望みを捨てずに,ひたすらエホバ神に祈りました。幸いにも子どものぐあいは良くなり,1日おくれただけで大会に出席することができました。そしてこの主婦の奉仕者は,その大会でエホバ神への献身を水のバプテスマで表わすことができました。この方は今,全時間奉仕者としてエホバに仕えたいという希望をいだいて,努力しています。