神かみの右みぎにいるキリスト

イエスが天てんに昇のぼってから10日か後ごのペンテコステの日ひに聖せい霊れいが注そそぎ出だされたことは，イエスが間ま違ちがいなく天てんにいることの証しょう拠こです。しかし，その後ごも証しょう拠こは増ふえていきます。大だい胆たんに証しょう言げんした弟で子しのステファノは石いし打うちにされる直ちょく前ぜん，大おおきな声こえでこう言いいました。「見みてください。天てんが開ひらいて，人ひとの子こが神かみの右みぎに立たっているのが見みえます」。（使し徒と 7:56）

イエスは天てんに昇のぼった後のち，聖せい書しょで予よ告こくされている，ある特とく別べつな指し示じがエホバから出でるのを待まっています。ダビデが聖せい霊れいに導みちびかれて書かいた記き述じゅつにはこうあります。「エホバは私わたしの主しゅ[イエス]に告つげた。『私わたしの右みぎに座すわっていなさい。私わたしがあなたの敵てきたちをあなたの足あし台だいとして置おくまで』」。そして待まつ期き間かんが終おわると，イエスは「敵てきの中なかに入はいっていき，敵てきを征せい服ふく」するのです。（詩し編へん 110:1，2）しかし，敵てきに対たいして行こう動どうを起おこすまでの間あいだ，イエスは天てんで何なにをするのでしょうか。

西せい暦れき33年ねんのペンテコステの日ひ，クリスチャン会かい衆しゅうが誕たん生じょうしました。その時ときに，イエスは聖せい霊れいで油あぶらを注そそがれた弟で子したちに対たいする支し配はいを開かい始ししました。（コロサイ 1:13）そして，弟で子したちの伝でん道どう活かつ動どうを導みちびき，将しょう来らいに役やく割わりを担になえるよう訓くん練れんしました。それはどんな役やく割わりでしょうか。彼かれらは死しぬまで忠ちゅう実じつを貫つらぬくなら，その後ご復ふっ活かつし，王おう国こくでイエスの仲なか間まの王おうとなるのです。

将しょう来らい王おうとなる人ひとの中なかで特とくに優すぐれた模も範はんを残のこしたのは，サウロです。この人ひとは後のちに，ローマ名めいのパウロでよく知しられるようになりました。サウロはユダヤ人じんで，長ながい間あいだ律りっ法ぽうを熱ねっ心しんに守まもってきた人ひとでした。しかし，ユダヤ人じんの宗しゅう教きょう指し導どう者しゃたちから誤あやまった考かんがえを教おしえられていたため，ステファノを石いし打うちにすることを支し持じしました。さらに，「主しゅイエスの弟で子したちを脅おどし，殺ころそうと意い気き込ごんで」，ダマスカスに向むかいます。この時ときサウロは，イエスの弟で子したちを逮たい捕ほしてエルサレムに連れん行こうする許きょ可かを大だい祭さい司しカヤファからもらっていました。（使し徒と 7:58; 9:1）しかし，ダマスカスに向むかう途と中ちゅう，天てんからの明あかるい光ひかりがサウロの周まわりを照てらし，彼かれは地じ面めんに倒たおれます。

すると，「サウロ，サウロ，なぜ私わたしを迫はく害がいしているのですか」という声こえがどこからか聞きこえます。サウロが，「主しゅよ，あなたはどなたですか」と尋たずねると，「イエスです。あなたは私わたしを迫はく害がいしています」という答こたえがあります。（使し徒と 9:4，5）

イエスはサウロに，ダマスカスへ行いって指し示じを待まつようにと命めいじます。サウロは奇き跡せき的てきな光ひかりによって視し力りょくを失うしなったため，町まちまで誰だれかに連つれていってもらわなければなりません。次つぎにイエスは，ダマスカスに住すむ弟で子しの1人ひとりアナニアに幻まぼろしの中なかで現あらわれます。そして，ある場ば所しょへ行いってサウロに会あうようにと言いいます。しかしアナニアが恐おそれたので，イエスはこう言いって安あん心しんさせます。「この人ひとは私わたしが選えらんだ器うつわであり，異い国こくの人ひと々びとに，また王おうたちやイスラエルの民たみに私わたしの名なを知しらせるからです」。その後ご，サウロは視し力りょくを回かい復ふくし，ダマスカスで「イエスについて，この方かたこそ神かみの子こだと伝つたえ始はじめ」ます。（使し徒と 9:15，20）

パウロはイエスの支ささえを得えながら他たの福ふく音いん伝でん道どう者しゃと一いっ緒しょに，イエスが始はじめた伝でん道どう活かつ動どうを行おこなっていきます。そして，神かみの祝しゅく福ふくによって大だい成せい功こうを収おさめます。イエスがダマスカスに向むかうパウロに現あらわれてから25年ねんほどたった時とき，パウロは良よい知しらせが「天てんの下したの至いたる所ところで伝つたえられ」たと書かきました。（コロサイ 1:23）

さらに何なん年ねんもたってから，イエスは愛あいする使し徒とヨハネに，一いち連れんの幻まぼろしを見みせます。それは聖せい書しょの「啓けい示じ」の書しょに記き録ろくされています。ヨハネはこの幻まぼろしの中なかで，イエスが王おう国こくの王おうとして来くる様よう子すを見みることになりました。（ヨハネ 21:22）「[ヨハネ]は聖せい霊れいによって主しゅの日ひに連つれていかれ」たのです。（啓けい示じ 1:10）「主しゅの日ひ」とはいつのことなのでしょうか。

聖せい書しょの預よ言げんを注ちゅう意い深ぶかく研けん究きゅうするなら，「主しゅの日ひ」が始はじまったのは現げん代だいであると分わかります。1914年ねん，第だい1次じ世せ界かい大たい戦せんが起おき，その後ごの数すう十じゅう年ねん間かんに，戦せん争そう，流りゅう行こう病びょう，飢き餓が，地じ震しんなどが激げき増ぞうしました。これは，イエスが弟で子したちに話はなした自じ分ぶんの「臨りん在ざい」と「体たい制せいの終しゅう結けつ」の「しるし」が大だい規き模ぼに実じつ現げんしていることの証しょう拠こです。（マタイ 24:3，7，8，14）王おう国こくの良よい知しらせを伝つたえる活かつ動どうが，ローマ帝てい国こくがあった地ち域いきに限かぎらず世せ界かい中じゅうで行おこなわれています。

ヨハネは聖せい霊れいに導みちびかれて，こうした出で来き事ごとが何なにを意い味みしているのかを次つぎのように説せつ明めいします。「今いまや，私わたしたちの神かみの救すくいと力ちからと王おう国こく，またキリストの権けん威いが実じつ現げんしました！」（啓けい示じ 12:10）イエスが広ひろい範はん囲いで人ひと々びとに伝つたえた神かみの天てんの王おう国こくは，支し配はいを開かい始ししたのです。

これはイエスの忠ちゅう節せつな弟で子したち全すべてにとって素す晴ばらしい知しらせです。彼かれらは次つぎのヨハネの言こと葉ばを重おもく受うけ止とめます。「それで，天てんとそこに住すむ者ものたち，喜よろこびなさい！ 地ちと海うみには災わざわいが降ふり掛かかります。悪あく魔まが，自じ分ぶんに残のこされた時ときが短みじかいことを知しり，大おおきな怒いかりを抱いだいてあなた方がたの所ところに下くだったからです」。（啓けい示じ 12:12）

イエスはもう，天てんの父ちちの右みぎに座すわって待まっているわけではありません。王おうとして支し配はいしており，間まもなく自じ分ぶんの敵てきたち全すべてを滅ほろぼします。（ヘブライ 10:12，13）では，胸むねの躍おどるどんな将しょう来らいが待まっているでしょうか。