ヱホバの證者の近代歴史
その22B 会衆の宣教学校
ギレアデのものみの塔聖書学校は,1943年2月に開始されてから,順調にすすみ,いまや協会は,新しい教育計画の第3段階に入る準備が整つていました。これは,新しい画期的なものでした。ヱホバの証者の会衆をさらに組織して,ヱホバの証者の各人が更に効果的な伝道者になるように訓練し,地方会衆の教育計画を実行する時機が熟してきていました。すなわち,すべの会衆に神権学校が設けられたのです。最初には,英語を話す国々で,この宣教学校が開始され,つぎに,他の国々においても,教科書が翻訳され次第,その新しい計画を始めるようにすすめられました。この大規模な教育計画を1943年に開始するにあたつて,最初の教科書は作成されました。それは『神権宣教の課程』(英文)という題で,52の課から成りたち,毎週一つの課を終了するようになつていました。この96ページの本は,新しく始められた会衆の神権学校の司会方法につき詳しい指示をのせているものです。
新しい計画を実行に移すため,1943年4月17日,18日の両日協会は『活動促進』の大会を取極め,300の都市で一齊に開催しました。大会の席上,『神権宣教の課程』とい教科書が発表され,大会の尨大なる参加者は喜びと驚きの裡にこの新しい出版物を迎えました。証者たちは各会衆も宣教学校を開始するという提案を心から喜んで受けいれました。また,このような学校を組織することを希望している全会衆は,おくれずに,学校の教訓者すなわち,僕の推薦書を送るように協会は提案し,協会からの正式の任命書をうけとり次第,会衆はおのおの学校を開始しました。神権学校は,週間中の会衆の集会,たとえば奉仕会などの後の1時間,御国会館で行われます。このようにして数週のあいだに,英語を話す国々の大きい会衆では,殆どが神権宣教学校を司会しております。若い兄弟も年老いた兄弟も話し方の訓練をうけるため,研究生の一員に加えられました。また姉妹たちも講話によく出席し,口頭の復習または筆記の復習にも参加し,家から家の伝道奉仕に応用できる実際的で有益な教育を身につけて行きました。この学校課程を助けるために,その後にも素晴しい教科書が協会により備えられましたが,それらは1945年の『御国伝道者の神権の助け』(英文)1946年の『凡ての良い業に備える』(英文)などの本です。1955年の夏に行れた大会中に,第4番目の宣教学校の教科書『奉仕者になる資格』(英文)も発表されました。1944年には,各会衆の神権学校の一部として,神権宣教の図書室を御国会館に設けるよう協会はすすめています。この備えにより,各研究生は協会の全出版物とか,その他の聖書の手引を参照し,研究生の話,講話の準備のときに利用することができます。
これら会衆の宣教学校は12年のあいだ行われてきましたが,数多くの兄弟たちは,公開のクリスチャン宣教についての類のない良い訓練を受けて参りました。この宣教学校は中断されることなく行われ,正しい公開の話し方についての一般の知識も教られ,また色々の聖書についても読み方とか内容研究が進められてきました。使はれた聖書は,欽定訳聖書(協会の10番の聖書),アメリカ標準訳(協会の11番の聖書),クリスチャン・ギリシャ語聖書新世訳,ヘブル語聖書新世訳第1巻などで,その他,聖書主題についての聖書講演なども行われました。
学校の課程は,いづれも内容の充実した実際的な宣教訓練を与えるものです。一般のキリスト教国の奉仕者たちは神学校で三,四年学び,卒業してからは,凡てのことを究め尽したものと考えて,さらに研究をつづけるということをしないようです。しかし,ヱホバの証者はそのような態度をとらず,いつまでも宣教学校の課程を学び続け,真のクリスチャン宣教の教育を曇りのない,最新のものにしております。この画期的ヱホバの証者の制度は,その60万8000名の奉仕者の教育に驚くべき努力をそそいでおりますが,他の宗教制度でそのようなことをしているでしょうか? いいえ,決して一つもありません。ヱホバの証者が今日,会衆で,または家から家の野外奉仕において行つている伝道は,極めて高い標準のものです。このことは,衆知の事実であつて,ヱホバの証者の話し方が優れたものであり,男女を問わず一般大衆に強い感銘を与え得ることを人々はよく認めております。ヱホバの証者は,新しい演説方法である会話のような話し方で公開講演を為しますが,これは牧師が古めかしい演説調子で話すのとよい対照をなしています。蓄音機によつて行れていた10ヶ年の伝道も,1944年以後現在行われているような戸口で聖書の話をする方法に代りました。今日のヱホバの証者はこの伝道方法に熟練するようによく訓練されています。
2ヶ年間の宣教教育ののちに,良い聖書講演を為し得る,円熟した沢山の兄弟たちが揃うようになりました。このために,ものみの塔協会は,世界的規模をもつ公開講演の一大運動を1945年1月から開始しました。毎年8つの聖書講演が準備され,全世界で一齊に同じ話が行われるよう計画されています。これらの話は,時機に適い,人々に深い感銘を与えるものです。さらに,これら1時間の講演については,1頁の筋書を協会は準備し,どの地においても同じ方法で講演が行われるようにしています。協会からの筋書を用いることにより,各講演者は,主要な聖書の要点とか知らせを話のうちに強調し,聴衆に伝えることができます。『人類は世界再建に成功するや?』 ―これは連続講演の最初の話の題であつて,人々の多くの注意を惹いたものです。新しい公開講演の運動が軌道にのるには,かなりの時日がかかります。講演をするには各地において会場も必要であり,また家から家や街頭で招待ビラをもつて宣伝することも必要です。最初の年にアメリカ合衆国内だけで,1万8646回の公開集会が開かれ,合計では91万7352名が出席しております。しかしながら,当時アメリカにあつた2871の会衆のうち,1558の会衆が,公開講演をしていました。1946年には,アメリカ内だけで講演会は2万8703にまで上昇し,この新しい伝道方法もすつかり軌道にのつたことを示しております。1945年以来,協会は8つの公開の話の筋書を年毎に発表し,いまヱホバの民によつて行われている力強い,全世界的の講演運動を推進させております。
数千の新しく興味を抱いてきた人々は,この重要な伝道奉仕を通して霊的の糧を得てきています。よく訓練された神権の講演者もこれら講演がひきつづいて成功するように大きな努力を注いでいます。(つづく)