忠実な一老人の模範
◆ チェコスロバキアの老齢の兄弟たちは,現在,エホバのわざにそれほど多く携われない場合がありますが,その忠実な歩みと,集会に定期的に出席する点で,会衆にとっては至宝的な存在となっています。ある会衆において,若い婦人は,深い関心をいだいたからではなく,両親を喜ばせたいばっかりに,時おり集会に出席していました。最近,その婦人は,ある集会で,高齢の一兄弟が出席しているのに気づきました。その老人は病弱で,歩くことにも,話を聞くことにも困難を感じていることがわかりました。「いったい,こんな老人が出席したところで,何になるのだろう」と人は思ったかもしれません。その集会の終わりに,その老人は祈りをささげるようにと求められました。その祈りがほんとうに暖かみのこもったものであったので,前述の無関心な若い婦人は深く感動し,かつ驚かされました。同時に婦人は,その老齢の兄弟が,会館まで約2キロも歩かねばならないにもかかわらず,いつも集会の始まる15分前には会館にいることを思い出しました。こうして,突然深い感銘を受けた婦人は,それは非常に重要な事柄にちがいないとの結論に達しました。そして,その婦人は聖書を研究しはじめました。今度は,学んだ事柄を自分だけのものとはせず,その婦人はこれまでに,聖書に関心を持つ人々を5人見いだしました。そして,これほど幸福なことははじめてですと書き寄せてきました。このすべては,老齢の一兄弟の示した良い模範から生じたのです。
― エホバの証人の1970年度年鑑より