アルゼンチンにおける巡回活動
● 「アルゼンチンのミシオネス地方は巡回監督にとってひとつの挑戦となりました。妻のドラとわたしがそこを訪問した時,ほとんど道路がなく,輸送機関もほとんどありませんでした。わたしたちはしばしば,この地方で走っている小型ながらスピードの出るバスを利用して旅行しました。手前の丘を下り,それから,うなり音をたてながら次の丘を登り,また下ります。わたしたちは,突然の吹き降りによくみまわれたものです。視界はきかなくなり,バスは道路で横すべりをします。ただ運転手の経験だけが,大きな事故をふせいでいました。突然バスは,みぞのきわで止まり,はっきりとした口調で命令が聞こえました。『男の人は全員,外に出て押してください!』。作業衣を着ているかどうかは尋ねられません。すぐに乗客は,くつを脱ぎ,ズボンをまくり上げて,女性と子どもまた荷物を乗せたまま,みんなで力いっぱい押しました。そうです,巡回監督も押すことに加わりました。目的地に到着した時,彼はあまり身ぎれいとは言えませんでした。しかしこの地方では赤い泥はなじみ深いものです。それは彼らの生活の一部であり,そうした汚れをあまり気にかけていません。わたしたち自身,同じ物質,つまり土でできているということを考えるとなぐさめが得られます」。―「1972年のエホバの証人の年鑑」から。