親としての役割を果たす
生まれたばかりのお子さんを初めて腕に抱いた時のことを覚えておられますか。
やがて親としての責任の重さをひしひしと感じるようになったことでしょう。お子さんは今後幾年も,あなたの導きを必要とするからです。
親としての役割を果たすのは,いつの時代もたいへんなことですが,今日ではますます難しくなっています。なぜなら,今の世界はあなたの子ども時代よりもずっと複雑だからです。子どもがぶつかる道徳面での問題,例えばインターネットを使う時に生じる問題などは,二,三十年前には存在しませんでした。
お子さんが今の世界に見られる道徳面でのわなに陥らないよう,どのように助けることができますか。三つの提案を取り上げましょう。
1 親であるあなたの価値規準をはっきり伝える。
子どもは大きくなるにつれ,道徳に関する膨大な量の間違った情報にさらされます。一部は同年代の子どもから,そして多くはメディアから来る情報です。子どもはとりわけ十代に入ると,そうした情報の悪影響を受けやすくなります。とはいえ研究によれば,多くの若い人は人生の重要な決定を下す時には,同年代の若者の見方よりも親の見方を重んじるとのことです。
あなたにできること。古代イスラエルの親は,子どもに頻繁に語りかけるよう勧められていました。それは,子どもに健全な価値規準を持たせるためです。(申命記 6:6,7)あなたもお子さんに同じようにしてください。例えば,聖書の道徳規準を守っている方であれば,その規準に従うことがなぜ最善だと感じているか,お子さんに話すことができるでしょう。
2 結果を理解するよう助ける。
「何であれ,人は自分のまいているもの,それをまた刈り取ることになる」と聖書は述べています。(ガラテア 6:7)原因と結果というこの原則は,生活のほぼすべての面で実際に見られます。あなたの子ども時代のことを思い出してください。自分の行動の結果を身に受けて学んだ事柄は,おそらく記憶に焼き付いているでしょう。
あなたにできること。実例を引き合いに出して,間違った行動を取った人がどのような目に遭ったか,また正しい行動を取った人がどのような益を受けたかをお子さんに説明してください。(ルカ 17:31,32。ヘブライ 13:7)さらに,間違いの結果を子ども自身に刈り取らせましょう。仮に,お子さんが他の子どものおもちゃを不注意で壊してしまったとします。そうであれば,代わりとして自分のおもちゃを一つその子に上げるよう言ってもよいでしょう。そうすればお子さんは,他の人の持ち物を大切にすべきであるという教訓をすぐには忘れないでしょう。
3 好ましい性格を身に着けられるようにする。
聖書にはこのような格言があります。「少年はまさにその行ないによって,その行動が浄く,廉直であるかどうかを明らかにする」。(箴言 20:11)子どもは成長するにつれ,特有の行動の仕方を身に着けます。残念ながら,良くない性質で知られるようになる人もいます。(詩編 58:3)それとは異なり,優れた評判を築く人もいます。例えば使徒パウロは,テモテという青年について,ある会衆に宛てた手紙の中でこう書きました。「あなた方のことを真に気づかう,彼のような気持ちの者は,わたしにとってほかにいないのです」。―フィリピ 2:20。
あなたにできること。行動の結果を強調するということは,すでに取り上げました。それに加え,お子さんに将来,どんな性格の人として知られたいかを考えさせましょう。そうすれば,問題にぶつかる時に,次のような自問自答によって良い決定を下せるようになるでしょう。
聖書には,多くの人物の実例が挙げられています。行動によって良い人として知られるようになった人もいれば,悪い人として知られるようになった人もいます。(コリント第一 10:11。ヤコブ 5:10,11)これらの例を引き合いに出しながら,お子さんが好ましい性格を身に着けられるよう助けてください。
エホバの証人の出版物には,家庭で親として聖書の原則をどのように当てはめられるかが取り上げられています。また,その原則を当てはめるようお子さんを助ける方法も示されています。