苦難のもとで奉仕するクリスチャン兄弟たち
エチオピアの兄弟たちの多くは,ナイジェリアのナイロビで開かれる「神の勝利」国際大会に出席できるように願っています。しかし,どんなことが起きるかはわかりません。過去3年間,エチオピア正教会はあらゆる努力を払って,エホバの証人のクリスチャン活動を阻止しようとしてきました。
昨奉仕年度の始まる直前に,エチオピアの数人の兄弟は警察に呼ばれ,尋問を受けました。警察はすでに兄弟たちの活動を知っており,まもなく何らかの処置が取られるであろう,と警告されました。1972年8月27日のこと,通常の日曜日の集会が行なわれている最中に,突然大型トラックが集会所に横づけされ,2個所の集会が中断されました。その時検挙されたのは,兄弟と関心ある人びと合わせて207人でした。子どものことを考慮に入れて法律は,子どものいる夫婦の場合,夫婦を同時に検挙することを禁じているにもかかわらず,その日にはふたりとも検挙されました。検挙された兄弟たちのうち96人は地方裁判所に召換され,いっさいの弁護を禁じられたまま懲役6か月の判決を言い渡されました。残りの人びとはもっと困難な経験をしました。罪状は,不法な宗教団体を結成した,というものでした。兄弟姉妹たちは,髪の毛を全部そり落とされるという屈辱を受けなければなりませんでした。
刑務所の中で,兄弟たちは他の囚人たちに真理を大胆に語り,それによって関心を持つようになった囚人もいました。刑務所の中で迎えた最初の夜は平和でした。討論が盛んに行なわれました。保釈の手続が取られたため,これらの兄弟たちは結局1か月服役しただけでした。
保釈金を払って釈放された直後,112人の兄弟は再び地方裁判所に出頭を命ぜられました。審理の対象となっているのは宗教上の問題ではないとして,証言はいっさい聞かれませんでした。兄弟たちは,何度も延期された後に開かれた法延で,保釈を取り消され,6か月の刑期に服することが命じられました。審理にさいしては終始敵意が露骨に示されたため,兄弟たちは刑期が終わるまで刑務所の中で過ごさなければならないだろう,と感じました。そこで,その間の家賃を払わないでもすむように,家財道具は兄弟たちの家に集めることに取り決めました。大ぜいの子どもの世話をする取決めも設けられました。中には,服役している間,自分の代わりに他のエホバの証人に働いてもらっても良いかどうかを勤め先の会社に尋ねた兄弟もいました。結局,12日後に兄弟たちは保釈金を払って釈放されましたが,それまでの間,刑務所の中では宣べ伝えるための多くの機会が再び開かれました。約半数の兄弟たちについては,刑の執行を一時延期する最終決定がなされました。しかし,もしこれらの兄弟たちがいっしょに集まるなら,刑期いっぱい服役するようになるという警告が与えられました。
こうした困難にもかかわらず,兄弟たちの熱意は衰えていません。エホバの証人の業が公式に認可されるよう引き続き努力が成されています。首都アジスアベバの伝道者は,昨奉仕年度中に475人から577人に増えました。「わたしたちは迫害されていますが,神から見捨てられてはいません」と,ある兄弟が語ったとおりです。―1974年年鑑より