王国宣明者の報告
王国の良いたよりは宣べ伝えられるでしょう
何世紀もの間,神のおもな敵である悪魔サタンは,真のキリスト教が広まるのを妨げることに力を注ぎ,政治体制と偽りの宗教を巧みに用いてきました。しかし,これらの手段は失敗するでしょう。イエスは,「王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう[「宣べ伝えられるかもしれない」,あるいは「宣べ伝えられることもある」ではない]」と予告されました。―マタイ 24:14。
サタンが失敗してきたことは,ギリシャにおいて顕著です。この国ではギリシャ正教会が,王国の良いたよりを宣べ伝えるエホバの証人の活動を制限しようとしてきました。しかし次の経験が強調しているように,聖書の真理は反対に遭ってもついには心の正直な人々のところに達します。
30年ほど前に,ギリシャ正教会の一司祭が良いたよりを受け入れ,エホバの証人になりたいということを口にすることさえありました。しかし司祭の親族は,それに対して猛烈に反対し,圧力をかけて証人たちと交わることを断念させてしまいました。自分の家族を喜ばせるために,その司祭は引き続き司祭としての仕事に従事しました。しかし司祭はいつも,自分が真理を学ぶのをエホバの証人が助けてくれたこと,そして自分は偽りの宗教の中での顕著な立場と交換にそれを断念したことを認めました。
それでも司祭は,機会があると,エホバの証人を支持する発言をすることもありました。聖書の真理を学びたいなら証人たちと勉強しなさい,と勧めたことさえ何度かありました。年がたつうちに,実際に司祭の勧めに従った人たちもいます。
最近になって,その司祭は重い病気になり,自分が間もなく死ぬかもしれないことに気づきました。それで司祭は病院にいる間に自分の子供たちを呼び寄せ,子供たちは全員父親の枕元に集まりました。a そこで司祭は,わたしが死んだとしてもお前たちはわたしともう一度会えるかもしれないんだよ,と説明しました。そして,エホバに復活させられた人たちが地上の楽園で生きるという聖書の教えについて話し,お前たちがその成就を見たいと本当に望むのであれば,聖書から真理を学び,偽りの宗教との関係を絶たねばならないと言いました。また,エホバの証人と交わって,彼らから真のクリスチャンになる方法をぜひ学んでほしいと頼みました。
間もなく,司祭は亡くなりました。しかし,子供たちへの別れの訓戒は良い結果を刈り取ることになりました。司祭の娘は,ほとんどの親族と同じく,エホバの証人とエホバの証人の活動に激しく反対していました。しかし,死に臨んだ父の誠実な訴えを無視することができず,すぐにエホバの証人と連絡を取り,聖書研究を始めました。最近,彼女自身エホバの証人になりました。エホバ神に献身し,水のバプテスマによってその献身を表わしました。
ギリシャでも,他の230余りの国や地域においても,エホバの証人は神の聖霊の力に依り頼んでいます。聖霊の十分な支えがあるからこそ,エホバの証人はイエスの次の預言の成就にあずかるのです。「聖霊があなた方の上に到来するときにあなた方は力を受け,エルサレムでも,ユダヤとサマリアの全土でも,また地の最も遠い所にまで,わたしの証人となるでしょう」― 使徒 1:8。
[脚注]
a ギリシャ正教会では司祭が結婚することは許されています。