日本における王国会館の必要を満たす
1 日本における王国の業は順調に進展しており,今年の5月に初めて20万件を超える家庭聖書研究が報告され,昨奉仕年度中230もの新会衆が発足しました。増加し続けるエホバの民と聖書研究生が,最良の環境のもとで聖書を学び,エホバ神を賛美できるなら,それはなんと幸いなことでしょう。1959年,東京新宿会衆で日本最初の王国会館が献堂されましたが,その後大多数の会衆は市民会館や労働会館などの一室を借り,集会所として使用してきました。では現在はどうなっていますか。
2 各ページにある数々の美しい王国会館の写真をご覧ください。皆さんは,いま多くの会衆が,人々が集まれるというだけの建物ではなく,地域社会の人々をさえ引きつけるような王国会館を建設しようと心がけていることに気づかれることでしょう。兄弟たちは,ハガイ 1章8節で,「あなた方は材木を携えて来なければならない。そしてこの家を建てよ。わたしがそれを喜びとし,わたしが栄光を受けるためである」と語られたエホバの呼びかけにこたえ応じています。参考のために挙げた外国の写真のうち,ポーランドのオシフィエンチム(ドイツ名でアウシュビッツ)にある建築中のこの王国会館は,地下1階,地上3階の非常に大きな建物です。経済事情が悪化しているにもかかわらず,兄弟たちは崇拝のための場所を最良のものにするため,自分たちの持てるすべてのものを喜んでささげています。比較的経済的に恵まれている日本の王国会館を地域社会で際立った,品位ある機能的なものとするのは確かにふさわしいことと言えます。
3 滋賀県のある会衆では,王国会館の建設計画が現実のものとなったとき,エホバの名が付される王国会館をより品位のあるしっかりとしたものにすることが願いとなりました。会衆の成員すべてがふさわしい王国会館を建てたいという願いを抱いて,その計画を積極的に支持したとき,エホバは思いもよらない方法で,より良いものを次々に供給してくださいました。会衆は王国会館基金の取り決めをも最大限に活用しました。
4 南国の空に美しく映える高知市の王国会館の場合,山林を所有する一兄弟は,前述の聖句に心を動かされ,自分の所有する山からひのきや杉材を喜んで提供しました。古代のイスラエル人が石切り場から石を切り出し,モリヤ山上で神殿を造り上げた時のように,兄弟たちは山から木を切り出し,王国会館の建設資材として最良の木材を使用することができました。
5 土地の入手に関する次のような興味深い経験もあります。今回,写真は載りませんでしたが,鹿児島県のある比較的小さな会衆では,王国会館を持ちたいという成員の願いにもかかわらず,ふさわしい土地や建物を見いだすことができませんでした。しかし,エホバは思いがけない方法で兄弟たちの必要を満たしてくださいました。裁判所が管理していた200坪の土地を相場の十数分の一という安価で購入することができたのです。山形市のこの広々とした敷地に立つ王国会館はいかがですか。土地も建物も兄弟たちのものではありませんが,好意的な土地の所有者が,エホバの証人の活動を理解してくださり,257坪の土地に王国会館を建て,25年間の長期賃貸契約に応じてくれました。
6 愛知県の幾つかの市では,新しい王国会館の必要が生じると市内にあるすべての会衆が惜しみない協力を示すという精神が行き渡っています。最近豊橋市に,市内で四番目のゆったりとした広さの王国会館が350坪の敷地に建てられましたが,市内の八つの会衆全部が資金面はもちろんのこと,多方面にわたる援助を差し伸べました。
7 このがっしりとしたコンクリート造りの王国会館は,沖縄の風土に適した造りです。この王国会館が建てられてから,集会の出席は大幅な増加を見せ,最近の巡回訪問のスライド講演には260名が出席し,近い将来分会が計画されています。
8 山梨県甲府市のこの王国会館は広くて美しい玄関ロビー,ゆったりとした本会場,それにセンスの良いステージなど,出席者すべてに神の言葉を学ぶ最良の場を提供しています。約300坪の敷地に建てられたこの王国会館は,近隣の人々の評判となっています。
9 南太平洋に浮かぶ小島,バヌアツには二つの会衆がありますが,それぞれりっぱな王国会館を所有しています。その一つをご覧ください。もう一つの王国会館は,最近集会の出席者があまりにも多くなったため,現在増築中であるとのことです。事実,二つの会衆の合計伝道者数はわずか122名にすぎませんが,昨年の記念式には,なんと961名もの方々が出席しました。
10 わたしたちは,今や日本の王国会館の必要を先見しなければならない時にきています。わたしたちの眼前で,「すき返す者がまさに収穫する者に追いつき,種を運ぶ者がぶどうを踏みつぶす者に追いつく」というアモス 9章13節の預言が成就し,産出と増加が見られているのです。そうです,王国会館の必要は常にあるのです。会衆が大きくなり,分会を考慮するころに新しい王国会館についてもある程度の考えがまとまっているようでありたいものです。そうすれば,幾つもの会衆がいつまでも同じ王国会館を使用しているとか,ふさわしい集会所がないために分会ができないといった事態を避けることができるでしょう。
11 また,多くの会衆ではすでに王国会館の収容限度を超えているため,出席者が多大の不便を忍ばねばならないといった状況が見られているようです。こうした理由で霊的な教育が十分に受けられなかったり,会衆の発展が頭打ちになったりしているとすれば,それはとても残念なことです。王国会館基金は,今や一部の会衆ではなく,二千数百を数える日本中のあらゆる会衆が有意義な仕方で活用することができるのです。そうすれば,自分たちでかなりの資金を集めることができたとしても,さらに基金を活用することで,将来の拡大を十分に見越した,より一層優れた王国会館を所有することができるでしょう。それで,長老団も会衆の成員も長期的な展望を持つ必要があります。王国会館の建設資金の一部として協会の王国会館基金を利用なさるよう是非お勧めしたいと思います。
12 一方,王国会館を建てるということには,実に多くのことが関係しており,中には長老たちだけでは扱うことのできない専門的な事柄もあります。それで協会は,王国会館建設に関連した総合的な援助を与える目的で,今年の秋からまず関東地方に「地区建設委員会」を設置することにしました。この委員会は常時機能し,割り当てられた地区内で王国会館の新築もしくは改造のために助けを必要としている会衆があれば,喜んで援助の手を差し伸べることでしょう。1991奉仕年度内には全日本を可能なかぎり網羅する幾つかの委員会を設置したいと考えています。それまで関東地区以外の会衆は,助けが必要なとき協会に手紙を書くことができます。
13 今後さらに多くの王国会館が必要とされることに疑問の余地はありません。それで,個々の会衆の拡大と共にエホバの組織全体の拡大と発展に備え,積極的な見方と協力の精神を培い,王国会館の必要にこたえ応じてゆきましょう。―フィリピ 2:4。
[3ページの図版]
宮城県仙台市
和歌山県湯浅町
熊本県熊本市
ポーランド
[4ページの図版]
滋賀県近江八幡市
高知県高知市
山形県山形市
沖縄県浦添市
[5ページの図版]
神奈川県横浜市
バヌアツ
神奈川県藤沢市
山梨県甲府市
[6ページの図版]
和歌山県田辺市
群馬県太田市
長野県松本市
鹿児島県阿久根市