真の平和と安全 ― それをもたらすのは核凍結か,それとも神の王国か
核保有量を現状で凍結するのでは,熱にうなされている患者の体温を40度で止めておくようなものです。それでは不十分です! 兵器も熱ももっと根深い病の症状でしかないのです。問題の根源を取り除いてはじめて治療したことになるのです。例えば,今日の世界の核兵器保有量について言えば,TNT火薬に換算して地球上の男女子供一人当たり3㌧以上,総計130億㌧に相当する爆発力があります! こうした脅威と同居していながら安全な暮らしをしていると思えますか。
核兵器の凍結が十分でないのであれば,核兵器の全廃はどうでしょうか。世界的な核兵器廃絶は決して新しい概念ではありません。有名な物理学者アルバート・アインシュタインはこのことを提唱しました。そして1945年以来,全地球的な核廃絶を求める他の大勢の著名人の上げる声が聞かれてきました。それにもかかわらず,過去10年間に米ソ両国の核弾頭の合計数は2倍になっているのです。37年前よりも今のほうが核廃絶に幾らかでも近づいたなどと,本当に信じる気になれますか。
地球から核兵器を除いたところで,戦争は終わりません。30年前に原子爆弾が最後に用いられて以来,130以上の戦争が行なわれてきました。では,すべての兵器が消えうせたとしたら,真実の平和と安全が訪れるでしょうか。
戦争の道具すべてを除き去るのは平和と安全へ向けての大きな一歩ではありますが,それでも十分とは言えません。人々の心を動かし,教育し,変化させなければなりません。人間によるどんな運動にもこうしたことを成し遂げる力はありません。しかし,神にはそれが可能です。全能の神エホバは心を読み,心をいやすことがおできになります。(エレミヤ 17:10。詩編 51:10)しかし,神はそれ以上のことをされます。神の王国,つまり長い間人々が祈り求めてきた天の政府が地球上に平和と安全をもたらすのです。(マタイ 6:10)この解決策は現実的だと思われますか。
「地球の運命」という反核の本は,世界的な規模の政府だけが核による大破壊を阻止する確かな手段であると見ており,さらにこう提案しています。「つまりなすべきことは政治を完全に造り直すこと,世界を完全に造り直すことにほかならない」。そして,それこそまさにエホバが目的としておられることなのです。正直のところ,諸国家が自らの主権を自発的に引き渡すと思いますか。
義の支配に反対する人々に対し,神はご自分の王国の権力を制御された仕方で行使し,ご自分の平和運動に反対する諸国民すべてを滅ぼされます。(ダニエル 2:44)それに加えて,神の王国の教育制度によって,誠実な平和愛好者すべては軍備撤廃の真の方法を教えられ,『剣はすきの刃になる』でしょう。―イザヤ 2:4。詩編 46:8,9。
ですから,人間の運動が救いをもたらし得るなどと思い違いをさせられてはなりません。聖書はこう警告しているからです。「人々が,『平和だ,安全だ』と言っているその時,突然の滅びが,ちょうど妊娠している女に苦しみの劇痛が臨むように,彼らに突如として臨みます。彼らは決して逃れられません」。(テサロニケ第一 5:3)しかし,正直な心を持つ人々には確かな希望があります。そうした人々は,永続する真の平和と安全を神が間もなくもたらしてくださることを確信しています。そして,あなたもそうした確信を抱くことができるのです。―詩編 72:7,8。イザヤ 9:6,7。
[12ページのグラフ/図版]
(正式に組んだものについては出版物を参照)
世界の核弾頭保有量は1980年代に増加すると予告されている
1990年には7万5,000発の弾頭
1972年に5万発の弾頭
[12ページの図版]
我々は剣[ミサイル]をすきの刃に打ち変える