11-13. (ア)愛は植物とどのように似ていますか。イエスは少年の頃,エホバへの強い愛を持ち続けるために何をしましたか。(イ)イエスは人間になる前も,後に大人になってからも,エホバから学びたいと思っていることをどのように示しましたか。
11 愛はある意味で植物のようなものです。美しい鉢植えのように,愛が生き生きと育つには養分と世話が必要です。放っておかれ,養分を与えられないと,弱って枯れてしまいます。イエスは地上にいる間ずっと,エホバへの愛が弱くなってしまわないように努力を怠りませんでした。強い愛を持ち続けるためにイエスが何をしたか考えてみましょう。
12 イエスが少年の頃,エルサレムの神殿で教師たちと話していた時のことをもう一度思い起こしてください。心配した両親にイエスはこう言いました。「なぜ捜されたのですか。私が父の家にいるはずだと思われなかったのですか」。(ルカ 2:49)少年時代のイエスは,人間になる前の記憶がまだなかったようです。それでも,天の父エホバを熱烈に愛していました。そして,エホバを崇拝することによって愛を表せるということも分かっていました。ですから,清い崇拝が行われる神殿は,イエスにとって世界で一番魅力的な場所でした。ずっとそこにいたい,帰りたくないと思っていました。さらに,ただそこにいるのではなく,エホバについて学びたい,自分の知っていることを話したいと強く願っていました。そういう気持ちになったのはこの12歳の時が最初ではなく,もちろん最後でもありませんでした。
13 人間になる前も,イエスはお父さんから意欲的に学んでいました。イザヤ 50章4-6節に書かれている預言から分かるように,エホバはイエスにメシアとしてどんな役割を果たすことになるのかを教えました。イエスはエホバから選ばれた者として苦しい目に遭うことも知りましたが,熱心に学び続けました。地上に来て大人になってからも,父の家に行ってエホバが望んでいる通りに崇拝を行ったり学んだりする意欲を持ち続けました。イエスが日頃から神殿や会堂に通っていたことが聖書に書かれています。(ルカ 4:16; 19:47)私たちも,エホバへの強い愛を持ち続けるには,集会にいつも出席する必要があります。集会は,エホバを崇拝し,エホバのことをもっと知り,エホバとの友情を深める大切な場だからです。
14-15. (ア)イエスが1人の時間を取ったのはどうしてですか。(イ)イエスの祈りのどんなところに,天の父への親しみと敬意が表れていますか。
14 イエスはまた,エホバへの強い愛を持ち続けるために,日頃からよく祈っていました。人が好きでたくさん友がいましたが,1人の時間も大切にしていました。例えば,ルカ 5章16節には,「イエスは人けのない場所に行っては祈っていた」と書かれています。マタイ 14章23節にも,「群衆を解散させた後,祈りをするため自分だけで山に登った。日が暮れても,1人でそこにいた」とあります。このようにイエスがよく1人の時間を取ったのは,人と関わるのを避けるためではなく,エホバと自分だけになって,思っていることを何でも話したかったからです。
15 イエスは祈りの中で,「アバ,父よ」と神に呼び掛けることがありました。(マルコ 14:36)「アバ」というのは父親に話し掛けるときに使われていた言葉で,子供が最初に覚える言葉の1つでした。親しみと敬意の両方がこもっています。イエスがこの言葉を使って祈ったことから,天の父ととても親しかったことや,父エホバに深い敬意を持っていたことが分かります。聖書に書かれているイエスのどの祈りにも,それが表れています。その1つの例は,ヨハネ 17章にある,イエスが亡くなる前の最後の晩に捧げた,心からの長い祈りです。その祈りをじっくり読むと心に響きます。私たちもイエスのような祈りをしたいものです。イエスの言葉を一字一句まねることはしませんが,天の父にどのように心から語り掛けたらよいかをイエスから学べます。イエスに見習っていつも祈るなら,エホバへの強い愛を持ち続けることができます。
16-17. (ア)イエスは天の父への愛を込めて,どんなことを語りましたか。(イ)イエスはエホバが良いものを惜しみなく与えてくれることをどのように示しましたか。
16 この章の初めの方で考えた通り,イエスは「父を愛している」と何度も言ったわけではありませんが,イエスが語った多くのことに天の父への愛が表れていました。例えばどんなことでしょうか。イエスは「天地の主である父……を大いに賛美」しました。(マタイ 11:25)イエスが天の父を賛美した方法の1つは,この本のセクション2で学んだように,父がどれほど素晴らしい方かを人々に伝えることでした。ある話の中ではエホバを,息子を許したいと心から思っている父親に例えています。その父親は,道を踏み外した息子が悔い改めて帰ってくるのを待っていて,遠くに息子を見つけるとすぐに走っていって迎え,抱き締めました。(ルカ 15:20)エホバが愛し許してくださることをイエスがこのように教えてくれたので,私たちは温かい気持ちになってエホバに引き付けられます。
17 イエスは,エホバが良いものをたくさん与えてくれることについてもよく語り,エホバを賛美しました。ある時には,不完全な人間の父親を例に挙げて,天の父が私たちに必要な聖なる力を必ず与えてくれることを示しました。(ルカ 11:13)また,エホバが与えてくれている素晴らしい希望についても語りました。例えば,自分には天の父のそばに戻るという希望があると話しました。(ヨハネ 14:28; 17:5)弟子たちには,エホバがキリストの「小さな群れ」を天に住まわせて,メシアである王と共に治められるようにしてくれるということを伝えました。(ルカ 12:32。ヨハネ 14:2)死を目前にした犯罪者には,パラダイスで生きられることを約束しました。(ルカ 23:43)イエスは,エホバが惜しみなく与えてくれる良いものについてこのように語ることで,エホバへの強い愛を持ち続けることができました。キリストの弟子たちにとっても,エホバについて語り,エホバが与えてくださっている希望を伝えることは,エホバへの愛と信仰を強めるために大切です。