エホバは,喜びに満ちる民を集合させておられる
「民を,男も,女も,幼い者も,……外人居留者たちも集合させなさい」。―申 31:12。
里程標となった大会,古代と現代
3. (イ)記録に残るエホバの民の最初の大会はどのようなものでしたか。(ロ)イスラエル人は,どのように呼び集められましたか。
3 神の民が霊的な教えを受けた大規模な集まりとして記録に残る最初のものは,シナイ山のふもとでの集まりです。それは,清い崇拝の歴史において,まさに里程標となる出来事でした。胸の躍るその忘れ難い機会に,エホバはイスラエル人にご自分の力を表わし,律法を授けました。(出 19:2-9,16-19。出エジプト記 20:18; 申命記 4:9,10を読む。)この出来事は,神とイスラエルの関係における大きな節目となりました。ほどなくしてエホバは,民を召集する方法を確立されます。銀のラッパ二つを造るようモーセに命じました。「集会の人々全体」を「会見の天幕の入口」に呼び集めるために,吹くのです。(民 10:1-4)そうした集いで民が感じた興奮を想像してみてください。
4,5. モーセやヨシュアの開いた大会が特に意義深いものだったのは,なぜですか。
4 イスラエルが荒野で過ごした40年の終わり頃,比較的新しい国民の歴史における重要な時に,モーセは仲間のイスラエル人を集めました。約束の地は目前でした。それで,エホバが行なってくださったすべての事柄,また行なってくださるすべての事柄を,兄弟たちに思い起こさせるのにふさわしい時でした。―申 29:1-15; 30:15-20; 31:30。
5 この大会でのことと思われますが,モーセは,神の民の定期的な集いと教育に言及します。安息年における仮小屋の祭りの際,イスラエルの男も,女も,幼い者も,外人居留者たちも,エホバの選ばれた場所に集合することになっていました。「聴くため,また学ぶため」です。「エホバを恐れ,注意してこの律法のすべての言葉を履行しなければならない」のです。(申命記 31:1,10-12を読む。)神の民は,その歴史における初期に,エホバの言葉と目的について考慮するために繰り返し集まることになっていたのです。イスラエル人は,約束の地の征服を終えた時,まだ異教の諸国民に囲まれていました。ヨシュアは,エホバへの忠節を保つ決意を強める目的で,全イスラエルを集めます。民は,神に仕えることを誓います。―ヨシュ 23:1,2; 24:1,15,21-24。
6,7. エホバの民の現代の大会は,どのように重要な里程標となってきましたか。
6 エホバの民の現代の歴史においても,里程標となる大会がありました。神権的な活動や聖書の理解の面で大きな進展が見られた大会です。(箴 4:18)聖書研究者による第一次世界大戦後初の大規模な大会は,1919年に米国オハイオ州シーダーポイントで開かれました。約7,000人が出席したこの大会は,世界的な伝道活動の始まりをしるしづけるものでした。1922年,同じ場所で開かれた9日間の大会で,その活動に大きな弾みがつきます。ジョセフ・F・ラザフォードが聴衆に力強くこう勧めました。「主の忠実な真の証人でありなさい。バビロンが跡形もなく荒廃するまで戦いで前進しなさい。音信を遠く広く告げ知らせなさい。世界は,エホバが神であり,イエス・キリストが王の王,主の主であることを知らねばなりません。今はあらゆる時代のうちで最も重大な時代です。ご覧なさい,王は統治しておられます! あなた方は王のことを広く伝える代理者です。それゆえに,王とその王国を宣伝し,宣伝し,宣伝しなさい」。出席者,そして世界中の神の民は,喜んでその勧めに応じました。
7 1931年,オハイオ州コロンバスの大会で,聖書研究者は,大いに胸を躍らせてエホバの証人という名称を受け入れました。そして1935年,ワシントンDCでラザフォード兄弟は,「啓示」の書に出てくる「み座の前と子羊の前に立って」いる「大群衆」の実体を明らかにしました。(啓 7:9-17)1942年,第二次世界大戦のさなか,ネイサン・H・ノアは,「平和 ― それは永続するか」という興奮を誘う講演を行ないます。話の中で,啓示 17章の「緋色の野獣」の実体を明らかにし,戦争後も大いに伝道がなされなければならないことを示しました。
8,9. 幾つかの大会が非常に感動的なものだったのはなぜですか。
8 1946年にオハイオ州クリーブランドで開かれた「喜びを抱く国々の民」神権大会で際立っていたのは,「再建と拡大の諸問題」と題するノア兄弟の講演でした。その話で生じた興奮について,出席者の一人はこう書いています。「その夜,わたしは演壇上のノア兄弟のうしろにひかえていました。ノア兄弟がわざについて要約してから,ブルックリン・ベテルの家と工場を拡大する計画を説明すると,大聴衆から万雷の拍手が幾度もわき起こりました。演壇からみなさんの顔をはっきりと見ることはできませんでしたが,みなさんの喜びを感ずることができました」。1950年のニューヨーク市における国際大会で,出席者は,「クリスチャン・ギリシャ語聖書 新世界訳」を受け取って大喜びしました。それは,正当な箇所に神のみ名を復元した現代語聖書の分冊第1巻でした。―エレ 16:21。
9 迫害や禁令の時期の後にエホバが忠実な証人たちを集められた大会も,非常に感動的でした。アドルフ・ヒトラーはかつてドイツのエホバの証人を根絶すると誓いましたが,1955年のニュルンベルクの大会で,ヒトラーの閲兵場だった場所を10万7,000人の証人が満たしました。その多くは,喜びの涙を抑えられませんでした。1989年にポーランドで開かれた三つの「敬虔な専心」大会には,16万6,518人が出席しましたが,そこには当時のソ連やチェコスロバキアなど東欧から来た兄弟たちが大勢いました。中には,これまで15人や20人ぐらいの仲間としか集まったことがなかったという人もいました。また,1993年にウクライナのキエフで開かれた「神の教え」国際大会では,7,402人がバプテスマを受けました。その時の喜びを想像してみてください。エホバの証人の記録に残るバプテスマ最高数でした。―イザ 60:22。ハガ 2:7。
10. あなたは,どの大会が特に印象に残っていますか。なぜですか。
10 あなたにも,特に印象深い地域大会や国際大会があることでしょう。最初に出席した大会や,バプテスマを受けた大会を覚えているでしょうか。それは,あなたの霊的な里程標です。そうした思い出を大切にしてください。―詩 42:4。
喜びとなる定期的な集い
11. 神は古代イスラエルで,定期的に行なわれる季節ごとのどんな祭りを取り決められましたか。
11 エホバはイスラエル人に,季節ごとの三つの祭りのために毎年エルサレムに集まるようお求めになりました。無酵母パンの祭り,七週の祭り(後にペンテコステと呼ばれた),仮小屋の祭りです。神はこう命じておられます。「年に三度,あなたのすべての男子はまことの主であるエホバの顔の前に出る」。(出 23:14-17)多くの家族の頭は,これらの祭りの大きな霊的価値を認識し,家族全員で出席しました。―サム一 1:1-7。ルカ 2:41,42。
12,13. 年ごとの祭りに出席することは,多くのイスラエル人にとって何を意味しましたか。
12 イスラエル人の家族にとってその旅をすることが何を意味したかを考えてみてください。例えば,ヨセフとマリアは,ナザレからエルサレムまで片道100㌔ほどの旅をしました。もしあなたが幼い子どもたちを連れて歩いたとしたら,どれぐらいかかるでしょうか。イエスの少年時代に関する記述からすると,親族や友人たちは一団でエルサレムへ行ったようです。一緒に旅をし,料理をし,不慣れな土地で寝る場所を探すのは,大変なこともあったでしょう。とはいえ,イエスのような12歳の少年がある程度自由に行動しても安全でした。その旅が,特に若い人にとって,どれほど忘れ難いものとなったかを考えてみてください。―ルカ 2:44-46。
13 イスラエル人は異国の地に広く散っていた時代にも,祭りに出席するためにエルサレムにやって来ました。西暦33年のペンテコステの際,深い認識を持つユダヤ人と改宗者たちが,イタリア,リビア,クレタ,小アジア,メソポタミアなどから来ていました。―使徒 2:5-11; 20:16。
14. イスラエル人は,年ごとの祭りに出席してどんな益を受けましたか。
14 忠実なイスラエル人にとって,そうした旅行の一番の魅力は霊的な事柄でした。深い認識を持つ大勢の仲間と共にエホバを崇拝したいと願ったのです。出席してどんな影響を受けたでしょうか。その答えは,仮小屋の祭りに関するエホバの指示から分かります。「あなたは,すなわちあなたも,あなたの息子や娘も,男奴隷や女奴隷も,あなたの門の内にいるレビ人,外人居留者,父なし子,やもめも,その祭りのあいだ歓び楽しむように。七日の間,エホバの選ばれる場所で,あなたの神エホバに対して祭りを行なう。あなたの神エホバは,あなたのすべての産物,またあなたの手のすべての業を祝福されるからである。あなたはただ喜びに満ちるように」。―申 16:14,15。マタイ 5:3を読む。
現代の大会に深い認識を持つべきなのはなぜか
15,16. 大会出席のために,あなたはどんな犠牲を払ってきましたか。そうした努力を払うだけの価値があるのは,なぜですか。
15 こうした古代の集いは,今日の神の民にとって本当に素晴らしい手本となっています。時間の経過によって多くの点が変化したとはいえ,大会の本質は変わりません。聖書時代,大会に出席するには犠牲を払わなければなりませんでした。今日の多くの人もそうです。とはいえ,努力を払うだけの価値が十分にあります。大会は,古代も現代も,重要な霊的集いです。神との親しい関係を保つのに不可欠な情報や理解を得る場です。学んだ事柄を当てはめるよう動かされ,問題を避ける助けが得られます。また,わたしたちを押しひしぐ事柄ではなく,さわやかにする事柄に焦点を合わせ続けるよう励まされます。―詩 122:1-4。
16 大会に出席する人は,そのたびに喜びを経験します。1946年の大会の報告は,こう述べています。「幾万人もの証人が一堂に会している様子を見て,感動しました。そして,オーケストラに大勢の人の声が加わり,エホバを賛美する喜ばしい王国の歌が会場に鳴り響くのを聞いて,喜びに満たされました」。さらに,こうあります。「自発奉仕部門は,出席者の中から働き手を登録し,すべての部門に配置しました。心から喜んで仲間の証人に仕える人たちです」。あなたも,地域大会や国際大会でこうした感動を味わったことがありますか。―詩 110:3。イザ 42:10-12。
17. 大会の組織は最近,どのように調整されてきましたか。
17 大会の組織には様々な変化がありました。例えば,神の民の中には,大会が8日間も続いたのを覚えている人もいます。午前の部,午後の部,晩の部がありました。野外奉仕がプログラムの一部でした。プログラムが朝の9時に始まることや,夜の9時まで続くこともありました。自発奉仕者が長い時間,一生懸命奉仕して,出席者のために朝食,昼食,夕食を準備しました。今では,大会は短くなり,食事は家族や個人が事前に用意するため,霊的に養われるプログラムに一層の注意を向けることができるようになりました。
18,19. あなたは,大会のどんな点を楽しみにしていますか。なぜですか。
18 多くの人が楽しみにし,長いこと大会の特徴となってきたプログラムがあります。聖書の預言や教えに関する理解を増し加える『時に応じた』霊的「食物」が,話だけでなく,新しい出版物の形でも与えられてきました。(マタ 24:45)そうした発表文書の多くは,聖書の真理を理解するよう誠実な人々を助ける道具となっています。若い人も年配の人も,聖書に基づく感動を呼ぶ劇によって,自分の動機を吟味し,世の不敬虔な考えから来る圧力に警戒するよう促されます。バプテスマの話は,すべての人にとって,生活の優先順位を見直す機会となり,エホバへの献身を表明する人たちを見る喜びの時となっています。
19 大会は,長いあいだ清い崇拝の一部となってきました。エホバの喜びに満ちた民は大会を通して,難しい時代にもふさわしく仕えられるよう整えられます。霊的な刺激を受け,新たな友と出会い,世界的な兄弟関係を認識できます。大会はエホバがご自分の民を祝福して世話する肝要な方法です。わたしたちのだれもが,物事を組織し,毎回,大会のすべての部分に出席して益を得たいと思うことでしょう。―箴 10:22。