ミリアムは待ちました。やがて人の気配がして,女性たちが現れます。普通のエジプト人ではなさそうです。ファラオの娘と付き人の女性たちが水浴びに来ました。ミリアムは「どうしよう」と思ったかもしれません。ファラオの娘が王の命令に背いてヘブライ人の男の子を助けたりするでしょうか。ミリアムは必死に祈ったはずです。
アシの間の籠に最初に気付いたのはファラオの娘でした。ファラオの娘は女奴隷にそれを取ってこさせます。「開けてみると,男の子が入っていて,泣いて」いました。ファラオの娘はぴんときます。ヘブライ人の母親がわが子の命を守ろうとしたのです。この愛らしい男の子を見てとてもかわいそうに思います。(出エジプト 2:5,6)ミリアムはその表情を見逃しません。エホバへの信仰を行動に移す時が来ました。勇気を出して王家の人たちに近づきます。
ヘブライ人奴隷の子供が王家の人に話し掛けたりしたら,どうなるでしょうか。ミリアムにもそんな不安があったかもしれません。それでも王女にこう尋ねます。「この子に乳を飲ませるために,ヘブライ人の乳母を呼んできましょうか」。これは賢い提案でした。ファラオの娘は,自分には子供の世話ができないので,ヘブライ人に世話をさせた方がよいと考えます。その子が大きくなったら養子として王室に迎え入れ,そこで教育しようと思ったのかもしれません。ミリアムは王女から「行っておいで!」と言われて,とてもうれしくなったに違いありません。(出エジプト 2:7,8)
ミリアムは心配している両親のもとに走っていきます。あったことを興奮気味に話しているところを想像してください。ヨケベドは,これはエホバの導きに違いないと確信し,ミリアムと一緒に王女の所に向かいます。王女はヨケベドにこう命じます。「この子を連れていって,私の代わりに乳を飲ませてください。報酬は払います」。(出エジプト 2:9)ヨケベドは表に出さないようにしていたものの,ほっとして喜びをかみ締めていたでしょう。
その日,ミリアムはエホバ神についてたくさんのことを学びました。エホバは自分に仕える人たちを気に掛けて祈りを聞いてくださいます。勇気と信仰を示せるのは大人だけでも男性だけでもありません。エホバは自分に信仰を持つ全ての人の祈りを聞かれます。(詩編 65:2)今の難しい時代を生きる私たち全ては,老若男女を問わず,このことを忘れないようにしましょう。