ヒキガエルと普通のカエル ― どんな違いがありますか
何世紀にもわたって,ヒキガエルも普通のカエルも悪評を買ってきました。「いぼができるのはカエルのせいだ」とか,「魔女は人をいろいろなカエルの姿に変えることができる」などと言われています。醜いカエルがお姫さまの口づけによってハンサムな王子に変身するというおとぎ話を聞いたことのない人がいるでしょうか。とは言っても,子供向けのテレビ番組「セサミ・ストリート」や「マペット・ショー」に出てくるカエルのカーミットの人気のおかげで,カエルの受けは以前よりも良くなってきました。カエルは実際にはどんな生き物なのでしょうか。普通のカエルとヒキガエルにはどんな違いがあるのでしょうか。
まず誤解を正しておきましょう。いぼができるのはウイルスのせいであって,ヒキガエルのせいではありません。また,おとぎ話はおとぎ話以外の何ものでもなく,作り話と神話でできています。さらに,魔女のような人たちは確かに存在していますが,人をカエルやヒキガエルに変えることなどできません。
普通のカエルもヒキガエルもほとんど世界中に分布していますが,南極大陸にカエル類はいませんし,北極地方にヒキガエル類はいません。カエル類とヒキガエル類は約3,800種存在し,そのうちの300種余りがヒキガエル類です。では,ヒキガエル類とカエル類はどのように見分けられるでしょうか。ワールドブック百科事典は次のように答えています。「ヒキガエル類の大半は,カエル類の大半よりも幅広く平たい体をしており,皮膚は色が濃く,より乾燥している。ヒキガエル類は一般にいぼで覆われているが,カエル類の皮膚は滑らかである。ヒキガエル類の大多数は,カエル類の大半とは異なり,陸上生活をする。成体が水に入るのは繁殖時だけである」。カエル類は大抵,水の近くに生息し,人が近づく音を聞くと,すぐ水に飛び込みます。カエル類の大半は上あごにしか歯がありません。ヒキガエル類には歯がありません。ですから,どちらも獲物を丸呑みにします。
強力な毒を出すカエル類やヒキガエル類は少なくありません。コスタリカ産の赤い色をしたイチゴヤドクガエル(Dendrobates pumilio)はその一例です。カエル類の毒の中には,人間を簡単に殺せるものもあります。「生物学」という本は次のように述べています。「熱帯地方の土着民はしばしば矢の先をこれらのカエルにこすり付けることによって,矢に毒を塗る」。聖書の「啓示」の書では,「汚れた霊感の表現」がかえるに例えられています。どうしてでしょうか。モーセの律法では,かえるは汚れていて,食べてはならないものだったからです。ヒキガエルは聖書中には出てきません。―啓示 16:13。レビ記 11:12。
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右: ヒキガエル。下: 普通のカエル