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ローマ 注釈 10章新世界訳聖書 (スタディー版)
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主: この節の「主」(キュリオス)が誰を指しているかを文脈からはっきりさせることはできない。パウロが主イエス・キリストと主エホバのどちらのことを言っていたのかについて,聖書学者たちの間でも意見の一致を見ていない。ロマ 10:9は明らかにイエス・キリストを主と呼んでいて,ロマ 10:11にあるイザ 28:16からの引用もイエスに当てはまる。それで,ロマ 10:12の「主」がロマ 10:11の「彼」と直接結び付くのであれば,ここの「主」はイエス・キリスト。一方,パウロはロマ 10:9で,「神はイエスを生き返らせた」と「心の中で」信仰を抱くことについて述べている。さらに,ロマ 10:13でヨエ 2:32を引用し,「エホバの名を呼ぶ人は皆救われる」と述べている。それで,ロマ 10:12の「主」がロマ 10:13で言われている方と同じであれば,ここの「主」はエホバ神。そうであれば,ここで言っているのは,ロマ 3:29と同じで,ユダヤ人と異国人を治めるひとりの神がいるということ。この節の「主」は,新世界訳聖書翻訳委員会が,神の名前を復元する箇所を見極める上で,キュリオス(主)という語が出てくるそれぞれの文脈をどのように調べたかを示す1例。ヘブライ語聖書の背景や文脈に神の名前の復元を支持する根拠がない場合,委員会はそのまま「主」と訳し,翻訳者の立場を超えて解釈の分野に立ち入ることがないようにした。付録C1参照。
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