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読者よりの質問ものみの塔 1955 | 7月15日
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読者よりの質問
☆ ヱホバは,バラムに語つてバラクのところに行くようにと言われました。しかし,バラムが出発したとき,ヱホバはその行くことに怒りを発せられました。なぜですか? ―英国の一読者より
モアブの王バラクは,現在のイラクの地にいた予言者バラムに使者をつかわしました。その使者は,予言者のところに礼物をたずさえ,予言者を用いてイスラエルを詛わせようとしました。バラムはその報酬を欲しましたが,しかしイスラエルの神ヱホバと関係を有していたため,イスラエルを詛うための神の許可を欲しました。しかし,ヱホバは『お前は彼らと共に行つてはならない。その民は祝福せられている故に,彼らを詛つてはならない。』と予言者に語りました。それで,バラムはモアブとミデアンから来た長老と共に行くことを断りました。バラクは多くの人をバラムに遣してお願いし,イスラエルを詛うために来てもらいたい,そして大きな尊敬と富を得て戴きたいと言いました。ヱホバはこの度バラムにむかいこう言いました。『起きて,彼らと共に行け。しかし,私の語る言葉のみを,お前は言わねばならない。』しかし,このすぐ後の聖書の記録には『彼が行つたため,ヱホバは怒りを発せられた。』と書かれています。ヱホバの御使は,道をさえぎり,バラムの乗つていた驢馬は立ち止つて遂には奇蹟にも人間の言葉を話し,そしてバラムも御使を見ました。バラムは恐しくなつて,引き返そうとし『いま来た道を戻ろう。』と言いました。しかし,ヱホバの『御使は彼らとともに行け。そして,私の語る言葉だけを語らねばならない。』と言いました。それで,バラムは旅を続け,バラクと一緒のとき,イスラエルを詛うかわりに祝福しました。―民数紀略 22:12,20,22,34,35,新世。
イスラエルを詛いに来てもらいたいとバラムは頼まれたため,ヱホバは最初,行つてはならないと申しましたが,それはイスラエルが祝福をうけていたからでした。しかし,バラムは報酬を得たいために,イスラエルを詛いに行きたいと思い,再びヱホバに尋ねました。このとき,ヱホバは行つてもよいと言われましたが,それにはヱホバの語る言葉だけを話すという制限をつけられたのでした。しかし,イスラエルを詛わないならば,報酬は得られないことから,旅をしていた時に,バラムの心は報酬のことを思い,なんらかの方法で神の制限を取りのけてイスラエルを詛い,名誉と富を得たいものと考えていました。ヱホバはこのことを見抜き,バラムが貪欲とごまかしの気持ちを持つて出かけたのに怒りを発せられました。ヱホバは,驢馬に話をさせたり,また予言者バラムが音信を和らげて変えてしまい,バラクをよろこばせて報酬を得ようとするならば,即座に殺してしまおうと剣を引き抜いている御使を現わせることによつて,バラムを驚かし,正しい考え方を持たせました。このため,イスラエルを詛うなどという考えは,バラムの心から消え,恐れの気持から祝福を述べるだけになりました。
バラムは報酬のことを心に考えて出かけ,そして報酬を得る唯一つの方法は詛うことであつたために,詛いを心に考えていました。そのことは,貪欲な者についてのペテロの次の言葉からも分ります。『彼らは道から外れて,ペオルの子バラムの道に従つた。バラムは悪行の報酬を愛し,そのため自分の不正に対するとがめをうけた。ものを言わない驢馬は,人間の言葉を話し,この予言者の狂気じみた道をさまたげたのである。』イスラエルを不正にも詛つて報酬を得ようという考えをバラムは,心に持つていて,ただ驢馬が奇蹟的に言葉を話し,御使の威嚇のために,その心が変つたということが明らかに分ります。バラムは不正にもイスラエルを詛つて,報酬を得ようと考えていたとユダは示し,同じく貪欲な心を持つ者は,『報酬を得ようとしたバラムの不正の道に進んだ』と言いました。―ペテロ後 2:15,16。ユダ 11,新世。
ヱホバのこのすべてのいましめや,証示をうけた後でも,バラムの不正と,バラクの願に従つてイスラエルを害しようとするその決意はバラムに残つていました。心に思つていた詛が祝福に変つた後,バラムはバラクに助言し,イスラエルはどのように躓いて倒れ,自らヱホバの詛をうけるかを話しました。立ち去る前に,モアブとミデアンの娘でイスラエルを誘惑し,バアル崇拝に引き入れるようバラクに語つたようです。バラムの去つた後に記録されている次の出来事はこれらの女となされたイスラエルの不道徳であり,バアルの崇拝でした。そのため,イスラエルは,ヱホバの怒を招き,幾万人の悪い者たちは殺されました。(民数紀略 25:1-9)ミデアン人の女が生き残つていたとき,モーセはその背後にバラムのいることを示し,こう言いました。『見よ,それらはバラムの言葉に従つて,イスラエルの子らをまどわし,ペオルの事につきヱホバに罪を犯さしめ,遂にヱホバの会衆に罰をこうむらせたのである。』イスラエル人が,これらの女を捕えたとき,『ペオルの子であるバラムを剣で殺した。』― 民数紀略 31:16,8。新世。
前述のことから,次のことがはつきりと分ります。つまり,イスラエルを祝福するために行つても良いとヱホバがバラムに言われた時,この予言者はイスラエルを詛おうという気持を持つて出かけました。それで,ヱホバはバラムに怒りを発せられた。
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『ものみの塔』研究ものみの塔 1955 | 7月15日
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『ものみの塔』研究
8月14日 忠実を保つ 1-23 271頁
8月21日 同 24-30,及び忠実を失わないための助け 277頁
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