ハルマゲドンを迎えるときの「家令」
1 「家令」級が迎えるハルマゲドンでどんなことが生じますか。エルサレムのヒゼキヤ王の時代にこの「家令」を予表したのはだれですか。
ハルマゲドンはヘブライ語で,「全能者なる神の大いなる日の戦争」が間もなく行なわれる場所の名前です。「家令」級の残りの者は今やその「戦争」を迎えようとしており,この世の事物の体制はその戦争で永遠に終わりを告げます。ですから「家令」級は,自分たちがエホバ神に,「あなたの王国が来ますように。あなたのご意志が天におけると同じように,地上においても成されますように」と祈っている王国の目に見える敵を,戻った主人,すなわち栄光を受けたイエス・キリストがどのように滅ぼされるかを見るために,絶えず霊的に目覚めています。(マタイ 6:9,10。啓示 16:14-16)世界的なものとなるこの状態を例示もしくは予告したのは,エルサレムのヒゼキヤ王によって極めて重大な時に王宮の家令とされたイスラエル人が家令の職に就いていた時に生じた出来事です。
2 そのユダヤ人はだれでしたか。イザヤ書 22章15-25節によると,その人は王宮の家令の職に就いていただれに取って代わりましたか。
2 その「家令」は,ヒルキヤの子でエリアキムという名のユダヤ人でした。エリアキムについては,ヒゼキヤ王の「家の者たちをつかさどる」者として3度述べられています。(イザヤ 36:3,22; 37:2,新)エリアキムはセブナという人に代わって王宮におけるこの地位につきました。エリアキムとセブナについての神のご命令は,イザヤ書 22章15-25節に記されています。それは次の通りです。
「主権者なる主,万軍のエホバはこのように言われた。『行って,家を管理しているこの家令セブナのもとに入れ。「あなたはここにどんな関係があって,また,ここにだれと関係があって,自分のためにここに埋葬所を切り掘ったのか」。彼は高い所にその埋葬所を切り掘っており,自分のために岩壁に住まいを切り抜いている。「見よ,強壮な者よ,エホバは激しく投げつけることによってあなたを投げつけ,あなたを力ずくでつかもうとしておられる。神はあなたを広い土地のための球のように必ず堅く包む。あなたはそこで死に,あなたの栄光の兵車はそこであなたの主人の家の不名誉となる。そして,わたしはあなたをその地位から押しのけ,人はあなたをその公式の立場から引き降ろすであろう。a
「『「そして,わたしはその日わたしの僕を,すなわち,ヒルキヤの子エリアキムを呼ぶ。そして,彼にあなたの上衣を着せ,あなたの飾り帯を彼に固く締めさせ,あなたの領土をその手に渡すであろう。そして,彼は必ずエルサレムの住民とユダの家にとっての父となる。また,わたしはダビデの家の鍵をその肩の上に置く。彼が開けると閉じる者はなく,彼が閉じると開ける者はない。そして,わたしは彼を永続する場所に掛けくぎとして打ち込む。彼はその父の家にとって栄光の王座となるのである。そして,彼らはその父の家のすべての栄光を彼の上に掛けることになる。子孫と枝族,すべての小さな器類,鉢の器類,およびすべての大きなかめの器類をである。
「『「その日には」と万軍のエホバはお告げになる,「永続する場所に打ち込まれるその掛けくぎは取り除かれ,それは切り倒されて落ち,それに掛かっている荷は切り断たれることになる。エホバがそう語られたからである」』」。
3 (イ)エリアキムという名前にはどんな意味がありますか。その名前を持っていた人の場合,その意味はどのように現実のものとなりましたか。(ロ)エルサレムの城壁の前で行なわれた冒とく的な長い攻撃演説を聞くために遣わされたのはだれでしたか。最後にだれに対して助けを求める訴えがなされましたか。
3 「神は高く上げたもう」という彼の名の意味にたがわず,エホバはエリアキムを高めてヒゼキヤ王の王宮の家令とされました。それは,アッシリアの皇帝セナケリブが西暦前732年にユダに侵入する前のことでした。セナケリブはエルサレムから少し離れた所に軍を野営させ,代弁者ラブシャケを一人の護衛兵と共に遣わしてエルサレムの前に立たせ,その降伏を要求させます。その際にラブシャケは神としてのエホバをけなし,アッシリアとその皇帝をほめたたえます。エルサレムの王ヒゼキヤは,その時家令となっていたエリアキム,また書記官の地位に下げられていたセブナ,それに記録官のヨアを代表として送り,神にいどむこの長い攻撃演説を聞かせました。彼らは聞いたことを深く憂え,戻ってヒゼキヤ王に報告します。進退きわまった王は,エホバの代表者である預言者イザヤに事情を訴えます。―イザヤ 36:1-37:7。
4 その古代のドラマの現代における成就では,セナケリブはだれを表わしていますか。またヒゼキヤはだれを,そしてエリアキムはだれを表わしていますか。
4 わたしたちはそこに,今日の危機的状況に入り込んでくるのと同じ予型的な特色を見ます。対応するものをあげるならば,アッシリアのセナケリブは神の王国の敵すなわち悪魔サタンbを予表しています。サタンは,自分に逆らえば奴隷にするとか,死刑にすると言ってエホバの組織された民に降伏を要求します。「ヤハは強めたもう」という意味の名を持つ油そそがれたヒゼキヤ王は,今統治しておられる王イエス・キリストを表わしています。イエス・キリストは,地上にいるご自身の忠節な弟子たちが非難されたり,悪魔の組織の手に掛かって滅びる危険に直面したりする時,その苦しみを非常に敏感に感じとられます。ヒゼキヤ王の家の者をつかさどる「家令」エリアキムは,西暦1914年から始まったこの「事物の体制の終結」の時にまだ地上にいる「家令」級の残りの者を表わしています。予型的な家令エリアキムがユダヤ人すなわちイスラエル人であったように,今日の残りの者は,統治する王イエス・キリストの配下にある霊的イスラエル人で構成されています。
5 「ものみの塔」誌を今も世界中に配布することによって,油そそがれた残りの者たちはだれとの結び付きを示していますか。彼らは自分たちに投げ付けられた非難がましい名前を,いつすべて否認しましたか。
5 終わりの近いこの時期にあって,数は次第に減少していきますが,油そそがれた残りの者は,依然全世界に,多くの言語で,エホバの王国を知らせる「ものみの塔」誌を配布しています。エホバ神とのこの特別な結び付きは,20世紀における神権上の様々な出来事の進展の必然的な結果です。記念すべき年である1931年に,幾千もの油そそがれた残りの者は,オハイオ州コロンバスで開かれた全国大会に集まり,7月26日に満場一致で一つの決議を採択し,聖書が認めている「エホバの証人」という名前を採用しました。こうして彼らは,キリスト教世界の宗教組織が国際的な聖書研究者の団体につけていた非難がましい様々な名称を否認しました。これに合わせて,世界中の霊的イスラエル人の会衆はみな直ちにこの名称を採用しました。
6 そのようにして神のみ名を負うことにより,彼らはどんなことを進んで引き受けましたか。
6 このようにして彼らは,預言者イザヤの時代のイスラエル人に語られた言葉に示されている責任を引き受けたのです。
「『あなた方はわたしの証人である』とエホバはお告げになる,『すなわち,わたしが選んだわたしのしもべである。それはあなた方が知って,わたしに信仰を抱くためであり,わたしが同じ者であることを理解するためである。……それであなた方はわたしの証人である』とエホバはお告げになる,『わたしは神である』」― イザヤ 43:10-12,新。
家令の職の責任
7 (イ)1918年の第一次世界大戦終結以前に家令であることを主張していた宗教家たちは,その主張が偽りであることをどのように示しましたか。(ロ)キリスト教世界の僧職者はセブナのようであることをどのように示しましたか。
7 イザヤの時代のヒゼキヤ王の政府内にいたセブナのように,大いなるヒゼキヤであるイエス・キリストが支配する地上での家令の職の権利は自分たちだけにあると主張するキリスト教世界の僧職者たちがいます。しかし僧職者たちとは異なり,エホバの証人の油そそがれた忠実な残りの者の成員は,王国の家令としての務めを現実に遂行すべく真剣に努力してきました。それが特に顕著になってきたのは,キリスト教世界で始まった第一次世界大戦が終結した時からです。その時までには,戦争を挑発するキリスト教世界の僧職者たちは,王であるイエス・キリストから与えられたと彼らが主張する家令の職に関して,消すことのできない記録を作り上げていました。その時でさえ,「異邦人の時」もしくは「諸国民の定められた時」が1914年の秋に終わったことを示す証拠は積もっていました。またその時には,栄光を受けたイエス・キリストは大いなるヒゼキヤとして天で統治を開始しておられたのです。(エゼキエル 21:25-27。ルカ 21:24,欽定訳; 新世界訳)しかし,キリスト教世界の僧職者はエホバの建てられたキリストによる王国を支持しましたか。いいえ,そのようには行動しませんでした。
8 連盟が失敗に終わった後,キリスト教世界の僧職者は,霊的イスラエル人の残りの者と対照的にどのように行動しましたか。
8 1919年,キリスト教世界の僧職者は,提案されていた国際連盟の家令として仕えることを申し出ました。しかし連盟は1939年に完全に失敗に終わりました。現在では再組織された平和維持機構である国際連合がその跡を継いでいます。それらの僧職者とは全く対照的に,霊的イスラエル人の残りの者は,今建てられている,キリストによる神の王国を引き続き支持しています。
9 歴史的事実によると,ルカ 12章42節にあるイエスの質問に対する現代の答えは何ですか。
9 それで,1918年における神の裁きの開始以来,家令の職を与えられている者,もしくはその立場を一層固くされた者はだれでしょうか。1918年以後の歴史的事実を見れば自明のことですが,それは油そそがれた霊的イスラエル人の残りの者です。一つのクラスとしての彼らは,「主人が,時に応じてその定めの食糧を与えさせるため,自分の従者団の上に任命する忠実な家令,思慮深い者はいったいだれでしょうか」というイエスご自身の質問に対する答えです。(ルカ 12:42)彼らは今日の大いなるエリアキムを構成しています。つまり,ヒゼキヤ王の治世中(西暦前745-716年),アッシリアがユダの地に侵入した時に仕えていた忠実で思慮深いエリアキムによって予表された「家令」級なのです。
10 ルカ 12章43,44節のイエスの預言によると霊的イスラエル人の残りの者によって代表される奴隷の「家令」はどのように「幸い」を味わいましたか。
10 キリスト教世界や,人類の世界の他の部分に災いが臨んでいるにもかかわらず,忠実な「家令」級の成員は本当に「幸い」です。イエスが,「主人が到着して,そうしているところを見るならば,その奴隷は幸いです」と予告されていた通りです。なぜでしょうか。それはイエスが続けて,「真実をこめてあなたがたに言いますが,主人は彼を任命して自分のすべての持ち物をつかさどらせるでしょう」と言っておられたからです。―ルカ 12:43,44。
11 イザヤ 22章20,21節によると,エホバはセブナに代えてほかの人を立てることについてどのように語られましたか。
11 このことは,霊的イスラエル人の忠実な残りの者に霊的な方法で生じました。それはヒルキヤの子エリアキムの場合と同じでした。エリアキムは,自負心の強いセブナに代わって,ヒゼキヤ王の家の者をつかさどる「家令」となりました。エホバがその預言者イザヤに言われた通りでした。「そして,わたしは[エホバがセブナをその地位から押しのけられる]その日わたしの僕を,すなわち,ヒルキヤの子エリアキムを呼ぶ。そして,彼にあなたの[セブナの]上衣を着せ,あなたの飾り帯を彼に固く締めさせ,あなたの統治権をその手に渡すであろう。そして,彼は必ずエルサレムの住民とユダの家にとっての父となる」― イザヤ 22:20,21,新。
12 そのことはイエス・キリストが1919年の春以後に行なわれたどんな処置に相当しましたか。
12 これは,イエスがご自身の王国の持ち物すべてをつかさどらせるべく,忠実で思慮深い「家令」級を任命することに相当します。特に戦後の年1919年の春以来,宗教史における新しいページが開かれました。その時,忠実で思慮深い「家令」級の残りの者はエリアキムのように,キリストの治めるエホバ神の建てられた王国の大使としての威厳を着せられました。(コリント第二 5:20)彼らはこの資格で,建てられた王国を「あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で」宣伝してきました。(マタイ 24:14。マルコ 13:10)描画的に言うなら,全能の神は彼らがこの重い奉仕の務めを果たすよう,家令もしくは管理人(ヘブライ語でソーケーン,ギリシャ語でオイコノモス,セプトゥアギンタ)の「飾り帯」を彼らの腰に巻き付けて彼らの腰を引き締められたのです。―ゼカリヤ 3:1-7と比較してください。
13 その複合の「家令」級を構成する人々はいつ大いなるバビロンから出ましたか。そしてこの「家令」の「統治権」はだれの上に及ぶようになりましたか。
13 特に1919年の春以来,エホバ神はご自身の献身した民すべてに対して,偽りの宗教の世界帝国である「大いなるバビロン」から出るように呼び掛けてこられました。(啓示 18:2,4)「家令」級を構成する人々はその言葉に従順に従い,実際にそこから出ました。そして天におられる彼らの主人,すなわち目に見えない様で臨在しておられる主イエス・キリストは,彼らを一つのクラスとして用い,天の王国に入る見込みのある人々すべてに「時に応じてその定めの食糧を」与えさせてこられました。この点でエリアキム級は,「エルサレムの住民とユダの家」によって表わされていた人々すべてを養う「父」のようになりました。エホバはこのような「統治権」をキリストにより「家令」級の手にお渡しになりました。そしてこの複合の「家令」は忠実に,思慮深くこの「統治権」を現在まで行使してきました。特に1935年からは,キリストの「ほかの羊」の「大群衆」が,古代エルサレムの門の「内に[いた]外人居留者」のように,父親から受けるような世話を受けています。―出エジプト 20:10,新。ヨハネ 10:16。啓示 7:9-17。
14 エリアキムが「ダビデの家の鍵」を肩に担うことによって表わされていたように,「家令」はその責任をどのように果たしましたか。
14 今日のエリアキム級には,ヒゼキヤ王の時代のエリアキムに関するエホバの言葉に述べられているのと同様の重い責任が課せられています。「また,わたしはダビデの家の鍵をその肩の上に置く。彼が開けると閉じる者はなく,彼が閉じると開ける者はない」。(イザヤ 22:22,新)その複合の「家令」級は王の「ダビデの家の鍵」を担うに値する者であることを示してきました。常に目覚めていて,「ダビデの家」によって表わされた神のメシアによる王国の地上における関心事を保護してきました。また主人が,王国相続者の残りの者の最後の成員をそろえるために選ぶ人々を喜んで迎えました。そして1935年には,立派な羊飼いが油そそがれた残りの者と一緒にして「一つの群れ」とすることをよしとされた「ほかの羊」を迎え入れることを始めました。また,追放された背教者や,エホバの証人を腐敗させるためにひそかに入り込もうとした者たちすべてに対しては戸を閉ざしました。―啓示 3:7と比較してください。
15 エホバはエリアキムを何のように永続的な場所に打ち込むことを意図されましたか。彼にはどんなものが掛けられることになっていましたか。
15 エホバは現代のエリアキム級に関する預言をさらに続け,こう言われました。「そして,わたしは彼を永続する場所に掛けくぎとして打ち込む。彼はその父の家にとって栄光の王座となるのである。そして,彼らはその父の家のすべての栄光を[掛けくぎに掛けるように]彼の上に掛けることになる。子孫と枝族,すべての小さな器類,鉢の器類,およびすべての大きなかめの器類をである」― イザヤ 22:23,24,新。
16 エリアキムはだれの代わりに立てられましたか。対型的なエリアキムは「従者団」のためにどんな奉仕をするよう任命されましたか。
16 家のそうした器類が掛けられることになっていた,永久に打ち込まれた「掛けくぎ」は,セブナに代わって新しく家令となったエリアキムを表わしていました。したがって,彼は王の家の者たちに食物や飲み物を与える務めをゆだねられました。その資格で仕えるようエリアキムを任命したことは,大いなるヒゼキヤであるイエス・キリストが,栄光のうちに到来される時に,まだ地上にいるご自身の共同相続者の残りの者たちの上に「忠実な家令」級を立てることをよしとされ,その「従者団」に対して,量の多少を問わず「時に応じて」必要な「その定めの食糧を与えさせる」ことを予表していました。量が多くなるか少なくなるかは固い食物や飲み物の種類によりました。その「食糧」が神の言葉から与えられることは言うまでもありません。しかし別の聖書的見地から見るならば,それらの「器類」は,奉仕のために異なる能力を持つ神の僕そのものを表わしています。―テモテ第二 2:20-22。
17 エリアキムは彼の父の家にとってどんな面で「栄光の王座」となりますか。父の「子孫と枝族」はこのことからどのように益を得ますか。
17 エリアキムは,彼の父ヒルキヤの家にとっても「栄光の王座」となります。ということは,以前の家令セブナと対照的に,自分の父の家すなわち父の家の評判を辱めないことを意味しました。彼はヒゼキヤ王の王宮における奉仕の立場を高められるのです。彼が「栄光の王座」のようになるということは,このすべてを象徴していました。エリアキム自身が王として座し人々から仕えられるということではありませんが,王の僕として,新しく任命された領域内で権威と「統治権」を持つことになります。エルサレムの王をある程度代表しかつ代弁します。それは彼の「父の家」が信用を失うことにはならず,むしろ彼の父の家にとっては「栄光」となり,その栄光は取り除くことのできない掛けくぎに掛けられたかのように支えられます。彼の父の家の「子孫と枝族」は,エリアキムの推薦に依存しているので信頼を失うことはありません。エリアキムの親族はみな,エリアキムが自分たちを恥ずかしくない態度で,立派に代表してくれることを期待できたのです。エリアキムの親族はみな彼が高い地位にあって,自分たちを高潔な方法で代表してくれることを当てにできたのです。彼に依存する親族はそのように強い後ろだてがあるために,王宮での奉仕の「器類」として仕えるよう励まされました。
18 (イ)今日だれに特別の責任が掛けられていますか。それはなぜ王宮における責任と言えますか。(ロ)今日,「子孫と枝族」はだれですか。そして彼らはどんな器物になぞらえられていますか。
18 同様に今日,重い責任が「忠実な家令」級に掛けられています。それは王宮における,栄誉ある責任です。なぜならそれは,エホバが今王位につけておられる王イエス・キリストへの奉仕と関係しているからです。それは,彼らの霊的父の「子孫と枝族」のように,王国の希望を持つエリアキム級と関係のある人々すべてに対する霊的責任です。彼らは掛けくぎのような「家令」級に依存している,つまりその掛けくぎに掛かっています。そして彼ら自身,理知のある生きた「器類」のような存在で,いろいろに異なる量の食糧を,自分たちと霊的な親族関係にある他の成員に提供します。―テモテ第二 2:20,21。コリント第二 4:7。
19 (イ)エリアキムはどんな重大な時に王宮の家令の職に昇進しましたか。(ロ)危険な状況の下でユダの王はどの方面に助けを求めましたか。
19 古代に,すなわち西暦前8世紀に,エリアキムはエホバの予型的な王国が危機に臨んでいた時期にエルサレムで王宮の家令の職に昇進しました。彼は,侵入者のアッシリア王セナケリブの使いが大声で述べたてた恐るべき脅しを直接に聞きました。エリアキムはその言葉を主人であるヒゼキヤ王に伝えました。そこでヒゼキヤ王は,エジプトの軍事援助ではなく,自分の神エホバに援助を求めました。それに対し,エホバは預言者イザヤを通して大いに励みとなる答えをお与えになりました。エホバの大胆な音信の成就としてそれからどんなことが生じたでしょうか。次のように記されています。
20 その時エホバは,預言者イザヤを通してお与えになった大胆な音信の成就として何を行なわれましたか。
20 「こうして,エホバの使いが出て行き,アッシリア人の陣営において十八万五千人を討ち倒した。人々が朝早く起きてみると,何と,彼らはみな死がいとなっていた。それゆえ,アッシリアの王セナケリブは引き揚げて行き,帰って,ニネベに住むようになった。そして,彼がその神ニスロクの家で身をかがめていたときのこと,その子,アデランメレクとシャレゼルが剣で彼を討ち倒し(た)」― イザヤ 37:36-38,新。列王下 19:35-37。
21 (イ)その時のエホバの戦闘行為は何を予表するものでしたか。(ロ)今日の「家令」級は今何を迎えますか。そしていつから,まただれに対して,このクラスは警告をしてきましたか。
21 当時エホバがご自身の王国のためにエルサレムでなされた戦闘行為は,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」中になされる,より大いなる行動を予表しました。その戦争で滅びをもたらすみ使いはみ使いの頭で,天のみ使いの全軍を指揮する,王位につけられた王イエス・キリストです。(啓示 16:14-16; 19:11-21)「家令」級の残りの者は,二度と行なわれないこの戦いの中の戦いに直面します。神の言葉からの「食糧」をゆだねられている「家令」級は,特に1919年以来,ハルマゲドンと呼ばれる所で行なわれるこの来たるべき「戦争」を警告するために用いられてきました。ヒゼキヤ王の時代のエリアキムの場合のように,彼らは大いなる「アッシリア人」すなわち悪魔サタンとその大軍の,近づきつつある攻撃に直面します。(ミカ 5:5,6,新)彼らは天の主人の家の成員全体及び全人類に対して,粘り強く警告を続けています。
22 その警告にだれが応じましたか。彼らはなぜエリアキムやエルサレムの他の住民に生じたこと,またその意味することによって励みを得ていますか。
22 その警告に国際的な「大群衆」が応じ,さらに他の人々にそれを伝えてきました。(啓示 7:9-17)彼らはヒゼキヤ王の家令エリアキムおよびエルサレムの他の住民に生じた事柄によって励みを得ています。というのは,その人々は,侵入者のアッシリア人による大量殺りくの戦争の犠牲者になることを免れたからです。同じように,この「終わりの時」の「家令」級と,キリストの「ほかの羊」の「大群衆」は共に,ハルマゲドンにおける「全能者なる神の大いなる日の戦争」でこの世の事物の体制と共に滅ぼされることを免れるでしょう。(ダニエル 12:4,新)その戦争でエホバが勝利を収められた後,大いなるセナケリブである悪魔サタンとその悪霊の使いたちはすべて,大いなるヒゼキヤ,イエス・キリストの千年統治の間,底知れぬ深みに閉じ込められるでしょう。
23 ルカ 12章42節でイエスが提起しておられる質問の答えの正否について疑問の余地がなくなるのはいつですか。
23 統治する主人イエス・キリストが,「忠実な家令」級の残りの者を地上でさらに用いることをよしとされる限り,彼らは与えるべき「定めの食糧」を,生き残っている仲間の者と,主人の「ほかの羊」の「大群衆」に分配します。胸の躍るようなあの見込みの実現は間近に迫っているのですから,羊のような人はみな,資格のない「掛けくぎ」であるキリスト教世界のセブナ級に頼ってそれに掛かっている人々のようにハルマゲドンで「切り断たれる」ことがないよう,絶えず警戒していましょう。(イザヤ 22:17-19,25,新)「忠実な家令,思慮深い者はいったいだれでしょうか」というイエスの質問に対する正しい答えを確かめ,それを支持してきた人々は本当に幸いです。彼らはその家令の職に忠節を示して,この時に応じた,必要な「定めの食糧」を,「忠実な家令」すなわち大いなるエリアキムの手から受け続けるようにしなければなりません。その象徴的な「掛けくぎ」は,神の予知に従い,神の助けによって「永続する場所」に打ち込まれ,抜き取られることがないようにされたのです。ですから確信を持って,また忠節を尽くして,それにしっかりとつかまっているようにしましょう。
[脚注]
a ギリシャ語のセプトゥアギンタ訳ではヘブライ語聖書のイザヤ書 22章19節は次のようになっています。「なんじはその家令の職[オイコノミヤ]より,なんじの所より取り除かれん」― ギリシャ語と英語のセプトゥアギンタ訳。英国,ロンドン,サミュエル・バグスター社発行。
b 「ものみの塔」1945年4月1日号102ページ(英文),1節,及び1951年12月1日号,719ページ,10節(英文)をご覧ください。
復習。次の質問に答えることができますか
■ エリアキムとセブナはどんな人でしたか。
■ 現代では,エリアキムとセブナはだれを表わしていますか。
■ セナケリブ王とヒゼキヤ王は今日のだれを予表していますか。
■ エリアキム級は,セブナ級と対照的に,何に支持を与えていますか。
■ 「エルサレムの住民と……ユダの家」は何を表わしていますか。
■ 現代の『エルサレムとユダの住民』のほかにだれが,父親から受けるような世話をエリアキム級から受けていますか。
■ 「ダビデの家」は何を表わしていますか。
■ イザヤの預言の「掛けくぎ」はだれですか。そして彼はだれを表わしていますか。
■ この「掛けくぎ」が「栄光の王座」となったことは何を象徴していますか。
[29ページの図版]
油そそがれた残りの者とその同労者は,多くの言語の「ものみの塔」誌を全世界に配布している