諸国民は私たちの呼ぶ御名を恐れる
1 昔のエジプトについて,エホバはご自のために何をされましたか。いまは彼がふたたび何をする時ですか。
それは活動の絶好の時でした。なぜなら,神とそのキリストの名前が関係していたからです。古代エジプトで,エホバは預言モーセを通して,王なるパロに次のように語りました,「そもそもわが汝をたてたるはすなはちなんぢをしてわが権能を見さしめわが名を全地に伝へんためなり」。(出エジプト 9:16)エホバ神は,最初古代のエジプトに10の災をくだし,次に奴隷になったイスラエル人を解放し,ご自分の民を奇跡的に紅海を通らせて後にエジプトの軍勢を滅ぼしました。エホバ神は今日でも知られているすばらしいことを行なわれたのです。エレミヤ記 32章20節はエホバ神についてこう述べています,「なんぢしるしとふしぎなるわざをエジプトの地に行ひたまひて今日にまでいたる,またイスラエルと他の民の中にも然りかくして今日の如くに汝の名を揚たまへり」。ほんとうに彼はそのとき名前を揚げました。そして,彼の名前は全地にひろめられたのです。しかし,後の時代の者は彼の名を忘れました。そして現在の私たちの時代の者は彼の名を忘れました。聖書の預言と西暦1914年以来の聖書の預言の成就から見ても,いまこそエホバ神がふたたび名を揚げる時であることが分かります。
2 (イ)どんな顕著な理由の故に,神は今まで聖書を保存されましたか。(ロ)ユダヤ人の考古学者の書いた最近の記事は,聖書のこの目的とどのように一致しますか。
2 彼が霊感を与えて60冊の聖書全部を書かせたのは,むだなことでありませんでした。キリスト教国内の大制度が,聖書を滅ぼそうと努力したにもかかわらず,エホバ神が聖書を今日まで保存せられたのは,無意味なことでありませんでした。エホバはご自分の名前を知らせるために聖書を今日まで保存されました。創世記から黙示録にいたるまで,彼の名前エホバはもっとも多く使用され,もっとも有名な名前です。次位の名前はイエス・キリストの名前です。当然そうあるべきでしょう。イエス自身も弟子たちにこう語りました,「わたしが父のもとに行く……父がわたしより大きいかたであるからである」。(ヨハネ 14:28,新口)エホバはご自分の御名を守るために聖書を書かせました。現代主義的なユダヤ人の見解を持っている有名な考古学者ネルソン・グルエク博士も,この事実を認めています。「信仰と歴史の本」と題する最近の記事の中で,グルエク博士は3節のところで次のように述べています。
聖書は根本的には宗教的な本であり,歴史的な本ではない。それは自然を説明するため,そして神の御名をあがめるために編集されたものである。聖書は統一された本で真実なものである。その唯一の目的はイスラエルとすべての人間に対する神の独自性,無比性,普遍性および意義を説明することにある。聖書の英雄は,全創造のみなもとでありかつ全人類の父なる神である」。―1960年9月25日,ニューヨーク・タイムス・マガジン29頁。
3 (イ)「大いなる日の戦争」のとき,神は自分のために何をなされますか。しかし,このため彼はそれ以前に何をされましたか。(ロ)だれによって?
3 「全能の神の大いなる日の戦争」は,刻一刻近づいています。その戦いでエホバは永遠になりひびく名前を揚げるでしょう。(黙示 16:14,16)しかし,天と地のその宇宙的な戦争前でも,彼はご自分の名前を誉のうちに全地に知らしめています。だれを用いて? キリスト教国は用いられていません。しかし「エホバの証者」という聖書的な名前で示されるクリスチャンが用いられているのです。全地にわたる181の国や島からこのことについての報告が来ています。宗教的な迫害や反対があるにもかかわらず彼らがこのことをしているのは,エホバの御霊によります。全国民は,彼らがエホバの御名によって呼ばれていることを明瞭に知りました。諸国民はその理由の故に恐れていますか。
恐れによってどのように影響されるか
4 キリスト教国は,恐れを感じさせる名前をどのように持つようになりましたか。しかし,どんな宗教的な結果をもたらしましたか。
4 キリスト教国は最近まで異教徒の諸国民を恐れさせた名前を持っていました。それはエホバの名前がキリスト教国に呼ばれたからではなく,キリスト教国の宗教的な迫害と圧迫,流血の戦争および十字軍,十分の武装をした陸軍と海軍で支持される植民地主義のためです。キリスト教国は,キリスト教の教えに反するこの行いをして神の御名とキリストの名前に最大の非難をもたらしました。今日,事態はすっかり変わっています。
5 (イ)キリスト教国は,どんな名前を恐れるようになりましたか。キリスト教国は,このことにどう反応しましたか。(ロ)キリスト教国はだれの名前を信じませんか。それで,どんな名誉は,特定な小さな群れに与えられましたか。
5 いま世界を恐れさせているものは,共産主義という名前です。特にキリスト教国,あるいはキリスト教国の政治的,宗教的,社会的および産業的な支配者たちは恐れを感じます。はるか昔の1879年,発行し始めてから3号後である9月号の「ものみの塔」誌は,「主の日」と題する中心記事の中でこの共産主義の脅威をキリスト教国に警告しました。その時以来,地球の3分の1を占める共産主義諸国家のブロックは設立され,キリスト教国はそれに対して強力な武装を整えています。核戦争の意味するものを恐れているため,キリスト教国と侵略的な共産主義ブロックのあいだには「冷い戦争」が行なわれています。キリスト教国は,エホバという名前を持たれる全能の神を信用していません。それで,恐れを感じさせるエホバの御名を全地に知らせるという名誉は,キリスト教国に与えられず,平和の心で,武装をせぬエホバの証者という小さな群れに与えられています。
6 ソビエト連邦がエホバの証者を恐れていることは,何によって示されていますか。
6 しかし,ソビエト連邦は,ほんとうにエホバの証者を恐れていますか。たしかにそうです ― 恐れていないなら,共産主義ロシアがエホバの証者を抹殺しようと努力しているのはなぜですか。カトリックと新教はみなロシアで公認されているのに,なぜエホバの証者は禁ぜられて,地下に追われている宗教的な群れですか。
7 トロントの「デイリー・スター」の主筆は,ロシアがエホバの証者を恐れていることについてどんな注解をしましたか。
7 1960年7月2日のトロント市の「デイリー・スター」紙7頁で,主筆のマーク・ゲインは,「赤の世界でエホバの証者はソビエトの『くも』」と題する見出しの下に,次のように述べています。
ソビエト人はすべての宗教をいみ嫌う。しかし,彼らがエホバの証者に対して激怒している事実は,ちょっと説明不能である。
モスクワは証者たちを狩り出している。モスクワは彼らの信仰を打ちくだこうとしている。証者たちの活発な改宗運動は,悪魔の帝国主義的計画とアレン・ダレスの破壊運動をまぜ合わせたものとして示されている。証者たちに対する攻撃は,「弾薬だるの使徒たち」または「くも」というようなからかい気味の見出して新聞紙上に出されている。その物語は,もちろん見出しに合うようにつくられる。(「彼らはくもたちだ。くもは光を好まない。くもはくらいところに罠を仕かけて,犠牲者があみにひっかかって身をふるわすまでそばで待っている。彼らは犠牲者を見つける。」)
エホバの証者とはだれか。プラウダ紙は次のように答えている。
「エホバの証者というこの宗派は,存在し始めた最初の日から,アメリカから資金をうけている最も反動的な群れに奉仕している。金のある後援者共が,この新しい宗派を植民地国家に入りこませて,絶対服従の精神を植えつけさせ,証者共をして欧州で歴史の浅い社会主義運動に反対せしめているのである……」。
証者たちはますます活発になってきていると,プラウダ紙は報じている。証者たちは口頭で,あるいは不法な文書を用いて,人は武器を持ってはならぬと主張し,不法な教会を設立し,かつ不法な祈りの集会を開いている。信仰の企みはひろまっており,国家の強大な力もその信仰をほろぼせないようである。
そして,人類史上最大の革命43周年にこのようなことがどうして起こり得るのか,何人も説明しようとしない。
8 (イ)モスクワからのニュース報道によると,エホバの証者はだれを恐れませんか。しかし,彼らはイエスのどんな助言に従いますか。(ロ)共産主義の国ではどんな種類の恐れがひきおこされていますか。それは何に導きますか。
8 1960年7月7日,ニューヨーク・タイムスは,「モスクワはこの派を非難し,エホバの証者がソビエトで活動をつづけていると言う」見出しの下に,モスクワからのロイター・ニュースを掲載しました。1961年2月12日,タイムスは,「宗教の発生はソビエトをなやます」という見出しの下に,約1欄を埋めるほどの記事を載せました。その記事の事でエホバの証者のことは二度も述べられていました。この記事によると,これらのエホバの証者は,この世界のいだく共産主義への恐れを持たず,マタイ伝 10章28節にあるイエス・キリストの言葉に従います。イエスは神の御国を伝道させるために使徒たちをつかわして,こう言われました。「からだを殺しても魂を殺すことのできない者たちを恐れてはならない。しかし,魂とからだの両方をゲヘナで滅ぼし得るかたを恐れなさい」。その結果,神の御名と御国は鉄のカーテンの背後でも宣べつたえられています。共産主義の国々や全体主義的な政府の支配する他の国々でこの活動が行なわれているために恐れが生じています。その恐れは,そのような政治支配による利己主義の故に,健全な種類の恐れではありません。それは,神の御名を憎んでいる故の恐れです。そのような恐れを持つ人々は,全能の神の大いなる日の戦争で滅します。
健全な種類の恐れ
9,10 (イ)エホバは,「御名の民」のために,何をつくると約束しましたか。どんな出来事以来,このことは真実でしたか。(ロ)エホバはエレミヤ記 33章7-9節でこのことをどのように前もって告げましたか。
9 しかし,これは献身して御霊によって油を注がれたキリストの弟子たちの残れる者が呼ぶ名前にたいして,諸国民がいだく唯一の種類の恐れではありません。エホバはご自分の御名を掲げるだけでなく,地上の目に見える制度,彼の油そそがれた「御名の民」であるこれらの者の名前をも掲げると約束しました。このことは特に1919年以来真実のことでした。そのとき,油注がれた残れる者は,第一世界大戦中にうけた束縛から解放されて,神の御名と神のメシヤによる御国を恐れなく宣べ伝え始めました。彼らがキリスト教国の圧制の力から解放されたのは,彼らが全く献身していた彼らの神の力によりました。キリスト教時代前,エホバの御名の民である彼の証者たちは,ユダとイスラエルで代表されていました。神はユダとイスラエルという言葉で今日のご自分の御名の民にむかい,次のように呼びかけて言われました。
10 「われユダのとらはれびととイスラエルのとらはれびとを帰らしめ彼らを建てもとのごとくになすべし,われ彼らが我にむかひて犯せしすべての罪をきよめ彼らが我にむかひて犯しかつ行ひしすべての罪をゆるさん,この邑は地のもろもろの民の中において我が為によろこびの名となりほまれとなりさかへとなるべし,彼らはわが此民にほどこすところのもろもろの恩恵を聞かん,而してわがこの邑にほどこす所のもろもろのめぐみともろもろのさひはひのためにふるへかつ身をうごかさん」。―エレミヤ 33:7-9。
11 (イ)どんな勢力は,1919年以来の彼らの歩をさまたげようとつとめましたか。それには成功がともないましたか。(ロ)彼らの霊的な進歩はだれに反映しましたか。その結果,何が生ずると,ゼパニヤ書 3章19,20節は示していますか。
11 1919年以来,エホバの証者が霊的に幸福で繁栄しており,急激に増加している理由はその聖句により説明されています。ナチ主義,ファシスト主義およびカトリック行動やキリスト教国内の多くの国家的な勢力は,その年以来のエホバの証者と彼らの繁栄,平和,および一致を滅ぼそうとつとめました。しかし,彼らの努力は水泡に帰したのです。全地においてエホバの証者が霊的な幸福と繁栄を保ち,増加しつづけたことは彼らの神を良く反映しました。彼らは神の御名に誉をもたらしました。この理由により,神はゼパニヤ書 3章19,20節でも約束されているごとく,彼らをめぐみました。
「みよその時われ汝をしへたぐる者をことごとく処置し足なへたるものを救ひおいはなたれたる者を集め彼らをしてそのはづかしめをかうむりしすべての国にてほまれを得させ名を得さすべし,その時われ汝らを集むべし我なんぢらの目の前において汝らの浮囚をかへし汝らをして地上の萬國に名を得させをほまれ得さすべしヱホバこれを言ふ」。
12 エホバの証者は,この聖句をどう成就しましたか。
12 この聖句を成就するものとして,活動的,進歩的なエホバの証者はエホバの御名に名誉を帰しました。彼らが勇気をもって伝道していること,霊的な英知に富んでいること,そして彼らの高い道徳の標準は,彼らを解放した神に名誉を帰しています。
13 この結果,すべての国にいる多数の正直な人は,残れる者についてどんな見解をもっていますか。
13 この結果,あらゆる国の幾十万という正直な人々は,油そそがれた証者の残れる者こそ主なる神を述べ伝えている名前であり,神の誉ある名前に賛美を帰していると認めました。彼らは地上にあって,エホバの御前で美しいものです。そして,エホバを愛してエホバに従い,またエホバのいましめに従い,御子イエスに従う者に神のめぐみを示します。
14 そのことを見たこの「大いなる群衆」の民には,どのような結果が生じますか。彼らのとる行為の結果はなんですか。
14 聖書中に述べられているひとつの清い宗教を求めるこの「大いなる群衆」の民は,証者たちの油そそがれた残れる者の呼ぶ名をおそれています。彼らはその名を恐れると共に,エホバという御名を持ち給う称賛すべき神の名前を愛しています。(詩 83:18)それで,彼らもイエスにならって,彼の神なる父にまったく献身し,神への献身を示すために水で洗礼を受けます。かくして,彼らは「りっぱな羊飼」イエス・キリストの足跡に従い,油そそがれた残れる者に加わります。彼らは彼の象徴的な羊の群れの一部になります。これらの「他の羊」がこのような忠実な行いをしたので,イエスが預言したごとく「ひとつの群れ,ひとりの羊飼」という結果が生じました。(ヨハネ 10:11,14-16)彼らはみなエホバ神の一致した崇拝者になります。
一致して預言する
15 (イ)したがって,そのような「他の羊」はどんなわざしなければなりませんか。(ロ)ヨエル書 2章28,29節どおり,油注がれた残れる者は,どんな預言をしてきましたか。
15 そのような献身と水による洗礼を受けて後キリストの群れのこれらの「他の羊」は,どんなわざをしなければなりませんか。彼らは預言的な聖句が前もって告げたこと,そして油そそがれた「小さな群れ」の残れる者がしていることをしなければなりません。すなわち,預言すること,伝道することです。エホバは「御名の民」である霊的なイスラエルのこの残れる者に御霊を注がれて,「未の日」についてのヨエル書 2章28,29節の言葉を最終的に成就されました。このことの結果は,男も女も,若い人も老いた人も,すべての人が預言することであると予めに告げられていました。ヨエル書 2章28,29節の言葉どおり,油そそがれた残れる者は預言して来ました。特に宗教的な束縛から解放されて後の1919年以来,預言して来たのです。彼らに注がれる神の御霊の解明の下に,彼らはイエスの次の預言を成就するためにいま神の御国を預言すべきであると認めました。「この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」。―マタイ 24:3,14,新口。
16 預言は,どのように残れる者の伝道とむすびつきを持ちますか。だれがこの伝道に参加しますか。
16 それで,残れる者が伝道するにつれて,彼らは神の御国,および忠実で従順な人類におよぶその永遠の祝福についての聖書の預言を知らせ,かつ論じます。それで,この預言的な伝道は,「他の羊」の参加する神のわざです。彼らも油そそがれた残れる者のようにエホバの証者になります。
17 (イ)油そそがれた残れる者は,なぜこの預言のためにいろいろな準備を設けましたか。(ロ)特にいつから彼らは他の者から援助を受けましたか。そして,どんな協会の下に預言の取りきめが設けられましたか。
17 神の注ぎたまう御霊の強烈な力の下にあって,油注がれた残れる者は「大いにして恐るべきエホバの日の来る」前に行なわねばならぬ預言を遂行するために,いろいろの準備を設けました。それは,安全をのぞむ人が彼の名前を恐れ,その名前を呼んで救いを得るためです。これらの「他の羊」の「大いなる群衆」は,安全を得て,エホバの御国の支配する新しい世で生命を得る者たちです。(ヨエル 2:30-32)まったく,幾十万という大ぜいの人々が「ひとりの羊飼」の下に,「ひとつの群れ」に集められて来ました。特に1935年以来,彼らも油注がれた残れる者たちを援助して,さらに幾十万という人を集めました。その年,「他の羊」のこの「大いなる群衆」は,黙示録 7章9-17節に示されている者です。それで,生命を与える預言のわざをもっと産出的に,もっと大規模に行なうための取きめや施設がつくられました。ものみの塔協会の下に,それは逐次改善され拡大されて行きました。たとえば,
18 神権的な奉仕のために,協会の会長は本部でとんな取りきめを発表し実施し始めましたか。
18 1942年2月9日,第二世界大戦が行なわれていた時,ものみの塔聖書冊子協会の会長は,「神権宣教の進歩的な課程」が,協会のブルックリン本部で働いている人々のために始められると発表しました。本部で働いていた人の数は,その年には平均して約192人でした。その月曜日の夜,「ものみの塔」を家族一同で研究して後,会長はこの宣教についての手紙をベテルの大家族に読みました。毎週行なわれたこの家族の学校によって,「神権宣教の課程」(英文)と題する教科書中にたくさんの実際的な資料が得られるようになりました。この本は,96頁で42課ありました。
19 その第二世界大戦の時代中,どんなわざが考えられましたか。1943年に何が始められましたか。今日それはどんな状態ですか。
19 暗黒に閉ざれていたこの第二世界大戦の時代中,いままで試みられたことのない戦後の宣教者活動を世界的な規模で行なうことが先見せられました。このことを実現するため,協会はニューヨーク州サウス・ランシングに近い「御国農場<キングダムファーム>」にギレアデものみの塔聖書学校を設立しました。1943年2月1日,水曜日,協会の会長はエホバの証者の中から選ばれた宣教者たちの為にこの学校を始めました。18年前のその当時,それは大胆な手段でした。しかし,今日でもギレアデのものみの塔聖書学校は協会のブルックリン本部の反対側にある新しい場所で運営されています。その施設は前のものよりも勝れており,全地から集められた兄弟たちの研究と訓練の課程は,もっと徹底しています。
20 1943年の「活動への招待大会」では,どんな発表と実演が特別に取りあつかわれましたか。時がたつにつれて何が生じましたか。
20 しかし,各国で行なう証言の分野がなおざりにされたわけではありません。時たつ中に「神権宣教の教課」(英文)の本は完成して,協会所有のブルックリン印刷工場で印刷されました。1943年4月17日と18日,アメリカ合衆国とカナダの幾百という都市で2日間にわたる「活動への招待大会」が開催され,エホバの証者のすべての会衆内で毎週一度の神権宣教学校を始める計画が発表されました。教科書が発表され,本の使用法と学校の司会の仕方が実演で示されました。その当時は戦争中だったので多数の国にいたエホバの証者の活動は禁じられていたか,その文書の輸入は禁じられていました。しかし,この本を得ることのできた会衆は,学校を開きました。程なくして,神権宣教学校は幾百もできました。第二世界大戦が終わって後,全世界の会衆内で幾千という数の学校がつくられました。
21 1945年と1946年,どんな教科書が発表されましたか。どんな特別な場合に?
21 96頁の「神権宣教の教課」(英文)という教科書よりも大きなものが必要になりました。それで,1945年4月27-29日エホバの証者の特別な大会が開かれました。エホバの証者の敵アドルフ・ヒトラーが自殺をした時より3日前の4月28日,土曜日の夜,「御国伝道者の神権的な助け」(英文)と題する90の教課を持つ新しい384頁の本が出席していた証者たちに発表されました。戦後第1年目の1946年,オハイオ州クリーブランド市で6日間にわたる「よろこびあふれる国民の神権的な大会」のとき,新しい教科書「凡ての良いわざに備える」(英文)が8月8日に発表されました。これら二つの学校の教科書は,幾年ものあいだ使用されました。
22 (イ)1953年のヤンキー野球場での新しい世の社会大会では,特に会衆のしもべと巡回のしもべに関連して,どんなわざが強調されましたか。(ロ)このことにつき,(1953年の)11月号の「通知」(英文)はどんな特別な指示を与えましたか。
22 1950年,エホバの証者の国際大会はニューヨーク市ヤンキー野球場で開催されました。1953年,7月19日から26日までの2度目の国際大会のとき,協会の会長は家から家のエホバの証者の伝道を強調しました。強調された諸点の中に,会衆内の任命されたしもべはみな神の御国と家から家に伝道する者に訓練を与える者でなければならぬということがありました。特に一定数の会衆を訪問する巡回のしもべは,そのような訓練のわざに巧みにならなければなりません。これから約4ヵ月後,御国伝道者に月1度与えられる「通知」― 当時そのように呼ばれていました ― は,「御国の良いたより」をいっそう効果的な仕方で家から家に提供することについて特別な記事を出しました。どのように? 「戸口で聖書を使用することによります」,この点について(1953年)11月の「通知」(英文)はこう述べていました。
自己紹介して,あなたの目的を知らせ,人々に何をお伝えするかを伝えて後,聖書から2,3の選んだ聖句を読んで証言の中に織りこむことにより,きわめて効果的な証言をすることができます。……聖書から適切な聖句を読んであなたの証言を裏づけることにより,あなたは戸口における3分から8分の聖書の話に変化をつけることになります。
23 聖書だけを用いてする話はすでにどこで行なわれていましたか。そして,なぜ?
23 カナダのケベック地区のように,エホバの証者が聖書文書を携行して家から家のわざをすることが法律で禁ぜられていた国や地方は,直接聖書だけを使用する話によってわざがされていました。
24 (イ)1955年にはどんな教科書が発表されましたか。翌年,「御国奉仕」は,全部の会衆のためにどんな取りきめを設けましたか。(ロ)1959年3月9日には何が始められましたか。だれのために?
24 1955年6月に始まった一連の国際大会勝利の御国大会では,「奉仕者になる資格」(英文)と題する新しい神権宣教学校の本が発表されました。翌年,いま「御国奉仕」として知られている月1回発行の奉仕機関紙が,毎週1度の奉仕会のくわしい筋書をのせ始めました。それで,どの場所でも,すべての会衆は同じ内容の奉仕会を持ち,御国伝道者に教訓を与えることができました。それから3年後,会衆の監督であるしもべたちに特別な訓練を与える機会が開かれました。1959年3月9日,御国農場にあったギレアデのものみの塔聖書学校で御国宣教学校が始められました。出席の招待を受けられた会衆のしもべたちは,この学校から4週間にわたって無料の教訓と訓練を受けました。
25 ギレアデのものみの塔聖書学校が移ってから,御国場農にあった御国宣教学校には何がなされましたか。この点について,協会の支部事務所はどのように恵まれましたか。
25 ギレアデのものみの塔聖書学校は1961年2月にブルックリンに移りました。それで,御国農場にあった御国宣教学校は拡大されて会衆の監督たちの四つの級を一時に収容することができます。また,御国宣教学校は,全世界のものみの塔協会の支部事務所で設立されています。例えば,カナダ,英国,フランス,ドイツオーストラリア,極東その他の国々です。これは最高の神によりゆたかに祝福されました。その結果,会衆のしもべたちはますます良い資格を身につけて,神の群れを監督し預言のわざ,伝道のわざを監督します。
26 それでは今日だれが預言していますか。どの程度にどんな言語で?
26 それで,今日では御国相続者の油注がれた残れる者たちだけが預言をしているのではありません。ますます多くの羊のような人々は,すべての国から来て彼らに加わっています。これらの者たちも,神の御霊で油注がれた残れる者の呼ぶエホバの御名を恐れることを学んでいます。今日,霊的イスラエルの残れる者の数は,わずか1万3255名と報告されているのに反して,毎月野外で定期的に伝道奉仕を報告している「他の羊」級の数は,90万です。油そそがれた残れる者の場合と同じく,エホバの御名を恐れるこれらの「他の羊」の場合にも,「すべての種類の人」が,預言しています。年老いた者も,若い者も,男も女も,雇い主も,従業員も,今日144の言語で預言しており,彼らはみなエホバの証者であることを証明しています。
27 このことは,すべての国民にとってどんな時機にかなったしるしですか。
27 これは世界のすべての国民にとって,なんと意義深いしるしでしょう! それは,エホバの大いにして,有名な,恐れを感じさせる日が近づいているしるしであり,残されたわずかな時間であるいまこそ,信仰をもってエホバの御名を呼ぶべき時です。かくして,救いをうけてエホバの新しい世における永遠の生命を受けることができます。
28 私たちはエホバの証者であることを示しますが,私たちに対するエホバの明白な言葉は何でしたか。私たちの上にのぞむ迫害は,何を示しますか。
28 エホバの証者と呼ばれる私たちには,なんと大きな責任が課せられているのでしょう! 反対者たちが,この名前で自己表示をする私たちの権利に挑戦するなら挑戦させなさい? エホバ神ご自身は,私たちがそうすることを罰していません。むしろ,私たちがその名前にふさわしく生活し,そのすばらしい名前をになうにふさわしく歩くことを祝福されました。私たちが神の御国について預言し,伝道するとき,迫害がのぞみます。しかし,それはエホバののろいとか,不賛成を示すものではありません。それは,私たちがこの罪に定められた古い世のものでなく,彼の正義の新しい世のものであることを証明します。
29 エホバの名前について,私たちの決意は何ですか。私たちは,イエスの教えたどんな祈りを祈りつづけますか。
29 私たちは感謝しつつ,神の御名についての私たちの責任を認め,その責任を負います。もし私たちがエホバの御名を尊敬せず,その御名を恐れないなら,そしてその御名に名誉をもたらさないなら,すべての国民のうちで神を求める人々は,神の御名を恐れず,また永遠の救いを得るために神の御名を呼ぼうとしないでしょう。しかし,私たちはエホバの御名をあがめて高め,それに非難をもたらすことを何ひとつしないことを決意します。私たちはエホバの御名をもっとも神聖なものとして取りあつかいます。私たちは,他の羊のような人をもみな援助して,エホバの御名をあがめるようにします。そして,イエス・キリストの教えたエホバ神への祈りを祈りつづけます,「天にいますわれらの父よ,御名があがめられますように」。―マタイ 6:9,新口。
[84ページの図版]
御国奉仕
通知
奉仕者になる資格
「凡ての良い業に備える」
御国伝道者の神権的援助
神権宣教の課程