神の国は1914年以来なにを行なってきたか?
1 1914年およびその後の一連のできごとは,今日の人々にとって単なる歴史の出来事ですか。最大の預言者はこの時代の人々についてなんと述べましたか。
1914年はすでに50年以上も昔です。しかしこの年は世界の幾百万の人々の記憶に今でも生きています。それら幾百万の人々はこの年に起きた第一次世界大戦,およびその後に続いた一連のできごとを経験してきました。この人々にとって1914年およびその年に起きたことは単なる歴史の出来事ではありません。これを経験した彼らは,そのことを思い出し,それ以後に生まれた人々に物語ることができます。そしてこの世代に属する幾百万の人々はさらに驚嘆すべきことがら,すなわち忘れがたい年1914年に起こり,その年に始まったことの真の意味を疑問の余地なく明確に示すことがらを経験します。史上最大の預言者が19世紀前に語ったことばは必ず実現します。「よく聞いておきなさい。これらの事が,ことごとく起るまでは,この時代は滅びることがない」― マタイ 24:34。
2 どういう面で1914年以後の地上は変わりましたか。前途の見通しについて何が言えますか。
2 1914年以来の地上の状態は変わりました。これは単に,地表を大きく変容する地震がその時以来しだいに多くなったということを言うのではありません。また,大気,海洋,土壌などが広範囲にわたって汚染されていることを言うのでもありません。地上の人々,政治構造,道徳,科学思想,宗教,戦争などにおける変化,および,初めて聞く人がいるかも知れませんが,今日の人類に働く見えない超人間の勢力における変化を言うのです。明敏な歴史家は1913年を現代史における正常な時代の終わりとしていますが,これは適切な観察です。それ以後の時代は,史上に先例のない暴力と混乱と動揺の時代です。世界の情勢はしだいに緊迫の度合を強めています。将来への確かな導きを持たない人々にとって,この時代の前途はきわめて陰うつに見えます。わたしたちの時代がこうした数々の災厄を経験し,前途にはさらに大きな災いを控えているのはなぜですか。
3,4 (イ)1914年に起きたことによって,地上だけでなくほかに何が影響を受けましたか。(ロ)宇宙的に重大などんな発表がその年天で行なわれることになっていましたか。
3 しかし,わたしたちは自分の心配事など,自分のことにだけ目を向けてはなりません。さらに大きな問題を見,ほかにも大切なことがあるのを知るべきです。1914年に起きた事によって強い影響を受けたのは地とそこに住む人々だけではありません。天も大きな影響を受けました。科学技術者は地球外界の惑星に地上からロケットを発射しようとしていますが,わたしたちはここで可視的な天のことを述べているのではありません。人間科学の領域をはるかに越える見えない天のことを述べているのです。神の霊的な創造物が全創造の神を見る所は人間に見えない天ですが,ここも1914年に起きたことによって急激な影響を受けました。宇宙的に重大な発表をする時が1914年に到来しました。そのことに間違いはありません。その発表の声は見えない天全体に響き渡り,その反響は最後にこの地上でもキャッチされました。それをキャッチしたのは電波望遠鏡ではなく,神の民に働く神の見えない力でした。これより重大な発表はほかにありません。その発表のことばは実際に人の耳に聞かれ,霊感のことばとしてあらかじめ記録されていました。
4 「この世の国は,われらの主とそのキリストとの国となった。主は世々限りなく支配なさるであろう」。
5 これと関連したどんな発表がこの後天でなされることになっていましたか。
5 そのしばらくのち,これに関連した次の発表がなされました。「今や,われらの神の救と力と国と,神のキリストの権威とは,現れた。われらの兄弟らを訴える者,夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は,投げ落された」― 黙示 11:15; 12:10。
6 (イ)これらの発表を記録したのはだれですか。その人はなぜ記録しましたか。(ロ)今の時代は,「神の国は1914年以来なにをしてきたか」との質問に答えることができますが,それはなぜですか。
6 これらの発表が地上で最初に聞かれたのは小アジア沖のパトモス島においてです。これを聞いて記録したのは,ローマ帝国によりこの島に流されていたクリスチャン使徒ヨハネです。ヨハネは命令を受けてこれらの発表を書きとめました。それは,天にも地にも重大なできごとを描写するこの発表が実際になされる今の時代まで,そのことばを保存するためでした。広く認められる年代算定に従えば,使徒ヨハネが自分の見た預言的な幻および聞いた事柄を記録したのは西暦96年です。幻を送った神はその記録を命じられました。それは「すぐにも起るべきこと」を予告するものであったからです。(黙示 1:1)そして,1914年およびその後の多くのできごとを経験したこの時代は,ヨハネが奇跡的な幻で見た事柄の実現する,畏怖すべき時代にあたるのです。それでは,「神の国は1914年以来なにを何なってきたか」との質問に,なんと答えたら良いのですか。
メシヤによる神の国の最初のものではない
7 (イ)1914年に発表された神およびそのキリストの国は地上と関係のあるこの種の王国の最初のものですか。(ロ)「メシヤ」もしくは「キリスト」という称号はどんな人々に対して用いられましたか。
7 この,神およびそのキリストの国の建国は2520年の間待たれていました。なぜそのように言うことができますか。なぜなら,これは地上と関係のあるこの種の神の国の最初のものではないからです。「キリスト」という称号は「油を注がれた者」という意味であり,ヘブル語の「メシヤ」に相当することを心にとめてください。ギリシャ語の「キリスト」から「クリスチャン」という語が派生していますが,同じようにヘブル語の「メシヤ」から「メシヤの」「メシヤ主義者」などの語が派生しています。真のクリスチャンはいずれもメシヤ主義者です。遠い昔,「キリスト」とか「メシヤ」ということばは,紀元前607年以前にエルサレムで王となった者たちをさして用いられました。ダビデ王に始まる長い王統の最後の者が王位を追われたのは紀元前607年です。預言者エレミヤはこの者について次の嘆きのことばを残しました。「かの我らが鼻のいきたる者 エホバにあぶらそそがれたるもの〔メシヤ〕はおとしあなにてとらへられにき,これわれらが異邦にありてもこの陰に住んとおもひたりし者なり」― 哀歌 4:20,文語,ヘブ語原本。
8 (イ)それでダビデ王にもどんな称号が用いられましたか。ダビデはエルサレムにあるだれのくらいに座しましたか。(ロ)ダビデ王は王国がだれのものであることを認めていましたか。
8 ダビデ王がエルサレムで治めはじめたのは紀元前1070年です。ダビデは自分の民の王になるべき者として,エホバ神の命によりあらかじめ油をそそがれていたので,油そそがれた者,メシヤ,ないしはキリストと呼ばれました。それゆえ,ダビデの王座の置かれたエルサレムに関して神は言われました。「わたしはダビデのためにそこに一つの角をはえさせる。わたしはわが油そそがれた者〔メシヤ〕のために一つのともしびを備えた」。(詩 132:17)当初は天のエホバ神ご自身がダビデの民の見えない王でした。預言者モーセは当時すでにそのことを認め,「エホバは世々限りなく王たるべし」と歌いました。(出エジプト 15:18,文語)それゆえ,ダビデ王はエホバを代表する人間の王としてエルサレムの王座につきました。聖書はダビデ王が「エホバのくらい」に座したと述べています。ダビデの後継者ソロモン王についても同じ事が言えます。(歴代上 29:23,文語)それで,年若いむすこソロモンに王位を譲るにあたり,老齢の王ダビデは人々の前で神にこう祈りました。「すべて天にある者地にある者はみななんぢに属すエホバよ国もまたなんぢに属す」。(歴代上 29:11,文語)こうして,ダビデの国は神およびその油そそがれた者の国でした。
紀元前607年から西暦1914年まで
9 (イ)ダビデの王家が滅びたのはいつですか。なぜ,そしてだれによって?(ロ)いやしまれたどんなものがその時,高くされましたか。
9 エルサレムにあったこの最初の,神およびそのキリストつまり油そそがれた者の国において,見える王として治めたのは不完全な人間でした。この地上の国における悪政の発展のゆえに,神はバビロン王ネブカデネザルを用いて,紀元前607年に自らこの国をくつがえされました。この破滅を予告するにあたり,神は預言者エゼキエルの口をとおしてエルサレムの最後の王にこう言われました。「かぶり物を脱ぎ,冠を取り離せ。すべてのものは,そのままには残らない。卑しい者は高くされ,高い者は卑しくされる。ああ破滅,破滅,破滅,わたしはこれをこさせる。わたしが与える権威をもつ者が来る時まで,その跡形さえも残らない」。(エゼキエル 21:25-27)紀元前607年の夏,ダビデの王家は破滅を見,いやしまれた異邦人の世界勢力バビロンが高くされました。同じ年の10月1日ごろ,エルサレムおよびユダの全土はダビデの王族から出た地方総督さえいない,荒廃の地と化しました。
10 (イ)この紀元前607年にどんな時期が始まりましたか。(ロ)だれの来る時までその期間は続きますか。
10 この時まで,エルサレムはエホバの油そそがれた者つまりキリストによるエホバ神の国を象徴するものでした。しかし紀元前607年よりこのかた,エルサレムでダビデ家の王が即位したことはありません。神の油そそがれた者キリストによる神の国を異邦人が踏みにじることはこの時始まったのです。つまり異邦人がキリストによる神の国の干渉なく全地を完全に支配する時期が始まりました。エゼキエルの預言に従えば,この異邦人支配の時期は王冠をかぶる権威をもつ者が来る時まで続くはずでした。その時が来れば神はご自分の約束どおり権威をもつ者に王冠を与えられます。ペルシャ帝国,ついでギリシャ帝国,その次にローマ帝国が再建されたエルサレムを支配下に置きました。しかしこれらの国々はダビデ家の油そそがれた者が神の国をエルサレムに建てることを許しませんでした。
11 (イ)イエスはどのようにキリストつまり油を注がれた者になりましたか。いつ?(ロ)神はその時イエスにメシヤの国を与えられましたか。
11 まさに予告どおり,ローマのチベリウス帝の時代に,ダビデ王の子遜イエスは,ユダヤ人の祭司や預言者ではなくエホバ神ご自身により,またオリーブのそそぎ油ではなく天からの聖霊によってヨルダン川で油を注がれました。イエスに水の浸礼を施した浸礼者ヨハネはこの事実をあかししています。ヨハネはまたイエスを神の子であるとも述べています。(ヨハネ 1:29-34)イエスはこの時油そそがれたイエスつまりイエス・キリストになりました。イエスは約束の者すなわちメシヤによる神の国の王としての「権威をもつ者」となったのです。しかし神はイエスが水の浸礼を受けたこの年にイエスに国を与えられたのではありません。
12 (イ)どんなできごとに関連してイエスは「異邦人の時期」つまり諸国民の定められた時に言及されましたか。(ロ)西暦70年以後,エルサレムの土地はどんな人々にずっと踏みにじられていますか。
12 その3年半後,西暦33年の過越が近づいた時,イエス・キリストはローマ人によるエルサレムの壊滅が近いことを予告してこう語られました。「エルサレムが軍隊に包囲されるのを見たならば,そのときは,その滅亡が近づいたとさとりなさい……彼らはつるぎの刃に倒れ,また捕えられて諸国へ引きゆかれるであろう。そしてエルサレムは,異邦人の時期が満ちるまで,彼らに踏みにじられているであろう」。(ルカ 21:20-24)イエス・キリストは,メシヤによる神の国の干渉を受けずに異邦人が全地を支配する定められた期間が,西暦70年のローマ軍によるユダヤ人のエルサレムおよびその宮の滅亡以後にも続くことを示されたのです。61年後,ローマ人はエルサレム旧市の廃虚の上に新都市を建設しました。しかしそれはダビデの王家の油そそがれた王がローマ皇帝に抵抗するためのものではありませんでした。こうして歴史の示すとおり,ユダヤ人の古代エルサレム市があった土地は,1914年に至るまで,異邦人すなわちローマ人,回教徒,ローマカトリックの十字軍,トルコ人などにより,文字どおり踏みにじられました。
13 (イ)異邦人の世界支配の時期が1914年に終わったように見えないのはなぜですか。(ロ)地上のエルサレムの状態はこれを証明するものではありませんが,それはなぜですか。
13 しかし異邦人の世界支配の時は今でも続いているのではありませんか。1914年以後にも,城壁をもつエルサレム市は異邦人つまり非ユダヤ人にずっと踏みにじられているのではありませんか。表面的にはそうです。古代ローマ人の建設した城壁のあるエルサレム市は1914年以来,非ユダヤ人の諸国民により実際に踏みにじられており,ダビデの王家に属するメシヤなる王が1914年以後にここで王になったこともないからです。さらに,城壁のある昔のエルサレム市の西側にユダヤ人が建てた現代のエルサレム市にも,ダビデ家のメシヤなる王はいないからです。むしろ,新しいエルサレム市はイスラエル共和国の首府になっています。このユダヤ人の共和国は,メシヤに関するエホバ神の預言に望みを置くかわりに,異邦人の国際連合に望みを託し,1949年5月11日にその第59番目の加盟国となっています。しかし,こうした事のすべては異邦人の時期が1914年の10月1日ごろに終わったことを否定するものではありません。なぜですか。なぜなら,地上のエルサレム市は神のメシヤの王の都にはもはやならず,メシヤによる神の国の統治が始まるために,1914年に地上のエルサレムから異邦諸国民を追い出す必要はなかったからです。
14 (イ)重要なのは,城壁をもつ古いエルサレムですか。あるいは何ですか。(ロ)異邦人の地上支配に干渉しなかったものはなんですか。なぜ?
14 イエス・キリストの時代以来,地上のエルサレムの重要性はなくなりました。かわって重要性を帯びたのは,異邦人の時期の始まった紀元前607年にバビロニア人に滅ぼされたユダヤ人のエルサレムが象徴したものです。それでは,その時までのエルサレムが象徴したものは何ですか。それはダビデの王家の油そそがれた者が王となる神の国です。エルサレムはその70年後に再建されました。しかし,ダビデの後継者による神のメシヤ王国も再建されましたか。神の国はひき続き異邦人に踏みにじられていたのです。こうして異邦人の時期の間ずっと存在しなかったメシヤによる神の国は,全地を支配した異邦諸国民に少しも干渉しませんでした。神はご自身の布告どおり,1914年に至るまで異邦人の世界支配に干渉されませんでした。
15 (イ)異邦人の時期を終結させたのはだれですか。これはどんな預言者の預言した時に起きましたか。(ロ)異邦人の時期の終わる時をあらかじめ計算したのはだれですか。批判した人々はどのように沈黙させられましたか。
15 しかしながら,定められた時が到来するに及んで,エホバ神はずっと続いてきた異邦人支配の時を終結させられました。エホバ神はご自分の預言者ダニエルを代弁者として,メシヤなる君ないしは指導者が人間として地上に出現する時を正確に予告しておられます。そしてその定められた時は1900年前,つまり西暦第1世紀でした。(ダニエル 9:24-27)メシヤ,キリスト,すなわち油そそがれた者が実際に出現したのは,イエスが浸礼を受け,聖霊で油をそそがれた時であり,それはまさに予告のとおりでした。エホバ神は同じ預言者ダニエルによって,異邦人の時期が「七つの時」つまり,その始まりである紀元前607年から数えて2520年間であることをも予告しておられます。(ダニエル 4:16,23,25)クリスチャンの聖書研究者はこれを頼りに異邦人の時期がいつ終わるかをあらかじめ知ることができました。その時より35年以上も前から,献身した聖書の研究者たちは,神の聖霊の助けによって,異邦人の時期が1914年の初秋に終わることを計算していました。しかしキリスト教国の牧師は彼らを批判し,彼らの発表した聖書の年代計算を嘲笑しました。しかし,牧師は態度を改めなかったとは言え,1914年の諸事件は彼らを沈黙させました。
1914年という年代を確証する
16 (イ)紀元前607年に起きたこととは対照的に,1914年の異邦人の時期の終わりに何がありますか。(ロ)1914年以来,異邦の諸国民はもはや踏みにじることのできないどんなものを考慮に入れるべきですか。
16 1914年の秋が異邦人の時期の終わりであれば,その時には神のみ心に従って何が起きるのですか。昔のダビデの都エルサレムの象徴したものを異邦諸国民が踏みにじるのを終わらせることです。ダビデの王族に属し,神に油を注がれた者によるエホバ神の国を,異邦諸国民がふみにじることはもはや終わらねばなりません。異邦人の時期の始まりは紀元前607年であり,その時には神の国が滅びました。これと逆に1914年の異邦人の時期の終わりには,キリストつまり神に油そそがれた者メシヤにゆだねられる神の国が復興し,再び誕生するはずです。これは「権威をもつ」油そそがれた者がエホバ神から王冠を与えられる定めの時です。このメシヤによる神の国はその時以来,異邦諸国民が考慮に入れるべき神の政府となります。諸国民は地上の主権を主張して利己的に野望を追求し続けても,もはや勝ち誇ってこの国を踏みにじることはできません。なぜそうですか。
17,18 (イ)異邦の諸国民が1914年以来この政府を踏みにじることができないのはなぜですか。(ロ)イエスと使徒たちはどんな国について伝道しましたか。それはどんな町に置かれるものですか。
17 それは1914年に誕生する,メシヤによる神の国が天の政府であるためです。それは諸国民の政府およびその打ちあげる宇宙船やロケットの領域をはるかに越えているからです。地上のエルサレムはこれとなんのかかわりもありません。イエス・キリストは西暦33年にエルサレム城壁外のカルバリで殺されました。それでこの町とメシヤによる神の国との間にはもはやなんのつながりもないのです。
18 死の5日前,イエスは喜びあふれる大群衆と共にエルサレムに入城しました。彼は王として自らをエルサレムにささげられたのです。(ゼカリヤ 9:9。マタイ 21:1-11)しかし,エルサレムの支配者たちは彼を退けました。イエスに地上の国は与えられませんでした。しかし,イエスは地上の王国を伝道していたのではありません。彼はメシヤによる神の国の福音を伝道したのであり,彼およびその弟子たちは,「天国は近づいた」と言いました。(マタイ 4:17; 10:1-7)昔から予告されていたメシヤによる王国は天の国であり,聖書が象徴的に「生ける神の都,天にあるエルサレム」と呼ぶ所にその都を置く,天の政府です。(ヘブル 12:22)天のメシヤの国を1914年に建てることを定められたエホバ神は,み子イエス・キリストを死後3日目によみがえらせ,40日後に天に帰らせました。―使行 1:1-12。
19 (イ)異邦人の時期はイエスが天にのぼり,神のみ前に再び現われた時に終わりましたか。(ロ)ヘブル人への手紙 10章12,13節は詩篇 110篇1,2節の成就について何を示していますか。
19 しかしながら,イエスが昇天し,天のエホバ神のみ前に再び現われたことによって,異邦人の時期が終わったわけではありません。神はご自分の定めた時を守られ,1914年の到来を待たれました。そしてイエス・キリストは,霊感を受けた聖書の筆者がヘブル人への手紙 10章12,13節で述べるとおり,待たねばなりませんでした。「キリストは多くの罪のために一つの永遠のいけにえをささげた後,神の右に座し,それから敵をその足台とするときまで,待っておられる」。このことばは詩篇 110篇1,2節に言及したものであり,そこでダビデ王は後に来るメシヤすなわちキリストについて預言しています。「エホバわが主にのたまふ,我なんぢの仇をなんぢの承足とするまではわが右にざすべし エホバはなんぢのちからの杖をシオンよりつきいださしめたまはん,汝はもろもろの仇のなかに王となるべし」― 文語。
20 その定められた時に,イエス・キリストと異邦の諸国民との間の局面はどのように変わりますか。
20 神の定めに従って主イエス・キリストがこれを始めるのは異邦人の時期が終わる1914年であり,その重大な時が到来するまで,イエスは神の右にある天のくらいに座して待ちました。その1914年は局面を変える時であり,異邦諸国がメシヤによる神の国を踏みにじるのをとどめて,イエスが敵の中で王となる時です。
21 (イ)1914年に地上に生きていた人々はこの世の国に関する天の発表を聞きましたか。(ロ)しかし彼らは地上で何を見,何を聞きましたか。
21 キリストすなわち神に油そそがれたメシヤによる神の天の国が異邦人の時期の終わった1914年の初秋に誕生し,支配を開始したということに何か疑いがありますか。少しもありません。当時地上に生きていたわたしたちが,「この世の国は,われらの主とそのキリストとの国となった。主は世々限りなく支配なさるであろう」という全天になされた発表を耳にしなかったことは事実です。(黙示 11:15)しかし,わたしたちはこの地上で,あるものを聞き,また見たのを覚えています。何ですか? 国と国との宣戦,戦場に行進する幾百万の兵士のくつ音,全面戦争への国家総動員,前線に移動する重兵器の金属音,敵方の同じ信仰の者と戦う兵士に神の祝福を祈る牧師や神父の敬けんじみた声,戦士の応援団長のごとく振舞う軍隊付き牧師,疫病のごとく感染する戦争熱などです。1914年10月1日にはすでに地球を取り巻くような帝国を含め全部で9カ国が戦乱に巻き込まれていました。わたしたちは1914年以降,これらのものを目にし,耳にしたのです。
22,23 (イ)天のイエス・キリストがその世界大戦を始めたのですか。イエスはこれとどんな関係がありますか。(ロ)これらのできごとは支配権について1914年に何が起きたことのしるしですか。
22 この最初の世界大戦は新たに天の王となったイエス・キリストが始めたものではありません。しかし,これはエルサレム城外での死の3日前にイエスが予告したとおりではありませんか。「民は民に,国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに,ききんが起り,また地震があるであろう。しかし,すべてこれらは産みの苦しみの初めである」。イエスはどんな問いに対してこの預言をされたのですか。使徒たちの,「これらの事はいつあるのですか。またあなたの臨在と事物の制度の終結の時にはどんなしるしがありますか」(新世訳)という質問に対してです。(マタイ 24:3,7,8)時の計算よりも何よりも,1914年およびそれ以後のこうしたできごとが,1914年の秋に異邦人の時期が終わり,それゆえこの年に「事物の制度の終結」が始まったことをよく示しています。先にあげたことのすべては,イエス・キリストがご自分の天の国にはいり,メシヤとして天の国に臨在されることの見える,また聞こえるしるしであり,同時に預言者ダニエルの見た幻が天で実現したことを物語るものです。
23 「見よ,人の子のような者が,天の雲に乗ってきて,日の老いたる者のもとに来ると,その前に導かれた。彼に主権と光栄と国とを賜い,諸民,諸族,諸国語の者を彼に仕えさせた。その主権は永遠の主権であって,なくなることがなく,その国は滅びることがない」― ダニエル 7:13,14。
24 注意深い聖書の研究者はどんな年代にあらかじめ注目していましたか。そのことの正しさが実際のできごとによって確証された時,彼らは何と言わずにはいられませんでしたか。
24 聖書を注意深く調べていた者たちは,1914年が聖書の中で特に重要な意味をもつ年であることを何十年も前から指摘していました。しかし,聖書の預言を成就する世界のできごとによってこのことが確証された時,目に見えない天で起きたことがらに対するわたしたちの確信は動かしがたいものとなり,わたしたちは天にいる忠実な神の崇拝者に和してこう言いました。「今いまし,昔いませる,全能者〔エホバ〕神よ。大いなる御力をふるって支配なさったことを,感謝します。諸国民は怒り狂いましたが,あなたも怒りをあらわされました。そして,死人をさばき,あなたの僕なる預言者,聖徒,小さき者も,大いなる者も,すべて御名をおそれる者たちに報いを与え,また,地を滅ぼす者どもを滅ぼして下さる時がきました」― 黙示 11:16-18,〔新世訳〕。
25 エホバ神はご自分の大いなる力をふるい,どんな者として支配を始められましたか。「権威」をもつ者に神はなにをゆだねられましたか。
25 そうです,異邦人の地上支配が終わる異邦人の時期の終わりに,全能者エホバ神はご自分の大いなる力をふるい,わたしたちの地球を含めた創造の全領域の王として支配を再開されました。紀元前607年以来2520年の間,異邦人の人類支配を忍耐づよく許してこられたエホバ神は,メシヤとしてダビデ王の地位をつぐご自分のみ子を王座につけ,その者に全地を支配する「権威」をゆだねられました。このメシヤなる王は「天のエルサレム」で統治しており,地を滅ぼしている異邦人すべてを滅ぼされます。しかし神から与えられたメシヤの国は決して滅びません。
仇に対する行動
26 メシヤを王とする神の国が1914年以来静止しているかどうかを尋ねるのはなぜですか。それでわたしたちはどんな率直な質問をしますか。
26 それで,わたしたちには見えなくても,メシヤによる神の国が1914年に天で建てられたことは事実といたしましょう。それでは,その時以来神の国はずっと静止しているのですか。人類世界は1914年以来決して静止してはいませんでした。その年以後に出現した新国家も数多くあります。重大な年であった1914年以後これまで半世紀の歴史はまさに驚がくすべきものでした。被造物である人間がその時以来動転してきたなら,全能の神なる創造者については何が言えますか。神も静止してはおられません。神の国は現存する最強の政府であり,これが静止しているはずはありません。神の国は誕生以来,果たしきれぬほどの職務をかかえています。それでは,神の国はその存在と活動とを実証するものとして,どんな歴史を残してきましたか。あからさまに言って,神の国は1914年以来なにをしてきましたか。
27,28 (イ)詩篇 110篇1,2節から予期されるとおり神の国はだれに対して戦いを始めましたか。(ロ)神の国が最初に戦ったのは地上の者に対してですか,あるいは天にいる者に対してですか。
27 神の国は,神の敵であり,キリストの敵であり,人間の敵である者,すなわち自らの敵に対する戦闘を開始しました。わたしたちはそのことをあらかじめ知ることができました。なぜなら,ダビデ王がメシヤに語りかけている預言によれば,神が彼の敵をその足台として踏ませる時まで,メシヤは神の右手に座して待つことになっていたからです。その後になにがありますか。その時について,詩篇 110篇1,2節は「エホバはなんぢのちからの杖をシオンよりつきいださしめたまはん,なんぢはもろもろの仇のなかに王となるべし」と述べています。
28 それでは,メシヤによる神の国のどの敵に対して,メシヤの「ちからの杖」はつきだされたのですか。地上の異邦諸国民に対してですか。そうではありません。メシヤなる王は,地上に第一次世界大戦を始めず,またそれによってたがいに勢力をそがせ,諸国民の統治を容易にするというような方策を取らなかったからです。メシヤの「ちからの杖」は異邦諸国民ではなく,異邦諸国民の神,つまり悪魔サタンに対してまずつきだされたのです。異邦諸国民は人間にすぎませんが,その神サタン悪魔は超人間,また超自然の霊者です。この者はすべての敵のうち最強のものです。この敵のかしらは霊者ですから,1914年に先だつ数千年の間,地球の領域をはるかに越える神聖な天に近づくことができました。聖書はこのことを示しています。
29 (イ)イエスが生まれた19世紀前はどんな時代でしたか。(ロ)黙示録の預言によれば,神の国の誕生は何を招来しますか。
29 1900年前,悪魔サタンは不安にかられるヘロデ大王をあやつり,2歳以下の男児を皆殺しにするための兵士を送って,ベツレヘムにいた赤子のイエスを殺そうとしました。(マタイ 2:1-18)イエスが生まれたのは予告どおりベツレヘムであり(ミカ 5:2),それはローマの平和と呼ばれる平和な時代でした。しかし,1914年のメシヤによる神の国の誕生は,天に対しても地に対しても平和な時代を招来するものではありませんでした。黙示録 11章はそのことを予告し,神が大いなるみ力をふるって全宇宙の支配を始められ,「この世の国」がわたしたちの主なる神とそのキリストとの国となるとき,異邦諸国民は怒り狂うと述べていました。そしてこれら異邦諸国民はキリスト教国の内外において実際に怒り狂いました。黙示録 12章は神の国に対する敵意についてさらに予告し,天における神の国の誕生の模様を象徴的に描いたなかで,悪魔サタンが誕生後まもなく,また弱体に見える神の国を食いつくそうとすることを述べていました。それゆえ,この天にいる敵を追い出すことが必要です。それは戦いを意味しました!
30,31 黙示録12章5-12節によれば,ヨハネは天でどんなことが起こるのを見ましたか。その後にどんな発表がありましたか。
30 黙示録 12章5-12節は神の天の組織についてこう述べています。「女は男の子を産んだが,彼は鉄のつえをもってすべての国民を治めるべき者である。この子は,神のみもとに,その御座のところに,引き上げられた。……さて,天では戦いが起った。ミカエルとその御使たちとが,龍と戦ったのである。龍もその使たちも応戦したが,勝てなかった。そして,もはや天には彼らのおる所がなくなった。この巨大な龍,すなわち,悪魔とか,サタンとか呼ばれ,全世界を惑わす年を経たへびは,地に投げ落され,その使たちも,もろともに投げ落された。その時わたし〔使徒ヨハネ〕は,大きな声が天でこう言うのを聞いた。
31 「『今や,われらの神の救と力と国と,神のキリスト〔メシヤ〕の権威とは,現れた。われらの兄弟らを訴える者,夜昼われらの神のみまえで彼らを訴える者は,投げ落された』」。
32 これら天のできごとを目撃しなかった地上の人々はどんなことを感ずるはずですか。
32 『神の国が悪魔サタンと配下の悪霊を天から地に投げ落としたというのですか。どんな根拠でそれを信ずることができますか。わたしはそれを見ませんでした』と言う人がいるかもしれません。たしかにそれを肉眼で見ることはできませんでした。しかし,その影響はこれを言う人にも必ず及んでいます。なぜなら,使徒ヨハネは天の声が引き続きこう言うのを聞いたからです。「それゆえに,天とその中に住む者たちよ,大いに喜べ。しかし,地と海よ,おまえたちはわざわいである。悪魔が,自分の時が短いのを知り,激しい怒りをもって,おまえたちのところに下ってきたからである」。
33 (イ)天を追われる以前と以後で地に対するサタンの活動はどのように異なりますか。(ロ)第一次世界大戦とサタンを放逐するための天の戦いを時間の面でどう比較できますか。
33 悪魔および配下の悪霊が天を永遠に追われ,地の近くに行動を制限されたことが,地と海にいるわたしたちの災いとなるなら,人間は悪魔と悪霊の地上における見えない存在をなんらかのかたちで感ずるはずです。天から落とされる以前の悪魔について使徒ペテロはこう述べました。「あなたがたの敵である悪魔が,ほえたけるししのように,食いつくすべきものを求めて歩き回っている」。(ペテロ第一 5:8)またサタンは「全世界を惑わす」者でした。しかし天から落とされて以来,サタンの「怒りは激しく」なっています。それは地上での自分の活動の期間がわずかであり,やがて悪霊と共に破滅に臨むことを知っているからです。メシヤによる神の国が誕生したのは1914年10月1日ごろですが,この時地上では第一次世界大戦がすでに始まっていましたから,サタンと配下の悪霊を放逐する天の戦いは地上の国際抗争と部分的には時を同じくして行なわれたにちがいありません。それを見なかった,また悪霊が地上を横行するのを見ていないという理由で,サタンと悪霊の天からの放逐を否定する人々に対して,わたしたちはこう尋ねます。
34 サタンが天を追われたことのわたしたちに対する影響を示すため,わたしたちは世界情勢を改めることに関して何を尋ねますか。
34 1918年に第一次世界大戦が終わってこのかた,異邦諸国民のいやされる時がありましたか。戦時の宣伝どおり,この戦いはすべての戦いを終わらせ,戦後の世界は西欧流の民主主義にとって安全なところとなりましたか。国際連盟は所期の目的を達成し,世界の平和と安全を維持しましたか。科学の業績によって世の幸福は増しましたか。心理学者や社会学者の働きによって,世の道徳水準は高められ,あるいは改まりましたか。諸宗派の合同,教会全国協議会や新教徒の世界教会協議会などの設立,1933年の聖年や種々の宗教上の記念祭,また四会期にわたって最近ローマで行なわれた第二バチカン公会議などによって,人々の宗教心,諸民族の同胞感などは増し加わりましたか。
35 (イ)これと逆のどんな質問をしますか。正直に言うなら,ただなんと答えねばなりませんか。(ロ)聖書はこの事態をどのように説明していますか。
35 あるいは逆に,天からの声が予告したとおり,それは「地と海にわざわい」の時代でしたか。将来を展望して,このわざわいが間もなく終わることを約束できますか。あざむき,偽りの宣伝,宗教上の混乱や当惑,また人々を惑わすことなどはその度合を強めていますか。生ける唯一まことの神の霊ではなく,悪霊の霊が非キリスト教国だけでなく,キリスト教国全体にも浸透し,人々を盲目に導いて,メシヤによる神の国に公然と反対させていますか。世界の現状および傾向を正直に評価するなら,後の質問に対してただ一つの答え,つまり肯定の答えをしなければなりません。このことに対する唯一の適切な説明は神の預言のことばにあります。つまりサタンと配下の悪霊が天を追われ,その活動を地上に限定されているのです。これをもたらしたのは誕生のすぐあとに天での戦いに勝利を収めたメシヤによる神の国であり,今日神の国は「短い時」が過ぎてサタンと悪霊に対する処置をすすめる時まで,これらの活動を地上に制限しています。神の国が1914年以来してきたのはこのことです!
聞くことのできる御国の発表
36 (イ)神の国誕生の発表はどこでなされていますか。(ロ)これはどんな聖書の例にならうものですか。
36 しかし,もう一つのことを見落としてはなりません。異邦人の時期の終わりに神の国が誕生したことの発表は見えない天に限られていませんでした。その発表は地上の人々の間ですでに何年も行なわれており,しかもその規模は絶えず大きくなっています。新国家が誕生する場合に,政府がそのことを発表し,そののち諸外国と接渉して外交関係を開くことは世の慣例となっています。たとえば紀元前1037年,ソロモンが油をそそがれ,父ダビデの跡を継いで王となった時,そのことは喜びのうちに発表され,エルサレムから来ていた人々は「ソロモン王いのちながかれ」と歓呼しました。(列王上 1:38-41,文語)イエス・キリストの先駆者となった浸礼者ヨハネは,メシヤが地上に到来したことに人々の注意を喚起して,「悔い改めよ,天国は近づいた」と言いました。そして,荒野で40日間の断食を終え,サタンの誘惑を退けたイエス・キリストがヨハネのもとにもどった時,ヨハネは彼を指さし,その場にいる人々すべてが聞くなかで,「見よ,世の罪を取り除く神の小羊」と言いました。―マタイ 3:1,2。ヨハネ 1:29,36。
37 宇宙の新しい政府に関する発表を地上で行なわねばならなかったのはなぜですか。
37 まして,メシヤによる神の国が天に建てられたなら,宇宙のこの新しい政府の樹立は全世界に発表されなければなりません。これは異邦人の治める地上の不完全な政府をすべて一掃し,人々のために完全な統治を行なう政府だからです。この発表の仕事は単に昔の例にならうために行なわれるのではありません。メシヤであるイエスは,メシヤによる神の国がそのような世界的な宣明のわざを行なうことをずっと以前に定めていました。民が民に,国が国に逆らう第一次世界大戦とそれに続く苦難の時代とを19世紀前に予告されたイエスは,その場の弟子たちにこう言われました。「この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」。(マタイ 24:7-14)このことはメシヤによる神の国の下で1914年以来,地上で行なわれていますか。異邦諸国民はこの御国の証言を聞いてきましたか。そうです,聞いてきました。
38,39 (イ)証拠として,1919年以来のだれの記録を取りあげますか。(ロ)1919年9月15日号「ものみの塔」の中に,御国に関するどんな記事が出ましたか。その記事は恵まれた人々にどんな奉仕の資格があることを銘記させましたか。
38 右の問いに否定の答えをするほど無知な国家,また歴史に盲目な国家があるならば,わたしたちは大戦後の1919年から今日に至る,エホバのクリスチャン証人の記録を指摘することができます。これら至高の神のクリスチャン証人のうち指導的な人々は偽りの告訴を受け,大戦中に投獄されていましたが,1919年に釈放されました。彼らは戦時の宗教上の迫害によっていためつけられていた国際聖書研究生を再び強め,組織しなおす仕事を始めました。そしてこの世界的規模のクリスチャン組織の前途にある戦後の活動を明白にしたのです。アメリカ,オハイオ州シーダーポイントで開かれた,数千人の聖書研究生の大会のすぐあとで,この組織の公式の雑誌「ものみの塔とキリスト臨在の先ぶれ」は,1919年9月15日号に,「御国を宣明する」という主題の2ページ半の記事をのせました。その記事の結びの281ページは御国を宣明する人々に次のように述べました。
39 「あなたは王の王,主の主の大使であり,クリスチャンが何世紀もの間祈り求めてきたわたしたちの主の栄光の御国,黄金時代の到来を,威厳をもって宣明する使命を託されています。あなたは平和の使者であり,戦いに疲れ,罪になやみ,悲嘆にあけくれる世界に救いの福音を携えねばなりません。わたしたちはなんとすばらしい特権に恵まれているではありませんか。……忠実で有能な真の大使となるため,主の導きを求めてください」。
使者
40 使者をつかわすならわしはいつごろからありますか。1914年よりずっと前に,パウロはそのことについてクリスチャンになんと述べましたか。
40 一つの政府が別の政府に使者を送ることは昔からのならわしです。聖書は紀元前15世紀の使者についてさえ述べています。(ヨシュア 9:3-15)神の国を伝道したために獄につながれたクリスチャン使徒パウロは,「わたしはこの福音のための使節であり,そして鎖につながれている」と述べました。(エペソ 6:20)またギリシャ,コリントの仲間のクリスチャンに対して,彼はこう書きました。「神がわたしたちをとおして勧めをなさるのであるから,わたしたちはキリストの使者なのである。そこでキリストに代って願う,神の和解を受けなさい」。(コリント第二 5:19,20)パウロとその仲間のクリスチャンはキリストにかわる使者として敵の世界,つまり神から離れ,したがって神と和解すべき世界につかわされました。それはメシヤによる神の国が1914年に誕生する約1900年前のことでした。
41 (イ)1914年およびそれ以後に,諸国民は神の国にどんな態度を取っていますか。これは諸国民に対する神の国の態度を変えましたか。(ロ)今までになく人々が使者の奉仕を必要としているのはなぜですか。そのような奉仕をしてきたのはだれですか。
41 神の国の誕生した今日はどうですか。異邦諸国民は今でも神から離れています。彼らは1914年に怒り狂いました。それは彼らが神の国を憎み,そのかわりに国際連盟およびその後継である国際連合を選んだからです。それによって異邦諸国民に対する処置は変わりましたか。いいえ変わりません! 勇敢にも誕生後まもないメシヤによる神の国は,これら異邦諸国民に使者を送り出しました。その使者の中にはパウロのごとく「鎖につながれ」た者もありました。敵対する諸国家の人々は全地を支配する神および神の国と和解することが必要です。いつまでも敵対しつづける人々は世界にきたらんとしているハルマゲドンで滅ぼされるからです。(黙示 16:14-16)メシヤによる神の国は地上のすべての国の人々に対する公正なあわれみを示し,油そそがれた使者を全地に派遣しました。それはクリスチャンの聖書研究生であり,特に1919年以来,マタイによる福音書 24章14節のイエスの預言的な命令どおり,終わりが来るまえのすべての国民に対するあかしとして,新たに生まれた神の国の福音を人の住む全地に宣べ伝えてきました。
42,43 (イ)油を注がれた使者に対する迫害の原因を説明するものは何ですか。(ロ)これはイエスの予告とどのように適合しますか。神の国は1914年以来そのことについて何をしてきましたか。
42 悪魔サタンはまだ天にいた時,生まれでる神の国を食いつくそうとしました。そして天を追われた今日,サタンは神の国に対する敵意をいっそう深くしています。また油そそがれた神の国の使者をも憎んでいます。これらの使者が世界的な規模で迫害を受けているのはそのためです。黙示録 12章13-17節はこの迫害の源を明らかにしてこう述べています。「龍は,自分が地上に投げ落されたと知ると,男子〔神の国〕を産んだ女を追いかけた。……龍は,女に対して怒りを発し,女の残りの子ら,すなわち,神の戒めを守り,イエスのあかしを持っている者たちに対して,戦いをいどむために,出て行った」。
43 それでイエスが弟子たちに語られた,「事物の制度の終結」の時に関する預言はこの点でも正確でした。「そのとき人々は,あなたがたを苦しみにあわせ,また殺すであろう。またあなたがたは,わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう」。(マタイ 24:9)しかし,メシヤによる神の国はこのことについて1914年以来なにをしてきましたか。神の国は油そそがれた使者たちを保護してきました。ヒトラーは自分の大ドイツ帝国内の御国の使者を根絶しようとしました。ムッソリーニは当時のファシスト・イタリアにいた使者たちの抑圧をはかりました。スターリンとフルシチョフは共産主義ソ連における使者たちの活動を封じようとしました。そして他の独裁的な支配者たちもそれぞれ自国で同じことをしています。しかし,天に国籍をもつ,これら幾千もの油そそがれた使者たちは今日なお生存しており,神を離れた人が神と和解するのを助けて今でも活発に働いています。メシヤによる神の国は彼らを保護してきたのです!
多くの臣民を得る
44,45 (イ)使者のほかに,政府はなにをもっていますか。神の国はいつからこのような人々を地上に集めていますか。(ロ)これらの人々はどんな道を活発に歩んでいますか。このすべてが偶然でないことは何が示していますか。
44 実在し,活動する政府なら使者だけでなく国民をももっています。この型どおり,メシヤによる神の国は長年の間,特に1935年以来,すすんでその統治下にはいる臣民を集めてきました。それは天の御国が支配するこの地上で永遠に生きることを望む人々です。この人々は御国の使者が福音を宣べ伝えるのを聞きました。また,きたらんとしている『全能なる神の大いなる日の戦い』ののち全地を支配すべき唯一の政府がメシヤによる神の国であることをも聖書の預言から学んでいます。それで彼らはエホバ神およびメシヤによる神の国と和解するための歩みを進めています。すでに,このような人々約100万人が神に献身して水の浸礼を受け,神の国の側に自分の立場を定めています。このことのいっそうの証拠として,彼らは御国の使者に加わり,約200の土地で164の言語を使って御国の福音を活発に宣べ伝えています。現代のこの現象は決して偶然ではありません。これは使徒ヨハネの見た預言的なまぼろしの成就となっているのです。
45 「わたしが見ていると,見よ,あらゆる国民,部族,民族,国語のうちから,数えきれないほどの大ぜいの群衆が,白い衣を身にまとい,しゅろの枝を手に持って,〔神の〕御座と小羊〔イエス・キリスト〕との前に立ち,大声で叫んで言った,『救は,御座にいますわれらの神と小羊からきたる』」― 黙示 7:9,10。
46 (イ)この決定の時代において,何が全人類の最大の論争点となっていることを認めるべきですか。(ロ)羊とやぎに関するイエスのたとえどおりに事態が実際に進展していることを説明しなさい。
46 なにびとも御国の敵,悪魔サタンによって盲目にされてはなりません。メシヤによる神の国が存在する証拠をよく見るべきです。神の国は1914年以来天で支配を始めています。その時以来,神の国は見えない天界だけでなく,この地上においても幾多のことを行なってきました。神のメシヤつまりキリストが王となる神の国は,この決定の時代において,全人類の最大の論争点となっています。すべての国の人々はこの問題を中心として二つに分けられています。それは羊とやぎを分けるのに似ています。事態は主イエス・キリストが「事物の制度の終結」に関する預言の中で述べたとおりに進展しています。つまり,「人の子が栄光の中にすべての御使たちを従えて来るとき,彼はその栄光の座につくであろう。そしてすべての国民をその前に集めて,羊飼が羊とやぎとを分けるように,彼らをより分け(るであろう)」― マタイ 25:31,32。
47 (イ)「やぎ」となるなら自ら何を招く結果になりますか。(ロ)神の国が1914年以来すでに行なったことは,ほかのどんなことを保証するものですか。
47 「やぎ」とは統治する王の霊的な兄弟である御国の使者たちに少しも善意を示さぬ者たちであり,「やぎ」となる者は自ら破滅を招く結果になるでしょう。忘れてはなりません。メシヤによる神の国は1914年以来幾多のことを果たしてきたのであり,そのことは聖書に預言されたほかの事柄をも神の国が行なうことの確実な保証です。つまり神の国は必ず,地上のやぎのような人々すべてを滅ぼし,偽りの宗教の世界帝国に永遠の破滅をもたらし,神の正当な政府に地上の支配をいつまでも渡そうとしない異邦人諸国家すべてをハルマゲドンで打ち砕き,悪魔サタンと配下の悪霊を完全につないで底なき穴に投げ込み,人類全体に対し,人間を完全にし,生命を与える清い統治を行ないます。また神の国はあがなわれた死人を墓からよみがえらせ,ハルマゲドンを通過する羊のような人々と共に地上の楽園を楽しませることもします。
48 すべての人はどんなことに目ざめるべきですか。人はどんな者となるべきですか。その人に神の国は必ず何をしますか。
48 メシヤを王とする神の国が1914年以来存在している事実にすべての人は目ざめなければなりません。それであなたは賢明に行動し,自分が羊のような者であることを明らかにしなければなりません。羊飼いである王の右側,つまり保護と恵みの側に集まりなさい。そうすれば,やがて王の是認のことばを聞き,メシヤを王とする神の国の支配下にある地上の楽園で永遠の命に招き入れられるでしょう。(マタイ 25:32-46)神の国があなたにやさしくこのことをしますように。