地に満ちる,神の一致した「強大な国民」
「小さな者が千となり,小なる者が強大な国民となる。わたし自ら,エホバが,その時に速やかにそれを行なう」― イザヤ 60:22。
1,2 (イ)世界の一致と秩序に何が生じていますか。(ロ)堕落した世のただ中にあって,エホバの僕たちには何が生じていますか。
見識のある人は,この世がますます不一致と無秩序の度を深めていることに同意します。ニューヨーク・タイムズ紙の一論説はこう言明しました。「政治的な暴力行為はかつてなかったほどに全世界に広まっている。……暴力行為があまりにも多いため,記録をとることに困難を来たすほどだ」。そして,「もはやだれも世界を管理しておらず,だれも秩序らしきものを保っていないというのが現状である」とも述べました。しかし,このような崩壊は,神の言葉がこの時代についてまさに予告していたことです。―テモテ第二 3:1-5,13。マタイ 24:3-13。
2 エホバの一致した僕たちにとって,無秩序が広がっていることは,一つの古い事物の体制の終わりが近づき,新しい事物の体制が姿を現わしつつあることの確かなしるしです。(ルカ 21:28)しかし,次第に多くの人が,堕落した神である悪魔サタンに倣うようになっている世のただ中にあって,エホバはご自分の民を清め,彼らを輝かしい新秩序へと導いておられます。エホバは彼らをご自分の清い崇拝に集めておられますが,その崇拝は他のすべての形態の崇拝よりも高く,山の上にあるかのように高められてきました。まことの神のこの一致した崇拝に心を向ける人々は,そのとき他の人々にこう言います。「来なさい。エホバの山に,ヤコブの神の家に上ろう。神はご自分の道についてわたしたちに教え諭してくださる。わたしたちはその道筋を歩もう」。(イザヤ 2:2,3)この一致した崇拝に連れて来られる人々は,『義の宿る新しい天と新しい地』を熱心に待ち望みます。―ペテロ第二 3:13。
「羊」を「やぎ」から分ける
3,4 (イ)1914年以来どんな出来事が生じてきましたか。(ロ)人々は生き残るためにどのように分けられていますか。
3 聖書預言に関する神の時間表によると,「新しい天」(キリストの支配による,天の神の王国)は,あの決定的な年である1914年に設立されました。その時以来,「新しい天」の14万4,000人から成る共同支配者たちを選択することは総体的に言って完了しました。(啓示 14:1-4)エホバは今,その王国の地上の臣民となる人々を呼び集めておられます。彼らは『大患難から出て来て』その生存者となり,王国の指導のもとで義の新秩序を建て始めます。―啓示 7:9,14。マタイ 24:21。
4 イエスは次のような言葉でこの集める業を予告されました。「人の子[キリスト]がその栄光のうちに[天の王国の力を持って]到来し,またすべてのみ使いが彼と共に到来すると,そのとき彼は自分の栄光の座に座ります。そして,すべての国の民が彼の前に集められ,彼は,羊飼いが羊をやぎから分けるように,人をひとりひとり分けます。そして彼は羊を自分の右に,やぎを自分の左に置くでしょう」。どんな結果になりますか。イエスはこう言われました。「それから王は自分の右にいる者たち[羊のような人々]にこう言います。『さあ,わたしの父に祝福された者たちよ,世の基が置かれて以来あなた方のために備えられている王国を受け継ぎなさい』……ついで彼は自分の左にいる者たち[やぎのような者たち]にこう言います。『のろわれた者たちよ,わたしから離れ,悪魔とその使いたちのために備えられた永遠の火[とこしえの滅び]に入りなさい』……そして,これらの者は去って永遠の切断に入り,義なる者たちは永遠の命に入ります」― マタイ 25:31-46。
5 エホバの憐れみは今どのように示されていますか。
5 それでもエホバは憐れみ深く,愛に富む神であられます。「ひとりも滅ぼされることなく,すべての者が悔い改めに至ることを望まれるので,あなた方に対して辛抱しておられるのです」。(ペテロ第二 3:9)したがって,この分裂した戦い合う世に神がその最後をもたらす前に,義の新秩序におけるとこしえの命の希望に関する音信を神の僕たちが伝えることは神のご意志です。したがって,神のみ子はこう言明されました。「そして,王国のこの良いたよりは,あらゆる国民に対する証しのために,人の住む全地で宣べ伝えられるでしょう。それから終わりが来るのです」― マタイ 24:14。
6 エホバは王国を宣べ伝える業においてだれを用いておられますか。
6 終わりが到来する前に王国を宣べ伝えるこの仕事を行なうのはだれでしょうか。明らかに,神に仕えることを望まない人々をエホバは用いられません。王国を宣べ伝える業に神がお用いになる人々は,喜んで神に従う人々です。「わたしは彼らを,囲いの中の羊の群れのように……一つにならせる」という預言は,霊的イスラエルの残りの者の上に成就してきました。(ミカ 2:12)今,「ほかの羊」は彼らと共にその一致にあずかっています。(ヨハネ 10:16)これらの人々はすべて,国際的に一致したエホバの証人です。その中には,老人も若者も,男性も女性も含まれています。霊感による詩編は,「あなた方はヤハを賛美せよ!……若者たちよ,また,処女たちよ。年老いた者たちも少年たちも。彼らがエホバのみ名を賛美するように」,「良いたよりを告げる女は大群をなしている」と述べているからです。―詩編 68:11; 148:1,12,13。
一致のうちに宣べ伝える
7 (イ)エホバの証人はどんな一致を得ていますか(ロ)この一致が保たれることをなぜ確信できますか。
7 エホバ,イエス・キリスト,そして聖なるみ使いたちは,王国伝道者たちの地的な組織が一致のうちに神の音信をふれ告げるように物事を運んでいます。(マタイ 28:19,20。ヨハネ 14:26。啓示 14:6,7)それで,エホバの証人は神の霊感による言葉が述べる事柄を行ないます。彼らは,「ただ一つの思いと一つの目的を持って,完全に結ばれて」います。『彼らは同じ思いになり,口をそろえて,彼らの主イエス・キリストの神また父の栄光をたたえます』― コリント第一 1:10,今日の英語聖書。ローマ 15:6。
8 崇拝の一致を促進する面で重要なことは何ですか。
8 思い・目的・宣べ伝える業のこの一致を達成するため,エホバの証人は真理の神のみ言葉を定期的に研究します。これを個人的にも,毎年開かれる大会でも,さらに会衆の毎週の五つの集会でも行ないます。こうして彼らは,エホバの食卓から,一致をもたらす霊的な食物をいただくのです。(マタイ 24:45-47。ヘブライ 10:24,25)この聖書教育は彼らの一致した崇拝のかぎとみなされています。カトリック教徒の著述家,ウイリアム・ワーレンはU・S・カトリック誌の中でこう述べました。「[エホバの証人の]王国会館ではどこでも,カトリック教会のたいていの教区が丸一年かかって施している以上の成人教育を1か月で行なっている」。そうです,聖書教育は「一つの思い」,「一つの目的」を持つための,そして『口をそろえる』ためのかぎなのです。
9 エホバが王国の音信を宣べ伝えさせるために用いておられる人々をどのように見分けることができますか。
9 エホバがご自身の「王国の良いたより」を宣べ伝えさせるためにだれを用いておられるかについて何らかの疑念をお持ちであれば,こう自問してください。ある人が人々の家を訪ねてエホバとその王国について語るとしたら,その訪問者はだれですか。それがエホバの証人であることはよく知られています。他の宗教の人々はどれほど頻繁にエホバとその王国について話すためにお宅を訪問するでしょうか。このような人々は,どこかの場所で,こうした事柄についていったいどれほど頻繁に語るでしょうか。世の分裂した諸宗教の信者は,エホバとその王国については沈黙しています。そのような人々の中で,エホバがだれであるか,またその王国がこの地にとって何を意味するかを知っている人はほとんどいません。しかし,エホバとその王国は世界を揺るがすニュースです。ダニエル 2章44節が予告しているとおり,エホバの王国は間もなく『他のすべての政府を打ち砕いて終わらせ,それだけが永久に支配します』。
小さな始まりからの急速な成長
10 1914年以前,エホバの僕たちはどれほどの数でしたか。しかしわたしたちはそのとき成し遂げられた事柄をどのように見るべきですか。
10 現代における王国をふれ告げる業は小さな規模で始まりました。1870年代から重要な年1914年に至るまで,王国宣明者の数は少数でした。しかしこれらの忠実な人々は来たるべき事柄のための基礎を据えたのです。その始まりは小さなものでしたが,そのことは『小さな事の日を侮る』ことのないようにという聖書の言葉を思い起こさせます。(ゼカリヤ 4:10)エホバの僕たちにとって,1914年以前の時期は「小さな事の日」でしたが,間もなくより大きな事が到来しようとしていました。
11,12 (イ)1914年後の時期に聖霊が活動していたことを示すどんな証拠がありますか。(ロ)30年以上前に,王国の業に関するどのような意見が聞かれましたか。それについて今はどう言うことができますか。
11 1914年における第一次世界大戦の始まりと同時に,この古い事物の体制は「終わりの日」に入りました。(テモテ第二 3:1)王国の支配もまた1914年に始まりました。(啓示 12:10-12)その時キリストは,「羊」を「やぎ」から分け始める権威を与えられました。そのために神の聖霊は,ご自分の忠実な僕たちの上に強力に働き始めたのです。(使徒 2:16-21と比較してください。)王国宣明者たちの隊伍は,1918年の約4,000名から,30年たった1948年の26万人余りにまで増加しました。そのころ,宗教史の教授であるC・S・ブレイデンはこう書きました。「エホバの証人は地上をその証言活動で文字通り満たしてしまった。……確かに,王国の良いたよりを広めるためにエホバの証人ほど熱意や粘り強さを表わしている宗教団体は世界中に一つもないだろう」。
12 しかしこれは30年以上も前の話です。今日では,1948年当時の10倍を上回るほど多くの王国宣明者たちが世界中にいます。その当時,エホバの証人が,ブレイデンの述べたように,王国をふれ告げる業で「地を満たして」しまったとすれば,現在の王国の業の規模については何と言うことができますか。しかも,わたしたちはこのことを確信を持って言うことができます。つまり,それをはるかに超える事柄が間近い将来に生ずるのです。
13 イザヤ 60章22節がいま成就していることを示すどんな事態の進展が全世界で見られますか。
13 200以上の国々からの報告は,王国宣明者たちの隊伍の増加を示しています。それに呼応して,ものみの塔の支部の施設の新築や増築がこれまで行なわれてきましたし,現在も行なわれています。新しい機械が入り,スピードの速い新しい印刷方式が採用され,大規模なコンピューター化が行なわれました。加えて世界中の増加しつつあるベテル家族には進んで働く働き人たちがいます。この急速な拡大のすべては,遠い昔,神の忠実で忍耐強い僕たちに関してなされた,「小さな者が千となり,小なる者が強大な国民となる。わたし自ら,エホバが,その時に速やかにそれを行なう」という,心を強める約束がまさにわたしたちの目の前で成就していることを物語るものです。(イザヤ 60:22)エホバの証人が,エホバとその王国に関する世界史上最大の証言を行なうように霊的に備えられ,組織的に整えられていることに疑問の余地はありません。
14 エホバの僕たちが「強大な国民」となる道をかなり進んでいるとなぜ言えますか。
14 今日,良いたよりの奉仕者である熱心なクリスチャンは250万人以上います。彼らは全世界の4万6,000余りの会衆に見られます。エホバの証人がキリストの死を記念するため,1983年3月29日に集まった時,676万7,707名の人が共に集まり,こうして神の王国に対する関心を示しました。世界の国々のうち,約3分の2の国の人口はこの数を下回ります。エホバの一致した僕たちは,約45億人という世界人口全体と比べると比較的少数ですが,確かに「強大な国民」となる道をかなり進んでいます。―マタイ 7:13,14。
15 羊のような人々を集めることに関し,過去数年間に何が生じてきましたか。
15 最近,羊のような人々を集める業は速度を速めてきました。義に心を傾ける人々は,いま崇拝のためのエホバの組織に群れをなして集まっています。そうすることによって彼らは,ハガイ 2章7節の神の約束の胸の躍るような成就にあずかっているのです。エホバはその聖句の中で,「わたしはあらゆる国民を激動させる。あらゆる国民のうちの望ましいものが必ず入って来る。わたしはこの家を栄光で満たす」と述べておられます。これら望ましい,謙遜な人々は,エホバの僕たちに対して,「わたしたちはあなた方と共に行きます。神があなた方と共におられることを聞いたからです」と言います。―ゼカリヤ 8:23。
16,17 エホバは,この不敬虔な事物の体制に終わりをもたらす前,どのようにご自分の民を用いられますか。
16 エホバのこの拡大する見える組織は,神がその組織を別の強力な方法で用いる時を迎えようとしています。つまり,この体制に対する最終的な裁きの音信を伝えるということです。これは,1日に1回,六日の間エリコの周りをすでに行進していたイスラエル人たちに,「七日目にはその都市の周りを七回行進し,祭司たちは角笛を吹く。……あなた方がその角笛の音を聞く時に,民全員は大きなときの声を上げるように。そうすれば,その都市の城壁は必ず崩れ落ちる」と指示された時のことになぞらえることができるでしょう。したがって最終日には,業の速度は7倍に速められました。それから角笛が鳴らされ,人々はときの声を上げ,「城壁は崩れ落ちていった」のです。―ヨシュア 6:2-5,20。
17 今日,エホバのほうを向くよう人々に勧めるための真理の「軟らかい」水が取り入れられています。しかし,その音信が「硬く」なる時がやがてやって来ます。それは,このサタンの体制全体の切迫した終わりを告げ知らせるものとなるでしょう。真理の軟らかい水は凍って,真理の硬い雹となります。これらの最終的な裁きの音信はあまりにも強烈であるため,「それぞれの重さが一タラントほどもある」,つまり巨大なサイズの「大きな雹」になぞらえられています。そのわけで啓示 16章21節は,『その災厄は非常に大きかった』と述べています。
「強大な国民」が地に満ちる
18 (イ)神の王国はどれほど現実的なものですか。(ロ)ダニエル 2章35節は,その王国が最終的に行なうことについて何を示していますか。
18 エホバの証人が第一に忠誠を誓う神の王国は確かに現実の政府です。その政府には天の支配者としてキリストと14万4,000人の仲間たちがいます。現実的な法律があり,「憲法」すなわち神の言葉があります。この現実の政府にはまた現実の臣民がおり,彼らは増しゆく国民を構成し,その幾百万という人々は一つの民として結ばれています。さらに,聖書は,メシアによる王国が世の政府すべての存在を打ち砕いた後に,『全地に満ちる』と予告しています。(ダニエル 2:35)これはどのように生じますか。
19,20 エホバの僕たちは,完全な意味においてどのように「強大な国民」となりますか。
19 ハルマゲドンを生き残った人々は,イエスがルカ 23章43節で語られた楽園の建設に取り掛かります。(啓示 16:14,16)それからやがて,『義者と不義者との復活があります』。(使徒 24:15)王国の力を持つキリストの千年統治の期間中,すべての人々には,王国支配の側に立つ機会が与えられるでしょう。義の支配を望まない人々は取り除かれます。(啓示 20:6,11-15)したがって,千年間の終わりの時点では,地上に生きる人すべてがエホバの献身的な崇拝者となります。そのとき,「水が海を覆っているように,地は必ずエホバについての知識で満ちる」というイザヤ 11章9節の言葉が完全な意味で成就すると言えるでしょう。
20 それは何と栄光に輝く時なのでしょう! 会うすべての人が,「一つの思い」,「一つの目的」を持ち,「口をそろえて」語るエホバの崇拝者たちなのです。幾十億というこのような一致した崇拝者たちは人間としての完全さに引き上げられ,地上の楽園に満ちます。そのとき彼らは確かに「強大な国民」,かつて地上に存在した最も強大な国民となるのです。そうです,人類の一致は単なる夢ではありません。それはまさに今,かなりの程度進んでいます。あなたはその一部となっていますか。
復習のための質問
□ 世界の無秩序が深刻化する中で,エホバの民には何が生じていますか
□ 現在どんな大規模な分ける業が行なわれていますか
□ エホバの僕たちの一致が保たれることを確信できるのはなぜですか
□ エホバの見える組織はどのように「強大な国民」へと発展していますか。それはこれからどうなりますか
[15ページの図版]
羊飼いが羊をやぎから分けるように,王国の力を持つイエス・キリストは今日人々を分けておられる
[17ページの図版]
このようなベテル・ホームや工場が,王国を宣べ伝える業を促進するために建設されたり,増築されたりしている
海老名,日本
アビジャン,コートジボアール
イングルバーン,オーストラリア,N.S.W.州
エネバック,ノルウェー
アハルビル(マドリード),スペイン