目ざめている「忠実にしてさとい奴隷」
「主人が家人たちの上に任命して,正しい時に食物を与える忠実にしてさとい奴隷とは実際に誰であるか。主人が着いた時そのようにしているのを見られるその奴隷は幸いである。私はほんとうにあなた方に言う。主人は彼を任命して全財産を管理させるであろう」。―マタイ 24:45-47,新世。
1,2 (イ)1914年は,(1)世界の歴史家によつて,(2)聖書を研究する者によつてどのように見られていますか。(ロ)1914年について目ざめていた見張人がいたかどうかについての質問はなぜ興味のあるものですか。
世界の状態をするどく観察している人々は,1914年が地上の出来事の大きな転向点になつた,と今日はつきり認めています。ロンドンにいる世界歴史の教授アーノルド・ジェー・トインビーは,次のように書いています。「1914年に第一次世界大戦が始まるまでの約250年のあいだ,西洋は世界で絶対的な上位を占めていた。ところが,1914年以来,状態は変つた。最近の42年間中に西洋は以前の上位を失なつた。同時に以前の確信をも失なつた」。(コリヤー誌,1956年3月30日,76,78頁)この真実の観察は「諸国民の時」が正式に終つたという1914年についての聖書的な意義と全く同じではありませんが,同意するところはあります。すなわち,1914年はキリスト教国の西洋に対して危険な前兆の年になつただけでなく,いま私たちが知つているごとく,それは全人類にとつて危険な前兆の年になりました。
2 世界的な艱難という危急な時について,1914年前に警告を発するだけ目ざめていたこの世の見張人はいましたか,という質問が生ずるでしよう。もしそのような人がいるなら,それらの目ざとい人々は地上の他のどの人にもまさつて,1914年以来のいまの時について知つているにちがいありません。そのような見張人を探し求めて,ますます増加するこの危険な時代に対するみちびきと助言を求めねばなりません。そのような人々は安全の道がどこにあるかを,尋ねる人々に示すことができます。
3 目ざめていた見張人たちは,どこで見出されませんでしたか。そしてなぜ?
3 カトリックの牧師たちのうちに,そのような目ざめた見張人がいましたか。いませんでした! 歴史の示すところによると,彼らは1914年以前と以後,教会の儀式や世界の政治に手を出すことにたいへん忙しく,この時代のしるしについて目ざめていませんでした。多数の新教徒の群れはおそらく警戒を払つて目ざめていましたか。そういうことはありません! 新教徒の牧師たちは,1914年以前は聖書の高等批評や現代主義と呼ばれるものに没頭していました。それでは,ユダヤ教の賢人やラビたちについてはどうですか。再び答は否定であります! 1914年以前は彼らは,物質主義に全く没頭し,夢にえがいてきた国をパレスチナに再建するため,シオン主義を忙しく提唱していました。遠い将来を見る世界の政治家や経済家たちについてはどうですか。多分,彼らは成行きを知つていたかも知れません。その答は,明白に否定であります! 彼らは戦争の準備と,収益をかり集めることに狂奔していました。クリスチャンという名こそあれ,これらの者はみな眠りこけた「見張人たち」でした。イザヤは,彼らのことを次のように良く描写しています,「見張人らはみな目しいで,知ることがなく,みな,おしの犬で,ほえることができない。みな夢みる者,伏している者,まどろむことを好む者だ」。―イザヤ 56:10,新口。
4 誰がそしてどんな預言と一致して目ざめていた見張人でしたか。
4 それではこの世は,注意深い見張人によつて前もつて警告を受けなかつたのですか。そういうことはありません! もう一つの群れを調べることができます。それは,エホバの証者のものみの塔協会の群れです。彼らが目ざめていたことについては,歴史は絶対的な「肯定」の答を与えています。証者というその名前にふさわしく,彼らは象徴的な「ものみの塔」に立つていた全世界的な見張人で,キリスト教国の人々に警告を発していました。しかし,キリスト教国の大多数の人々は,ほとんど注意を払わなかつたのです。エレミヤは,次のような神の言葉を語ることにより,このことを正確に預言しました,「わたしはあなたがたの上に見張びとを立て,『ラッパの音に気をつけよ』と言った。しかし彼らは答えて,『われわれは気をつけることはしない』と言つた」。―エレミヤ 6:17,新口。
5-7 (イ)エホバの証者については目ざめていることについてのどんな記録がありますか。(ロ)ひとつの書類資料はどんな証拠を提出していますか。
5 まつたく,「ものみの塔」という意味深い名前を持つ雑誌が現われる時よりも2前年にあたる1877年という昔でも,エホバの現代の証者たちは,異邦人の時が1914年に終るという真理をひろめ伝えていました。その後の37年のあいだ。これらの証者たちは熱心にも世界的な運動を行ない,神からの干渉なしに借りていた力は西暦1914年に終る,と諸国民に告げ知らせました。―「神の目的とエホバの証者」(英文)47頁から58頁までの「1914年にいたる最終の段階」を見て下さい。
6 1914年8月30日,指導的なニューヨークの新聞「ザ・ワールド」は,その日曜雑誌欄のところで,特集記事を掲載しました。これら聖書に従うエホバの証者たちの記録については,世界の歴史をへんさんするために多くの証拠書類があります。そして,その記事は,その書類のつけ足しになるものです。当時,彼らは英国の法人団体名である,「万国聖書研究協会」でも知られていました。その記事の一部は次のように報告しています,
7 「欧州で恐ろしい戦争が始まつたことは,特別な預言を成就した。ここ25年間,『千年統治黎明派』として良く知られている『万国聖書研究生たち』は,伝道士や出版物を用いて,聖書に預言されている怒りの日は1914年に始まると世界に宣明していた。旅行をしている幾百人という福音伝道士たちは,『1914年に気をつけよ!』と叫んでいた。この奇妙な信条を代表する彼らは,『神の御国は近づいた』という教理を宣明しながら,国内をあまねく歩きまわつた」。―同書,54頁。
聖書的なむすびつき
8,9 いまどんな質問が生じますか。どんな場合のときに,一預言者は答の一部を与えていますか。
8 エホバの証者だけが,1914年とその後につづく「末の日」について目ざめていたクリスチャンの群れでした。歴史はそのことを確証しています。それでは,このことは聖書的なむすびつきを持つていますか。これらの証者たちは,聖書的な信任状を持つて,今日の世界の暗やみの中に坐している幾百万人という人々に提供することができますか。それらの人々は,神の指示し給う指導を探し求めているのです。答を得るために次のことを考えて下さい。
9 地上最大の預言者イエス・キリストは,「終りの時」以前およびその期間中に全世界には目ざめているクリスチャンたちの群れがある,と預言しました。彼が杙につけられるすこし前のときに,オリブの山でイエスの4人の弟子たちすなわちペテロ,ヤコブ,ヨハネそしてアンドレは,末の日についての明白な証拠についてひそかにイエスにたずねました。そのとき,彼は目に見えぬ状で戻られ,地上の僕たちの事柄を指示するでしよう。イエスの非常に詳細な答は,マタイ,マルコ,ルカの書いた聖書の記録のうちに保存されています。それぞれはマタイ伝 24章,マルコ伝 13章,ルカ伝 21章にあります。―マルコ 13:3。
10 マタイ伝 24章42-44節にあるイエスの言葉をどのように理解すべきですか。
10 イエスは答えて次のように言われました,「だから,目をさましていなさい。いつの日にあなたがた(複数形,したがつて集合的)の主がこられる(イエスの再臨)のか,あなたがたには,わからないからである。このことをわきまえているがよい。家の主人は,盗賊がいつごろ来るかわかつているなら,目をさましていて,自分の家に押し入ることを許さないであろう。だから,あなたがた(複数形,集合的)も用意をしていなさい。思いがけない時に人の子が来るからである。」(マタイ 24:42-44。新口)気をつけて下さい。イエスはここでも弟子たちの群れが目ざめた「家の主人」のように注意を払うよう励ましていることです。弟子たちの集合の群れの働きを,単数形の譬によつて言及しているのも異常なことではありません。集合的な彼らは,聖書中「花嫁」,「家」,そして「宮」というように同様に言及されています。―ヨハネ 3:29。ヘブル 3:6。コリント後 6:16。
11,12 (イ)イエスの再臨のときに目ざめている者は誰でしたか。(ロ)イエスが将来の弟子の活動に興味を持たれたのは,奇妙なことでしたか。
11 ここでイエスは次のことを意味しているのでしようか。すなわち,オリブ山で彼といつしよにいた目ざめている「家人」級のある者は,1914年に「諸国民の時」が,終つて,彼が再臨する時にも生きているということでしようか。そのようなことは先ずないでしよう。4人の弟子のうち,西暦100年以後にも生き延びた人はひとりもいないように見えるからです。イエスは前もって御存知でしたが,これら4人の使徒たちや他の8人の使徒たちは,弟子たちの組織化された群れの二次的な基礎になるでしよう。その群れは,西暦33年の五旬節<ペンテコスト>以後は,イエス御自身が主要な岩の基礎であるクリスチャン会衆として知られるようになりました。(エペソ 2:20。マタイ 16:18)それで,幾世紀もの時を経ても存在しつづけるとイエスが言われたものは,たとえ弟子たちの系列が,時折り歴史から消え失せたように見えたことがあつても,その4人のことではなく,目ざめている会衆でしよう。
12 イエスは,使徒たちの時代以後における油そそがれた将来の弟子たちについても考えておられ,また言葉を語られました。たとえば,ヨハネ伝 17章1-26節にある記録された最後の祈りの中で,イエスはエホバにこう祈りました,「わたしは彼ら(彼といつしよにいた使徒たち)のためばかりではなく,彼らの言葉を聞いてわたしを信じている人々のためにも,お願いいたします」。(20節)それで,会衆の将来の成員たちがイエスの譬や言葉の全き適用の中に入ることは,不思議ではありません。
13,14 (イ)第1世紀には「忠実にしてさとい奴隷」は誰でしたか。(ロ)「家人たち」は,どのように養なわれましたか。(ハ)「正しい時に食物を与える」とはどういう意味ですか。
13 イエスが弟子たちと共にオリブ山に坐していたとき,4人の弟子たちにさらに語られました。いまその言葉について考えてみましよう,「主人が家人たちの上に任命して,正しい時に食物を与える忠実にしてさとい奴隷とは実際に誰であるか」。(マタイ 24:45,新世)イエスが集合の群れを「忠実にしてさとい奴隷」の群れと言及しておられることに気をつけなさい。「奴隷」は,単数形です。「奴隷」は「家人たち」を養わねばならぬ,と彼は言つていますが家人たちは複数形です。これはどのようになされましたか。イエスは,天にのぼられる前に,そのように養う奉仕を3度ペテロに強調しました。「わたしの小羊を養いなさい……わたしの羊を飼いなさい。……わたしの羊を養いなさい」。(ヨハネ 21:15-17,新口)ペテロ当時の羊は,油注がれたクリスチャンたちで成り立つ「小さな群れ」の者たちで,彼らはついには14万4000人の数を構成します。(ルカ 12:32)この「家人たち」あるいは,各個人はその監督たちを通し,会衆すなわち奴隷のごとき制度によつて忠実に養われてきました。それから,ずつと後になつて監督たちは「神の羊の群れ」を飼わねばならぬ,とペテロは監督たちに思い起させています。―ペテロ前 5:2。
14 それからずつと幾年ものあいだ,奴隷のごとき制度はその真の成員を忠実に,そしてさとく養つてきました。西暦33年の五旬節の時からこの今の時にいたるまで,このことは愛の心のうちに注意深く行なわれてきました。たしかに,これらの「家人たち」は,ますます進歩して行く霊的な食物によつて養われました。この霊的な食物により,彼らは「夜明けの光」におくれずについて行くことができます。その光は「いよいよ輝きを増して真昼となる」。(箴言 4:18,新口)このすべては,イエスが述べたごとく「正しい時に食物」となりました。
15,16 主が1900年留守にしているあいだ,「家人たちは」どんな経験をすると聖書は示していますか。
15 種子をまく人のようにイエスは,牧羊の制度なる会衆の下に小麦のごとき「家人」たちをたくさん植えました。しかし,歴史はまた別の場所で次のことを記録してイエスの預言を成就しています。すなわち,サタンは畠に雑草を多く播くことにより,細々とつづいてきた真実の小麦のような弟子たちを窒息死させようと努力しているのです。(マタイ 13:25,37,38)サタンは全く成功して,主が約1900年を留守にした後には「小麦」はひとつも残らないでしようか。イエス御自身も,その疑問を次のように述べました,「人の子が来るとき,地上に信仰が見られるであろうか」。―ルカ 18:8,新口。
16 前述の種子まき人の譬の中で,イエスは確信をもつてその質問に答えています,「だから,毒麦が集められて火で焼かれるように,世の終りにもそのとおりになるであろう。そのとき,義人たちは彼らの父の御国で,太陽のように輝きわたるであろう」。(マタイ 13:40,43,新口)それで,「終りの時」まで,またその期間中,正しい者,油注がれた者の「小麦」級の多数の者たちは,この地上に生き残ると示されました。この理由の故に,イエスはマタイ伝 24章46節でこう語りました,「主人が帰つてきたとき,そのようにつとめているのを見られる僕は,さいわいである」。イエスのその確かな期待について,歴史はどのように確証しますか。
17,18 (イ)いつ,そしてどのように真のクリスチャンたちは歴史的な舞台に再び現われるようになりましたか。(ロ)彼らはどのように目ざめていましたか。しかし,なぜ試験の期間は彼らの上にのぞみましたか。
17 細々としてつづいてきた真のクリスチャンたちは,1870年代から第1世紀の時代のように,再び歴史の舞台に表われてきました。「小麦」級の多数の者たちは,キリスト教国の雑草のごとき宗派との交りを絶つ強い手段を取りました。地上の多くの場所から集められたこの群れは,後にエホバの証者として知られる新しい交りを形成しました。この集合的な群れは,1879年以来「ものみの塔」誌を用いて,油注がれた「小さな群れ」の者たちに霊的な食物を定期的に分け与えています。たしかに,「家人たち」である油注がれた各人は,集合的な「奴隷」の群れによつて,回復された聖書真理のますます増加する光のおかげで,霊的に生き返りました。1884年,この「奴隷」の群れは,シオンのものみの塔冊子協会と呼ばれる合法的な僕,法人をつくりました。それはいまペンシルバニア州のものみの塔聖書冊子協会として知られています。
18 前述のごとく,この宗教法人の指導の下に,1914年が「諸国民の時」を終らすと告げる世界的な大運動が行なわれました。ものみの塔のエホバの証者たちは,霊的に目ざめている見張人たちでした。しかし,聖書に記してある言葉によると,彼らは長いあいだ背教したクリスチャンたちと交つていたため汚れた衣を持つていました。(ゼカリヤ 3:3,4)彼らの行い,特徴,そして信仰の多くは,キリスト教国の雑草のごとき宗派に類似していました。それで1914年から1918年までの期間は,火のごとき試練の時が彼らの上にのぞみました。ちようど,西暦前607-537年のむかし,ユダヤ人たちがバビロンに捕われていた時と同様でした。
19 マタイ伝 24章7,9節の成就を説明しなさい。
19 マタイ伝(24:7,9)の同じ預言の中で,イエスは次のように言つています,「民は民に,国は国に敵対して立ち上がるであろう(1914年に起こりました)…そのとき人々は,あなたがた(集合的で複数形)を苦しみにあわせ,また殺すであろう。(全部ではなく,ある者たち)またあなたがたは,わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう」。彼らは人間を恐れて戦争の年月中に絶対中立の道を歩まず,宗教的に汚れた多くの行いに染まつたため,罪を犯しました。その聖句は,その罪に関連して成就したのです。エホバとイエス・キリストは,これらの証者たちがこの古い世の諸国民により非難をうけ,迫害され,禁ぜられ,その役員が投獄されるのを許しました。1918年の夏までには,ものみの塔の証者たちの強い組織化された声は,黙示録 11章7,8節に預言されているごとく集合的に沈黙させられ,殺されてしまいました。しかし,注意して下さい。この見張人の声は,諸国民に警告を与えるという1914年前の特別顕著なわざを完了するまでは,沈黙させられなかつたのです。その詳細な事実については,「神の目的とエホバの証者」(英文)という本の74頁から90頁にある「捕われに入る」および「バビロンの捕われからの解放」と題する章を見て下さい。
20,21 (イ)「家人たち」にのぞんだ火のごとき試練を述べなさい。(ロ)その結果は何でしたか。
20 私たちがいま知つているごとく,「忠実にしてさとい奴隷」のこの見張人級は,1919年に復旧してから後の多事多難な年月にそなえて,さらに大きな見張人の奉仕をするよう清められたのです。それ以前の1918年の春には,エホバは地上にいるクリスチャンたちの僕で構成される御自分の宮に来られて,しらべと清めを行なわれました。(マラキ 3:1-3)多くの悪い者たちは,エホバ神により排斥されて取りのぞかれました。忠節な残れる者は,火のごとき試練をうけることを許されました。エホバとその使者キリスト・イエスは,(1)制度的な取り極めにより,人間の指導者に対する忠節よりもエホバの制度に対する忠節という点で,彼らを試みました。(2)エホバの崇拝と証言のわざに熱心で献身しているかを調べるため,奉仕の支持と取り極めによつて彼らを試みました。そして(3)彼らが啓示された真理を愛するかどうかを調べるため,啓示された真理によつて,彼らを試みました。それは,なんと火のごとき時だつたのでしよう!―「ハルマゲドンを生き残つて神の新しい世へ」(英文)の303頁から305頁までを見なさい。
21 「忠実にしてさとい奴隷」級の「家人たち」のうちの幾千人という忠実な残れる者たちは,この試験の時に生き残りました。1919年の春以降,彼らは無活動の塵の状態から,世界の見張人としての新しい高貴な奉仕に起き始めました。(ダニエル 12:2。黙示 11:11,12)聖書が彼らを描写している言葉によると,彼らは清い識別の衣を身につけ,地上にあるエホバの関心事を代表します。―ゼカリヤ 3:4,5。また「備え」(英文)という本の55頁から58頁までを見なさい。
22,23 エホバは未熟な群れと交りを持ちますか。それでは,誰がマタイ伝 24章14節を成就しますか。
22 長く待ちのぞんでいた御国は,天で実際に設立されました。それで,1919年以降の地上における御国の増大する関心事は,霊的な幼児たちで構成される未熟な制度にゆだねられないでしよう。たしかにそうです。この貴重な御国の奉仕をゆだねられたのは,1900年の長さを持つ「忠実にしてさとい奴隷」すなわち古くからあるクリスチャン会衆です。いま残れる者によつて代表される円熟した「奴隷」は,その忠節と忠実をかたく守り,迫害をうけてもじつと忍耐を保ち,エホバの貴重な約束に昔から強い信仰をいだき,見えざる主イエス・キリストの指導に確信を持ち,地上の証者になれという幾世紀にもわたる古い使命に従順で,そしてついに1918年には火のごとき試験によつて清められました。それで,彼らは奉仕の新しい任務をうける態勢がととのつていました。
23 第一次世界大戦後のいわゆるクリスチャンと唱えるすべての群れの中で,ただエホバの目ざめている証者たちだけが,最後の証言を伝道するという世界的に重い使命を果す準備がととのつていました。イエスは,適切にもこう語りました,「最後まで耐え忍ぶ者は救われる。そしてこの御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」。―マタイ 24:13,14,新口。
24 マタイ伝 24章47節は,何を意味しますか。
24 それで,清められた幾千人という「家人たち」を持つ1900年も古い「忠実にしてさとい奴隷」にむかつて,イエスが次のように言われるのも全く当然であります,「私はほんとうにあなた方(複数形で集合的)に言う。主人は彼を任命して全財産を管理させるであろう」。(マタイ 24:47,新世)その財産とは,地上におけるキリストの御国の関心事です。実際的な知恵を持ち給うイエスは,これらの御国の関心事を,経験を積んだ試験済みの「奴隷」級にゆだねます。それで,1919年以来,ものみの塔協会を用いる,この「奴隷」級は,この御国については責任と指導権の独特の立場を占めています。1914年よりも30年以上ものむかしから,この奴隷級は御国の来ることを告げ知らせていました。
絶対的な信任状
25 (イ)「奴隷」級は,どの程度まで信任状を持つていますか。(ロ)証拠として,これらの信任状のうちのいくつかを述べなさい。
25 「忠実にしてさとい奴隷」級は,それ以上の信任状を持つていますか。たしかに持つています。しかも,豊富にあるのです! 部分的な表の示すところによると,1919年以来の今日の残れる者であるクリスリャンは,80以上の聖書的およびかつ預言的な表現で言及され,表わされていますa。天の神は,聖書預言を80以上も書き記すことにより,地上にいる御自分の正式な僕級を極めて正確に描き出されました。神が前もつて定め給うた詳細な記述どおりにこれが現実に描き出されていることは,全世界的に明白であり,すべての人は見ることができます。その信任状は,一点の疑問もなしに確かなものと証明されています。実際のところ,その信任状は数多くあり,そのすべては十分に目ざめている「忠実にしてさとい奴隷」級を指しているため,大いなる欺瞞者サタンが偽りの制度をつくり出すことは不可能です。そのような偽りの制度は,これら80の聖書的な事項全部に適合することはできないでしよう。
26 ある人々が,これらの信任状に答え応ずることについて,聖書は何と示していますか。今日の事実は何を示していますか。
26 これらの明白な事実から判断してみるとき聖書は更に次のことを示しています,すなわち,全地の正義を愛する人々は,これらの驚くべき信任状を持つている制度の指示を認め,それに快く答え応ずる,ということです。「万軍のエホバかく言たまふ其日には諸の国語の民十人にてユダヤ人ひとり(単数形,『忠実にしてさとい奴隷』)のすそをとらへん即ちこれをとらへて言ん我ら汝ら(複数形)とともに行べしそは我ら神の汝ら(複数形)とともにいますを聞たればなり」(ゼカリヤ 8:23),今年の1960年までに,85万人以上の人々は,この「奴隷」級の指導の下に,伝道奉仕者として活発な交りを持つようになりました。b
27 今日,真の崇拝者たちは,どんな種類の指導を得ることができますか。
27 その大いなる群衆は,「奴隷」級の手中にあつて,81年も古い歴史を持つ出版物「ものみの塔」の頁を通して,霊的な食物を定期的に漸次に受け取つています。「ものみの塔」は,世界で最大の発行部数を持つ宗教雑誌です。エホバとイエス・キリストは,真の崇拝者たちである大いなる群衆に対して,即席の,間に合わせ式の指導形態を与えておりません。たしかに,古くて目ざめている「忠実にしてさとい奴隷」は,今日諸国民に対するすばらしい見張人として立つています。彼らの主なるイエス・キリストは,キリスト教時代の第1世紀に立つて,イスラエル内の多くのものは立つか,倒れるかしました。それと同じく,いま全世界の前に油注がれた証者たちは立つています。彼らは人類の大多数の者たちの生存をはかる導きとなりますが,他の者たちはつまずいてハルマゲドンの滅びをこうむるでしよう。―ルカ 2:34。
[脚注]
a 次の表は,1919年以来の油注がれた残れる者に適用して表わし示される聖書的かつ預言的な部分的な表です。
1,ノアの妻,創世 7:7。2,ロトにつかわされた御使たち,創世 19:15。3,レベカ,創世 24:64。4,ヨセフとベニヤミン,創世 45:14。5,摘み残された麦の穂,レビ 19:9。6,ラハブにつかわされたふたりの間諜,ヨシュア 2:4。7,バラク,シシ 4:14。8,エフタ,シシ 11:34。9,ナオミとルツ,ルツ記 2:2。10,ダビデ王のイスラエル人の戦士,サムエル後 18:1。11,エヒウ,列王紀下 10:11,15。12,モルデカイとエステル,エステル書 4:13。13,ヨブ,ヨブ記 42:10,13。14,王の娘,詩 45:13。15,愛と親切にみちる人々,詩 50:5。16,新しい群れ,詩 89:7。17 シヤルシユブ,イザヤ 7:3。18 諸国民の光,イザヤ 60:3。19,正義の大きな木,イザヤ 61:3。20,我らの神の奉仕者,イザヤ 61:6。21,保存された房,イザヤ 65:8。22,別の名前で呼ばれる僕たち,イザヤ 65:15。23,神の御言葉にふるえおののく人々,イザヤ 66:5。24,新しく生まれた国民,イザヤ 66:8。25 エレミヤ,エレミヤ記 1:10。26,新しい契約内のエホバの民,エレミヤ 31:33。27,麻布を身につけた人,エゼキエル 9:2。28,地の中央に住む人々,エゼキエル 38:12。29,川の側にある木,エゼキエル 47:7。30,魚を取る人,エゼキエル 47:10。31,天の衆群,ダニエル 8:10。32,復興した(清められた)聖所,ダニエル 8:14。33,賢明なる彼ら,ダニエル 11:33。34,塵の中の多くの者は永遠の生命によび起される,ダニエル 12:2。35,すべての肉は御霊をうける,ヨエル 2:28。36,ヨナ,ヨナ書 3:1-3。37 エホバの目のひとみ,ゼカリヤ 2:8。38,大祭司ヨシユア,ゼカリヤ 3:3,4。39,ひとりのユダヤ人,ゼカリヤ 8:23。40,レビの子たち,マラキ 3:3。41,小麦,マタイ 13:25。42,御国の子たち,マタイ 13:38。43,ぶどう畠で働く者たち,マタイ 20:1。44,婚姻の祝宴に招待された者たち,マタイ 22:3-14。45,選ばれた者たち,マタイ 24:22。46,鷲たち,マタイ 24:28。47,忠実にしてさとい奴隷,マタイ 24:45。48,思慮深い処女たち,マタイ 25:2。49,王の兄弟たち,マタイ 25:40。50,羊の小さな群れ,ルカ 12:32。51,放蕩息子の兄,ルカ 15:25。52,乞食ラザロ,ルカ 16:20。53,ぶどうの木の枝,ヨハネ 15:4。54,ダビデの王宮,使徒 15:16。55,キリストの共同相続者たち,ロマ 8:17。56,残れる者,ロマ 11:5。57,オリーブの木の枝,ロマ 11:24。58 聖なる者たち,または聖徒,コリント前 6:2。黙示 16:6。59,宮,コリント前 6:19。60,新しい創造,コリント後 5:17。61,キリストの大使,コリント後 5,20。62,神の会衆,ガラテヤ 1:13。63,アブラハムの裔の一部,ガラテヤ 3:29。64,神のイスラエル,ガラテヤ 6:16。65,キリストの体,エペソ 1:22,23。66,キリスト・イエスの兵士,テモテ後 2:3。67,キリストの建てた家,ヘブル 3:6。68,聖なる祭司,ペテロ前 2:5。69,聖なる国民,ペテロ前 2:9。70,兄弟たちの集まり,ペテロ前 2:17。71,七つの会衆黙示 1:20。72,24人の長老。73,霊的なイスラエル,黙示 7:4。74,いなご,黙示 9:3。75,ふたりの証者,黙示 11:3。76,二つのオリーブの木,黙示 11:4。77,女のすえ,黙示 12:17。78,生命の木,黙示 22:2。79,キリストの花嫁,黙示 22:17; 19:7。80,エホバの証者,イザヤ 43:10。
b 時機よくも,この聖書的な描写はエホバの証者の1960年度のカレンダーに示されています。