彼らは天使のことばに従った
「さあ行きなさい。そして,宮の庭に立ち,この命の言葉を漏れなく,人々に語りなさい」― 使行 5:20,新口
1 以前逮捕されたことがあるにしても,使徒たちのどんな新しい経験が使徒行伝 5章にしるされていますか。その経験は使徒たちにどんな影響を与えましたか。
クリスチャン使徒のペテロとヨハネは前にもとらわれた事がありました。そこでいま捕えられて獄につながれても,新しい経験をしたわけではありません。しかしエホバの天使が牢獄の戸を開き,二人と仲間の使徒たちにむかってそこから出て行くようにと告げたのは,はじめてのことです。このような出来事は勇気を抱かせ,信仰を強め,今までと同じくエルサレムの宗教指導者の前で大胆な立場をとる力を使徒たちに与えました。宗教指導者はわずかばかりのこのクリスチャン奉仕者を恐れ,大きくなりつつあったそのわざを恐れました。「そこで,大祭司とその仲間の者,すなわち,サドカイ派の人たちが,みな嫉妬の念に満たされて立ちあがり,使徒たちに手をかけて捕え,公共の留置場に入れた」。(使行 5:17,18,新口)これらの人々が何を語り,何をしたために,宗教家は嫉妬に燃えてこのような行いに出たのですか。ひとつしらべてみましょう。
2 それよりも前五旬節の日に,ペテロはエルサレムに集まった大ぜいのユダヤ人に何を告げましたか。人々はどのように答え応じましたか。
2 この出来事があったのは,使徒と他の者を合わせて120人が「聖霊に満たされ,御霊が語らせるままに,いろいろの他国の言葉で語」って以来まだ幾日もたっていない時です。(使行 2:1-4,新口)ペテロが11人と共に立ち上ってユダの人々およびエルサレムの全住民に語ったのは,その五旬節の日のことでした。ペテロはナザレ人イエスのことにつき,イエスが不法の人々の手にかかって杭にかけられ殺されたこと,また神がイエスを死の苦しみから解き放ってよみがえらせた次第を人々に語りました。ペテロは臆せずに語りました。それより51日前にエルサレムの外でイエス・キリストが杭につけられた事に関し,ペテロは真実を語ったのです。ペテロの言葉に耳を傾けた大ぜいの人々は,悔い改めのすすめを聞きました。ペテロはこう述べています,「悔い改めなさい。そして,あなたがたひとりびとりが罪のゆるしを得るために,イエス・キリストの名によって,バプテスマを受けなさい。そうすれば,あなたがたは聖霊の賜物を受けるであろう」「ペテロは,ほかになお多くの言葉であかしをなし,人々に『この曲った時代から救われよ』と言って勧めた。そこで,彼の勧めの言葉を受けいれた者たちは,バプテスマを受けたが,その日,仲間に加わったものが三千人ほどあった。そして一同はひたすら,使徒たちの教を守(っ)……ていた」。(使行 2:38-42,新口)諸国からエレサレムにやって来たこの大ぜいの人々は,たゆまず宮にいて神のことばの真理に耳を傾けました。その中には遠くローマから来た人もいたのです。人々は家路につく前に,預言の成就またエホバ神の御子で杭につけられたイエス・キリストについてできるだけの事を知ろうと望んでいました。今日「この命の言葉」を熱心に学ぼうという人がどれだけありますか。今日では聖書を毎日読む人さえまれです。
3 ユダヤ人の宗教家は,なぜ使徒たちをねたみましたか。
3 しかしイエスが多くの伝道を行なった1900年前のエルサレムの宮の周辺には,新しい教えを聞こうとして大ぜいの人が集まりました。五旬節以後,使徒たちはそこにいて,最も大切な教えを授けるために忙しく日を送っていました。使徒たちは天の御国に関する真理,キリスト・イエスが神の右に高められたこと,日毎に信者にそそがれた約束の聖霊について語ったのです。この聖霊がそそがれた事は間違いありません。「エホバは救われる者たちを日々,彼らに加え給うた」からです。(使行 2:47,新世)クリスチャンの宗教は強固な足場を固めつつありました。ユダヤ人の宗教家がしっとに満たされたのも不思議ではありません。
4 ペテロとヨハネから声をかけられた足なえの経験を述べなさい。
4 使徒行伝はつづいて次のことを述べています。「さて,ペテロとヨハネとが,午後三時の祈のときに宮に上ろうとしていると,生れながら足のきかない男が,かかえられてきた。この男は,宮もうでに来る人々に施しをこうため,毎日……宮の門のところに,置かれていた者である」。この男がペテロとヨハネに施しをこうたのは自然のなりゆきでした。ペテロとヨハネは立ちどまってこの足のきかない男に目をとめ,「わたしたちを見なさい」と言ったのです。そこで二人を見た男はペテロの言葉に驚きました。「金銀はわたしには無い。しかし,わたしにあるものをあげよう。ナザレ人イエス・キリストの名によって歩きなさい」。ペテロは手をのばして男の右の手を取り,立たせてやりました。奇跡が起きたのです!「足と,くるぶしとが,立ちどころに強くなって,踊りあがって立ち,歩き出した。そして,歩き回ったり踊ったりして神をさんびしながら,彼らと共に宮にはいって行った」― 使行 3:1-8,新口。
5 (イ)奇跡的ないやしを見て大ぜいの人が集まったとき,ペテロは足なえのいやされたことがイエスのお蔭であることをどのように説明しましたか。(ロ)集まったユダヤ人に,ペテロは何をすすめましたか。
5 驚くべきことです! 信じられないような事でしたが,宮にはいって来た大ぜいの人は,いま歩きまわっているこの男がかつての足なえ男であることを認めました。「彼がなおもペテロとヨハネとにつきまとっているとき,人々は皆ひどく驚いて,『ソロモンの廊』と呼ばれる柱廊にいた彼らのところに駆け集まってきた」。(使行 3:11,新口)これはペテロにとってイエス・キリストのことを語る絶好の機会となりました。人々はこの出来事がペテロの力によるものと信じたがるかも知れません。ペテロはその事を望みませんでした。そこでペテロはこう語っています,「イスラエルの人たちよ,なぜこの事を不思議に思うのか。また,わたしたちが自分の力や信心で,あの人を歩かせたかのように,なぜわたしたちを見つめているのか。アブラハム,イサク,ヤコブの神,わたしたちの先祖の神は,その僕イエスに光栄を賜わったのであるが,あなたがたは,このイエスを引き渡し,ピラトがゆるすことに決めていたのに,それを彼の面前で拒んだ。あなたがたは,この聖なる正しいかたを拒んで,人殺しの男をゆるすように要求し,いのちの君を殺してしまった。しかし神はこのイエスを死人の中から,よみがえらせた。わたしたちは,その事の証人である。そして,イエスの名が,それを信じる信仰のゆえに,あなたがたのいま見て知っているこの人を,強くしたのであり,イエスによる信仰が,彼をあなたがた一同の前で,このとおり完全にいやしたのである。さて,兄弟たちよ,あなたがたは知らずにあのような事をしたのであり,あなたがたの指導者たちとても同様であったことは,わたしにわかっている。神はあらゆる預言者の口をとおして,キリストの受難を予告しておられたが,それをこのように成就なさったのである。だから,自分の罪をぬぐい去っていただくために,悔い改めて本心に立ちかえりなさい。それは主〔エホバ〕のみ前から慰めの時がきて,あなたがたのためにあらかじめ定めてあったキリストなるイエスを,神がつかわして下さるためである。このイエスは,神が聖なる預言者たちの口をとおして,昔から預言しておられた万物更新の時まで,天にとどめておかれねばならなかった」。(使行 3:12-21,新口)あなたはペテロがその時に語った言葉を信じますか。イエス・キリストとエホバ神に対してペテロと同じほど強い信仰を持っていますか。ペテロのように自分のクリスチャンの信仰をわかりやすく他の人に語りますか。もしそうでないとすれば,なぜですか。ペテロとヨハネの身にふりかかった事が自分にふりかかるのを恐れますか。
6 この奇跡を行なったため,ペテロとヨハネは大祭司およびサドカイ人からどんな扱いを受けましたか。大祭司とサドカイ人がそのように行動すべきでなかったのはなぜですか。
6 二人の使徒が奇跡を行ない,また大胆に語るのを見聞きして群衆の集まったとき,何が起きましたか。「彼らが人々にこのように語っているあいだに,祭司たち,宮守がしら,サドカイ人たちが近寄ってきて,彼らが人々に教を説き,イエス自身に起った死人の復活を宣伝しているのに気をいら立て,彼らに手をかけて捕え,はや日が暮れていたので,翌朝まで留置しておいた。しかし,彼らの話を聞いた多くの人たちは信じた。そして,その男の数が五千人ほどになった」。(使行 4:1-4,新口)もちろんそれ以前にも何千人の人がキリスト・イエスの忠実な追随者と交わり,クリスチャンになっていました。ペテロとヨハネの伝えた音信を聞いてユダヤ人は悔い改め,ユダヤ人の宗教から離れました。実をいえばキリスト・イエスを受け入れなければならないのは,人々の指導者すなわち支配者や祭司でした。聖書を知っていた彼らは,預言の成就を目のあたりに見てそのことを悟るべきでした。しかし今日の支配者や祭司と同じく,彼らは神の国とキリスト・イエスに関心を持っていなかったのです。
7 (イ)今日の宗教家もそれに似たどんな態度を示しますか。(ロ)使徒時代の宗教家に言わせれば,ペテロとヨハネはどんな「悪」をしましたか。
7 今日のキリスト教国の牧師は,イエス時代の祭司やサドカイ人と異なりません。大衆の指導者はおどしたり,すかしたりして人々を従わせておこうとします。彼らはクリスチャン各人の有益なわざを非難できません。しかしクリスチャンの行なうことは彼らを喜ばせるものではなく,彼らの威信を低めます。それでクリスチャンをおどしてやめさせようとします。獄につながれたペテロとヨハネは,どんな悪事をしたというのですか。二人を訴えるために支配者の採りあげた口実と言えば,余りに多くの人に真理を語ったこと,足のきかない人に善をしたことだけです。二人は,生れた時から足のきかないまま40歳になった人をいやしました。二人はこの善を行ない,真理を伝道するのに支配者の許しを得ていません。それをやめさせるには二人を一晩のあいだ獄につなぐにしかずと彼らは考えました。そのようにして神の御霊を二人から奪おうと考えたのです。
おどしはきかない
8,9 (イ)投獄されたことは使徒たちにどんな影響を与えましたか。「なんの権威,また,だれの名によって」このいやしをしたかを尋ねられたとき,ペテロは何と答えましたか。(ロ)ペテロは詩篇とイザヤ書の預言をどのように有利に用いましたか。
8 捕えられたうえに一晩獄につながれたのは,ペテロとヨハネにとって今度がはじめてでした。このおどしにあっても,二人は少しも動じませんでした。明くる日,支配者たちは二人に問いただしました,「あなたがたは,いったい,なんの権威,また,だれの名によって,このことをしたのか」。つづいて次のような場面が見られました,「その時,ペテロが聖霊に満たされて言った,『民の役人たち,ならびに長老たちよ,わたしたちが,きょう,取調べを受けているのは,病人に対してした良いわざについてであり,この人がどうしていやされたかについてであるなら,あなたがたご一同も,またイスラエルの人々全体も,知っていてもらいたい。この人が元気になってみんなの前に立っているのは,ひとえに,あなたがたが〔杭〕につけて殺したのを,神が死人の中からよみがえらせたナザレ人イエス・キリストの御名によるのである」。それから二人は大祭司アンナス,カヤパをはじめ大祭司の一族おおぜいにむかい,彼らがイエスを拒絶したこと,「この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は,これを別にしては,天下のだれにも与えられていない」ことを述べました。(使行 4:7-12,新口)ペテロは詩篇 118篇22節にあるダビデの言葉を引用して力強く語りました。彼らが信仰を持っているはずの聖書を指摘してその成就を説明したのです。ダビデは,家造りの捨てた石が隅のかしら石になったと書きました。さて彼らはペテロの次の言葉に聞きましたか。「このイエスこそは『あなたがた家造りらに捨てられたが,隅のかしら石となった石』なのである」。(使行 4:11,新口)ペテロとヨハネは預言者イザヤの次の言葉をも考えていたに違いありません。「あなどる者よエホバの言をきけ……われシオンに一つの石をすえてその基となせり,これは試をへたる石たふとき隅石かたくすゑたる石なり,これに依頼むものはあわつることなし」― イザヤ 28:14,16。
9 ピラトにむかってイエスを「杭につけよ」と叫んだユダヤ人の指導者の前で,ペテロとヨハネは少しもあわてず,大胆に語りました。(マタイ 27:15-26,新世)二人は一晩,獄につながれ,いま偉い人々の前に引き出されても,信仰と勇気を示しました。そのために心を乱されることはなかったのです。二人は指導者の前に無駄に出たのではありません。真の神と御子イエス・キリストのこと,「わたしたちを救いうる名は,これを別にしては,天下のだれにも与えられていない」ことを大胆に語るという目的がありました。―使行 4:12,新口。
10 「ただの」人であったにも拘らず,ペテロとヨハネまた他の使徒たちは何を持っていたために他の人と異なっていましたか。
10 ペテロとヨハネは漁業を職とする普通の人で,人々はそのことを知っていました。しかし二人がイエスと共に歩んで教えを受け,訓練されたことは,はた目にも明らかでした。そのほかにも,二人には神の聖霊がありました。このすべてのために二人の行いは,たいていの人の行いと異なっていました。支配者たちはこの相違を認めました。「人々はペテロとヨハネとの大胆な話しぶりを見,また同時に,ふたりが無学な,ただの人たちであることを知って,不思議に思った。そして彼らがイエスと共にいた者であることを認め,かつ彼らにいやされた者がそのそばに立っているのを見ては,まったく返す言葉がなかった」― 使行 4:13,14,新口。
11 宗教指導者はどんな問題に直面しましたか。そしてどんな結論に達しましたか。
11 目前の問題にどう対処すべきかを知らなかった宗教指導者はペテロとヨハネを議会からひとまず退場させました。そしてこれらの「賢人」は「あの人たちを,どうしたらよかろうか」と協議しました。起きた事を否定したり,無視することはできません。この出来事はすでにエルサレム中に知れ渡っています。民衆を恐れた支配者は次の結論に達しました,「これ以上このことが民衆の間にひろまらないように,今後はこの名によって,いっさいだれにも語ってはいけないと,おどしてやろうではないか」― 使行 4:15-17,新口。
牧師は証者をおそれる
12 (イ)今日でも偽りの宗教家が同様なことをしていることを説明しなさい。(ロ)デイリー・アメリカン紙はこれをどのように報じていますか。
12 キリスト教を奉ずるととなえる国々で,今日クリスチャンに対し同様な敵対行為がとられています。宗教指導者は,真のクリスチャンであるエホバの証者が全世界に伝える同じ音信におびえています。神の国の音信がひろまるのを阻止しようと,彼らはあらゆる手をつくしてやめません。たとえば1963年の夏,ギリシャにおいてギリシャ正教会のクリソストモス大司教は,アテネにおいて大会を開く許可をエホバの証者に与えるならば,サロニカからアテネまで行進を組織すると宣言してギリシャ政府に圧力を加えました。大司教の思い通りになった事の次第は,1963年7月26日付デイリー・アメリカン紙に報道されています。「ギリシャ政府は,エホバの証者が公の集会を開くことを一切禁止するむね,今日発表した。……ギリシャのクリソストモス大司教はギリシャ正教の諸団体の先頭に立ち,エホバの証者の大会を『恥ずべき無神論者,無政府主義者の集まり』と呼んで反対の叫びをあげてきた。パナヨティス・ピピネリス首相に宛てた手紙の中で大司教は,大会が禁止されない場合,すべて神聖なものを守るため,牧師と民衆をひきいてこの宗派に対する一大反対運動を起すであろうと述べた」。
13 どんな的をついた質問にいま答えることが必要ですか。
13 大司教は何を恐れたのですか。その事について言えば,ギリシャ正教の牧師全部は何を恐れたのですか。聖書の研究? 聖書の配布? 聖書を読むことがギリシャ人にすすめられることですか。世界中の人が自分の言葉で聖書を読んで理解するのを助けるために,エホバの証者は時間をささげており,そのことは全世界に知られています。ギリシャの大司教は,神のことばを学ぶことと神の国の福音を伝道することを無神論または無政府主義呼ばわりするのですか。またギリシャの人々がキリスト・イエスの足跡に従うことに反対するのですか。どちらのほうが無政府主義者であり,政府に圧力を加える者ですか。サロニカからアテネまでの行進のために人々を蜂起させ,エホバの証者の平穏な集会を妨害しようとしたのはだれですか。
14 1963年のギリシャ政府は,イエス時代のピラトとどのように似ていますか。
14 ギリシャ正教会はギリシャ政府に圧力を加えることに成功し,そのため政府は1963年7月30日に開催を予定されたエホバの証者の大会をいったん許可しながら,その許可をとりけしました。イエスの時代に大祭司カヤパといきり立ったユダヤ人の群衆は支配者ピラトにむかい,「彼を杭につけよ」と叫びました。ローマの総督ピラトでさえ,イエスを殺すことを望みませんでしたが,暴動の始まりそうな気配を察したとき,水をとって人々の前で手を洗い,こう言いました,「この人の血について,わたしには責任がない。おまえたちが自分で始末をするがよい」「すると,民衆全体が答えて言った,『その血の責任は,われわれとわれわれの子孫の上にかかってもよい』。そこで,ピラトはバラバをゆるしてやり,イエスをむち打ったのち,〔杭〕につけるために引きわたした」。(マタイ 27:24-26,新口)イエスの真の追随者に敵対して,偽りの宗教家が今日同じことを叫んでいます。
15 (イ)ギリシャのエホバの証者は,反対にあったために恐れて退きましたか。(ロ)ギリシャ正教会の牧師は何を考えるべきですか。
15 ギリシャ正教会の反対の叫びにもかかわらず,ギリシャのエホバの証者は1963年のあいだ9パーセントの増加を示しました。現在では1万507人のエホバの証者がいます。その全部は神の国の福音を伝道するクリスチャンです。彼らは聖書の勉強に関心を持つ人々に語るため,110万時間以上を費やしました。ギリシャ正教会の牧師は家から家に行ってギリシャの人々に神のことばを教えるため,これだけの時間をついやしたことがありますか。それともエホバの証者の言葉を聞かないようにと人々に告げ,聞くことを望む人々に聖書を教えたという理由でエホバの証者の逮捕をはかるために大部分の時間をついやしましたか。牧師は教区民の家を訪れ,聖書を知りたいと望む人々のために毎週4245の聖書研究を司会しましたか。そうあってほしいものです。ギリシャのエホバの証者は1963年の間そのことをしました。
16 使徒時代と同じく,今日だれが福音の伝道をやめさせようとしていますか。
16 使徒時代にキリストの忠実な追随者が福音を伝道するのを妨げたのは,偽りの宗教家でした。今日でも偽りの宗教家は同じことをしています。ギリシャ正教会,ローマ・カトリック教会また新教の牧師は,奉仕者となるための訓練を教会員に施していません。教会員はイエスとその御国のことをだれにも語らず,口をつぐんでいるのがよい事と考えています。それはイエス・キリストの足跡に従うことですか。
17,18 (イ)伝道をやめるようにと言われたとき,使徒たちは何と答えましたか。(ロ)今日,事情は異なりますか。クリスチャンは改宗させることをどのように見るべきですか。
17 使徒行伝の記録に話を戻すと,宗教指導者は使徒たちを再び呼び,「イエスの名によって語ることも説くことも,いっさい相成らぬと言いわたした。ペテロとヨハネとは,これに対して言った,『神に聞き従うよりも,あなたがたに聞き従う方が,神の前に正しいかどうか,判断してもらいたい。わたしたちとしては,自分の見たこと聞いたことを,語らないわけにはいかない』」― 使行 4:18-20,新口。
18 今日クリスチャンととなえるすべての人も,同じでなければなりません。公にも家々にも神の国を伝道することをすすめない「教会」があれば,天からの次の命令に従うべきです,「彼女から離れ去って,その罪にあずからないようにし,その災害に巻き込まれないようにせよ」。(黙示 18:4,5,新口)あなたは神のことばの中で見聞きした事柄を語らなければなりません。口をつぐんでいる事はできません。はやい話がギリシャ正教会にしても,何人も(この場合エホバの証者のこと)改宗をはかるわざすなわち他の人に聖書を伝道することをしてはならぬと命ずるとき,神のことば聖書にある神のご命令にまっこうから反対しているのです。ペテロとヨハネはエルサレムで何をしていましたか。二人はユダヤ人に神のことばを伝道し,一つの宗教から別の宗教へ改宗させ,伝統的なユダヤ人からクリスチャンへ人々を変えていたのです。二人は真理を伝道したために,そうすることができました。エホバの証者も今日同様なことをしています。
19,20 神の国の伝道を禁じたヒトラーに対し,クリスチャンは何と答えましたか。1963年までにどんな結果となりましたか。
19 自身ローマ・カトリック教徒であり,ドイツにおけるローマ・カトリック教会の力となったヒトラーはエホバの証者が神の国を伝道することを禁じ,これら現代のクリスチャンはヒトラーの秘密警察にむかって「神に聞き従うよりも,あなたがたに聞き従う方が,神の前に正しいかどうか,判断してもらいたい」と言わざるを得ませんでした。1万人が強制収容所に入れられ,4000人以上がそこで死んだにもかかわらず,彼らは伝道をつづけました。生き残った人も飢餓に苦しみました。戦争が終ったので生き残り得た人も少なくありません。
20 1933年,ヒトラーはイタリアのムッソリーニにならい,ローマ・カトリック教会と条約を結びました。しかしたとえ一国の支配者が宗教組織と条約を結んでも,その国に住むエホバの証者は神のことばを忘れません。それで神に仕え,見聞きしたことを語らねばなりません。たとえ死刑の罰をもって臨んでも,支配者はエホバの民の伝道活動をやめさせることができませんでした。今日ヒトラーとムッソリーニはいません。しかしエホバの証者はかつてのヒトラーとムッソリーニの国でなお伝道しており,その数も増加しています。今日西ドイツには7万8043人,イタリアには7801人のエホバの証者がいて良いたよりを告げています。
21,22 (イ)真理は,その宣明者が迫害されてもどの位つづきますか。(ロ)ペテロとヨハネから経験を聞いた仲間のクリスチャンは,いっせいに声をあげて何と言いましたか。
21 だれも真理を滅ぼすことはできません。たとえすべての人が反対しても,真理は常に正しいのです。「あらゆる人を偽り者としても,神を真実なものとすべきである」と,使徒パウロは述べました。(ロマ 3:4,新口)ペテロとヨハネはイエスの名によって足なえをいやし,その事実を語っただけで,獄につながれておどされました。遂にユダヤの法廷は「人々の手前,ふたりを罰するすべがなかった」ので,ペテロとヨハネを釈放しました。―使行 4:21,22,新口。
22 ペテロとヨハネはただちに「仲間の者たちのところに帰って,祭司長たちや長老たちが言ったいっさいのことを報告」しました。一同はこれを聞くと,口をそろえて,神にむかい声をあげて言いました,「『なぜ,異邦人らは,騒ぎ立ち,もろもろの民は,むなしいことを図り,地上の王たちは,立ちかまえ,支配者たちは,党を組んで,主〔エホバ〕とそのキリストとに逆らったのか』。まことに,ヘロデとポンテオ・ピラトとは,異邦人らやイスラエルの民と一緒になって,この都に集まり,あなたから油を注がれた聖なる僕イエスに逆ら(っ)たのです」― 使行 4:23-27,新口。
23 (イ)リベリアのタブマン大統領は,エホバのクリスチャン証者に対する感情をどのように示しましたか。(ロ)エホバの証者に関するタブマン大統領の声明を読んでのち,当然にどんな質問が出ますか。
23 使徒時代におけると同じく,今日のクリスチャンも支配者の図るむなしい事に対抗しなければなりません。軍隊の力を用いてリベリア国旗に敬礼させようとしても,エホバの証者がそれを拒絶したという理由で,ものみの塔協会の宣教者はリベリアから追放されました。宗教的な人タブマン大統領にとって次のように言うのは容易です。「エホバの証者も一つの宗派としてこの国〔リベリア〕で歓迎される。しかし国旗を上げたり,下げたりする時の儀式の行なわれるとき,国旗に敬礼することを要求する法律に従わねばならぬ。さもなければこのような儀式から遠ざかっていればよい」。しかし大統領に尋ねたいのは次のことです。エホバの証者の大会会場に軍隊が差しむけられ,すべての人が銃口をつきつけられて国旗掲揚場に行進させられ,そこでリベリア国旗に敬礼することを強制されるならば,いったいクリスチャンは偶像崇拝であるこのような儀式から,どうして遠ざかっていることができるのですか。それは人をより良いリベリア人,より良いクリスチャンにする道ですか。この出来事の詳細は1963年10月22日号「目ざめよ!」に出ています。タブマン大統領はヒトラーやムッソリーニの仲間になったのですか。
24 クリスチャン証者は他にもどこで困難にあいましたか。なぜですか。
24 ハイチの支配者も,神の国を伝道し,聖書を学ぶことを人々に教えるよいわざをしていた宣教者を追放しました。スペインにおいても,人々の家で聖書を教えたという理由でクリスチャンの宣教者が追放されました。ポルトガルにおいても同様です。ローマ・カトリックのスペインとポルトガルではエホバの証者の家庭で開かれていた集会に警官が踏み込み,大ぜいの人を逮捕しました。なぜですか。それらの人々は他のクリスチャンと聖書を学んでいたからです。このように支配者は共謀してエホバとその僕たちに敵対しています。エホバの証者は政府の転覆を図るような企てに関与せず,騒動をおこすようなことをしません。またエホバの証者は秩序を守ります。支配者はその事を知っているに違いありません。ではなぜ恐れるのですか。唯一の理由はエホバの証者が神の国の福音を伝道しているからです。
25 従ってキリストの真の追随者は何を期待できますか。
25 あなたは今日この福音を伝道していますか。そうであればあなたもクリスチャンのわざをしているのであり,使徒が受けた同じような仕打ちを偽りの宗教家から受けることがあるでしょう。そのような事があっても,ろうばいしてはなりません。クリスチャンはそのような目にあうのです。イエスは言われました,「またあなたがたは,わたしのために長官たちや王たちの前に引き出されるであろう。それは,彼らと異邦人とに対してあかしをするためである」― マタイ 10:18,新口。
大胆に語る
26 ペテロとヨハネは何を祈りましたか。それは今日のクリスチャンにもあてはまりますか。
26 「いま,彼らの脅迫に目をとめ,僕たちに,思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい」。1900年前,ペテロとヨハネはこのようにエホバ神に祈りました。この祈りはすぐに聞かれました。「彼らが祈り終えると,その集まっていた場所が揺れ動き,一同は聖霊に満たされて,大胆に神の言を語り出した」からです。(使行 4:29,31,新口)エホバはそのとき分けへだてをされませんでした。そのことは今日も変りません。献身した神の僕各人が望むものは,同じ聖霊すなわち神の活動力だからです。この力を持つとき,たとえ大司教,大統領,独裁者,牧師あるいは他のどんな者におびやかされても,神の僕は大胆に語り,神のことばの宣明をつづけます。「大胆に神の言を語」るとき,たとえ反対や脅迫があっても,今日のクリスチャンはペテロやヨハネと同じ成果を得,喜んで次のように言うことができます。「主を信じて仲間に加わる者が,男女とも,ますます多くなってきた」― 使行 5:14,新口。
27 (イ)使徒たちが2度目に逮捕されたとき,どんな異常な出来事が起きましたか。(ロ)これら神の人は何を思い起こしたに違いありませんか。
27 エルサレムの人々は真理に関心を持ち,使徒の言葉を聞こうとしました。しかし偽りの宗教家はそうではありません。「そこで,大祭司とその仲間の者,すなわち,サドカイ派の人たちが,みな嫉妬の念に満たされて立ちあがり,使徒たちに手をかけて捕え,公共の留置場に入れた」。(使行 5:17,18,新口)ペテロとヨハネにとってこれは2度目のことですが,今度は仲間がありました。ほかの使徒たちも一緒に閉じ込められてしまったのです。さてきわめて異常なことが起きました。エホバの天使が現われて,エホバから命じられたことをしたのです。「エホバの使者はエホバをおそるる者のまはりに営をつらねてこれをたすく」と述べた詩篇の言葉を知っていた使徒たちは,恐れませんでした。また「彼らの御使たちは天にあって,天にいますわたしの父のみ顔をいつも仰いでいるのである」と言われたイエスの言葉を,覚えていたに違いありません。(詩 34:7。マタイ 18:6,10,新口)また天使が地上の出来事に大きな関心を持っていることも,使徒たちは知っていました。イエスの誕生の時,野宿して群れを見張っていた羊飼が経験した次の出来事も知っていたのです。「すると主〔エホバ〕の御使が現れ,主〔エホバ〕の栄光が彼らをめぐり照した……するとたちまち,おびただしい天の軍勢が現れ,御使と一緒になって神をさんびして言った」。(ルカ 2:9,13,新口)それで「夜,主〔エホバ〕の使が獄の戸を開き,彼らを連れ出し」たとき,使徒たちの心にはこれらの事が一瞬のうちにひらめいたことでしょう。
28,29 つづいて何が起きましたか。使徒たちは何を命ぜられましたか。
28 その時の驚き,使徒たちの驚きの表情を想像できますか。獄のとびらが開いたのです。見張りの者がそれに気づいた気配は少しもありません。使徒たちを獄から連れ出したのは天使でした。皆が外に出たとき,天使は次のように命じました,「さあ行きなさい。そして,宮の庭に立ち,この命の言葉を漏れなく,人々に語りなさい」― 使行 5:20,新口。
29 これ以上たしかなことはありません。天使が使徒たちに与えた命令は全く明らかです。何日か前に使徒たちは,神が支配者の脅迫に目をとめられるようにと祈り,「僕たちに,思い切って大胆に御言葉を語らせて下さい」と祈りました。「彼らが祈り終えると,その集まっていた場所が揺れ動き,一同は聖霊に満たされて,大胆に神の言を語り出した」。この事をしたために,今度は使徒たち全部が獄につながれたのです。使徒たちの行いが正しかったことは,今いっそう明らかです。天使は宮の方角を指して使徒たちに告げました,「さあ行きなさい。そして,宮の庭に立ち,この命の言葉を漏れなく,人々に語りなさい」。これは使徒たちに大きな満足を与えたに違いありません。
30 祈りによって勇気を与えられた使徒たちは,どんな態度をとりましたか。そして夜明けにどこに行きましたか。
30 これよりも前,使徒たちは日毎に宮に居て神から命ぜられたことをしていました。何千人もの人が使徒たちの伝道の言葉を聞きました。使徒たちの居るべき場所は宮だったのです。偽りの宗教家の反対にもかかわらず,エホバは使徒たちに宮で語らせました。使徒たちの抱いた喜び,確信,感謝は何と大きかったことでしょう。使徒たちの行いは正しかったのです。宗教家は間違っており,しかも神に敵対していました。エホバは天使すなわち御使を遣わして,なすべき事をお命じになったのです。使徒たちは熱意にあふれていましたか。そうです,「彼らはこれを聞き,夜明けごろ宮にはいって教えはじめた」― 使行 5:21,新口。
福音を全世界にひろめる
31 (イ)そのとき使徒たちをとめることができなかったのはなぜですか。今日エホバの証者をやめさせることができないのはなぜですか。(ロ)良いたよりをどの程度まで伝道しなければなりませんか。
31 当時,使徒たちの伝道をやめさせるすべはありませんでした。エホバの恵みを受ける今日のエホバの証者も,やめることをしません。なぜならば,神のことばの真理を伝道しなければならないからです。エホバの証者は使徒に与えられたのと同じ命令を与えられています。また神のことばにある同じ音信を持ち,使徒と同様その音信に信仰を持っています。神の国のこの福音を全世界に宣明するわざは毎年大きくなっています。今はクリスチャンが恐れを抱くときではありません。五旬節の日クリスチャンはエルサレムで,しかも最初はある2階の部屋で伝道を始めました。やがて伝道のわざは約束の地全体,さらにはもっと大きな範囲に拡大されました。イエスはそのことを次のようにお命じになりました,「それゆえに,あなたがたは行って,すべての国民を弟子として,父と子と聖霊との名によって,彼らにバプテスマを施し」― マタイ 28:19,20,新口。
32 今日エホバの証者はどのように天使の導きを求めますか。黙示録 14章6,7節は神の僕の働きについて何を示していますか。
32 今日エホバの証者は,イエスが追随者に命ぜられたこと,すなわちすべての国民を弟子とする使命を達成しようと努めているのです。そして「この御国の福音は,すべての民に対してあかしをするために,全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである」という言葉を何時も心に留めています。(マタイ 24:14,新口)エホバの証者は今でも天使の導きを求めますが,何をなすべきかを知るために神のことばをしらべます。私たちはヨハネが幻の中に見たものを心の目に見ることができます。「わたしは,もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者,すなわち,あらゆる国民,部族,国語,民族に宣べ伝えるために,永遠の福音をたずさえてきて,大声で言った,『神をおそれ,神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを,伏し拝め」。(黙示 14:6,7,新口)これは天使に対してのみならず,神が地上に行なおうとされるわざを認識するすべての人に対する務です。
33 エホバの民は中空を飛ぶ天使を実際には見ませんが,それでも何を見,何をしますか。
33 今日エホバの証者は,エホバ神が過去において天使を用いられた事実を十分に認識しています。そして中空を飛ぶ天使を実際に見なくても,この天使の音信がもれなく宣べ伝えられるべきことをヨハネの幻によって悟っています。100万人以上の人々が「永遠の福音」を携えて家から家に行き,国籍,事情の如何を問わずあらゆる場所のあらゆる人に及ぶこの福音を全地に宣明しています。
34 「永遠の福音」は今日どれほど広く伝道されていますか。
34 天使が使徒たちを解放し,宮の庭に行って再び語ることを命じた,昔のエルサレムにおけるこの小規模な出来事は,この終りの日に世界的な規模で起きているのです。中空の天使は,「神をおそれ,神に栄光を帰」する機会をすべての人に与えるために「永遠の福音」を伝道する神の民を導いています。エホバに献身した人は,「天と地を造られたかたを,伏し拝め」とすべての人々に告げることを一瞬といえどもためらってはなりません。
35 今日の支配者と宗教指導者は,エホバの証者に対してどんな態度をとっていますか。
35 使徒時代の支配者や祭司と同じく,今日の支配者や偽りの宗教家は,エホバの証者がこの事をするのを好みません。今日エホバの証者が逮捕されると,たいていは使徒の経験したよりも長い期間を刑務所で過さねばなりません。しかしやがて彼らの釈放される神の時がきます。ヒトラー時代の強制収容所から解放されるのに,多くのエホバの証者の場合10年あるいはそれ以上の年月を要しました。それでも彼らは解放され,いま中空を飛ぶ天使のことばに従って世界中の兄弟と共に「永遠の福音」を宣明しています。
36 (イ)使徒時代に話を戻すと,今度はエレサレムに何が起きましたか。(ロ)使徒たちはどこにいると報告されましか。使徒たちが当然そこにいることはどうしてわかりますか。
36 私たちのために良いわざの手本を残した使徒の行いを振り返ってみましょう。夜明けに使徒たちは宮にはいって教え始めました。一方で大祭司とサドカイ人は集まってきてイスラエル人の長老を召集し,使徒たちを引き出してこさせようと人を獄につかわしたところ,使徒たちは獄にいないことを下役から報告されました。下役は宗教指導者にこう報告しています,「獄には,しっかりと錠がかけてあり,戸口には,番人が立っていました。ところが,あけて見たら,中にはだれもいませんでした」。天使はなにもかもやってのけました。天使は牢獄のとびらを開いて使徒たちを連れ出した後,ふたたびとびらを閉じて錠をおろしました。見張りの者はそのことに少しも気づきません。そしてもぬけのからの牢獄を見張っていたことにやっと気づきました。宮守がしらと祭司長はあわてました。いったいどうした事かと惑っているところに,ある人がきて知らせました,「行ってごらんなさい。あなたがたが獄に入れたあの人たちが,宮の庭に立って,民衆を教えています」。使徒たちは天使に言われた通り宮に行き,神から命ぜられたことをしていたのです。「そこで宮守がしらが,下役どもと一緒に出かけて行って,使徒たちを」この宗教家連中の前に「連れてきた。しかし,人々に石で打ち殺されるのを恐れて,手荒なことはせず」におきました。―使行 5:20-26,新口。
人よりも神に従う
37,38 (イ)支配者の前に出たとき,使徒たちの伝道をやめさせようとした人々に対して,ペテロは恐れずにどう答えましたか。(ロ)この点において今日どんな事態が見られますか。
37 支配者を前にして議会の中に立った使徒たちはふるえたり,恐れたりしませんでした。エホバ神をはじめ,見えない天使が使徒たちを守っていたのです。そこで「あの名を使って教えてはならないと,きびしく命じておいたではないか。それだのに,なんという事だ。エルサレム中にあなたがたの教を,はんらんさせている。あなたがたは確かに,あの人の血の責任をわたしたちに負わせようと,たくらんでいるのだ」と言った支配者に対して,ペテロや他の使徒たちは次のように答えました,「人間に従うよりは,神に従うべきである。わたしたちの先祖の神は,あなたがたが木にかけて殺したイエスをよみがえらせ,そして,イスラエルを悔い改めさせてこれに罪のゆるしを与えるために,このイエスを導き手とし救主として,ご自身の右に上げられたのである。わたしたちはこれらの事の証人である。神がご自身に従う者に賜わった聖霊もまた,その証人である」。(使行 5:27-32,新口)支配者にむかってこの事を語るには勇気が必要でした。しかし使徒たちの語ったことは真理です。彼らはクリスチャンでした。
38 今日においても,献身したクリスチャンすべてはこの立場をとらなければなりません。エホバ神とみ子イエスを知るゆえに,クリスチャンはイエス・キリストが生命の君また救い主として高められ,「我〔エホバ〕なんぢの敵を汝の足台となすまでは」と言われた言葉に従ってみ父の右にいま座しておられることを宣べ伝えます。―使行 2:34-36。
39 神に忠実を保つとき,クリスチャンはどんな目にあうかも知れませんか。それでもクリスチャンは何をつづけますか。
39 クリスチャンの使命を忠実にはたすとき,苦しみ,脅迫,困難,試練にあい,時には死にあうかも知れません。祭司とサドカイ人は使徒に対して激しく怒りました。「これを聞いた者たちは,激しい怒りのあまり,使徒たちを殺そうと思った」と記録されています。(使行 5:33,新口)その後しばらくして,ステパノは真理を語ったために石で打ち殺されました。(使行 7:54-60)現代においてもこの世の精神にみたされた熱狂的な人々がエホバの証者の宣教に激しく反対するとき,同様な事態が起きます。それでもクリスチャンは自分の正しいことを知り,「永遠の福音」を宣べ伝える自分の使命を知るとき,福音を大胆に伝道しつづけます。
40 ガマリエルは,議会におけるこの裁きをどう見ましたか。そしてどんな結論に達しましたか。
40 使徒時代に起きたこの騒ぎの最中にあって,ひとり知恵のあるパリサイ人ガマリエルがいました。ガマリエルは立ち次のように述べています,「イスラエルの諸君,あの人たちをどう扱うか,よく気をつけるがよい。先ごろ,チウダが起って,自分を何か偉い者のように言いふらしたため,彼に従った男の数が,四百人ほどもあったが,結局,彼は殺されてしまい,従った者もみな四散して,全く跡方もなくなっている。そののち,人口調査の時に,ガリラヤ人ユダが民衆を率いて反乱を起したが,この人も滅び,従った者もみな散らされてしまった。そこで,この際,諸君に申し上げる。あの人たちから手を引いて,そのなすままにしておきなさい。その企てや,しわざが,人間から出たものなら,自滅するだろう。しかし,もし神から出たものなら,あの人たちを滅ぼすことはできまい。まかり違えば,諸君は神を敵にまわすことになるかも知れない」。これを聞いた彼らはその勧告にしたがい,「使徒たちを呼び入れて,むち打ったのち,今後イエスの名によって語ることは相成らぬと言いわたして,ゆるしてやった」。今日,支配者や宗教指導者にそのとるべき道を勧告するガマリエルのような人がもっといてしかるべきです。―使行 5:35-40,新口。
41 使徒たちはむち打たれ,おどされたとき,どう考えましたか。
41 むち打たれたからといって,使徒は考えを変えたわけではありません。むち打たれたり,獄につながれたのは今度がはじめてではありません。脅迫されたことは前にもありました。支配者にはわからなくても,使徒たちを後押ししていた見えない力がありました。それはエホバ神とみ子キリスト・イエスおよび地上の僕を強めるために神が賜わった聖霊です。それで「使徒たちは,御名のために恥を加えられるに足る者とされたことを喜びながら,議会から出てきた。そして,毎日,宮や家で,イエスがキリストであることを,引きつづき教えたり宣べ伝えたりした」。あなたはこのような信仰を持っていますか。エホバの天使のことばに従い,使徒のしたと同じことをしますか。真のクリスチャンはそうします。―使行 5:41,42,新口。
42 天使のことばに喜んで従った使徒たちは,どのように大胆に福音を伝道しましたか。
42 天使のことばに従った使徒たちは,何と大きな喜びを得たのでしょう。彼らはエホバの御名とみことばを立証するため奉仕の分野を拡大して行きました。また成長しつつあった当時の神の会衆を助けました。やがて使徒をはじめ,試みられた忠実な追随者がユダヤ人の間だけでなく異邦人の中にも大ぜい出かけて行きました。こうしてあらゆる民族,言語の人々は,イエスが追随者に告げた真理および「この命の言葉」を学ぶ機会に恵まれたのです。使徒パウロは死者の復活を証明するすばらしい論議をコリント人に書き送り,「この命の言葉」に対する大きな関心を示しました。―コリント前 15:1-57。
43,44 今日,エホバのクリスチャン証者にどんな励みが与えられていますか。彼らは何を祈りつづけますか。
43 クリスチャンは,神の天使に告げられた通り行なった使徒にいまならいます。今日エホバの天使は,「永遠の福音」を宣べ伝えるため全地において組織されたエホバの民を導いています。ゆえに勇気を出し,伝道のわざに参加して下さい。神のことばに信頼し,大胆にその事をしましょう。「これは主があなたのために天使たちに命じて,あなたの歩むすべての道であなたを守らせられるからである」。(詩 91:11,新口)パウロの尋ねた言葉はこの事を証明しています。「御使たちはすべて仕える霊であって,救を受け継ぐべき人々に奉仕するため,つかわされたものではないか」。(ヘブル 1:14,新口)たしかにその通りです。
44 ではあなたは,キリスト・イエスを通して与えられる救いに関心を持っていますか。ペテロとヨハネは救いに関心を持ち,次のように述べました,「この人による以外に救はない。わたしたちを救いうる名は,これを別にしては,天下のだれにも与えられてはいないからである」。(使行 4:12,新口)クリスチャンがキリスト・イエスに持つべき信仰をあなたも抱いているならば,急速に過ぎ去りつつあるこの組織制度を切り抜けるため,あなたは今後も「聖霊に満たされ」ることを祈り,その結果「大胆に神の言を語」るに違いありません。―使行 4:31。
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Daily American
Friday, July 26, 1963
Greece Prohibits Meetings By Jehovah's Witnesses
ATHENS, July 25 (Reuter) — The Greek government has banned all public meetings of Jehovah's Witnesses, it was announced today.
The ban was imposed following warnings from Greek Orthodox organizations that they would stage protest marches from Salonika to Athens if the sect were allowed to hold a mass rally here on Tuesday.
Announcing the ban, the undersecretary for the interior today ordered police to forbid any meeting whatsoever of the sect—numbering some 20,000 members in Greece—in the interests of "peace and order."
Archbishop Chrysostomos, primate of Greece, has led all Greek Orthodox organizations in a general outcry against the Jehovah's Witnesses' rally, which he called a "shameful congress of atheists and anarchists."
In a letter to the prime minister, Panayotis Pipinelis, he said unless the rally were banned, he would be compelled to "defend everything sacred and to lead the clergy and the people" in an all-out action against the sect.