神の目的とエホバの証者(その22)
「『あなたがたは私の証者です』とエホバは言われる。」― イザヤ 43:10,新世訳
第16章 神の御国は高められ,そのにせものはばくろされる
ジョン: 三つの強烈な決議文によって,世界支配者の責任は明白に指摘されました。そして,すべての善意者には1914年に設立された神の御国の希望に答えるようにとの召が発せられました。
この召は1925年に発表されました。ついでですが,この年はあるエホバの証者にとっては危険な年でした。油注がれていた者たちの中には,次のような見解が一般にひろめられていたのです。すなわちキリストのからだの残れる成員は,その年に天的な栄光に変えられるという見解です。
マリア: 〔中断して〕しかし,イエスの初期の弟子たちも,当時そのことを期待しませんでしたか。
ジョン: そうです。しかし彼らは1925年の兄弟たちの時のように,そのことについて注意をうけていました。「ものみの塔」は,次のように述べました。
クリスチャンたちは,この年のうちに生ずることについて過度に気をつかうべきではない。さもないと,彼らは主の命じたもうわざをよろこんですることができないであろう。a
この記事には,「油そそがれた者のわざ」という意味ぶかい題がつけられていました。そして,私たちの知ったように,油そそがれた者は,さらに多くの仕事をすべきでした。
ロイス: そのために,幾人かの人は制度を去りましたか。
ジョン: そうです。ふるい分けることはずっと行なわれました。また,この年には新しい霊的な真理がエホバの民にたくさん与えられたという点で画期的でした。その真理は,御国にはいる者たちの献身をいっそうためすものでした。特に意味ぶかいことは,エホバの御名に正しい立場が与えられねばならぬというすばらしい啓示です。それから,1925年,3月1日号の「ものみの塔」(英文)は,「その国民の誕生」という心をふるい立たせる劇的な記事を発表しました。それは,黙示録 12章5節を題目的な聖句として発行されました。ロイスさんそれを読んでいただけますか。
ロイス: 〔読む〕「女は男子を産めり,この子は鉄の杖もてもろもろの国人を治めん。かれは神のもとに,その御くらのもとにあげられたり」。
二つの制度,天における戦争
ジョン: どうもありがとう。この「その国民の誕生」という記事の一部は,次のように述べています。
時代中における神の計画〔目的〕の顕著な特徴は何であったか。われわれはただちにこう答える……イエスがわれわれに祈るように教えた御国の設立である。それは,新しい国民の誕生を意味する。それは支配を行なって地上の全家族を祝福するであろう。―ダニエル 2:44。
人々に,この栄光にかがやく新しい国民と,それのもたらす祝福を知らせなかった反対の勢力は何であったか。ふたたび油そそがれた者は一致して次のように答える,サタン悪魔と彼の制度,であると。
これらのふたつの点は,かたく定められている。いまわれわれは,たしかな情況から次のことを知る。すなわち,真の戦争は,神と悪魔のあいだでなされているということである。正義の国は,悪とくらやみの国を取りのぞいて,その代りに真理の国を設立した。
諸国家は大戦争でたがいどうし怒りをまき散らした。そして,彼らは疲れはててしまったのである。1918年以来,悪魔の制度,すなわち経済的,政治的そして宗教的,― 特に後者 ― の制度は,主と主の御国に対して公然と非難をもたらした。そのとき,諸国家に対する神の怒りは,表わされ始めた。その時以来,戦争はこの地上で行なわれてきた。それ以前では,戦争は天でなされた。……
1878年から1914年まで,シオンの油そそがれた者たちは,御国を希望して,忍耐づよく待ちのぞんでいた。その時までシオンはいくらかの苦痛を感じた。たしかに,彼女は「子を産まんとして産の苦痛と悩とのために叫べり」と言うことができる。「我らも自ら心のうちに嘆きて子とせられんこと,即ちおのが体の贖はれんことを待つなり」。―ロマ 8:23。
1918年と1919年,シオンはさらに苦しんだ。しかし,さらに多くの苦しみを耐えねばならなかった。
事実が預言と一致することに注意せよ,「シオンは産のなやみを知らざるさきに生み,そのくるしみきたらざる先に男子をうみいだせり,誰がかかる事をききしや,誰がかかる類をみしや,一つの国はただ一日の苦しみにて成るべけんや,一つの国民は一時に生るべけんや,されどシオンは苦しむ間もなく直ちにその子らをうめり」(イザヤ 66:7,8)1874年より1918年までのあいだ,シオンの者たちに対す迫害はほとんど無かったということに気をつけるべきだ。ユダヤ人の暦による年1918年,すなわちわれわれの時の1917年の後期からはじまって,油そそがれた者たちであるシオンには大きなくるしみがのぞんだ。1914年以前,彼女は産みのくるしみを持ち,御国を切望していた。しかし,実際の苦痛は後に来たのである。これは,天にあらわれた最初の大きなしるしである。
1918年以来,油そそがれた者たちに現われた別の大きなしるし,すなわちすばらしい事柄は次のようである,すなわち「大なる赤き竜」ということである。竜は,神が悪魔に与えるいろいろの名前のひとつである。(黙示 20:1-3)その名前は,貪欲な者を示す。赤い竜は,シオンまたはシオンの産むもの,すなわち,男子,新しい国民,あるいは新しい政府を滅ぼすための悪魔的な悪い運動を象徴する。覆いののぞかれる以前の油そそがれた者たちは,1918年の後になって始めて竜はむさぼる立場で行なう悪魔の制度を象徴すると理解した。それは,約束のすえをむさぼり食らおうとしている。目で見えるものにせよ,目で見えないものにせよ,サタンの制度はここで述べられている第2番目の大きな不思議である。
主キリストなるミカエルは……支配する彼の権利が与えられるまで沈黙を保った。サタンの権利は,1914年に終了した。「その時汝の民の人々のために立ところの大なる君ミカエル起あがらん是なやみの時なり国ありてよりこのかたその時にいたるまでかかるなやみありし事なかるべしその時汝の民は救はれん即ち書にしるされたる者はみな救はれん」。―ダニエル 12:1。
そこで主イエスは起ち,支配する力を取った。彼のする最初のわざが,悪魔を天から投げおとすことは期待される。そのとき天で戦いが始まった。黙示録 12章7-9節は,次のように述べている。
「かくて天に戦争おこれり,ミカエル及びその使たち竜とたたかふ。竜もその使たちもこれと戦ひしが,勝つこと能はず,天には,はや其の居所なかりき。かの大なる竜,すなはち悪魔と呼ばれ,サタンと呼ばれたる全世界をまどはすふるき蛇は落され,地に落され,その使たちも共に落されたり」。
これは想像上の事柄ではない。それは真実の戦いであった。竜とその正式な家族,その見えざる政府の成員は,頑強に戦った。しかし,彼らは戦争に敗けて,文字通り天から投げ出された。〔ウエイモスの訳を見よ〕
義者イエスが天で支配するために権力を取りながら,悪魔が天にいることを許すなどということはつじつまの合わぬ考えである。彼はそのようなことをしなかった。サタンとその使たちである彼の正式な家族,見えざる共同相続者たちの両方は,地に投げおとされた。その戦いは1914年に始まったにちがいない。それがどのくらいつづいたかは,聖書は示していない。b
いっそうの迫害が予見された
それから「ものみの塔」は,黙示録 12章の特定な時に関する特徴のいくらかを論じています。そして次のような言葉の中に,成就している事実を引用しています。
1918年,サタンがその幻惑した状態から回復して後,彼は地上にある教会の成員たちを迫害し始めた。1918年,彼は協会の役員や他の者たちを投獄させた。1919年3月26日,これらの者たちは刑務所から解放された。そして,教会(女を代表する)は,1260日のあいだ荒野に逃げた。1919年3月27日から1922年9月8日までは,ちょうど1260日になる。この期間が終わってから,地上の教会の残れる者たちは,王とその御国に対する忠節を大胆に宣明する。そして,サタンの帝国が地から取りのぞかれるまで,それに対して戦いを開始して押しすすめるという決意を宣言する。
この戦争を軽いちょっとしたものとして取りあつかうというまちがいをしてはならない。サタンは,シオンの残れる者たちを滅ぼすため,あらゆる巧妙な方法を用いるだろう。……
これは悪魔とその勢力に対する主の戦争であることを忘れないでいよう。以前に主は悪魔を天から投げ出された。これから彼と彼の勢力を地からのぞくために戦いがなされるであろう。それは,彼らが人々をあざむかないようにするためである。われわれは恐れる必要はない。なぜならわれわれは神の御手にあって安全だからだ。―イザヤ 51:16。
われわれが主に近くいるなら害をうけることはない。われわれがそのことを知るとき,暗やみの勢力に対して戦うとはなんと祝福された特権なのであろう。
新しい国民は生まれた。その栄光は全地にみちるであろう。天の御国は存在している。解放の日は目前にある。この良いたよりを地の諸国民に告げ知らせよう。勝利はわれらの王にある。いま戦争の最後まで忠実を保て。かくして,我々は彼の愛の光のうちに永久にとどまるであろう。そこにはみちみちたよろこびと楽しみは永久にわたってあるだろう。c
これよりすこし前にも,サタンが,帝国すなわち制度を持っているということは認められていました。しかし,ここで黙示録 12章の預言が理解されて,はじめて兄弟たちはふたつの明白な反対し合う制度をはっきり見分けました。さて,初めて次のことが示されました。すなわち1914年に始まった「天の戦争」の結果,サタンは天から追い出されてしまい,ハルマゲドンの時まで,その活動を地上に制限せねばならない,ということです。後になって次のことが分かりました。すなわち,エホバはハルマゲドンの戦いのとき御自分の大いなる御名を永遠にわたって立証するということです。また以前に考えられていたごとく,これは資本主義者と労働者間の戦争ではなく,また人間の群れや諸国家によるものではありません。それは,目に見えないものと目に見えるものの両方をあわせ持つサタンの全制度に対する神の戦争です。地上にいるエホバの僕たちはその戦いに参加せず,かえって善意者の全員にその来ることを警告し,のがれの道を見出せるようにしなければならぬということが認められました。d
「希望の音信」
それで,思想という面で大きな変化のあったこの年に特別な音信が善意者たちに伝えられねばならぬということは適切でした。それは,彼らがエホバの制度と交わって最高の神に賛美を帰し,地上の永遠の生命にみちびく道に彼らがはいるためであります。
その年の8月24日から31日まで,インディアナ州インディアナポリスで大会が開かれ,1万人が出席しました。「行動をすすめる召」と題するルサフォード兄弟の公開講演の中には,出席者全員の起立で採決された愛にみちる決議がはいっていました。その決議は,「すべての善意者に」向かって告げられたものです。その決議文がおさめられた冊子は,後に「希望の音信」と呼ばれました。その頭書には,「世界再建諸国民をみちびくための旗」と記されており,月が経つにつれ約5000万部はキリスト教国内で配布されました。e マリヤ,その決議文中のしるしのつけてある部分を読んでください。
マリア: 〔読む〕すべての善意者へ大会に出席している万国聖書研究生はあいさつを送ります。
人間の事柄において諸国家が極端な状態に達したときは,諸国民がその原因に考慮を払うべき時であります。……幾世紀ものあいだ人間は圧迫,戦争,ききん病気,悲しみ,そして死の犠牲者でした。いつの時でも人間は平和,繁栄,健康,生命,自由そして幸福をのぞんでいました。世界強国,科学,および哲学,商業と宗教は,それぞれ人間を救うために解決策を提供しました。……
政治勢力と商業は,陰媒,二枚舌,およびごまかしを盛んにします。科学と哲学の特徴は,空虚と自己満足です。一方,カトリック信徒と新教徒たちによる宗教家たちは,その傲慢さ,うぬぼれ,不敬けん,そして不信心で目立っています。……カトリック主義は,神だけに当然に属するものを主張して,自分のものと誇っています。……
その結果は次のようです。すなわち諸国民は商業的な利益追求者やその同盟者たちの圧迫の下に苦しんでいます。彼らは政治指導者に対する信仰を失い,彼らを悪くみちびいた宗教家たちをもはや尊敬しません。そのような不敬けんにして,神聖でない同盟の偽りの光でみちびかれたため,諸国民は暗やみに落ちこみました。……
このようななげかわしい状態の原因は,人間が原罪のゆえに完全から落ちたためです。そして,神とすべての義の敵であるサタンは,この悪い世の見えざる支配者すなわち神だからです。……いままでの時代のうちの最大の危機は,さし迫っており,まさにくだろうとしています。なぜなら,古い世は終わってしまい,サタンにゆるされていた権力はなくなってしまったからです。悪魔はこのことを知っています。また,彼の時は短いということも知っています。それで,彼は偽りの教理やあざむきの教理をたくさん出して諸国民を圧倒し,彼らの心をエホバから全くひきはなそうとしています。……
それで,主の御名と御霊のうちに,神の真理と正義の旗は,ここにかかげられています。それは敵に対するものであり,また諸国民の益のためです。その旗はすなわち次のようであります。エホバは唯一の真の神,最高者であり,……聖書はエホバの啓示した真理の言葉であり,彼の愛子キリスト・イエスは人類のあがない主にして救い主で,彼の約束した通り,諸国民を支配して祝福するために来ました。……私たちは確信して諸国民に次のように訴えます。すなわちこのようにかかげられた神の真理の旗に急ぎ集まるということです。かくして,彼らは生命と幸福にみちびく道を学ぶことができます。f
油そそがれた者から地上に住む者たちにさしのべられたなんと心ひきたてる召なのでしょう。しかし,多数の人は,これに答え応じませんでしたね。
ジョン: そうです。しかし,そのような召が出されたのは,これが最初というわけではありません。トムさん,あるいはロイスさんでも,いちばん最初に召が出された時を御存じですか。
トム: それは「現存する万民は決して死することあらじ」の運動が行なわれていた時ですか。
ジョン: そうです。それはエホバが油注がれた者たちをさばくために宮に来られた時よりも前の1918年に初めて出されました。それは「万民運動」においての1919年から1922年までの清い崇拝の復興期間中にも繰り返し行なわれました。しかし,油注がれた者以外には,サタンの世に対するこの強力な決議に答え応じて,参加しようとした人は,ほとんどいませんでした。このことは,油注がれた者,御霊によって産み出された証者たちに対するエホバの導きを強調します。エホバは,偽りの教理を抜き出してうちくずすよう彼らに特別の使命を与えたのです。この心わき立たせる期間中,エホバの油そそがれた者は,サタンの全制度に対して地上で敢然と立ちました。
1922年から1925年にかけてエホバ神は御自分の民を援助して忍耐させ,待たせました。そしてますます大きぼな御国伝道を行なわせたのです。この結果,エホバによりきよめられたこの残れる者の成員は,更に多く聖所に集められました。このことを明白に示すものとして主の夕食を毎年祝う出席者の数が増加していることからも分かります。1922年には3万2661人があずかり,1923年には4万2000人,1924年には6万2696人,そして,1925年には9万434人があずかりました。g
しかし,主の忠実な残れる者とともに「待た」なかった者もいくらかいたことは明白です。1926年3月27日の主の夕食式に出席した人の数は,8万9278人に減少しました。h 1925年は,特にエホバの民の多くにとって大きな試練の年でありました。ある人々は,待つのをやめてこの世とともに行きました。i この危険な時を生き延びた人々は,1926年5月以来エホバが彼らに与えた祝福によってほんとうに幸福でした。
連盟の終りは先見された
ロイス: それはきっと第5番目の決議の時でしょう。この大会は,どこで開かれましたか。
ジョン: 5月25-31日,英国ロンドン市のアレキサンドラ・パレスで開かれました。しかし,日曜日の公開集会は,ローヤル・アルバート・ホールで開かれました。j 金曜日の午後,イザヤ書 49章にもとづく協会の会長の話の後に,その決議は大会に提出されました。そしてその後に「神の救い」という本が大会で発表されました。その決議は「世界の支配者たちへの証言」と題され支配者全部に課せられた責任に人々の注意を喚起していました。なぜなら,時代のあらゆる証拠は,神の御国が1914年に天で設立されたことを証明していたからです。この決議の第5番目の箇条は,次のことを言明しました。すなわちこの決定的な証拠にもかかわらず ―
「商業支配者,政治支配者,そして教会支配者たちは,神の御言葉に反して,国際連盟と呼ばれるにせのものを使用してこの世を安定させ人々を支配させようとした。このものは,国際連盟と呼ばれ,神の御国の地上における政治的な表現という,きわめて悪いぼうとく的な言葉でたたえられた。国際連盟条約の真実の著者にして父はこの悪い世の神サタン悪魔である。サタン悪魔は,人々をあざむいて彼らを真の神から引きはなし彼の悪い支配の下に保とうとする最後の死にものぐるいの努力をしたのである。平和と繁栄を確立するためのその条約の提案者たちは7年間いっしょうけんめい努力してきたが,いまは国際連盟が全くの失敗であり,その完全な崩壊は短時間になされるということが認められている,……」。k
トム: それはずいぶん重大な言葉ですね。特に1926年という昔においては重大な言葉と言えますね。
ジョン: そのとおりです。しかし,ジャッジ・ルサフォードは聖句と事実でもってそのことを裏づける準備をととのえていました。次の日曜日,彼は堂々たる話をして,その決議をさらに説明しました。「なぜ世界強国は危険に瀕しているか ― その解決策」は彼の話の題でした。その序文において彼は次のように語りました。
わたしはいま,次のことを証明しようと思う。すなわちこの世界の艱難は,次の理由の故に生じたのである。(1)エホバ神の律法はすてられて,無視された。(2)各時代を通して世界強国は組織され,うけつがれ,いまは英領帝国で最高潮に達した。(3)これら世界強国全部において,宗教の名の下に,また全能の神の名のもとに欺まんがさかんに行なわれ,牧師たちはそのような欺まんを行なうために主として用いられた。(4)全能の神が御自身を人に知らせ,あらゆる偽善に対して怒りを示す時は来た。(5)この目的のためにエホバ神は油をそそがれた王を権威とさばきの御座につけた。(6)神の御国は,すべての人間の艱難に対する完全な救済であり,そして,(7)地上の支配者たちはいまこれらの事実を聞いて注意を払うべきである。l
国際連盟は「荒らすにくむべきもの」としてばくろされました。また,黙示録 17章11節に述べられている「第八番目」の王としてばくろされました。大英帝国は,第七番目の「王」で,国際連盟の主要な支持者でした。連盟が英国の支持に依存していることを示すため,ルサフォード兄弟は次のように語りました,「明日,英国が連盟から脱退するなら,連盟はただちに崩壊するであろう」結論の中に,彼は神の御国の祝福を述べました。
心をふるい立たせたこの公開講演と大会の採決した決議の中には,時代の中でももっとも大切なニュースがふくまれていました。しかし,80万人の読者を持つ月曜日の「デイリー・ニュース」aの有料の1頁全部をのぞいては,その音信は一般の新聞により無視されました。この新聞の頁の再版は全地にひろく配布され,5000万部bも印刷されました。英国の大ぜいの人々は,証言に注意を向けませんでしたが,幾年ものあいだロンドンが黙示録 16章10節に述べられている「けもののくらい」であると述べられたことをおぼえていました。
この年1926年のいちばん最初の1月1日号の「ものみの塔」の中心記事は,「だれがエホバをあがめるか」という心ふるいおこす質問を神の民に投げかけました。さて,ロンドン大会の5月29日,「奉仕の日」と指定された日には,幾百人というエホバの証者の大会出席者たちは街頭伝道に出かけ,入々の手中に11万部の新しい冊子「国民の旗」(英文)を渡しました。「ものみの塔」に現われた大会の報告は次のような言葉でもって,このロンドン証言のことを説明していました。
大会での奉仕の日にこのようなものは一度も知られていなかった。友たちは熱心さで湧き立っていた。彼らは「汝らはわが証者,われは神なり」とのエホバの命令に従うため最善をつくした,と感じた。c
それから5年後にこれらの言葉がどういう意味のあるものであったか,また彼らのためにさらに多くの真実の幸福が備えられていたことを,彼らはほとんど認識しませんでした。
[脚注]
a (イ)1925年の「ものみの塔」(英文)3頁。
b (ロ)1925年の「ものみの塔」(英文)67-70頁。
c (ハ)1925年の「ものみの塔」(英文)73,74頁。
d (ニ)1925年の「ものみの塔」(英文)115-120,280,375頁。1930年の「ものみの塔」(英文)233頁。1944年の「ものみの塔」(英文)10頁。1946年の「ものみの塔」(英文)347頁。
e (ホ)1925年の「ものみの塔」(英文)358頁。
f (へ)1925年の「ものみの塔」(英文)310,311頁。
g (ト)1922年の「ものみの塔」(英文)200,201頁。1923年の「ものみの塔」(英文)218頁。1924年の「ものみの塔」(英文)242頁。1925年の「ものみの塔」(英文)263頁。全世界の出席者合計の数は,ある外国の報告をのぞいては,20人以下の主の夕食を祝った人々の群れを数えていません。
h (チ)1926年の「ものみの塔」(英文)270頁。
i (リ)「御心が地に成るように」(1960年7月1日号のものみの塔257頁)
j (ヌ)1926年の「ものみの塔」(英文)211-217頁。「黄金時代」第7巻,1926年9月8日,780-792頁。
k (ル)1926年の「ものみの塔」(英文)212頁。
l (ヲ)1926年の「ものみの塔」(英文)213頁。
a (ワ)1926年の「ものみの塔」(英文)211頁。
b (カ)1927年の「年鑑」(英文)
c (ヨ)1926年の「ものみの塔」(英文)217頁。