7. どんな出来事により,エホバの名声が傷つけられ,エホバの治め方が疑問視されましたか。
7 神が不公正をそのままにしていることには,重要な問題が関係しています。すでに考えた通り,創造者には地球を治める権利があります。(詩編 24:1。啓示 4:11)ところが,人間が創造されて間もなく,エホバの名声が傷つけられ,エホバの治め方が疑問視されました。何があったのでしょうか。エホバは最初の人間アダムに,エデンの園にあった1本の木の実は食べてはならないと命じました。そして,もし従わなければ「あなたは必ず死ぬ」と告げました。(創世記 2:17)神の命令に従うことは,アダムや妻のエバにとって難しいことではありませんでした。しかしサタンが,神は厳し過ぎるとエバに思い込ませ,その木の実を食べたらどうなるかについて次のようなうそをつきました。「あなたたちは決して死にません。その木の実を食べた日に,目が開かれ,あなたたちが神のようになって善悪を知るようになることを神は知っているのです」。(創世記 3:1-5)
8. (ア)サタンはエバに言った言葉の中でどんなことをほのめかしましたか。(イ)サタンは神の名や主権に関してどんな疑問を投げ掛けましたか。
8 サタンは,エホバが重要なことを隠しているだけでなく,うそもついている,とほのめかしました。エホバという名の神が本当に善い方なのか,エバに疑いを抱かせたのです。そのようにして,神の名を傷つけました。また,エホバの治め方に疑問を投げ掛けました。神が主権者だという事実に異議を唱えたのではなく,神の主権の正当性を問題にしました。つまり,エホバが主権者として正しく統治しておらず,治められている者たちのためになっていない,と主張したのです。
9. (ア)アダムとエバは神に背いた結果どうなりましたか。どんな疑問が生じましたか。(イ)エホバが反逆者たちをすぐに滅ぼさなかったのはどうしてですか。
9 その後,アダムもエバも禁じられていた木の実を食べて,エホバに背きました。結果として,神から言われていた通り,罰として死ぬことになりました。サタンのうそにより,幾つかの重要な疑問が生じました。エホバには人間を治める権利が本当にあるのでしょうか。それとも,人間が自分たちを治めた方がよいのでしょうか。エホバは主権者として最善の治め方をしているでしょうか。エホバは全能の力を使って,反逆者たちをその場で滅ぼすこともできました。しかし,問題となっていたのは神の力ではなく,神の治め方でした。神が主権者としての名声にふさわしい方かどうかが問われていたのです。アダムとエバとサタンを滅ぼしても,神の治め方が正しいことは証明されなかったでしょう。むしろ,神による統治が良いものかどうかに対する疑念が深まったかもしれません。人間が神から独立して自分たちをきちんと治められるかどうかの答えを出す唯一の方法は,しばらくやらせてみることでした。
10. 人間の支配について,どんなことが明らかになりましたか。
10 時の経過により,どんなことが明らかになったでしょうか。人間は何千年もの間,専制政治,民主主義,社会主義,共産主義など,いろいろな政治形態を試してきました。その結果について,聖書にこう要約されています。「人は人を支配し,人に害を及ぼしてきた」。(伝道の書 8:9)預言者エレミヤが次のように述べたのも納得できます。「エホバ,私はよく知っています。人は自分の道を定めることができません。自分で自分の歩みを導くことができないのです」。(エレミヤ 10:23)
11. エホバがあえて人間が苦しむままにしたのはどうしてですか。
11 人間が神から独立して自分たちを治めようとすると,とても苦しむことになる,ということをエホバは最初から知っていました。では,そうなると分かっていたのにあえて人間が苦しむままにしたのは,不公正なことだったのでしょうか。そうではありません。例えで考えてみましょう。あなたのお子さんが,命に関わる病気の治療のために手術を受ける必要があるとします。お子さんが手術のために苦しい思いをすることを考えると,胸が痛むでしょう。でも同時に,その手術によってお子さんが健康に暮らせるようになることも知っています。同じように神も,人間に支配をさせれば皆が苦しい思いをすることになると分かっていて,そのことを予告してもいました。(創世記 3:16-19)でも,人間がいつまでも幸せに暮らせるようにするには,反逆の悪い結果を全ての人に見させる必要がある,ということも分かっていました。そうすれば,問題が恒久的に解決されます。