とび,I
(Glede)[ヘ語,ダイヤー]
この鳥のヘブライ語名は,申命記 14章13節にある汚れた鳥の一覧表に出て来ますが,それに対応するレビ記 11章14節の一覧表には出ていません。四つのヘブライ語写本,およびサマリア五書とギリシャ語セプトゥアギンタ訳も,申命記 14章13節でダイヤーを省いています。これは元々欄外に置かれていた書写上の訂正がやがて本文自体に書き込まれたものかもしれないと考える学者もいます。しかし,その複数形(ダイヨート)は,エドムの荒廃後の廃墟に集まる鳥たちを表わす語として,イザヤ 34章15節に出ています。
この鳥は明確には同定されていません。そのヘブライ語名は,「襲いかかる」または「突進して来る」という意味の動詞に由来するのではないかと言われています。“glede”(とび)というのは,数種の猛きんの総称として色々な鳥に使える語なので,適切な訳語です。しかし,特に当てはまるのはアカトビ(Milvus milvus)です。現代の大抵の学者たちは,ダイヤーというヘブライ語をとび(kite)と関係づけています。パレスチナでは,この鳥の幾つかの種類が見られます。―「とび,II」を参照。