5,6. アンモン人とイスラエル人はどういう関係にありましたか。
5 アンモンとモアブとエドムは,イスラエルといわば血縁関係にありました。しかし,そのような親族的なつながりがあり,歴史が重なっていたにもかかわらず,それらの国々は長い年月にわたって神の民に敵対し,「軽蔑」を示しました。(エゼ 25:6)
6 アンモン人は,アブラハムのおいだったロトの子孫で,ロトの下の娘の血筋です。(創 19:38)アンモン人の言語はヘブライ語と非常に似ていたので,神の民も理解できたと思われます。こうした親族的な絆があったため,エホバはイスラエル人に,アンモンに戦いを仕掛けてはならないと命じました。(申 2:19)ところが,裁き人の時代に,アンモン人はモアブ人の王エグロンに加担してイスラエルを虐げました。(裁 3:12-15,27-30)後に,サウルが王になった時,アンモン人はイスラエルを攻めました。(サム一 11:1-4)エホシャファト王の時代にも再びモアブと手を組み,約束の地に攻め込みました。(代二 20:1,2)
7. モアブ人は親戚であるイスラエル人にどんなことをしましたか。
7 モアブ人もロトの子孫で,ロトの上の娘の血筋でした。(創 19:36,37)エホバはイスラエル人に,モアブと戦ってはならないと命じました。(申 2:9)ところが,モアブ人の方は親切を全く示しませんでした。親戚であるイスラエル人たちがエジプトでの奴隷状態から逃れてきた時に助けようとせず,逆に約束の地に入るのを邪魔しました。モアブ人の王バラクはバラムを雇ってイスラエル人に災いがあるよう願い求めさせ,バラムはバラクに,イスラエル人の男性たちを誘惑して不道徳や偶像崇拝を行わせる方法を教えました。(民 22:1-8; 25:1-9。啓 2:14)エゼキエルの時代まで幾世紀もの間,モアブ人はイスラエル人を虐げ続けました。(王二 24:1,2)
8. エホバがエドムをイスラエルの兄弟と呼んだのはなぜですか。それなのにエドム人はどんな行動を取りましたか。
8 エドム人は,ヤコブの双子の兄エサウの子孫でした。イスラエルと非常に近い関係だったので,エホバはエドム人をイスラエル人の兄弟と呼びました。(申 2:1-5; 23:7,8)それなのに,エドム人はイスラエル人がエジプトを脱出した時から,紀元前607年にエルサレムが滅びるまで,イスラエルに敵対し続けました。(民 20:14,18。エゼ 25:12)エルサレムが陥落した時,エドム人はエルサレムを荒廃させるようバビロニア人をけしかけ,イスラエルが苦しむのを見て喜んだだけでなく,逃げようとしたイスラエル人を捕らえて敵に引き渡しました。(詩 137:7。オバ 11,14)
9,10. (ア)アンモン,モアブ,エドムはどうなりましたか。(イ)これらの国の人たち全員がイスラエルに敵対したわけではありません。どんな例からそのことが分かりますか。
9 エホバはイスラエルの“親戚たち”に,ご自分の民に対する仕打ちの責任を問いました。次のように述べています。「私は……アンモン人[を]東方の人たちに渡し,所有させる。アンモン人が国々の間で思い出されることはない」。「私はモアブで刑を執行し,モアブ人は私がエホバであることを知らなければならなくなる」。(エゼ 25:10,11)エルサレムの陥落のおよそ5年後,バビロニアがアンモンとモアブを征服した時に,これらの預言が実現し始めました。エホバはエドムについても,「私は……人々と家畜を滅ぼし,土地を荒廃させる」と予告しました。(エゼ 25:13)予告通り,アンモンもモアブもエドムもやがて存在しなくなりました。(エレ 9:25,26; 48:42; 49:17,18)
10 とはいえ,これらの国の人たち全員が神の民に敵対したわけではありません。例えば,ダビデ王の勇士たちの中に,アンモン人ツェレクとモアブ人イトマがいました。(代一 11:26,39,46; 12:1)モアブ人の女性ルツは,エホバの忠実な崇拝者になりました。(ルツ 1:4,16,17)
妥協して“崖”から足を踏み外してはならない。
11. アンモン,モアブ,エドムと,イスラエルとの間に生じた事柄から,どんな教訓を学べますか。
11 これらの国とイスラエルとの間に生じた事柄から,どんな教訓を学べるでしょうか。まず,イスラエルが警戒を弱めた時に,“親戚たち”の間違った宗教の汚れた習慣が入り込んだ,ということです。例えば,モアブ人の神である,ペオルのバアルや,アンモン人の神であるモレクを崇拝してしまいました。(民 25:1-3。王一 11:7)私たちにも同様のことが生じ得ます。エホバの証人ではない親族が,私たちの警戒を弱めさせようと圧力をかけてくるかもしれません。例えば,クリスマスや正月などに付き物の,間違った宗教信条に根差した行事に私たちが参加しない理由を理解できず,良かれと思って,ほんの少しでも妥協させようとするかもしれません。そうした圧力に屈しないことは非常に大切です。イスラエルの歴史が示しているように,妥協して“崖”から一歩でも足を踏み外すなら,悲惨な結果になりかねません。
12,13. 私たちはどんな反対を受けるかもしれませんか。エホバを揺るぎなく支持するなら,どうなる可能性がありますか。
12 アンモン,モアブ,エドムと,イスラエルとの関係から,ほかにも学べる教訓があります。私たちは,エホバの証人ではない親族から厳しい反対を受けるかもしれません。イエスが警告したように,私たちが伝えるメッセージが「分裂を生じさせ……息子が父に,娘が母に……逆ら[う]」ようになる場合があります。(マタ 10:35,36)エホバがイスラエル人に“親戚たち”と争いを起こさないよう指示したので,私たちもエホバの証人ではない親族と争わないようにします。そして,反対されても驚きません。(テモ二 3:12)
13 親族がエホバの崇拝に直接反対しないとしても,親族の意向をエホバよりも優先させてはなりません。なぜなら,エホバは私たちの心の中で第一の場所を占めるべき方だからです。(マタイ 10:37を読む。)加えて,私たちがエホバを揺るぎなく支持するなら,親族がツェレクやイトマやルツのようになり,清い崇拝に加わる可能性があります。(テモ一 4:16)そうなれば,その人たちも唯一の真の神に仕えることができ,神に愛され守られる喜びを味わえます。