16-17. (ア)イエスはどんな思いで伝道に取り組んでいましたか。(イ)イエスが生活の中で伝道を最優先していたことがどんなことから分かりますか。
16 イエスは伝道を非常に価値のある仕事だと感じていました。伝道によって,天の父がどんな方なのかを正しく知るよう人を助けることができるからです。当時,人間の教理や伝統に惑わされて真実を知らない人たちが多くいました。イエスはそういう人たちがエホバとの友情を築き,永遠に生きる希望を持てるよう助けたいと強く願っていました。良い知らせを聞いて元気になってほしいと思っていました。イエスのそういう思いがどんなことに表れていたか,3つの点を考えてみましょう。
17 第一に,イエスは生活の中で伝道を最優先しました。王国について語ることはイエスのライフワークで,その活動を何よりも大切にしていました。だからこそイエスは,第5章で考えたように,いつも簡素な生活を送っていました。人にアドバイスした通り,自分自身も一番大事なことに目の焦点を合わせていました。支払いや維持管理などに気を散らされないように,多くの物を持つことはしませんでした。宣教がおろそかになってしまうことが決してないようにしたのです。(マタイ 6:22; 8:20)
18. イエスが宣教に全力を尽くしたとどうして分かりますか。
18 第二に,イエスは宣教に全力を尽くしました。膨大な労力を費やして,パレスチナ全域を文字通り何百キロも歩き,良い知らせを伝えられる人たちを探しました。個人の家,広場,市場,野山など,さまざまな場所で人と話しました。休憩や食事,親しい友たちとの憩いのひとときが必要な時でさえ,語るのをやめませんでした。死ぬ間際にも,そばにいる人に神の王国の良い知らせを伝えました。(ルカ 23:39-43)
19-20. イエスはどんな例えで,緊急に伝道する必要があることを示しましたか。
19 第三に,イエスは宣教の緊急性を意識していました。スカルの町の外にあった井戸の所でサマリア人の女性と話した時のことをもう一度考えてみましょう。イエスの使徒たちはその時,良い知らせを緊急に伝える必要があるとは思っていなかったようです。そんな使徒たちにイエスはこう言いました。「あなたたちは,収穫までまだ4カ月あると言っていませんか。しかし,目を上げて畑を見なさい。もう色づいて収穫できます」。(ヨハネ 4:35)
20 イエスが語ったこの例えは,その時期にぴったりのものでした。現代の暦では11月半ばから12月半ばに相当するキスレウの月だったようです。ニサン14日の過ぎ越しの頃に行われる大麦の収穫まで,まだ4カ月ありました。ですから,農家の人は急いで収穫をしなければならないとは全く思っていませんでした。しかし,人々を集める比喩的な収穫についてはどうでしょうか。多くの人が聞いて学びたいと思っていました。キリストの弟子となって,エホバが与えてくださる素晴らしい希望を喜んで受け入れることのできる状態だったのです。あたかも熟した穀物がそよ風に揺れながら収穫を待っているかのようでした。イエスは比喩的な意味で,そのように色づいた畑を見渡していました。 収穫の時が来ているので,すぐに取り掛からなければなりません。それで,後にある町の住民から引き留められた時,イエスはこう言いました。「私はほかの町にも神の王国の良い知らせを広めなければなりません。そのために遣わされたからです」。(ルカ 4:43)
21. どのようにイエスに見習えますか。
21 これらの3つの点で,私たちもイエスに見習えます。クリスチャンとして,生活の中で伝道を最優先しましょう。仕事や家族の世話をしなければならないとしても,イエスのように熱心に伝道する習慣を持つことが大切です。(マタイ 6:33。テモテ第一 5:8)また,自分の時間や体力や持っている物を惜しみなく使って,宣教に全力を尽くしましょう。(ルカ 13:24)そして,宣教の緊急性をいつも意識していましょう。(テモテ第二 4:2)あらゆる機会に,会う人に真理を伝える努力を払いたいものです。
22. 次の章ではどんなことについて考えますか。
22 イエスは伝道し教える活動が非常に大切だということをよく分かっていたので,自分の死後も活動が続くようにしました。その活動を続ける任務を弟子たちに与えたのです。その任務について次の章で詳しく取り上げます。