7. ティルスに着いたパウロたちは何をしましたか。
7 パウロは仲間の大切さを知っていて,一緒にいたいと思っていました。ティルスに着くと「私たちは弟子たちを捜し当て[た]」と,ルカは書いています。(使徒 21:4)一行は,ティルスにもクリスチャンがいることを知っていたので,捜すことにしたわけです。見つけた仲間の家に泊まったと思われます。うれしいことに,私たちクリスチャンには,どこに行っても歓迎してくれる仲間がいます。エホバを愛し,エホバに仕える人には,世界中に友達がいます。
8. 使徒 21章4節の記録はどういうことですか。
8 ティルスにいた7日の間にあったことについて,ルカはこう書いています。「弟子たちは聖なる力によって知らせを受け,パウロに,エルサレムに足を踏み入れないようにと繰り返し告げた」。(使徒 21:4)これはいったいどういうことでしょう。エホバは考えを変えたのでしょうか。エルサレムに行くのはやめるように,と指示しているのでしょうか。そうではありません。この時より前に聖なる力は,エルサレムでひどい仕打ちを受けるとパウロに告げていましたが,そこに行ってはいけないとは言っていませんでした。ティルスの兄弟たちも,パウロがエルサレムで危険な目に遭うことを,この時聖なる力によって知ったようです。それで,心配するあまり,行かないように勧めました。パウロに苦しい思いをさせたくなかった兄弟たちの気持ちも分かります。それでもパウロは,エホバの望んでいる通りに行動すると決めていたので,エルサレムへの旅を続けました。(使徒 21:12)
9,10. (ア)エルサレムに行かないようにと兄弟たちから言われて,パウロはどんなことを思い浮かべたかもしれませんか。(イ)今の世の中でも,どんな考えがよく聞かれますか。それはイエスが言っていることとどのように違いますか。
9 エルサレムに行かないようにと兄弟たちから言われて,パウロはイエスのことを思い浮かべたかもしれません。イエスも同じようなことを言われました。自分がエルサレムに行き,いろいろな苦しみを味わい,殺されるということを弟子たちに話した時,ペテロが思わずこう言いました。「主よ,自分を大切にしてください。決してそのような目には遭いません」。イエスはこう答えました。「私の後ろに下がれ,サタン! あなたは私の邪魔をしています。神の考えではなく,人間の考えを抱いているからです」。(マタ 16:21-23)イエスは,神からの使命を果たすために命を犠牲にする覚悟でいました。パウロも同じ気持ちでいます。ティルスの兄弟たちはペテロと同じく,相手のことを思っていましたが,神の考えをきちんと理解できていませんでした。
10 今の世の中でも,自分を大切にしようとか,楽に生きようといった考えがよく聞かれます。何かを信仰するとしても,あまり多くのことが求められない楽な宗教が選ばれがちです。でも,そういう考え方はイエスが教えていることとは違います。「誰でも私に付いてきたいと思うなら,自分を捨て,苦しみの杭を持ち上げ,絶えず私の後に従いなさい」。(マタ 16:24)イエスの後に従うのは正しい生き方で,賢い選択ですが,決して楽な道ではありません。
11. ティルスの弟子たちがパウロを愛していたことは,どんなことから分かりますか。
11 パウロとルカたちが出発する時間がやって来ました。心温まる別れの場面が記録されています。ティルスの兄弟たちはパウロのことを心から愛し,応援しています。兄弟姉妹や子供たちがパウロとルカたちに浜辺まで付いていきます。そこでみんなでひざまずいて祈り,別れを告げます。それから,一行は船に乗ってプトレマイスに向かいます。プトレマイスに着くと兄弟たちに会い,1日一緒に過ごしました。(使徒 21:5-7)
12,13. (ア)フィリポはどんな奉仕をしてきましたか。(イ)クリスチャンの父親はフィリポのどんなところに倣えますか。
12 ルカの記録によると,パウロたちは次にカエサレアに向かいます。そこに着いてから,「福音伝道者フィリポの家に入」りました。 (使徒 21:8)パウロたちはフィリポとの再会を喜んだはずです。20年ほど前,エルサレムでクリスチャン会衆が発足して間もない頃,フィリポは使徒たちから,食料を配る仕事を任されました。フィリポはその頃からずっと熱心に奉仕してきました。迫害によって弟子たちが散り散りになった時には,サマリアに行って伝道しました。その後,エチオピアの宦官に伝道し,バプテスマを施しました。(使徒 6:2-6; 8:4-13,26-38)フィリポは本当によくやってきていました。
13 今もフィリポは宣教への情熱を持っています。ルカは彼のことを「福音伝道者」と呼んでいます。カエサレアに落ち着いてからも熱心に伝道していたことが分かります。フィリポにはこの時,娘が4人いて,どの娘も預言していました。父親の生き方に倣っていたのです。 (使徒 21:9)フィリポはエホバについて家族によく教えていたことでしょう。現代でも,クリスチャンの父親たちがフィリポに倣っています。進んで伝道に出掛け,宣教を好きになれるよう子供たちを助けています。
14. パウロたちと各地の兄弟たちは,どんなひとときを過ごしましたか。現代でもどんな機会がありますか。
14 パウロは行く先々で仲間のクリスチャンを捜し,一緒に時を過ごしました。クリスチャンたちは喜んでパウロたちを迎え,もてなしたことでしょう。そうやってみんなで「励まし合う」ことができました。(ロマ 1:11,12)現代でも,巡回監督と妻が来る時,簡素な家でも泊まれる場所を提供するなら,思い出になるひとときを過ごせます。(ロマ 12:13)