ポイント
どうすればクリスチャンとして成長し,エホバに喜ばれる考え方や決定ができるようになるかを考えます。
1. エホバは私たちがどうすることを望んでいますか。
赤ちゃんが生まれると,親はとても幸せな気持ちになります。でもかわいいからといって,ずっと赤ちゃんのままでいてほしいとは思わないはずです。あまり成長していないように思えるなら,とても心配になるでしょう。エホバも同じです。私たちが一歩踏み出してイエスの弟子になる時,エホバはとても喜びます。でもいつまでもクリスチャンとして子供のままでいるのではなく,「大人になって」ほしいと思っています。(コリ一 3:1; 14:20)
2. この記事ではどんな点を考えますか。
2 クリスチャンとして大人になるとはどういうことでしょうか。成長するためにどんなことができるでしょうか。聖書の深い真理を理解することはどのように助けになるでしょうか。自己過信に注意するべきなのはどうしてでしょうか。この記事ではこうした点を考えます。
クリスチャンとして大人になるとはどういうことか
3. クリスチャンとして大人になるとはどういう意味ですか。
3 聖書で「大人になる」と訳されているギリシャ語には「十分に成長した」とか「完全な」という意味もあります。 (コリ一 2:6)赤ちゃんが大人になるまで成長を続けるのと同じように,私たちもクリスチャンとして成長していく必要があります。この成長に終わりはありません。(テモ一 4:15)若い人を含め,全ての人がクリスチャンとして大人になることができます。では,自分が成長しているかどうかはどうすれば分かるでしょうか。
4. 成長したクリスチャンとはどんな人ですか。
4 成長したクリスチャンは,より好みをしたりせず,エホバが求めていることを全てその通りに行います。もちろん,完璧ではないので失敗することもあります。それでも,毎日の生活の中でエホバに喜ばれる考え方や行動ができるようにベストを尽くします。新しい人格を身に着け,エホバと同じような考え方をするように努力を続けます。(エフェ 4:22-24)エホバの教えや基準を調べ,よく考えて決定するので,何をするにも細かなルールが必要ということはありません。そして一度決めたなら,強い意志を持ってそれに取り組みます。(コリ一 9:26,27)
5. 十分に成長していないクリスチャンにはどんな危険がありますか。(エフェソス 4:14,15)
5 一方,十分に成長していないクリスチャンは容易に「欺かれたり,ずる賢いたくらみに乗せられたり」,陰謀論を広める人や背教者にだまされたりしてしまいます。 (エフェソス 4:14,15を読む。)また,嫉妬したり,争いを起こしたり,すぐに腹を立てたり,誘惑に負けたりしてしまうこともあります。(コリ一 3:3)
6. クリスチャンとして成長することをどんな例えで考えられますか。(写真と挿絵も参照。)
6 先ほど考えた通り,クリスチャンとして成長することは子供が大人になることに似ています。子供は洞察力がないので,大人に見守ってもらう必要があります。例えで考えてみましょう。母親は道路を渡る時に,幼い娘に手をつないでおくようにと言うかもしれません。娘が少し大きくなれば,母親は娘が1人で道路を渡ることを許すかもしれませんが,右左をよく見てから渡るようにと毎回注意するでしょう。そして大人になれば,親から言われなくても自分でこうした危険を避けられるようになります。幼い子供が親から注意してもらう必要があるのと同じで,十分に成長していないクリスチャンは,エホバとの絆を弱めるようなものを避けたり良い決定をしたりするために,成長したクリスチャンに助けてもらう必要があります。一方,成長したクリスチャンは聖書を調べてエホバの考えを理解し,それに合わせて行動することができます。
7. 成長したクリスチャンもほかの人の助けを必要としますか。
7 成長したクリスチャンはほかの人の助けを全く必要としないということでしょうか。いいえ,必要とすることもあります。でも,十分に成長していないクリスチャンとは違って,自分で決めなければいけないことまでほかの人に決めてもらおうとしたり,どうしたらいいか教えてもらおうとしたりはしません。ほかの人の経験を聞いて学びますが,「自分の荷を自分で負う」必要があることをよく理解しています。(ガラ 6:5)
8. 成長したクリスチャンがみんな同じようになるわけではありません。どうしてそういえますか。
8 大人になれば,みんなが同じような見た目になるわけではありません。それと同じで,成長したクリスチャンの中には,知恵や勇気に優れている人もいれば,気前よく与える人や思いやり深い人もいます。また,成長したクリスチャンは聖書の基準に沿った決定をしますが,みんなが同じ決定をするというわけではありません。良心に基づいて決める場合は特にそうです。このことをよく理解しているので,ほかの人のことを批判したりせずに,一致してエホバに仕えることができます。(ロマ 14:10。コリ一 1:10)
どうすれば成長したクリスチャンになれるか
9. ただ時間がたてばクリスチャンとして成長できますか。
9 子供は時間がたてば成長していくものですが,クリスチャンとしての成長はそうはいきません。コリントの兄弟姉妹は良い知らせを信じるようになり,バプテスマを受けました。そして聖なる力を受け,使徒パウロからじかに教えてもらうという経験もしました。(使徒 18:8-11)でも,バプテスマから数年たっても多くの人は十分に成長していませんでした。(コリ一 3:2)では,私たちはどうすればそうならないで済むでしょうか。
10. クリスチャンとして大人になるためには何をする必要がありますか。(ユダ 20)
10 クリスチャンとして大人になるためには,そうなりたいという気持ちをまず育てる必要があります。「経験のなさを好む」人は,クリスチャンとして子供のままでいる方がいいと考え,成長しようとしません。(格 1:22)でも私たちは,見た目は大人なのに親がいないと何も決められない人のようになりたいとは思わないはずです。自分のことには自分で責任を持ち,エホバとの絆を強めていきたいと思うことでしょう。(ユダ 20を読む。)クリスチャンとして大人になることを目指しているなら,「行動するための意欲と力の両方を」求めてエホバに祈ってください。(フィリ 2:13)
11. エホバは私たちが大人のクリスチャンになれるよう,どのように助けてくれていますか。(エフェソス 4:11-13)
11 エホバは,私たちが自分の力だけでクリスチャンとして十分に成長することを期待してはいません。私たちは会衆の牧者,また教える人に助けてもらうことによって「十分に成長した人となり,キリストの背丈に達する」ことができます。(エフェソス 4:11-13を読む。)また,エホバの聖なる力の助けを得るなら,「キリストと同じ考え方」ができます。(コリ一 2:14-16,脚注)さらに,エホバが4福音書を記録してくださったので,人間として生きたイエスの考え方や話し方,行動について学ぶことができます。その手本に倣うなら,大人のクリスチャンになれます。
聖書の深い真理を理解する
12. 「キリストに関する初歩の教理」とは何ですか。
12 クリスチャンとして成長するためには,「キリストに関する初歩の教理より先に進」む必要があります。この初歩の教理には,悔い改め,信仰,バプテスマ,復活についての教えが含まれています。(ヘブ 6:1,2)これはクリスチャンにとって土台となる教えです。それでペテロは,ペンテコステの時にこうしたものの幾つかについて話しました。(使徒 2:32-35,38)キリストの弟子になるためには,初歩の教理を信じて受け入れる必要があります。パウロは,復活の教えを否定するならクリスチャンとしての信仰全体を否定することになる,と警告しました。(コリ一 15:12-14)とはいえ,こうした基本的な知識だけで満足していてはいけません。
13. 「固い食物」を取り入れるとはどういうことですか。(ヘブライ 5:14)(写真も参照。)
13 初歩の教理だけでなく,「固い食物」を取り入れるように努力しましょう。エホバのおきてだけでなく,聖書のさまざまな記述を学び,じっくり考え,自分の生活に当てはめることが大切です。そのようにしてエホバの気持ちや考え方を理解するなら,エホバに喜ばれる決定を下せるようになるでしょう。 (ヘブライ 5:14を読む。)
14. パウロはコリントのクリスチャンをどのように助けましたか。
14 クリスチャンとして十分に成長していない人は,聖書からエホバの考えを読み取って自分の生活に当てはめるのを難しく感じることがよくあります。聖書にはっきりとしたルールが書かれていないならどんな決定をしてもいい,と考える人もいます。逆に,ルールがないと何も決められない,という人もいます。例えば,コリントのクリスチャンはパウロに,偶像に捧げられた物を食べてよいかどうかを判断してほしいと頼んだようです。でもパウロは,一人一人に良心が与えられていて「選択の権利」がある,ということをよく理解していました。それでルールを作ることはしませんでした。聖書の教えに注目させ,自分の良心が痛まず,ほかの人にも罪を犯させないような決定をするように教えました。(コリ一 8:4,7-9)このようにしてパウロは,コリントの兄弟姉妹がクリスチャンとして成長できるように助けました。ほかの人に頼ったり,ただルールを探したりするのではなく,一人一人が識別力を働かせて良い判断ができるようになってほしいと思っていたのです。
15. ヘブライ人のクリスチャンが成長できるよう助けるために,パウロはどんなことをしましたか。
15 パウロがヘブライ人のクリスチャンに宛てて書いた手紙から大切なことを学べます。一部の兄弟姉妹はクリスチャンとして成長するどころか,「固い食物ではなく,乳を必要とする状態に逆戻りして」いました。(ヘブ 5:12)会衆を通して徐々に明らかにされていた真理を受け入れることができていませんでした。(格 4:18)例えば,クリスチャンになったユダヤ人の多くは,キリストの犠牲によってモーセの律法が無効になってから30年ほどたった後も,律法に従う必要があると主張していました。(ロマ 10:4。テト 1:10)30年もあれば,この新しい理解に自分の考え方を合わせるのは難しくなかったはずです。パウロは,ヘブライ人のクリスチャンがさらに成長することを願っていました。それで,聖書の深い真理を理解できるように助けるために手紙を書きました。それは,エホバを崇拝するための新たな方法がどれほど優れているかを理解し,ユダヤ人に反対されても勇気を持って伝道を続ける助けになったことでしょう。(ヘブ 10:19-23)
自己過信に注意する
16. クリスチャンとして十分に成長することに加え,どんなことに気を付ける必要がありますか。
16 私たちはクリスチャンとして十分に成長するよう努力するだけでなく,逆戻りしないようにも気を付ける必要があります。その中には自己過信を避けることも含まれます。(コリ一 10:12)自分が成長し続けているか「いつも確かめ」ることは大切です。(コリ二 13:5)
17. パウロがコロサイの会衆に宛てた手紙から,クリスチャンとして子供に逆戻りしないように努力することの大切さがどのように分かりますか。
17 コロサイのクリスチャンに宛てた手紙の中でも,パウロはクリスチャンとして大人でいることの大切さを教えました。パウロは,十分に成長していたコロサイの兄弟姉妹に向けて,世の中の考え方に影響されないよう警告しました。(コロ 2:6-10)また,コロサイの会衆のことをよく知っていたと思われるエパフラスも,兄弟姉妹が「最終的に欠けたところがない者となり,……しっかり立てるよう」いつも祈っていました。(コロ 4:12)パウロもエパフラスも,“子供”に逆戻りしないようにするためにはエホバに助けを求め,自分でも努力する必要があるということをよく理解していました。コロサイの兄弟姉妹がどんな問題を経験するとしても,クリスチャンとして成長した状態から逆戻りしてほしくない,と思っていたのです。
18. クリスチャンとして十分に成長した人でもどんなことが起き得ますか。(写真も参照。)
18 パウロは,ヘブライ人のクリスチャンへの手紙の中で,クリスチャンとして十分に成長した人でも,エホバから完全に見放されてしまうことがある,と警告しました。それは,悔い改めることもなく,エホバからの許しを受け入れようともしないほど頑固になってしまった場合です。ヘブライ人のクリスチャンたちは,そこまでエホバから離れてはいませんでした。(ヘブ 6:4-9)現在集会や奉仕をお休みしている人や,排斥されている人たちについてはどうでしょうか。謙虚に悔い改めるなら,エホバから完全に見放されるということはありません。しかし,エホバのもとに戻ってくるためには,エホバからの助けを受け入れる必要があります。(エゼ 34:15,16)長老たちは,そのような人たちがエホバとの絆を取り戻せるように,経験ある兄弟姉妹からの助けを受けられるよう取り計らうこともあります。
19. どんなことを目標にできますか。
19 クリスチャンとして成長することに今取り組んでいるなら,その目標を必ず達成することができます。これからも聖書の真理を学び,エホバと同じ考え方ができるように努力していきましょう。そして,クリスチャンとしてすでに成長している人も,エホバとの強い絆を保つことを決意しましょう。