いつも正直でいる

1，2. エホバは，正直でいようと努力する私たちを見て，どう思いますか。

男の子が学校帰りに，財布が落ちているのを見つけます。中にはお金がいっぱい入っています。どうするでしょうか。もらってしまうでしょうか。男の子はそうはせず，きちんと持ち主に財布を返しました。お母さんはそのことを聞いて，うれしく思います。

² 子供が正直だと，親はとてもうれしく思います。「真実の神」である天のお父さんエホバも，私たちが正直だとうれしく思います。（ゼカリヤ 8:8）エホバに喜んでもらえるように，「私たちは……何事においても正直に行動したいと願っています」。（ヘブライ 13:18）でも，正直でいるのが難しいこともあります。4つの場面を考えてみましょう。正直でいるのがどれほど素晴らしいことかも考えます。

3-5. （ア）自分についてどんなふうに都合よく考えてしまうかもしれませんか。（イ）どうすれば自分を正直に見つめられますか。

³ 周りの人に正直に接するには，まず自分を正直に見つめることが大切です。それは意外と難しいことです。1世紀のラオデキア会衆の兄弟たちは，自分は神に喜ばれていると思い込んでいましたが，実はそうではありませんでした。（啓示 3:17）私たちも，自分がどんな人かについて都合よく考えてしまうことがあります。

⁴ ヤコブはこう書いています。「自分は神を崇拝していると思っていても，舌を制御していないなら，その人は自分の心を欺いています。その人の崇拝は無意味です」。（ヤコブ 1:26）「良いことをしていれば，たとえ失礼なことや嫌みやうそを言っても，神は許してくれる」と都合よく考えているとしたら，それは良くありません。どうすれば自分を正直に見つめられるでしょうか。

⁵ 自分の外見を確かめるためには，鏡を使います。自分の内面を確認するには，聖書が役立ちます。聖書を読むと，自分の良いところや悪いところが分かります。自分の考え方や行動，話し方について，直した方がよいところに気付けます。（ヤコブ 1:23-25を読む。）自分には何も問題がないと思っていると，成長できません。聖書を使って自分を正直に見つめることはとても大切です。（哀歌 3:40。ハガイ 1:5）祈りも，本当の自分を見つめるのに役立ちます。「私を調べてください。直すべきところに気付けるよう助けてください」とエホバにお願いしましょう。（詩編 139:23，24）「エホバは，欺く人をひどく嫌い，正直な人たちを親しい友と」します。（格言 3:32）

 6. 夫婦が隠し事をせずに正直でいることが大切なのはどうしてですか。

⁶ 家族に正直に接することはとても大切です。夫婦が隠し事をせずに正直でいると，信頼し合えて安心できます。自分の夫や妻以外の人の気を引こうとしたり，隠れて恋愛関係を持ったり，ポルノを見たりするのは不誠実なことです。詩編作者はこう言っています。「[私は]人を欺く者と交友を持ちません。自分がどんな人かを隠す者を避けます」。（詩編 26:4）夫や妻に言えないようなことは，心の中で考えることもしないようにしましょう。

7，8. 聖書を使ってどのように正直さの大切さを子供に教えられますか。

⁷ 子供たちにも正直さの大切さを教えましょう。聖書を使ってそうできます。正直ではなかった人たちの例が聖書に載っています。盗みをしたアカン，お金をもらうためにうそをついたゲハジ，お金を盗んだり銀30枚と引き換えにイエスを裏切ったりしたユダなどです。（ヨシュア 6:17-19; 7:11-25。列王第二 5:14-16，20-27。マタイ 26:14，15。ヨハネ 12:6）

⁸ 聖書には，正直な人たちの例も載っています。見つけたお金を返すように息子たちに勧めたヤコブ，神との約束を守ったエフタと娘，危険な目に遭っても正直だったイエスなどです。（創世 43:12。裁き人 11:30-40。ヨハネ 18:3-11）こういう人たちのことを話して，正直さの大切さを教えてください。

 9. 親が正直でいることが大切なのはどうしてですか。

⁹ ローマ 2章21節には，「あなたは，ほかの人を教えていながら，自分を教えないのですか。『盗んではいけない』と伝えていながら，盗むのですか」とあります。これは，親が覚えておくべき大事な原則です。親の言っていることとやっていることが違うと，子供はすぐに気付きます。正直でいなさいと教えているのに親自身が正直でないと，子供は戸惑います。たとえ小さなことでも親がうそをついていると，子供もうそをつくようになります。（ルカ 16:10を読む。）反対に，親の正直さを見ていると，やがて大人になって子供を持った時，正直で信頼される親になれます。（格言 22:6。エフェソス 6:4）

10. 仲間のクリスチャンと話す時，どんなことに気を付けるとよいですか。

¹⁰ クリスチャンの兄弟姉妹にも正直でいたいと思います。時々，何げない会話が悪いうわさ話になってしまうことがあります。中傷になることさえあります。本当のことかよく分かっていないのに，聞いたことをそのまま話すと，うそを広めることになるかもしれません。「言葉を慎む」ようにしましょう。（格言 10:19）正直というのは，思っていること，知っていること，聞いたことを何でも話す，ということではありません。たとえ本当のことだとしても，自分には関係のないことだったり，話す必要のないことだったりするかもしれません。話すと，誰かが嫌な思いをするかもしれません。（テサロニケ第一 4:11）「ただ正直なだけ」と言い訳して，言いたいことを何でも話すのは良くありません。エホバに喜んでもらえるよう，爽やかで思いやりのあることを話しましょう。（コロサイ 4:6を読む。）

11，12. （ア）重大な間違いをしたのに正直に話さないのは良くありません。どうしてですか。（イ）友達が重大な間違いをしたことを知った時，どんな考え方はしない方がよいですか。どうしてですか。（ウ）報告や申し込みをする時，どんなことが大切ですか。

¹¹ エホバは長老たちに，会衆のみんなを世話する責任を任せています。私たちが長老たちに正直に話すと，長老たちは私たちを助けやすくなります。具合が悪くなってお医者さんに診てもらう時，もし症状をきちんと話さないとしたら，どうでしょうか。良い治療は受けられません。同じように，何か重大な間違いをしてしまったとき，隠したりうそを言ったりすると，良いお世話は受けられません。長老たちに正直に話しましょう。（詩編 12:2。使徒 5:1-11）友達が重大な間違いをしたことを知った場合はどうでしょうか。（レビ 5:1）「友達だから，黙っておいてあげよう」と考えますか。友達がエホバとの友情を取り戻すには，長老たちに助けてもらう必要があるということを忘れないようにしましょう。（ヘブライ 13:17。ヤコブ 5:14，15）

¹² 奉仕報告を出したり，開拓奉仕などの申込書を書いたりする時も，正直さが大切です。自分のことについて正直に書きましょう。（格言 6:16-19を読む。）

13. クリスチャンと仕事の契約をする時，どんなことに気を付けるとよいですか。

¹³ 会衆の活動に商売を持ち込まないようにすることも大切です。王国会館にいる時や伝道中にビジネスの相談はしないようにしましょう。兄弟姉妹との絆を利用して仕事をするのも良くありません。エホバの証人を雇うときも，約束した額の給料を期日通りに払い，保険や有給休暇などを規定されている通りに保障しましょう。（テモテ第一 5:18。ヤコブ 5:1-4）逆に，エホバの証人に雇われるとき，特別扱いを期待してはいけません。（エフェソス 6:5-8）労働時間を守り，すべき仕事をきちんとしましょう。（テサロニケ第二 3:10）

14. 兄弟姉妹と事業を始める時，何をしておくことが大切ですか。

¹⁴ 兄弟姉妹と事業をする場合はどうでしょうか。資金を出したり借り入れたりするかもしれません。大切な聖書の原則があります。合意したこと全てを書面にしておくという原則です。預言者エレミヤは土地を買った時，合意書を2部作りました。片方に証人に署名してもらい，後で確認できるよう両方を保管しておきました。（エレミヤ 32:9-14。創世 23:16-20も参照。）合意事項を書面にするからといって，仲間を信用していないわけではありません。書面にしておけば，後で誤解が生じたり，当てが外れたり，言い合いになったりしないで済みます。ビジネスのことが原因でクリスチャン会衆が平和でなくなるようなことがあってはいけません。（コリント第一 6:1-8。補足情報30を参照。）

15. 商売での不正についてエホバはどう思っていますか。

¹⁵ エホバの証人ではない人に接する時にも，正直でいたいと思います。エホバはそうすることを願っています。例えば，「不正なはかりはエホバにとって忌まわしく，正確な重りは神にとって喜びである」とあります。（格言 11:1; 20:10，23）昔，商取引でははかりがよく使われていました。商人の中には，商品を少なめに渡したり，多めの金額を払わせたりして客をだます人がいました。現代でも不正がよく見られます。エホバは昔も今も不正を憎んでいます。

16，17. クリスチャンはどんなことをしないようにしますか。

¹⁶ 正直さが試される場面は他にもいろいろあります。仕事の面接を受ける時，役所に書類を出す時，学校で試験を受ける時などです。世の中には，うそをついたり，誇張して話したり，ごまかしたりしてもいい，と考える人もいます。聖書で予告されていた通りになっています。「終わりの時代[の]人々は自分を愛し，お金を愛し，……善いことを愛しません」と書かれています。（テモテ第二 3:1-5）

¹⁷ 世の中では正直でない方がうまくやっていけるように思えるかもしれません。（詩編 73:1-8）クリスチャンとして正直でいようとすると，仕事を失ったり，損をしたり，職場で冷たく扱われたりするかもしれません。でも，正直でいることには大きな価値があります。どうしてそう言えるでしょうか。

18. 正直な人という評判はどうして大切ですか。

¹⁸ 世の中には正直で信頼できる人が少なくなっていますが，私たちは正直な人になりたいと思います。（ミカ 7:2）もしかすると，ばか正直だと笑われることもあるかもしれません。でも，私たちの正直さに目を留めて，信頼してくれる人が必ずいます。エホバの証人の正直さは世界中で知られています。エホバの証人は正直なので雇いたい，と言う人もいます。不正なことをして解雇される人がいる中で，正直なエホバの証人は仕事を失わずに済んでいます。

19. いつも正直でいようとする私たちをエホバはどう思ってくれますか。

¹⁹ いつも正直でいるなら，晴れやかな心で気持ちよく毎日を過ごせます。パウロのように，「[私は]曇りのない良心を持っている」と自信を持って言えます。（ヘブライ 13:18，脚注）そして何よりも，優しいお父さんエホバが，いつも正直でいようとする私たちを見て心から喜んでくれます。（詩編 15:1，2，格言 22:1を読む。）