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二匹の凶暴な獣と戦う啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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1,2 (イ)ヨハネは龍について何と言っていますか。(ロ)ヨハネは,龍が用いる目に見える組織を象徴的な言葉遣いでどのように描写していますか。
「大きな龍」は地に投げ落とされました! 啓示の書のこれまでの研究から明らかな通り,蛇,もしくはその追随者である悪霊たちが天に戻ることは決して許されません。しかし,わたしたちと「悪魔またサタンと呼ばれ,人の住む全地を惑わしている者」との関係はまだ終わった訳ではありません。啓示の書の記述は次に,サタンが『女と彼女の胤』と戦うために用いる手段がどのようなものかを大変詳しく明らかにしています。(啓示 12:9,17)ヨハネはあの陰険な龍についてこう言っています。「そして龍は海の砂の上に立ち止まった」。(啓示 13:1[前半])それでは,ちょっと立ち止まって,龍の活動方法を調べてみましょう。
2 サタンとその悪霊たちは存在していますが,そのために聖なる天はもはや悩まされることはありません。それらの邪悪な霊は天から放逐され,地の近辺に閉じ込められています。現代に心霊術に関係のある慣行が大変増えたのは,そのためでしょう。こうかつなその蛇は依然として,腐敗した霊の組織を維持しています。しかし,サタンは人類を誤導するために,目に見える組織をも用いますか。ヨハネはわたしたちにこう語ります。「また,わたしは一匹の野獣が海から上って行くのを見た。十本の角と七つの頭があり,その角の上には十の王冠があったが,その頭には冒とく的な名があった。
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二匹の凶暴な獣と戦う啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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3 (イ)預言者ダニエルは幻の中でどんな凶暴な獣を見ましたか。(ロ)ダニエル 7章の巨大な獣は何を表わしていましたか。
3 この奇怪な獣は何でしょうか。聖書そのものが答えを述べています。西暦前539年にバビロンが陥落する前に,ユダヤ人の預言者ダニエルは凶暴な獣に関する幻を見ました。ダニエルはダニエル 7章2節から8節で,海から出て来る四頭の獣を描写しています。第一の獣はライオンに似ており,第二の獣は熊に,第三の獣はひょうに似ています。第四の獣については,「見よ,四番目の獣,恐ろしく,すさまじく,際立って強いものがいた……しかも十本の角があった」と記されています。これはヨハネが西暦96年ごろに見た野獣と驚くほどよく似ています。この獣にもライオン,熊,およびひょうの特徴があり,また十本の角があります。ダニエルが見た巨大な獣の実体は何ですか。ダニエルは,「これらの巨大な獣(は)……地から立ち上がる四人の王(である)」と教えています。(ダニエル 7:17)そうです,これらの獣は「王」,つまり地上の政治強国を表わしています。
4 (イ)ダニエル 8章のもう一つの幻の中で,雄羊と雄やぎはそれぞれ何を描いたものでしたか。(ロ)雄やぎの大いなる角が折られて,四本の角に取って代わられたことは,何を示唆していましたか。
4 ダニエルはもう一つの幻の中で,二本の角のある雄羊が一本の大きな角のあるやぎに打ち倒されるのを見ました。み使いガブリエルはそれが何を意味するかをダニエルにこう説明しています。「雄羊はメディアとペルシャの王を表わしている。また,毛深い雄やぎはギリシャの王を表わしている」。ガブリエルはさらに,その雄やぎの大いなる角が折られて,四本の角に取って代わられることを預言しました。このことは200年以上の後,アレクサンドロス大王が死んで,その王国が同大王の四人の将軍の支配する四つの王国に分裂した時に実際に起きました。―ダニエル 8:3-8,20-25。a
5 (イ)獣を意味するギリシャ語は,どんな言外の意味を表わしていますか。(ロ)啓示 13章1,2節の野獣とその七つの頭は何を表わしていますか。
5 ですから,霊感を受けて記された聖書の著者は明らかに,地上の政治強国を獣とみなしておられます。それはどのような獣でしょうか。ある注解者は啓示 13章1,2節の野獣のことを「けだもの」と呼び,さらに,「我々は,『テーリオン』[「獣」を意味するギリシャ語]が表わす,残忍で,破壊的で,恐ろしい,貪欲な動物,つまり怪物というような言外の意味すべてを真実とみなしている」と述べています。b これは,サタンが人類を支配するのに用いてきた血まみれの政治組織を何とよく描写しているのでしょう。この野獣の七つの頭は,聖書歴史の中でヨハネの時代に至るまで特徴づけられている六つの主要な世界強国,つまりエジプト,アッシリア,バビロン,メディア-ペルシャ,ギリシャ,およびローマと後代に現われることが預言されていた第七世界強国とを表わしています。―啓示 17:9,10と比較してください。
6 (イ)野獣の七つの頭は何をすることに率先しましたか。(ロ)神はユダヤ人の事物の体制に対するご自分の裁きを執行するため,どのようにローマをお用いになりましたか。エルサレムにいたクリスチャンはどうなりましたか。
6 ヨハネの見た「野獣」が,七つの頭と十本の角と一つの体でできていた通り,確かに歴史の中では七つの世界強国以外にもほかの世界強国がありました。しかし,七つの頭は,それぞれ順番に神の民を虐げることに率先した七つの主要な世界強国を表わしています。ローマが興隆しつつあった西暦33年に,サタンは野獣のその頭を用いて,神のみ子を殺させました。その時,神は不忠実なユダヤ人の事物の体制を捨て去り,その後,西暦70年にはご自分の裁きをその国民に執行することをローマにお許しになりました。幸い,真の神のイスラエル,つまり油そそがれたクリスチャンの会衆は前もって警告を受けていたので,エルサレムとユダヤにいた人たちはヨルダン川の向こう側の安全な所にすでに逃れていました。―マタイ 24:15,16。ガラテア 6:16。
7 (イ)事物の体制の終結の時が到来し,主の日が始まった時,何が起きることになっていましたか。(ロ)何が啓示 13章1,2節の野獣の七番目の頭であることが分かりましたか。
7 しかし,西暦1世紀の終わりまでに,この初期の会衆の多くの人々が真理を捨てたので,真のクリスチャンという小麦,つまり「王国の子たち」は大方,雑草,つまり「邪悪な者の子たち」のために成長が止まってしまいました。しかし,事物の体制の終結の時が到来するに及んで,油そそがれたクリスチャンは再び組織された集団として出現しました。主の日の期間中に,義人たちは「太陽のように明るく輝く」ことになっていました。ですから,クリスチャンの会衆は業を行なうよう組織されました。(マタイ 13:24-30,36-43)このころまでには,ローマ帝国はもはや存在しなくなりました。巨大な大英帝国と共に強力なアメリカ合衆国が世界の舞台の中心的な場所を占めました。この二重世界強国は野獣の七番目の頭であることが分かりました。
8 英米二重世界強国が獣に例えられているからと言って,これはどうしてひどい話ではないのでしょうか。
8 統治中の政治強国を野獣とみなすのは,ひどい話ではありませんか。第二次世界大戦中,地上の至る所の法廷でエホバの証人の組織ならびに個人としての身分に関して異議が申し立てられた時,一部の反対者たちはその通りのことを言いました。しかし,ゆっくり考えてみてください! 諸国民自身,獣,もしくは野生生物を自分たちの国家の象徴としているのではありませんか。例えば,英国のライオン,アメリカの鷲,中国の竜などがあります。ですから,聖書の神聖な著者も獣を用いて世界強国を象徴しておられるからと言って,だれにせよ,一体どうして異議を唱えなければならないのでしょうか。
9 (イ)人は,サタンがその大きな権威を野獣に与えていると聖書が述べていることに異議を唱えるべきでないのは,なぜでしょうか。(ロ)聖書ではサタンはどのように描かれていますか。サタンは諸政府にどのように影響を及ぼしますか。
9 さらに,大きな権威を野獣に与えるのはサタンであると聖書は述べていますが,だれであれ,一体どうしてこのことに異議を唱えなければならないのでしょうか。その陳述の源は神であられ,神のみ前では『諸国民は手おけの一しずくのようであり,はかりの上の塵の薄い層のようです』。それら諸国民は,神の預言的なみ言葉の中で自分たちのことが描写されている仕方に腹を立てるよりも,神の恵みを得ようと努めるほうが良いでしょう。(イザヤ 40:15,17。詩編 2:10-12)サタンは死んだ魂を火の燃える地獄で責め苦に遭わせる役目を割り当てられた神話上の存在などではありません。そのような場所は存在しません。それどころか,サタンは聖書では「光の使い」として描かれており,政治情勢全般にわたって強力な影響力を行使する,欺きの名人です。―コリント第二 11:3,14,15。エフェソス 6:11-18。
10 (イ)十本の角の各々に王冠があったことは何を示していますか。(ロ)十本の角と十の王冠は何を象徴していますか。
10 野獣にはその七つの頭に十本の角があります。多分,四つの頭にそれぞれ一本の角があり,三つの頭にはそれぞれ二本の角があるのでしょう。その上,その角には十の王冠がありました。ダニエル書では,恐ろしい獣が描かれていて,それらの角の数は文字通りに解釈することができます。例えば,雄羊の二本の角は,メディアとペルシャの二つの共同国家で成る世界帝国を表わす一方,やぎの四つの角は,アレクサンドロス大王のギリシャ帝国から生じて共存した四つの帝国を表わしました。(ダニエル 8:3,8,20-22)ところが,ヨハネの見た獣に関しては,十本の角の数え方には象徴的な意味合いがあるようです。(ダニエル 7:24; 啓示 17:12と比較してください。)その数はサタンの全政治組織を構成する主権国家全体を表わしています。それらの角はすべて凶暴で,攻撃的な性格を持っていますが,七つの頭によって示唆されているように,指導的な権威は一度にただ一つの世界強国にだけあります。同様に,十の王冠は,すべての主権国家が,その時代の最も有力な国家,もしくは世界強国と時を同じくして支配権を行使することを示唆しています。
11 野獣には『その頭に冒とく的な名』がありますが,それは何を示唆していますか。
11 野獣は『その頭に冒とく的な名』があって,エホバ神とキリスト・イエスに対して大変な不敬を示すことを自ら要求します。「野獣」は自らの政治的な目的を達成するための見せ掛けとして神とキリストの名を利用してきました。また,偽りの宗教と協調して,僧職者が政治的な処置に関与することさえ許してきました。例えば,英国の上院議員には司教が含まれています。カトリック教会の枢機卿はフランスやイタリアで政治上顕著な役割を演じてきましたし,さらに近年,ラテンアメリカでは司祭が政治上の要職に就いてきました。「我々は神に信頼する」というような宗教的な標語を紙幣に印刷したり,また例えば,支配者は「神の恩寵により」任命されているという文句を硬貨に刻んで,自分たちの支配者が神の是認を受けていると唱えたりする政府もあります。これらは皆,実際には冒とく的な行為です。なぜなら,それは神を国家主義的な汚れた政治の舞台に関係させようとすることだからです。
12 (イ)野獣が「海」から出て来ることは,何を意味していますか。それはいつ出現し始めましたか。(ロ)龍がその大きな権威を象徴的な獣に与えることは,何を示唆していますか。
12 野獣は「海」から出て来ますが,その海とは人間の政府の源となっている不穏な一般大衆の適切な象徴です。(イザヤ 17:12,13)この野獣は,エホバに反対する大洪水後の事物の体制が初めて現われた,遠いニムロデの時代(西暦前21世紀ごろ)に,不穏な人類の海から出現し始めました。(創世記 10:8-12; 11:1-9)しかし,その七つの頭の最後の一つは,主の日の期間に初めてその姿をすっかり現わしました。また,「自分の力と座と大きな権威をその野獣に与えた」のは龍であることにも注目してください。(ルカ 4:6と比較してください。)獣は,サタンが人類の一般大衆の中で作り出した政治的な産物です。サタンは確かに「この世の支配者」です。―ヨハネ 12:31。
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