16. エホバの私たちへの愛が一番よく表れている贈り物は何ですか。その贈り物が私たち一人一人のためのものだとどうして分かりますか。
16 4つ目の点として,エホバは私たちを愛しているのでたくさんのことをしてくれています。何よりも,キリストの贖いの犠牲という贈り物を与えてくれました。そのようにして,人間は神に愛されてなどいないというサタンの主張が間違っていることをはっきり示しました。イエスが杭に掛けられて苦しみながら死んでくれたのも,エホバが愛する子の死を見るというさらに大きな苦しみに耐えてくれたのも,エホバとイエスが私たちを愛しているからだということを決して忘れないようにしましょう。エホバが自分なんかのために贖いを与えてくれたとは思えないと言う人たちもいますが,キリストの弟子たちを迫害していたパウロがこう書いています。「神の子は私を愛し,私のために自分を差し出してくださいました」。(ガラテア 1:13; 2:20)
17. エホバは自分とイエスのもとに一人一人を引き寄せるため,どんなことをしていますか。
17 エホバはキリストの犠牲の恩恵を受けられるよう一人一人を助けることによって,私たちを愛していることをはっきり示しています。イエスは,「私を遣わした父が引き寄せてくださらない限り,誰も私のもとに来ることはできません」と言いました。(ヨハネ 6:44)この言葉から分かるように,イエスのもとに行って永遠の命の希望を持つことができるのは,エホバが引き寄せてくれるおかげです。エホバは伝道活動を導いて,良い知らせが一人一人に伝わるようにしています。また,不完全で限界がある私たちが真理を理解し,真理に沿って生きられるように,聖なる力で助けてくれています。それで,エホバがイスラエル国民に語った次の言葉は,私たちにも当てはまります。「私は永遠の愛をもってあなたを愛してきた。そのため,揺るぎない愛をもってあなたを引き寄せたのである」。(エレミヤ 31:3)
18-19. (ア)エホバの愛を一番実感できるのはどんな時ですか。エホバ自身が祈りを聞いてくれることがどうして分かりますか。(イ)エホバが感情移入してくれることが,聖書のどんな言葉から分かりますか。
18 エホバが自分のことを愛してくれていると一番実感できるのは,エホバに祈る時でしょう。聖書は,「絶えず祈ってください」と勧めています。(テサロニケ第一 5:17)神は必ず聞いてくれます。「祈りを聞く方」と呼ばれている通りです。(詩編 65:2)エホバはほかの誰にも,独り子イエスにさえ,祈りを聞くことを任せていません。宇宙を創造した方が,自分に祈ってほしい,何でも自由に話してほしいと思ってくれているのです。そして,あまり関心のない冷めた態度で聞くようなことは決してありません。どんなふうに聞いてくれるのでしょうか。
19 エホバは感情移入してくれます。感情移入とはどういうことでしょうか。長年エホバに仕えたある兄弟はこう言いました。「感情移入とは,わたしの心の内であなたの苦痛を感じることです」。では,エホバは本当に私たちの苦痛を感じてくれるのでしょうか。神の民イスラエルが苦しんだ時のことについて,聖書にはこう書かれています。「彼らが苦しんでいたどの時にも,神も苦しみを味わった」。(イザヤ 63:9)エホバは大変な状況にある民をただ見ていたのではなく,彼らの苦しみを自分のことのように感じました。エホバが自分に仕える人たちの痛みをどれほど敏感に感じ取るかが,次の言葉によく表れています。「あなたたちに触れる者たちは私の瞳に触れているのである」。 (ゼカリヤ 2:8)瞳に触れられたら,とても痛いことでしょう。エホバはそれほど強く共感してくれるのです。私たちが傷つくと,エホバの心も痛みます。
20. ローマ 12章3節によると,バランスの欠けたどんな考え方をするべきではありませんか。
20 神から愛され高く評価されているからといって,誇りやうぬぼれの気持ちを持つべきではありません。使徒パウロはこう書いています。「私は,示していただいた惜しみない親切に基づき,皆さんに言います。自分のことを必要以上に考えてはなりません。各自が神から与えられた信仰に応じて,健全な考え方をしましょう」。(ローマ 12:3)別の翻訳ではこうなっています。「あなたがた一人一人に言います。自分を過大に評価してはなりません。むしろ,……慎み深く評価すべきです」。(「新共同訳」,日本聖書協会)ですから,天の父の温かい愛を存分に感じつつ,バランスの取れた健全な考え方をしましょう。私たちは神から愛されて当然というわけではないことを覚えておく必要があります。(ルカ 17:10)
21. サタンのうそから来るどんな間違った考えをはねのける必要がありますか。どんな真理を心に留めておくとよいですか。
21 人間には価値がなく神に愛されていないという主張を含む,サタンのどんなうそにもだまされないようにしましょう。あなたはこれまでに経験したことが原因で,大きな愛を持つ神でも自分のことなんて愛してくれるわけがないと感じていますか。あるいは,自分の良い行いなんて,全てを見ている神でも見過ごすほど微々たるものだとか,自分の罪は大き過ぎて,神の大切な独り子の死でも覆い切れないと思っていますか。それは全て,真実ではありません。そうした間違った考えをはねのけてください。パウロが聖なる力に導かれて書いた次の真理を心に留めましょう。「私は確信しています。死も,生も,天使も,政府も,今あるものも,これから来るものも,力も,高さも,深さも,ほかのどんな創造物も,主であるキリスト・イエスを通して示される神の愛から私たちを引き離すことはできません」。(ローマ 8:38,39)