-
自然は何を教えていますか目ざめよ! 2006 | 9月
-
-
ヤモリの足をお手本に
陸上の動物からも学べる点がたくさんあります。例えばトカゲ類に属する小さなヤモリは壁をはい登る能力があり,逆さになって天井にぴったり付くこともできます。この生物は,聖書の中でもそのような特別の能力で知られていました。(箴言 30:28)ヤモリが重力に打ち勝てる秘けつはどこにあるのでしょうか。
ヤモリがガラスのようなつるつるした表面にもしっかり付くことができるのは,毛状突起と呼ばれるごく細い毛のようなものが足の裏側を覆っているからです。足に粘着剤が付いているのではありません。分子と分子の間で働く極めてわずかな力を利用するのです。相接する二つの表面にある分子は互いに,ファン・デル・ワールス力として知られるごく弱い引力によってくっつこうとします。普通は,重力のほうがそれよりずっと大きいため,わたしたち人間は手のひらをただ壁に当てただけではよじ登れません。ヤモリの場合,小さな毛状突起が無数にあって,壁に接する面積が大きくなります。足の裏いっぱいにある幾千もの毛状突起によってファン・デル・ワールス力が大きくなると,この小型トカゲの体重を支えるだけの吸着力になります。
この発見はどのように応用できるでしょうか。ヤモリの足を模倣した新しい合成素材は,自然界から借用した別のアイディアであるマジックテープaに代わるものとして用いられるようになるでしょう。エコノミスト誌(英語)は研究者の言葉を引用して,この“ヤモリテープ”でこしらえた素材は「化学的接着剤が使えない医療などの場面で」特に有用であろう,としています。
-
-
自然は何を教えていますか目ざめよ! 2006 | 9月
-
-
ヤモリの足は汚れず,跡を残さず,テフロン以外のどんな表面にもへばりつき,付けるにも離すにも特に力は要らない。研究者たちはこれに似たものを造ろうとしている
-