『喜ばしい言葉,正確な言葉を見いだそうと努める』
「召集者は喜ばしい言葉を見いだし,真実の正確な言葉を書き記そうと努めた」。(伝道の書 12:10)霊感によって書かれた聖書に基づく『喜ばしい正確な言葉』は,非常に尊いものとなり得ます。そういう言葉は,「銀の彫り物の中の金のりんご」になぞらえられており,どんな場においても妙味と威厳を表わし,ストレスの多い状況下では非常に貴重なものとなります。―箴言 25:11。
現代では,より偉大な召集者であられるイエス・キリストが,古代イスラエルの王たちのもとで神の民が享受したものをはるかにしのぐ霊的な豊かさをもたらしておられます。(マタイ 12:42)過去1世紀余の間,生活のあらゆる面を扱った,真理の喜ばしい正確な言葉が,ものみの塔協会の出版物の中で述べられ,それらの出版物が多くの言語で広範囲に頒布されてきました。そのため多くの人は,個人で,また家族単位で,自宅に信頼できる聖書関係の参考文献の書庫を持てるようになりました。それに加え,ほとんどのエホバの証人の会衆には,王国会館で用いる立派な図書があります。
しかし,特定の状況に合った喜ばしい正確な言葉を見つけるには,やはり調べなければなりません。ものみの塔協会はこの必要を認め,初期のころから,出版物に索引を掲載してきました。―28ページと29ページの囲み記事をご覧ください。
新しい方針
1985年からは「ものみの塔出版物索引」の歴史の新たな一章が始まりました。それまでの9冊の「索引」が一体化されて調和が図られ,1930年から1985年までに出版された出版物の資料が扱われている1冊の合本になったのです。それは一人ですれば14年かかるほどのプロジェクトでした。何年分もの索引を1冊にまとめたそのような索引には多くの利点があるため,1986年からは累録「索引」を発行するという新しい方針が採られることになりました。普通その後の4年間は年を追って,1年分,2年分,3年分,4年分のブロシュアー型累録「索引」が発行されます。そして5年ごとに,1986年以降のすべての「索引」が一体化され,1986-1990,1986-1995といった具合いに,堅表紙の「索引」になります。それで今後は,「索引 1930-1985」(日本語版は1951-1985),最新の堅表紙「索引」,それに最新のブロシュアー型「索引」の3冊を調べるだけでよいことになります。
あなたのために用意された「索引」
各「索引」の最初の部分は事項索引です。事項索引の作成に当たって,次の2点が考慮されました。(1)どんな情報を参照資料として収めるか,(2)読者はその情報を得るためにどの事項を見るか,という点です。
ある論題に関して,さほど重要でない注解文まで残らず調べようと思う読者はほとんどいないでしょう。普通読者が探すのは重要な,もしくは本当に有用な情報なので,索引にはそういう情報を載せた資料が選ばれています。しかし,そのような資料は必ずしも数ページに及ぶものとは限りません。「索引」の記載資料の中には,ある問題に関する協会の方針を説明する文章のように,わずか一文だけを指示しているものもあれば,一つの記事全体,さらには出版物全体を含めているものもあります。しかし大抵は,論議の載っている数節を見るよう指示しています。
参照資料を「索引」のどこに挙げるかということも同じように重要な問題です。というのは,読者によって考えることは異なり,皆が同一の見出しを調べるわけではないからです。例えば,バベルの塔に関する情報は「バベルの塔」の見出しの下に出ていますが,中には「バビロン(バベル)」,「考古学」,「言語」などの見出しを調べる人もいるかもしれません。その論題のどの面に関心があるかによって違ってくるでしょう。そのため,読者の年齢や背景は様々であることや,人によって意図するところも違うことを念頭に置いて,同じ参照資料を適切と思われる様々な見出しの下に載せる努力が払われています。
「索引」の活用方法
「索引」は地図と同じで,使わなければ役に立ちません。では,事項索引にしても,そのあとに載せられている聖句索引にしても,そこに何を見いだせるでしょうか。
聖句索引に収められている参照資料は各聖句を説明しているものです。聖書中のその言葉が述べられた背景,書かれた理由,だれに当てはまるか,それぞれの語もしくは句の意味などに関する説明を探すことができます。例えば,イエスの模範的な祈りの中の,『わたしたちを誘惑に陥らせないでください』という請願があります。(マタイ 6:13)なぜそういう言い方をされたのでしょうか。聖句索引はその答えを見つけるのに助けとなります。
事項索引は,その名の通り,語句よりも主に事項に関する索引です。読者の中には,覚えている記事を,主題を頼りに探そうとしたもののなかなか見つけ出せなかったという人もいます。主題の中にその論題の内容を明らかにする語句が含まれていない場合はそういう問題が生じるかもしれません。例えば,「どれほどで飲み過ぎ?」という記事などがそうです。その記事は,アルコールの影響について論じています。記事の内容を覚えていれば,「索引」の「アルコール飲料」または「飲むこと」の見出しを開くことができます。そこにはその記事が参照資料として挙げられています。
生じ得る問題に関する情報を探したい場合,「索引」はとりわけ役に立ちます。例えば親の立場にある人なら,子供のしつけに難しさを感じることはないでしょうか。「子供」という見出しの下には,子供の考えや感情や必要を見抜くのに役立つ参照資料が数多く挙げられています。さらに,「子供の訓練」という見出しの下には,教え方や懲らしめ方などについてあらゆる側面から論じた参照資料が収められています。
ものみの塔協会には時折,夫婦間の問題を解決する上での助けを求める手紙や,夫婦間の特定の親密な行為が妥当かどうかに関する質問の手紙が寄せられます。協会が返事を書くことは可能ですが,「結婚(生活)」という見出しで索引を引き,その下にある「問題」や「性」もしくは「性関係」の項目を見て,そこに挙げられている参照資料を調べれば,手紙と同じほど親切で実際的な助言を見いだすことができます。
うつ病や精神的苦痛で苦しんでいる人からの手紙も寄せられます。しかし,そのような人に必要な励ましや助けも,自宅や地元の王国会館にある図書の中から,「索引」の「うつ病」や「精神障害」という見出しを調べれば,郵便で受け取るよりずっと早く見いだすことができます。精神障害に対処する方法,利用できる治療法,以前にうつ病だった人の感動的な経験などを説明した記事が参照資料として挙げられています。
若い人なら,結婚,家族生活,学校,親との関係などに関心を持っているかもしれません。「若者」という主な見出しの下には,それらの項目のほかにも多くの項目があり,数々の参照資料が挙げられています。さらに,「関係」,「学校」,「仕事(生涯の仕事)」,「求愛」といった見出しの下にも,参照できる沢山の資料が挙げられています。学校のレポートを書くときも,「索引」を用いれば,自然,科学,麻薬,経済,その他多くの論題に関する良い資料を見つけることができます。
あらゆる年齢層の人々に益となる
81歳の婦人はこう書いています。「書籍や雑誌は情報と霊的な力の満ちた金鉱のようなもので,その金を地上に運び上げてくれるのが『索引』です」。8歳と9歳の子供を持つある母親もこう語っています。「これがなかったらどうなっていたかと思う今日このごろです。長い間抱いていた疑問も『索引』のおかげで解けましたし,会衆の集会の予習をする時も調べものをするのがずっと楽になりました。……この出版物は家族研究にもとても助けになっています。……主人が娘たちに研究したい論題を選ばせると,娘たちは大抵この『索引』を使って実際に調べたがります。好きな動物やいろいろな国々といった興味のある論題を楽しそうに選びます。ほとんど独りで情報を探し出せるのです。おかげで娘たちは聖書研究の楽しさも分かってきました」。
真理の喜ばしい言葉,正確な言葉の探求には,計り知れないほど貴重な報いがあります。召集者の努力は当初意図したよりもはるかに大きな益をもたらしました。なぜなら,そのような言葉は今日に至るまでエホバの僕たちを励まし,導いてきたからです。わたしたちも同じように努力するなら,エホバからの祝福をいただくことができ,それは永遠に及ぶものとなります。―箴言 3:13-18,21-26。
[28,29ページの囲み記事/図版]
初期の索引
1902年に,「ホルマン行別聖書」の特別版がものみの塔協会のために発行されましたが,それには協会が準備した広範な補助資料が収められていました。付録には,「千年期黎明」(後に「聖書研究」として知られた)と題する双書,二つの主要な小冊子,および1879年から1901年までの「シオンのものみの塔」誌などをまとめた事項索引と聖句索引が載せられていました。
1907年以降の「ベレア人聖書」にも同様の索引が載せられました。こうした索引の増補版として,1922年には「ものみの塔」誌の広範な索引が出されました。この索引は,7巻から成る「ものみの塔」誌復刻版(1879年-1919年)の最後の巻に掲載されました。それ以降今に至るまで,この索引は「ものみの塔」誌の初期の号に載せられた資料を見つける際の主な手段となっています。
しかしその後の40年間,1919年以降に発表された出版物を検索する際には,各書籍の巻末や毎年の雑誌の最後の号に載せられている幾つもの索引を使わなければなりませんでした。そこで1959年に協会は,英文の出版物の資料を扱った事項索引と聖句索引を1冊の本にまとめるという一大プロジェクトに着手しました。本部のメンバーや,ものみの塔ギレアデ聖書学校を卒業した宣教者,さらにはニューヨーク市の旅行する監督たちをも含む一つのチームが結成されました。18人の献身的な働き人が1年半にわたって集中的な努力を傾けた結果,最初の「ものみの塔出版物索引」が発表されました。これは論じられた事項の索引および説明が加えられた聖句の索引という二つの部分から成り,1930年から1960年までの31年間に出版された出版物の資料を扱っています。この索引は1961年の一致した崇拝者の大会で初めて発表され,聴衆に大きな喜びをもたらしました。
それ以来「ものみの塔出版物索引」は毎年英文で出版され,5年ごとに堅表紙の累録「索引」が出版されています。