3,4. (ア)エゼキエルは,神による処罰のどんな3つの要素を演じましたか。(イ)エゼキエルはエルサレムの包囲をどのように演じましたか。
3 紀元前613年ごろ,エホバはエゼキエルに指示を与え,エルサレムに対する処罰の3つの要素を演じさせました。それは,エルサレムの包囲,住民の苦しみ,そして都市と住民の滅びです。 この3つの要素をもっと詳しく見てみましょう。
4 エルサレムの包囲。エホバはエゼキエルに,「れんがを1つ持ってきて,自分の前に置き……それを包囲し」なさい,と言いました。(エゼキエル 4:1-3を読む。)れんがはエルサレムを,エゼキエルはエホバが用いるバビロニア軍を表していました。エゼキエルはまた,包囲壁や土塁や破城槌を作ってれんがの周りに置くよう指示されました。それらは,敵がエルサレムを攻撃する際に使うものを表していました。エゼキエルはさらに,敵軍の鉄のような強さを表す「鉄板」を自分と都市の間に置いて「顔を都市に向け」るように,と言われました。この一連の行動は,「イスラエル国民に対するしるし」となり,思いも寄らないことが起きようとしていることを示しました。エホバは,ご自分の民の主要な都市で,ご自分の神殿があるエルサレムを,敵の軍隊を用いて包囲するのです。
5. エルサレムの住民はどうなりますか。エゼキエルはそのことをどのように示しましたか。
5 エルサレムの住民の苦しみ。エホバはエゼキエルに,「小麦,大麦,空豆,レンズマメ,キビ,スペルト小麦を1つの器に入れ……パンを作り」,「1日につき230グラムの食物を量って食べる」ようにと命じました。それから,「私は……食物が手に入らないようにする」と説明します。(エゼ 4:9-16)このたびは,エゼキエルはバビロニア軍ではなく,エルサレムの住民を表していました。エゼキエルの行動は,包囲によって都市の食物が不足することを予告するものでした。包囲の間,パンは普通なら使わない材料を混ぜて作ることになります。つまり,人々は手元にあるもので食いつなごうとするのです。飢餓はどれほど深刻なものになるのでしょうか。エホバはエゼキエルを通してエルサレムの住民に直接語り掛けるかのように,「あなたの中で親が子を食べ,子が親を食べる」と言いました。大勢の人が「飢餓という矢……命を奪うその矢」によって苦しみ,「痩せ衰えていく」ことになります。(エゼ 4:17; 5:10,16)
6. (ア)エゼキエルは同時にどんな2つの役割を演じましたか。(イ)「毛を量り,3つに分けなさい」という命令は何を示唆していましたか。
6 エルサレムと住民の滅び。預言のこの部分では,エゼキエルはエホバとユダヤ人という2つの役割を同時に演じました。まず,エホバが行おうとしていたことについては,「鋭い剣を手に取って,理髪師のかみそりのように使い」なさいと指示されました。(エゼキエル 5:1,2を読む。)剣を使うエゼキエルの手は,バビロニア軍を使うエホバの手,つまりエホバによる処罰を表していました。また,ユダヤ人が経験することについては,「頭と顎ひげをそりなさい」と言われました。エゼキエルが毛をそることは,ユダヤ人が攻撃されて殺されることを表していました。さらに,「はかりを使って毛を量り,3つに分けなさい」という命令は,エルサレムに対するエホバの処罰がむやみにではなく,計画的かつ徹底的に行われることを示唆していました。
7. エホバがエゼキエルに,毛を3つに分けて,それぞれに違うことを行うよう指示したのはなぜですか。
7 エホバはエゼキエルに,そり落とした毛を3つに分けて,それぞれに違ったことをするよう指示しました。それはなぜでしょうか。(エゼキエル 5:7-12を読む。)エゼキエルが毛の3分の1を「都市の中で」燃やしたことは,エルサレムの住民の一部が都市の中で死ぬことを示していました。また,毛の3分の1を「都市の周囲で」剣で打ったことは,都市の外で殺される住民もいることを表していました。毛の最後の3分の1を風に散らしたことは,国々に散らされる住民もいることを示していました。とはいえ,「剣」が「その後を追う」ことになります。ですから,生き残った人たちは,どこで暮らすことになるとしても安らぎを得られません。
8. (ア)エゼキエルが演じた預言には,どんな希望が含まれていましたか。(イ)「少し」の毛に関する預言はどのように実現しましたか。
8 とはいえ,エゼキエルが演じた預言には,希望も含まれていました。エゼキエルがそり落とした毛についてエホバは,「あなたはその毛を少し取っておいて,服のひだに包まなければならない」と言いました。(エゼ 5:3)その命令は,国々に散らされるユダヤ人のうち「少し」の人が生き延びることを示していました。その中には,バビロンでの70年に及ぶ捕囚の後にエルサレムに帰還する人たちもいるのです。(エゼ 6:8,9; 11:17)この預言は実現したでしょうか。確かに実現しました。バビロン捕囚が終わり,幾らか年月がたった後に,預言者ハガイは,散らされたユダヤ人のうち少数の人がエルサレムに帰還したことを伝えています。それは,「以前の神の家を」つまりソロモンの神殿を「見たことがある年老いた人たち」でした。(エズ 3:12。ハガ 2:1-3)エホバは約束した通り,清い崇拝が消滅しないようにしました。清い崇拝の回復については,この本の第9章で詳しく取り上げます。(エゼ 11:17-20)