3. マゴグのゴグに関するエゼキエルの預言はどのような内容ですか。
3 エゼキエル 38:1,2,8,18; 39:4,11を読む。この預言を要約してみましょう。「最後の年月」に,「マゴグの……ゴグ」という敵が神の民の「土地」に攻め込みます。その卑劣な攻撃に対してエホバは「非常に激しい怒り」を燃え上がらせ,介入してゴグを打ち負かします。 エホバは勝利した後,敗北した敵とその仲間全てを「あらゆる肉食の鳥と野獣に食べさせ」ます。最後に,エホバはゴグに「墓地」を与えます。この預言が近い将来どのように実現するかを理解するために,まずゴグの正体を知る必要があります。
4. マゴグのゴグは何を表していますか。
4 マゴグのゴグとは誰のことでしょうか。エゼキエルが記した内容から,清い崇拝を行う人たちの敵だと分かります。ではゴグとは,正しい崇拝の最大の敵であるサタンを表す預言的な名でしょうか。長年にわたり,エホバの証人の出版物の中でそのように論じられていました。しかし,エゼキエルの預言をさらに検討した結果,理解が調整されました。「ものみの塔」誌で説明された通り,マゴグのゴグという称号は,人間の目に見えない邪悪な天使ではなく,目に見える敵を指します。それは,清い崇拝を攻撃する,諸国家の連合体です。 そう言える根拠を振り返る前に,ゴグが邪悪な天使ではないことを示す2つのヒントをエゼキエルの預言から調べましょう。
5,6. エゼキエルの預言のどんな点は,マゴグのゴグが天使ではないことを示唆していますか。
5 「私はあなたをあらゆる肉食の鳥……に食べさせる」。(エゼ 39:4)聖書ではよく,神による処罰の警告として,肉食の鳥が死体を食べるという描写が使われます。神はイスラエル国民や他の国々にそのような警告を与えました。(申 28:26。エレ 7:33。エゼ 29:3,5)注目したいのは,そうした警告は天使にではなく,肉体を持つ人間に与えられた,ということです。当然ながら,肉食の鳥や野獣は肉を食べるのであり,肉体を持たない存在を食べることはできません。ですから,エゼキエルの預言に含まれる警告は,ゴグが天使ではないことを示唆しています。
6 「私はゴグに墓地を与える。それはイスラエルの中……にあ[る]」。(エゼ 39:11)聖書によると,天使が地上のどこかに葬られるということはありません。サタンと邪悪な天使たちは底知れぬ深みに1000年間入れられた後,永遠の滅びの象徴である火の湖に投げ込まれます。(ルカ 8:31。啓 20:1-3,10)ゴグは地上の「墓地」を与えられるので,天使ではないと言えます。
7,8. マゴグのゴグと「北の王」はどちらも,どのような結末を迎えますか。
7 清い崇拝を行う人たちに最終的な攻撃を仕掛ける敵,マゴグのゴグが,天使ではないことが分かりました。では,諸国家の連合体だと言える根拠は何でしょうか。2つの聖書預言から考えてみましょう。
8 「北の王」。(ダニエル 11:40-45を読む。)ダニエルは幾つかの預言の中で,自分の時代から現代に至るまでどんな世界強国が現れるかを予告しました。そうした預言の1つに,政治上の敵として張り合う「南の王」と「北の王」が出てきます。人類史においてさまざまな国や勢力が覇権を争う中で,この2人の王の実体は変化してきました。「終わりの時」に北の王が最終的にどういう行動を取るかについて,ダニエル書にはこうあります。「彼は……激怒して出陣します。破壊し,多くの者を滅ぼし尽くすためです」。北の王の主な標的は,エホバを崇拝する人たちです。 しかし,マゴグのゴグと同じように北の王も,神の民に対する攻撃が失敗した後に「終わりを迎えます」。
9. 「全世界の王たち」に起きることは,マゴグのゴグの結末とどのように似ていますか。
9 「全世界の王たち」。(啓示 16:14,16; 17:14; 19:19,20を読む。)「啓示」の書は,「地上の王たち」が天にいる「王の中の王」であるイエスを攻撃することを予告しています。もちろん天に攻め込むことはできないので,その王たちは天の王国を地上で支持している人たちを攻撃します。しかしその後,ハルマゲドンの戦いで敗北することになります。エホバの民を攻撃した後に終わりを迎えるのです。やはりマゴグのゴグの結末と似ています。
10. マゴグのゴグの正体についてどんな結論を引き出せますか。
10 こうした点を踏まえると,ゴグの正体についてどんな結論を引き出せるでしょうか。第一に,ゴグは天使ではありません。第二に,ゴグは近い将来に神の民を攻撃する地上の国々を指しています。その国々は何らかの形で結託し,連合体を形成するに違いありません。なぜでしょうか。神の民は世界中にいるので,攻撃するには共通の目的意識を持ち,一致した行動を取る必要があるからです。(マタ 24:9)もちろん,攻撃の黒幕はサタンです。サタンは長い年月にわたって世界の国々に影響を及ぼし,正しい崇拝に反対させてきました。(ヨハ一 5:19。啓 12:17)とはいえ,マゴグのゴグに関するエゼキエルの預言は,エホバの民を攻撃する地上の国々の役割に焦点を当てています。