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    聖書に対する洞察,第2巻
    • キリストは12人の使徒たちを遣わす際に,彼らに幾つかの事柄を告げ,『らい病人を清めなさい』とも言われました。(マタ 10:8)後にイエスは,サマリアとガリラヤを通って行かれた時,ある村で10人のらい病人をいやされました。その10人のうち,『大声で神の栄光をたたえながら戻って来て』イエスの足もとにうつ伏し,自分のためになされた事柄をイエスに感謝したのは,一人のサマリア人だけでした。(ルカ 17:11-19)また,注目できるのは,イエスの死の数日前にマリアがイエスに高価な香油を注いだのは,キリストがベタニヤのらい病人シモン(イエスにいやしてもらったのかもしれない)の家におられた時のことであったという点です。―マタ 26:6-13; マル 14:3-9; ヨハ 12:1-8。

  • マリア
    聖書に対する洞察,第2巻
    • イエスに油を注ぐ イエスが祝われた最後の過ぎ越しの5日前,イエスと弟子たちは再びベタニヤを訪れていました。この度は,らい病人シモンの家に滞在し,そこにはマリアとその家族もいました。マルタは晩さんのために給仕しており,マリアはこの時も神の子の話に耳を傾けていました。イエスが横になられると,マリアは「香油一ポンド,本物のナルドで非常に高価なもの」(1年分の賃金ほどの価値がある)を取り,イエスの頭と足にそれを注ぎました。その時には皆から評価されませんでしたが,イエスに対する愛と敬意からなされたその行為は,実は,間近に迫ったイエスの死と埋葬の準備を意味したのです。以前と同様,マリアの愛の表現は他の人々から批判されましたが,この度もまた,イエスは彼女の愛と専心を擁護され,大いに感謝なさいました。そして,「世界中どこでもこの良いたよりが宣べ伝えられる所では,この女のしたことも,彼女の記念として語られるでしょう」と言明されました。―マタ 26:6-13; マル 14:3-9; ヨハ 12:1-8。

      上記の出来事,すなわち,マタイ,マルコ,ヨハネが伝えるマリアがイエスに油を注いだという出来事は,ルカ 7章36-50節で述べられている油そそぎと混同すべきではありません。二つの出来事はやや似ていますが,両者には違いがあります。ルカの伝えている先の出来事はガリラヤの北の地区で生じ,後の出来事は南のユダヤのベタニヤでのことです。前者はパリサイ人の家,後者はらい病人シモンの家で生じました。先の油そそぎは,「罪人」として世間に知られ,恐らく遊女だった,名前の挙げられていない女性によるものでしたが,後者の場合はマルタの姉妹のマリアによるものでした。また,二つの出来事には1年以上の時間的な隔たりもあります。

      一部の批評家は,香油がイエスの頭にではなく足に注がれたとしている点でヨハネはマタイやマルコと矛盾している,と言います。(マタ 26:7; マル 14:3; ヨハ 12:3)マタイ 26章7節について,アルバート・バーンズは次のように注解しています。「しかし,矛盾は何もない。彼女は恐らくそれをイエスの頭と足の両方に注いだのであろう。マタイとマルコは前者を記録し,二人が省いた出来事を記録する目的もあって福音書を書き記したヨハネは,塗り油が救い主の両足にも注がれたことを述べているのである。頭に塗り油を注ぐのは珍しいことではなかった。足に塗り油を注ぐというのは,際立った謙遜さと救い主に対する愛着の行為であった。したがって,特筆に値する事柄であったのである」―「バーンズの新約聖書注解」,1974年。

  • ナルド
    聖書に対する洞察,第2巻
    • ナルド

      (Nard)

      ラザロの姉妹であるマリアがイエスの頭と足に塗った高価な「香油」。非常に高価だったので,ナルド(ギ語,ナルドス)は,混ぜ物で粗悪にされるばかりか,模造されることすら少なくありませんでした。ですから,マルコとヨハネの両方が「本物のナルド」という表現を用いているのは注目すべきことでしょう。(マル 14:3; ヨハ 12:3)小さな雪花石こうの容器に密封された高価な塗り油は,古代においては有利な投資物件となりました。―ヨハ 12:5。「甘松」を参照。

  • 甘松
    聖書に対する洞察,第1巻
    • 香りが良く,赤みがかった薄い液体であるナルドは,その香りを保存するために,雪花石こう<アラバスター>の容器に入れて密閉されました。これは,柔らかくて,普通は白みがかった,大理石のような石材で,その名前は,これを材料にした器が製造された場所であるエジプトのアラバストロンの名から取られています。マリアがイエス・キリストの「埋葬を見越して」,雪花石こう<アラバスター>の容器からイエスの頭と足に注いだ1ポンドの香油は「本物のナルド」で,300デナリに相当すると値踏みされましたが,それは約1年分の賃金に当たる額でした。(マル 14:3-9; ヨハ 12:3-8; マタ 20:2)この香油がそれほど高価であったことからすると,その原産地は遠く離れたインドであったのかもしれません。

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