イエスは亡なくなる前まえの晩ばん，使し徒とたちに対たいし，追つい随ずい者しゃたちの間あいだで目め立だった立たち場ばを求もとめないよう助じょ言げんし，こう述のべました。「諸しょ国こく民みんの王おうたちは人ひと々びとに対たいして威い張ばり，人ひと々びとの上うえに権けん威いを持もつ者ものたちは恩おん人じんと呼よばれています。ですが，あなた方がたはそうであってはなりません」。（ルカ 22:25，26）

では，イエスはどんな意い味みで「あなた方がたはそうであってはなりません」と述のべたのでしょうか。人ひと々びとの福ふく祉しを気きにかける必ひつ要ようはないということでしょうか。そうではありません。イエスが言いおうとしていたのは，他たの人ひとに与あたえる際さいの動どう機きのことです。

当とう時じの裕ゆう福ふくな人ひとたちは，競きょう技ぎ場じょうでの見みせ物ものや試し合あいのスポンサーになったり，庭てい園えんや神しん殿でんを造つくったりして，良よい評ひょう判ばんを得えようとしました。彼かれらの動どう機きは，称しょう賛さんを受うけたり，有ゆう名めいになったり，投とう票ひょうしてもらったりすることでした。ある参さん考こう文ぶん献けんには，「本ほん当とうに気き前まえよくお金かねを出だす人ひともいたが，多おおくの人ひとは政せい治じ的てきな野や心しんからそうしていた」と記しるされています。イエスは，そうした利り己こ的てきな野や心しんを避さけるようにと述のべていたのです。

後のちに使し徒とパウロも，正ただしい動どう機きで与あたえることの大たい切せつさを強きょう調ちょうしました。コリントの兄きょう弟だい姉し妹まいにこう書かいています。「各かく自じいやいやながらでも，強しいられてでもなく，ただその心こころに決きめたとおりに行おこないなさい。神かみは快こころよく与あたえる人ひとを愛あいされるのです」。（コリ二に 9:7）