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神の王国について徹底的に教える
徹 9章 69–76ページ

9章

「神かみ[は]不ふ公こう平へいではない」

割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんへの伝でん道どうが始はじまる

使し徒と 10:1–11:30

1-3. ペテロはどんな幻まぼろしを見みましたか。その意い味みを知しることが大たい切せつなのはどうしてですか。

時ときは36年ねん。屋おく上じょうで祈いのるペテロに秋あきの日ひ差ざしが降ふり注そそいでいます。ペテロはここしばらく,港みなと町まちヨッパの海うみ辺べの家いえに宿しゅく泊はくしています。皮かわなめし職しょく人にんシモンの家いえです。ユダヤ人じんの中なかにはこの職しょく業ぎょうの人ひとの家いえに泊とまろうとしない人ひともいたので,ペテロにはあまり偏へん見けんがなかったことが分わかります。a でもペテロは,エホバの公こう平へいさについてもっと学まなばなければいけませんでした。

2 ペテロは祈いのっているうちに恍こう惚こつ状じょう態たいになり,幻まぼろしを見みます。大おおきな亜あ麻ま布ぬのが四よ隅すみをつるされて下おりてきます。その中なかには,律りっ法ぽうで清きよくないとされている動どう物ぶつが入はいっています。ペテロは「ほふって食たべなさい!」と言いわれ,こう答こたえます。「汚けがれたものや清きよくないものはこれまで食たべたことがありません」。ペテロは3度どにわたって拒こばみますが,3度どともこう言いわれます。「神かみが清きよめたものを,汚けがれていると言いってはなりません」。(使し徒と 10:14-16)ユダヤ人じんなら誰だれでも嫌いやな気き持もちになるような幻まぼろしでした。ペテロもとても戸と惑まどいましたが,やがてその意い味みを知しることになります。

3 私わたしたちにとってもこの幻まぼろしの意い味みはとても重じゅう要ようです。そこから,エホバが人ひとをどう見みているかが分わかるからです。私わたしたちも同おなじ見み方かたをしないと,神かみの王おう国こくについて徹てっ底てい的てきに教おしえることはできません。では,幻まぼろしの意い味みを知しるために,この前ぜん後ごに起おきた出で来き事ごとを調しらべてみましょう。

「いつも神かみに祈き願がんをしていた」(使し徒と 10:1-8)

4,5. コルネリオはどんな人ひとでしたか。祈いのっていると,どんなことがありましたか。

4 ペテロは知しりませんでしたが,幻まぼろしを見みた前まえの日ひ,約やく50㌔北きたのカエサレアでコルネリオという人ひとも幻まぼろしを見みていました。コルネリオはローマ軍ぐんの百ひゃく人にん隊たい長ちょうで,「神かみを畏おそれる人ひと」でした。b 家か族ぞくを大だい事じにしていて,「家いえの人ひと全ぜん員いんと一いっ緒しょに神かみを崇すう拝はいし」ていました。ユダヤ教きょうに改かい宗しゅうしてはおらず,割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんでした。それでも,困こまっているユダヤ人じんを思おもいやり,お金かねや物ものを分わけ与あたえていました。とても誠せい実じつで,「いつも神かみに祈き願がんをして」いました。(使し徒と 10:2)

5 午ご後ご3時じごろ,コルネリオが祈いのっていると,幻まぼろしの中なかで天てん使しからこう言いわれます。「神かみはあなたの祈いのりと憐あわれみの施ほどこしに注ちゅう目もくし,覚おぼえています」。(使し徒と 10:4)さらに天てん使しから,使し徒とペテロを呼よぶよう指し示じされ,その通とおりにするため人ひとを遣つかわします。コルネリオのために今いま,扉とびらが開ひらこうとしていました。割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんには,これまで閉とざされていた扉とびらです。その先さきには救すくいへの道みちが続つづいています。

6,7. (ア)神かみについて知しりたいと願ねがう人ひとの祈いのりを,神かみは確たしかに聞きいています。そのことが分わかるどんな例れいがありますか。(イ)そうした例れいから,どんなことが分わかりますか。

6 現げん代だいでも,神かみについて知しりたいと願ねがう人ひとの祈いのりを,神かみは確たしかに聞きいています。アルバニアの女じょ性せいの例れいがあります。女じょ性せいは,伝でん道どうにやって来きたエホバの証しょう人にんから,子こ育そだてについて書かかれた「ものみの塔とう」誌しを受うけ取とり,こう言いいました。c 「信しんじられません。子こ供どもの育そだて方かたについて教おしえてくださいと祈いのっていたところでした。神かみ様さまがあなたを遣つかわしてくださったんですね。本ほん当とうにありがとうございます。ちょうど知しりたかったことなんです」。女じょ性せいは娘むすめたちと一いっ緒しょに聖せい書しょレッスンを受うけるようになり,後あとから夫おっとも学まなぶようになりました。

7 これは決けっして珍めずらしい例れいではありません。世せ界かい中じゅうでこうしたことがよくあるので,偶ぐう然ぜんとはいえません。こういう例れいから,2つのことが分わかります。1つ目めに,神かみについて知しりたいと願ねがう人ひとの祈いのりを,エホバは間ま違ちがいなく聞きいています。(王おう一いち 8:41-43。詩し 65:2)2つ目めに,天てん使しが私わたしたちの伝でん道どうをサポートしてくれています。(啓けい 14:6,7)

「ペテロが……戸と惑まどって」いた(使し徒と 10:9-23前ぜん半はん)

8,9. 聖せいなる力ちからはペテロにどんなことを知しらせましたか。ペテロはどうしましたか。

8 まだ屋おく上じょうにいるペテロが「幻まぼろしは何なにを意い味みするのだろうと戸と惑まどっていると」,コルネリオから遣つかわされた人ひとたちが家いえにやって来きます。(使し徒と 10:17)ペテロは,清きよくない動どう物ぶつは食たべられないと3度ども言いうほど,律りっ法ぽうを重おもんじていました。ではそのペテロは,やって来きた人ひとたちと一いっ緒しょに異い国こく人じんの家いえを訪たずねるでしょうか。神かみは,どうしてほしいと思おもっているかを聖せいなる力ちからによって知しらせます。「3人にんの人ひとが会あいに来きています。立たって,下したに下おり,何なにも疑うたがわないで一いっ緒しょに行いきなさい。私わたしが遣つかわした人ひとたちです」。(使し徒と 10:19,20)ペテロは清きよくない動どう物ぶつの幻まぼろしを見みていたおかげで,素す直なおに聖せいなる力ちからに導みちびいてもらうことができました。

9 遣つかわされた人ひとたちは,コルネリオが神かみから指し示じを受うけ,ペテロを連つれてくるようにと言いわれたことを話はなします。ペテロはそれを聞きいて,異い国こく人じんの3人にんを家いえに「招まねき入いれてもてなし」ました。(使し徒と 10:23前ぜん半はん)こうしてペテロは,神かみが考かんがえている事ことを感かんじ取とり,新あらたな展てん開かいに自じ分ぶんを合あわせていきました。

10. エホバは私わたしたちをどのように導みちびいていますか。どんなことを考かんがえてみるとよいですか。

10 現げん代だいでも,エホバは自じ分ぶんの考かんがえを少すこしずつ明あきらかにし,私わたしたちが良よい方ほう向こうに進すすめるようにしてくれています。(格かく 4:18)聖せいなる力ちからによって「忠ちゅう実じつで思し慮りょ深ぶかい奴ど隷れい」を導みちびいています。(マタ 24:45)時とき々どき,聖せい書しょの理り解かいが変かわったり,物もの事ごとのやり方かたが変へん更こうされたりすることがあります。「そういう進しん展てんにどう反はん応のうしているだろうか。聖せいなる力ちからが導みちびいている方ほう向こうに自じ分ぶんを合あわせているだろうか」と考かんがえてみましょう。

ペテロは「バプテスマを受うけるようにと命めいじた」(使し徒と 10:23後こう半はん-48)

11,12. カエサレアに着ついたペテロはどうしましたか。ペテロは何なにを学まなんでいましたか。

11 幻まぼろしを見みた次つぎの日ひ,ペテロは9人にん(コルネリオに遣つかわされた3人にんとヨッパの「6人にんの[ユダヤ人じんの]兄きょう弟だいたち」)と一いっ緒しょにカエサレアに向むかいます。(使し徒と 11:12)コルネリオは「親しん族ぞくや親したしい友ゆう人じんたちを呼よび集あつめて」,ペテロが来くるのを待まっていました。みんな異い国こく人じんだったと思おもわれます。(使し徒と 10:24)家いえの前まえに着ついたペテロはどうするでしょうか。ここは割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんの家いえです。以い前ぜんのペテロなら家いえに入はいるなんて考かんがえられません。でも中なかに入はいり,こう言いいます。「よくご存ぞんじの通とおり,ユダヤ人じんにとって,別べつの人じん種しゅの人ひとと交こう友ゆうを持もったりそのもとを訪おとずれたりするのは許ゆるされないことです。しかし神かみは,誰だれのことも汚けがれているとか清きよくないとか言いってはならないことを私わたしに示しめしました」。(使し徒と 10:28)ペテロは幻まぼろしの意い味みに気き付づいていました。単たんに,食たべてよい動どう物ぶつについて教おしえる幻まぼろしではありませんでした。ポイントは,「誰だれのことも[異い国こく人じんのことも]汚けがれていると……言いってはならない」ということです。

ペテロと仲間たちがコルネリオの家に入る。

「コルネリオは待まち受うけていて,親しん族ぞくや親したしい友ゆう人じんたちを呼よび集あつめていた」。使し徒と 10:24

12 家いえに集あつまっていた人ひとたちは興きょう味み津しん々しんです。「今いま,私わたしたちは皆みな,あなたが話はなすようにとエホバが命めいじた事こと柄がらを,全すべて聞きくために神かみの前まえにいます」とコルネリオが言いいます。(使し徒と 10:33)伝でん道どうで会あった人ひとからこんなふうに言いわれたら,本ほん当とうにうれしいのではないでしょうか。ペテロは確かく信しんを持もってこう言いいます。「神かみが不ふ公こう平へいではないことがよく分わかりました。神かみを畏おそれて正ただしいことを行おこなう人ひとはどの国くにの人ひとでも神かみに受うけ入いれられるのです」。そう言いってから,イエスの宣せん教きょう,死し,復ふっ活かつについて伝つたえました。(使し徒と 10:34,35)ペテロはすでに大だい事じなことを学まなんでいました。神かみは,人じん種しゅや国こく籍せき,見みた目めなどで人ひとをひいきしたりはしません。

13,14. (ア)36年ねんに異い国こく人じんたちがクリスチャンになったのは画かっ期き的てきなことでした。どうしてですか。(イ)人ひとを見みた目めで判はん断だんしてはいけないのはどうしてですか。

13 すると何なんと,「ペテロが話はなしているうちに」,そこにいた「異い国こくの人ひと々びと」に聖せいなる力ちからが注そそがれます。(使し徒と 10:44,45)バプテスマの前まえに聖せいなる力ちからが注そそがれた例れいが書かかれているのは,聖せい書しょの中なかでここだけです。神かみのサインを感かんじ取とったペテロは,その異い国こく人じんたちに「バプテスマを受うけるようにと命めいじ」ます。(使し徒と 10:48)こうして36年ねん,異い国こく人じんがクリスチャンになり,ユダヤ人じんが特とく別べつだった時じ代だいは終おわりを迎むかえました。(ダニ 9:24-27)ペテロはこのようにして,「王おう国こくの鍵かぎ」の3つ目め,最さい後ごの鍵かぎを使つかいました。(マタ 16:19)扉とびらが開ひらいたことにより,割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんにも,聖せいなる力ちからによって選えらばれたクリスチャンになる道みちが開ひらかれました。

14 私わたしたちも伝でん道どうするとき,「神かみは不ふ公こう平へいではない」ことを忘わすれないようにします。(ロマ 2:11)神かみは「あらゆる人ひとが救すくわれ」ることを望のぞんでいます。(テモ一いち 2:4)それで,人ひとを見みた目めで判はん断だんしないようにしましょう。私わたしたちの使し命めいは,神かみの王おう国こくについて徹てっ底てい的てきに教おしえることです。人じん種しゅ,国こく籍せき,外がい見けん,何なにを信しんじているかに関かかわりなく,全すべての人ひとに伝でん道どうします。

「兄きょう弟だいたちは……反はん対たいをやめ,神かみをたたえ[た]」(使し徒と 11:1-18)

15,16. ユダヤ人じんのクリスチャンがペテロを批ひ判はんしたのはどうしてですか。ペテロはどう答こたえましたか。

15 起おきたことを話はなしたくて,ペテロはエルサレムに向むかいます。でも,割かつ礼れいを受うけていない「異い国こくの人ひと々びとも神かみの言こと葉ばを受うけ入いれた」という知しらせはすでに伝つたわっていたようです。「割かつ礼れいを支し持じする人ひと々びと」が,到とう着ちゃくしたペテロを「批ひ判はんし始はじめ」ます。「あなたは割かつ礼れいを受うけていない人ひとの家いえに入はいって一いっ緒しょに食しょく事じをした」と言いってきます。(使し徒と 11:1-3)彼かれらが問もん題だいにしたのは,異い国こく人じんがクリスチャンになるのはおかしいということではありません。エホバを崇すう拝はいするには,異い国こく人じんも律りっ法ぽうを守まもって割かつ礼れいを受うけなければいけない,と考かんがえていました。これまで厳げん守しゅしてきたモーセの律りっ法ぽうから離はなれるのが難むずかしかったのです。

16 ペテロは何なんと答こたえるでしょうか。使し徒と 11章しょう4-16節せつで,神かみが物もの事ごとを動うごかしている証しょう拠こを4つ挙あげています。(1)神かみからの幻まぼろしを見みたこと(4-10節せつ),(2)聖せいなる力ちからを通とおして神かみから指し示じがあったこと(11,12節せつ),(3)天てん使しがコルネリオを訪たずねたこと(13,14節せつ),(4)異い国こく人じんたちに聖せいなる力ちからが注そそがれたこと(15,16節せつ)です。それから,こう言いって考かんがえさせます。「それで,神かみが,主しゅイエス・キリストを信しんじた私わたしたち[ユダヤ人じん]に与あたえたのと同おなじ無む償しょうの贈おくり物もの[聖せいなる力ちから]をその人ひとたち[異い国こく人じん]に与あたえた以い上じょう,どうしてこの私わたしが神かみを妨さまたげることなどできたでしょうか」。(使し徒と 11:17)

17,18. (ア)ペテロの説せつ明めいを聞きいたユダヤ人じんのクリスチャンには,どんな葛かっ藤とうがあったかもしれませんか。(イ)会かい衆しゅうの絆きずなを守まもるのが難むずかしいことがあるのはどうしてですか。自じ分ぶんについてどんなことを考かんがえてみるとよいですか。

17 ユダヤ人じんのクリスチャンたちはどうするでしょうか。偏かたよった見み方かたを捨すてて,異い国こく人じんたちを仲なか間まとして受うけ入いれるでしょうか。こう書かかれています。「兄きょう弟だいたち[使し徒とたちとほかのユダヤ人じんのクリスチャン]はこれらのことを聞きくと,反はん対たいをやめ,神かみをたたえてこう言いった。『それでは,神かみは異い国こくの人ひと々びとが悔くい改あらためて命いのちを得えることも望のぞんでいるのだ』」。(使し徒と 11:18)こうして,みんなが新あらたな進しん展てんを前まえ向むきに受うけ止とめ,会かい衆しゅうの絆きずなは守まもられました。

18 現げん代だいでも,会かい衆しゅうの絆きずなを守まもるのが難むずかしいことがあります。エホバの証しょう人にんは「全すべての国くにや民みん族ぞくや種しゅ族ぞくや言げん語ごの人ひと々びとの中なかから来き[ている]」からです。(啓けい 7:9)多おおくの会かい衆しゅうでは,いろんな人じん種しゅ,文ぶん化か,生おい立たちの人ひとたちが混まざり合あっています。それで,こう考かんがえてみましょう。「自じ分ぶんはちょっとでも偏かたよった見み方かたをしていないだろうか。世よの中なかに見みられる国こっ家か主しゅ義ぎ,民みん族ぞく主しゅ義ぎ,文ぶん化か的てき偏へん見けん,人じん種しゅ差さ別べつなどの影えい響きょうを少すこしでも受うけていないだろうか」。今こん回かいエホバの公こう平へいさを学まなんだペテロ(ケファ)も,数すう年ねん後ごには失しっ敗ぱいしてしまいました。周まわりの偏へん見けんの影えい響きょうを受うけて,異い国こく人じんのクリスチャンから「離はなれていき」,パウロから間ま違ちがいを正ただされました。(ガラ 2:11-14)私わたしたちも気きを付つけたいものです。

「大おお勢ぜいの人ひとが信しんじるようになっ[た]」(使し徒と 11:19-26前ぜん半はん)

19. アンティオキアのユダヤ人じんのクリスチャンは,どんな人ひとたちに伝でん道どうし始はじめましたか。どんな成せい果かがありましたか。

19 クリスチャンたちは,割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんにも伝でん道どうし始はじめるでしょうか。シリアのアンティオキアで起おきたことに注ちゅう目もくしましょう。d この都と市しには多おおくのユダヤ人じんが住すんでいましたが,ユダヤ人じんと異い国こく人じんの間あいだに敵てき対たい心しんはほとんどありませんでした。そのため,異い国こく人じんへの伝でん道どうがしやすい場ば所しょだったといえます。それでこの都と市しで,ユダヤ人じんが「ギリシャ語ごを話はなす人ひと々びと」に良よい知しらせを伝つたえることが始はじまりました。(使し徒と 11:20)ギリシャ語ごを話はなすユダヤ人じんにだけでなく,割かつ礼れいを受うけていない異い国こく人じんにも伝でん道どうしました。エホバが成せい功こうさせてくださり,「大おお勢ぜいの人ひとが信しんじるようにな」りました。(使し徒と 11:21)

シリアのアンティオキア

シリアのアンティオキアは,地ち中ちゅう海かい沿えん岸がんの港みなとセレウキアからオロンテス川がわを30㌔ほどさかのぼった所ところにあり,エルサレムの約やく550㌔北きたに位い置ちしていました。(使し徒と 13:4)セレウコス朝ちょうの最さい初しょの統とう治ち者しゃセレウコス1世せいニカトールが,紀き元げん前ぜん300年ねんにアンティオキアを建たてました。アンティオキアはセレウコス朝ちょうの首しゅ都ととして,すぐに非ひ常じょうに重じゅう要ような都と市しになります。紀き元げん前ぜん64年ねん,ローマの将しょう軍ぐんポンペイウスがシリアをローマの属ぞく州しゅうとし,アンティオキアを州しゅう都とにしました。西せい暦れき1世せい紀きには,アンティオキアはローマ帝てい国こくの都と市しの中なかで,規き模ぼと豊ゆたかさの面めんで,ローマとアレクサンドリアに次つぐ第だい3の地ち位いにありました。

アンティオキアは政せい治じだけでなく商しょう業ぎょうの中ちゅう心しん地ちでもありました。シリア全ぜん土どの商しょう品ひんはこの都と市しを経けい由ゆして地ち中ちゅう海かい沿えん岸がん地ち域いきに輸ゆ出しゅつされました。「ギリシャ・ローマ世せ界かいと東とう方ほう地ち域いきの境きょう界かいに近ちかかったので,たいていのヘレニズム都と市しよりもはるかに国こく際さい色しょく豊ゆたかだった」とある学がく者しゃは言いっています。アンティオキアには大おおきなユダヤ人じんコミュニティーがあり,ユダヤ人じんの歴れき史し家かフラウィウス・ヨセフスによれば,彼かれらはその都と市しの「非ひ常じょうに大おお勢ぜいのギリシャ人じんを改かい宗しゅう者しゃにした」とのことです。

20,21. バルナバは自じ分ぶんの限げん界かいを認みとめて,どんなことをしましたか。宣せん教きょうでどのようにバルナバに倣ならえますか。

20 アンティオキアでの発はっ展てんが見み込こまれたため,エルサレムの会かい衆しゅうはバルナバを遣つかわします。それでも,関かん心しんを持もつ人ひとがあまりにも多おおく,バルナバ1人ひとりでは足たりませんでした。ほかに誰だれがここで奉ほう仕しするとよいでしょうか。異い国こく人じんへの使し徒とになるよう選えらばれていたサウロがまさに適てき任にんです。(使し徒と 9:15。ロマ 1:5)バルナバはライバル心しんを抱いだいて,サウロを誘さそうことをためらうでしょうか。そんなことはありません。助たすけが必ひつ要ようなことを謙けん虚きょに認みとめ,タルソスに行いってサウロを捜さがし,アンティオキアに来きてもらいます。2人ふたりは丸まる1年ねん一いっ緒しょに働はたらき,アンティオキアの会かい衆しゅうの人ひとたちの信しん仰こうを強つよめました。(使し徒と 11:22-26前ぜん半はん)

21 私わたしたちも自じ分ぶんの限げん界かいを認みとめ,謙けん虚きょでいたいと思おもいます。宣せん教きょうで,みんなそれぞれ違ちがう得とく意い分ぶん野やを持もっています。日にち常じょうで出で会あう人ひとに話はなし掛かけたり,家いえを訪ほう問もんしたりするのが得とく意いでも,再ふたたび訪ほう問もんしたり聖せい書しょレッスンを始はじめたりするのは苦にが手てかもしれません。伸のばしたい分ぶん野やがあれば,得とく意いな人ひとに教おしえてもらうのはどうでしょうか。そうすれば,宣せん教きょうがもっと楽たのしくなり,成せい果かもきっと上あがるはずです。(コリ一いち 9:26)

「兄きょう弟だいたちを救きゅう援えんする」(使し徒と 11:26後こう半はん-30)

22,23. アンティオキアの兄きょう弟だいたちはどのように兄きょう弟だい愛あいを表あらわしましたか。現げん代だいのエホバの証しょう人にんはどうですか。

22 「弟で子したちが神かみの導みちびきによってクリスチャンと呼よばれた」のは,アンティオキアが最さい初しょでした。(使し徒と 11:26後こう半はん)神かみの導みちびきにより,キリストの生いき方かたに倣ならう人ひとたちにぴったりの名めい称しょうが生うまれました。異い国こく人じんもクリスチャンになっていましたが,ユダヤ人じんのクリスチャンとの関かん係けいはどのようなものだったのでしょうか。46年ねんごろ,大だい飢き饉きんが起おきました。e 昔むかしは特とくに,飢き饉きんになると貧まずしい人ひとたちが苦くるしみました。お金かねや食たべ物ものの蓄たくわえがなかったからです。この大だい飢き饉きんの時ときも,ユダヤに住すむユダヤ人じんのクリスチャンの多おおくは貧まずしかったため,困こん窮きゅうしました。そのことを知しって,アンティオキアの兄きょう弟だいたち(異い国こく人じんのクリスチャンも含ふくむ)は「ユダヤに住すむ兄きょう弟だいたちを救きゅう援えんする」ことにしました。(使し徒と 11:29)素す晴ばらしい兄きょう弟だい愛あいです。クリスチャンたちは固かたい絆きずなで結むすばれていました。

23 現げん代だいのエホバの証しょう人にんも同おなじです。近ちかくであれ遠とおくであれ,兄きょう弟だいたちが苦くるしんでいるのを知しると,助たすけになろうとします。仲なか間まがハリケーン,地じ震しん,津つ波なみなどの自し然ぜん災さい害がいに見み舞まわれると,支し部ぶ委い員いん会かいはすぐに災さい害がい救きゅう援えん委い員いん会かいを設もうけます。私わたしたちは兄きょう弟だいたちを心こころから愛あいしているので,そうした救きゅう援えん活かつ動どうをします。(ヨハ 13:34,35。ヨハ一いち 3:17)

24. ペテロが見みた幻まぼろしの意い味みを忘わすれずに,どうしていくことが大たい切せつですか。

24 では,1世せい紀きにヨッパでペテロが見みた幻まぼろしの意い味みを忘わすれないようにしましょう。エホバは公こう平へいな方かたです。私わたしたちが相あい手ての人じん種しゅ,国こく籍せき,社しゃ会かい的てき地ち位いに関かかわりなく,神かみの王おう国こくについて徹てっ底てい的てきに教おしえることを,エホバは願ねがっています。これからも良よい知しらせをあらゆる人ひとに伝つたえていきましょう。(ロマ 10:11-13)

兄弟姉妹が屋根を修理している。

兄きょう弟だいたちが困こまっているときは助たすけになろうとする。

コルネリオとローマ軍ぐん

ローマの属ぞく州しゅうユダヤの行ぎょう政せい・軍ぐん事じの本ほん拠きょ地ちはカエサレアでした。総そう督とくの指し揮き下かにあった軍ぐん隊たいは,500騎きから1000騎きの騎き兵へい隊たいと5つの歩ほ兵へい隊たいから成なっていました。1つの歩ほ兵へい隊たいは総そう勢ぜい600人にんほどでした。これらの兵へい士しは通つう常じょう,ローマ市し民みんではない人ひとたちの中なかから徴ちょう募ぼされました。大たい半はんはカエサレアで軍ぐん務むに就つきましたが,ユダヤ各かく地ちに小ちいさな守しゅ備び隊たいが駐ちゅう屯とんしました。エルサレムでは,アントニアの塔とうに1つの歩ほ兵へい隊たいが常じょう駐ちゅうし,神しん殿でんの丘おかと都と市しを警けい備びしました。ユダヤ人じんの祭まつりの時じ期きになると,騒そう動どうに備そなえてエルサレムのローマ軍ぐんが増ぞう強きょうされました。

百ひゃく人にん隊たい長ちょうは約やく100人にんの兵へい士しを率ひきいました。使し徒と 10章しょう1節せつのギリシャ語ご本ほん文もんによれば,コルネリオはイタリア隊たいという部ぶ隊たいの百ひゃく人にん隊たい長ちょうの1人ひとりでした。カエサレアを拠きょ点てんとしていたと思おもわれるこの部ぶ隊たいは,「ローマ市し民みん志し願がん兵へいの第だい二にイタリア歩ほ兵へい隊たい」だったかもしれません。f 百ひゃく人にん隊たい長ちょうは,社しゃ会かいでも軍ぐん隊たいでもかなり高たかい地ち位いにあり,裕ゆう福ふくでした。給きゅう与よは普ふ通つうの兵へい士しの16倍ばいだったともいわれています。

f この歩ほ兵へい隊たい(ラテン語ご名めい: Cohors II Italica voluntariorum civium Romanorum)は,69年ねんにシリアに駐ちゅう屯とんしていたことが知しられています。

a ユダヤ人じんの中なかには,皮かわなめし職しょく人にんを見み下くだす人ひとがいました。動どう物ぶつの皮かわや死し骸がいに触ふれたり,悪あく臭しゅうの伴ともなう作さ業ぎょうをしたりする仕し事ごとだったからです。皮かわなめし職しょく人にんは神しん殿でんに行いってはいけないとされていて,作さ業ぎょう場ばは町まちから約やく20㍍以い上じょう離はなれていなければなりませんでした。それもあって,シモンの家いえは「海うみ辺べに」あったと考かんがえられます。(使し徒と 10:6)

b 「コルネリオとローマ軍ぐん」という囲かこみを参さん照しょう。

c これは2006年ねん11月がつ1日ついたち号ごうで,4-7ページに「子こ育そだてのための信しん頼らいできるアドバイス」という記き事じが載のっています。

d 「シリアのアンティオキア」という囲かこみを参さん照しょう。

e ユダヤ人じんの歴れき史し家かヨセフスも,クラウディウス帝ていの治ち世せい中ちゅう(41-54年ねん)に起おきたこの「大だい飢き饉きん」に言げん及きゅうしています。

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