正しい宗教を知っていることには責任が伴う
『神の言葉を聞いてそれを守っている人たちは幸いです!』―ルカ 11:28。
1 どのような人は,ひとたび正しい宗教を見分けたなら,それを中心にした生活をするようになりますか。
正しい宗教を見分けるだけでは十分ではありません。わたしたちは,もし正しいことや真実なことを愛しているのであれば,ひとたび真の宗教を見いだしたなら,それを中心にした生活をするようになります。真の宗教は,単なる観念的な哲学ではありません。それは生きる道なのです。―詩編 119:105。イザヤ 2:3。使徒 9:2と比較してください。
2,3 (イ)イエスは神のご意志を行なうことの重要性をどのように強調しましたか。(ロ)正しい宗教を知っている人にはどんな責任がありますか。
2 イエス・キリストは,神がご自分の意志であると示しておられる事柄を行なうことの重要性を強調されました。イエスは山上の垂訓として知られるようになった訓話の結びで,イエスを主と呼ぶ者(したがって,クリスチャンであると自称する人)がみな王国に入るのではなく,イエスの父のご意志を行なう者だけが入ると言われました。イエスの言葉によれば,そのほかの者たちは「不法を働く者」として退けられることになります。なぜ不法なのでしょうか。なぜなら,聖書が述べているように,神のご意志を行なわないことは罪であり,罪はすべて不法だからです。(マタイ 7:21-23。ヨハネ第一 3:4。ローマ 10:2,3と比較してください。)人は正しい宗教を知っているかもしれません。その宗教について教えている人を褒め,その宗教を実践している人たちのことを良く言うかもしれません。しかし,その人には正しい宗教を自分自身の生活に当てはめる責任もあります。(ヤコブ 4:17)その人は,もしその責任を受け入れるなら,自分の人生が豊かなものになってゆくことに気づくでしょう。また,ほかでは得られない喜びを経験するようになります。
3 前の記事では,真の宗教を見分けるための六つのしるしが取り上げられました。それぞれのしるしは,正しい宗教を見分けるための助けとなるだけでなく,わたしたち個人個人に取り組むべき課題と奮起するためのよい機会を与えるものとなります。どうしてそう言えるでしょうか。
あなたは神の言葉にどのようにこたえ応じていますか
4 (イ)エホバの証人と交わり始めて比較的新しい人は,証人たちが聖書を使うことに関して,すぐにどんな点を認めるようになりますか。(ロ)エホバの僕たちは霊的によく養われることにより,どんな影響を受けていますか。
4 エホバの証人が新たに関心を示した人と聖書研究を行なってゆくと,それら比較的新しい人の多くは,教えられている事柄が聖書に基づいていることをすぐに悟ります。彼らは疑問に対する答えを得るために,教会の信条や人間の伝承,著名人の意見などを調べるようにとは言われません。典拠となるのは神ご自身の言葉です。王国会館に行くと,そこでも聖書が主要な教科書であることが分かります。誠実に真理を探し求めている人はすぐに次のことに気づきます。すなわち,エホバの証人の間に喜びが見られるのはおもに,彼らが神の言葉から霊的によく養われているからであるということです。―イザヤ 65:13,14。
5 (イ)エホバの証人を観察する人たちには,取り組むべきどんな課題が差し伸べられますか。(ロ)それらの人は,どうすれば証人たちの喜びに加われますか。
5 あなたは,もしそれを認めているのなら,そのことにどのように反応しておられますか。もしその意味を悟っているのであれば,何もしない傍観者のままでよいとは言えませんし,傍観者のままでいたいと思うべきでもありません。聖書の示すところによれば,「ただ聞くだけ」で『み言葉を行なわ』ない人は『虚偽の推論によって自分を欺いて』います。(ヤコブ 1:22)そのような人は,何を言うにせよ神に従わないなら本当に神を愛しているとは言えないということを認めないゆえに,自分を欺いているのです。いくら信じていると言っても,業によって裏打ちされていないなら,それは死んだ信仰です。(ヤコブ 2:18-26。ヨハネ第一 5:3)それとは対照的に,エホバに対する愛に動かされて「業を行なう人」となる人は,「それを行なうことによって幸福に」なります。確かに,イエス・キリストが説明されたとおり,『神の言葉を聞いてそれを守っている人たちは幸いです!』―ヤコブ 1:25。ルカ 11:28。ヨハネ 13:17。
6 わたしたちは,もし本当に神の言葉の価値を認識しているなら,どんな機会をとらえるよう個人的に努力するでしょうか。
6 そのような喜びは,あなたが神のご意志に関する知識を増し加え,新たに学んだ事柄を自分に当てはめるにつれて深まります。あなたは神の言葉の研究にどれほどの努力を払っておられますか。非識字者の中には,字を読めるようになろうと一生懸命に勉強した人が幾万人もいます。それも特に,聖書を読めるようになって他の人々に聖書を教えることができるようになるためにそうしたのです。また,聖書や聖書研究の手引き書,例えば「ものみの塔」誌などを読むために毎日幾らかの時間を費やせるよう毎朝早く起きる人たちもいます。個人的に聖書通読をしたり,他の研究資料に引照されている聖句を調べる時には,エホバの律法やおきてによく注意を払い,わたしたちの導きのためにそこに収められている多くの原則を識別するよう努めましょう。それぞれの箇所が神について,また神の目的や神の人類とのかかわりについて何を明らかにしているか,黙想してください。そうする時間を取って自分の心を形作るようにしましょう。聖書のその助言を自分自身の生活のどの面に一層十分に当てはめることができるか,考えてみてください。―詩編 1:1,2; 19:7-11。テサロニケ第一 4:1。
エホバに対するあなたの専心は全きものですか
7 (イ)三位一体の教理は,神を崇拝しようとする人々の努力にどんな影響を及ぼしてきましたか。(ロ)人がエホバについての真理を知ると,どんなことが生じ得ますか。
7 幾百万もの人々にとって,まことの神は三位一体ではないという事実を知ったことは,救いとなりました。それらの人々は,「それは玄義である」という説明に決して満足しませんでした。不可解な神にどうして引き寄せられたりするでしょうか。そうした教えの結果,彼らはみ父(教会ではその名を耳にしたことがなかった)を無視して,イエスを神として崇拝したり,マリア(「神の母」であると教えられた)に対する崇拝を行なったりする傾向にありました。しかし,エホバの証人のだれかが聖書を開いて,エホバという神ご自身の名を示すと,彼らの心は喜びをもってこたえ応じました。(詩編 83:18)ベネズエラのある女性は,神の名を示された時,感極まって,その貴重な真理を伝えてくれた若いエホバの証人の女性を文字どおり抱き締めたほどです。そして,家庭聖書研究を行なうことに同意しました。そのような人々は,イエスがみ父のことを「わたしの神またあなた方の神」と言われたことや,み父に「唯一まことの神」と呼びかけられたことを知ると,聖書が神について教えている事柄は不可解なものではないことに気づきます。(ヨハネ 17:3; 20:17)そのような人々はエホバの特質を知るようになるにつれ,エホバに心をひかれ,エホバに祈るようになり,エホバに喜ばれる者となることを望みます。その結果,どうなるでしょうか。
8 (イ)幾百万という人々は,エホバを愛するがゆえに,またエホバに喜ばれたいと願うがゆえに,何を行なってきましたか。(ロ)クリスチャンのバプテスマが非常に重要なのはなぜですか。
8 過去10年間に,六つの大陸と多くの島々で252万8,524人が自分の命をエホバに献げた後,その献身の象徴として水のバプテスマを受けました。あなたはその一人ですか。あるいは,バプテスマを受けるために準備しておられるところでしょうか。バプテスマは,真のクリスチャンすべての人生における一つの重要な里程標です。イエスはご自分の追随者たちに,すべての国の人々を弟子として彼らにバプテスマを施すようにという使命をお与えになりました。(マタイ 28:19,20)また,イエスのバプテスマの直後にエホバご自身が天から語りかけ,「あなたはわたしの子,わたしの愛する者である。わたしはあなたを是認した」と言われたことも注目に値します。―ルカ 3:21,22。
9 エホバとの是認された関係を維持するためには,わたしたちの側に何が求められますか。
9 エホバとの是認された関係は,大切にすべき事柄です。あなたも献身とバプテスマによってそのような関係に入っておられるのであれば,何にせよその関係を損なうような事柄は避けてください。生活上の思い煩いや物質的な事柄に対する関心のためにその関係が二の次になってしまう,などということがあってはなりません。(テモテ第一 6:8-12)実際に,「あなたのすべての道において[エホバ]を認めよ。そうすれば,[エホバ]ご自身があなたの道筋をまっすぐにしてくださる」という箴言 3章6節の助言に調和した生活を送りましょう。
あなたはキリストの愛からどれほどの影響を受けていますか
10 エホバを崇拝すればイエスをないがしろにすることになる,というわけではありません。それはなぜですか。
10 言うまでもなく,エホバを唯一まことの神として正しく認識すればイエス・キリストをないがしろにすることになる,というわけではありません。それどころか,啓示 19章10節には,「イエスについて証しすることが預言に霊感を与えるものなのです」と述べられています。創世記から啓示まで,霊感によって記された預言は,エホバの目的におけるイエス・キリストの役割について詳細な点を明らかにしています。そうした詳細な点をよく知るようになると,キリスト教世界の偽りの教えに起因するゆがみや間違いのない,実に魅力的な全体像が浮かび上がってきます。
11 ポーランドのある女性は,聖書が神のみ子について実際に教えている事柄を知ってどんな影響を受けましたか。
11 人は神のみ子についての真理を把握した時,非常に大きな影響を受ける場合があります。ポーランドの女性,ダヌータの場合がそうでした。彼女はそれまで8年間エホバの証人と接触を持っており,証人たちの教える事柄を喜んで聞いていましたが,真の崇拝を自分の生きる道とはしていませんでした。その後,「これまでに生存した最も偉大な人」という本を1冊受け取りました。それはキリストの生涯を分かりやすく説明している本です。a 彼女は夕方遅く,1章だけ読むつもりでその本を開きました。ところが,やめられなくなり,全部読み終えて本を置いたのは明け方のことでした。急に涙があふれました。「エホバ,私をお許しください」と,ダヌータは哀願しました。彼女は自分が読んだ事柄から,エホバとみ子の示してくださった愛をそれまで以上にはっきりと理解しました。そして,8年間というもの神が辛抱強く助けの手を差し伸べてくださっていたのに,自分は感謝の意も示さず,それをはねつけていたのだ,ということに気づきました。彼女は1993年に,イエス・キリストに対する信仰に基づいてエホバに献身したことの象徴としてバプテスマを受けました。
12 イエス・キリストに関する正確な知識はわたしたちの生活にどんな影響を及ぼしますか。
12 「わたしたちの主イエス・キリストについての正確な知識」は,活発で忠実なクリスチャンであることと関連づけられています。(ペテロ第二 1:8)あなたはどの程度そのような活動に参加して他の人に王国の音信を伝えますか。個人個人がそれをどれほどできるかは,いろいろな状況に左右されます。(マタイ 13:18-23)状況によっては自分ではどうにもならないものもありますが,自分で変えられるものもあります。変えることのできるところを見分けて変えようという意欲を起こさせるものは何でしょうか。使徒パウロはこう書いています。「キリストの持たれる愛がわたしたちに迫るのです」。言い換えれば,キリストがわたしたちのために自分の命をなげうって示された愛が非常に際立っているため,その愛に対するわたしたちの認識が深まるにつれて,わたしたちの心は強く動かされるということです。その結果,わたしたちはいつまでも利己的な目標を達成しようとし,おもに自分自身を満足させるために生きるということが全くふさわしくないことに気づきます。むしろ,わたしたちはキリストが弟子たちに行なうようお教えになった業を第一にするために自分の事情を調整します。―コリント第二 5:14,15。
世から離れる ― どの程度?
13 わたしたちは,世の一部になっている宗教と何のかかわりも持ちたくありませんが,それはなぜですか。
13 キリスト教世界と他の宗教は世の一部になりたがっているゆえに,それらの残した記録を見ることは難しくありません。教会の資金は革命的な活動を支援するために使われてきました。ゲリラの闘士になった司祭たちもいます。地上の様々な場所で互いに戦い合っている宗教上の党派について新聞が報道しない日はありません。彼らの手からは血が滴っています。(イザヤ 1:15)また,世界中で僧職者たちは相変わらず政治を操ろうとしています。真の崇拝者は一切そのようなことにかかわりません。―ヤコブ 4:1-4。
14 (イ)わたしたちはこの世から離れているつもりなら,個人的に何を避けなければなりませんか。(ロ)世の態度や習わしというわなにかかるのを避けるために何が助けになりますか。
14 しかし,世から離れているとはそれだけのことではありません。この世の特徴となっているのは,お金とお金で買うことのできるものに対する愛,名声を得たいという欲望,飽くことなく快楽を追求すること,およびそれに伴う他の人々に対する純粋な関心の欠如,うそやののしり,権威に対する反抗,自制心を働かせないことなどです。(テモテ第二 3:2-5。ヨハネ第一 2:15,16)わたしたちは自分自身の不完全さゆえに,何らかの点でそれらの特性を幾らか表わしてしまうこともあります。そのようなわなを避けるよう力を尽くすのに何が助けになるでしょうか。わたしたちはそのすべての背後にだれがいるかを思い起こさなければなりません。『全世界は邪悪な者の配下にある』のです。(ヨハネ第一 5:19)ある歩みがどんなに魅惑的に思えようと,またどんなに多くの人がそのような生き方をしていようと,わたしたちはその背後にエホバの大敵対者,悪魔サタンを見る時,それが実際にはいかに醜いものであるかを悟ります。―詩編 97:10。
あなたの愛はどの範囲にまで及びますか
15 あなたにとって無私の愛を見たことは,正しい宗教を見分けるうえでどのように助けになりましたか。
15 あなたは初めてエホバの証人と交わるようになった時,証人たちの間にはっきり見られる愛が世の霊とは対照的であるゆえに,きっと心をひかれたことでしょう。無私の愛に重きを置いている点で,エホバの清い崇拝は他のどんな崇拝の方式とも異なっています。あなたはこれを見て,エホバの証人は確かに正しい宗教を実践していると確信したかもしれません。イエス・キリストご自身はこう言われました。「あなた方の間に愛があれば,それによってすべての人は,あなた方がわたしの弟子であることを知るのです」― ヨハネ 13:35。
16 わたしたちには,自分の愛を広げるうえで個人としてどんな機会があるかもしれませんか。
16 あなたもその特質によってキリストの弟子の一人として見分けられていますか。愛を示す点で自分を広くすることができますか。確かに,わたしたちは皆そうすることができます。それには王国会館で他の人に親しみ深くする以上のことが必要です。それにわたしたちは,もし自分を愛してくれる人にしか愛を差し伸べないとしたら,世とどれほど異なっていると言えるでしょうか。「何よりも,互いに対して熱烈な愛を抱きなさい」と,聖書は勧めています。(ペテロ第一 4:8)わたしたちはだれに,より大きな愛を示すでしょうか。自分とは背景が異なっている,また物事のやり方が自分の気に障るクリスチャンの兄弟また姉妹でしょうか。病気や老齢のため集会に定期的に出席することができないでいる人でしょうか。自分の配偶者でしょうか。あるいは,もしかしたら,年老いた親でしょうか。愛をはじめとする霊の実を表わす点でよくやっていた人の中には,重度の身体障害を抱えるようになった家族の成員をほとんど付きっきりで世話するという非常に難しい状況に直面した時に,自分がそれらをもう一度始めから学び直しているかのように感じた人たちもいます。もちろん,そのような状況に面した時でもやはり,わたしたちの愛は自分の家族の範囲を越えるものとなるべきでしょう。
王国を証しする業 ― あなたにとってどれほど重要ですか
17 わたしたちは,もしエホバの証人の訪問によって個人的に益を受けてきたのであれば,今や何をするよう動かされるはずですか。
17 わたしたちが仲間の人間に愛を示す肝要な方法の一つは,人々に神の王国について証言することです。イエスが予告されたこの業を行なっている人々のグループは一つしかありません。(マルコ 13:10)それはエホバの証人です。わたしたちはそれによって個人的に益を受けてきました。今や,他の人たちを助けるのはわたしたちの特権です。もしわたしたちがこのことに関して神と同じ見方を持っているなら,この業はわたしたちの生活の中で際立ったものとなるでしょう。
18 わたしたちは「エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々」の本を読むことによって,自分自身が王国を証しする業に加わる点でどんな影響を受けるかもしれませんか。
18 この終わりの日に王国の音信がいかに地の最も遠い所にまで伝えられてきたかに関する胸の躍る報告は,「エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々」という本に収められています。その本をもしあなたの話す言語で入手できるのであれば,是非お読みになってください。そしてその際には,個々の人がどのように王国についての証しの業に加わったか,そのすべての方法に特に注目してください。あなたの見倣える模範を残した人がいますか。わたしたちすべての前には多くの機会が開かれています。わたしたちは是非ともエホバに対する愛に動かされてそれらの機会を十分に活用したいものです。
19 わたしたちは,正しい宗教を知っていることに伴う責任を受け入れるとき,どのような益を受けますか。
19 わたしたちはそのようにエホバのご意志を行なうことに打ち込むとき,人生の意義は何かという問いに対する答えを見いだします。(啓示 4:11)もはや,暗中模索してむなしさばかり味わうことはありません。あなたが専心できる生涯の仕事の中に,エホバ神への奉仕に心をこめて打ち込むことよりも大きな満足感のある仕事はないのです。しかも,何とすばらしい将来が待ち受けているのでしょう。神の新しい世での永遠に続く満足のゆく生活です。その新しい世では,自分の能力を,神が人類を創造された愛ある目的に調和して十分に用いることができるのです。
[脚注]
a ものみの塔聖書冊子協会発行。
どのように答えますか
□ 宗教が聖書を神の言葉として受け入れ,エホバをまことの神として敬うことはなぜ肝要ですか
□ 真の宗教は贖い主としてのイエスの役割に関して何を教えますか
□ クリスチャンはなぜこの世から離れ,無私の愛を実践しているべきですか
□ 王国を証しする業は,正しい宗教の中でどんな役割を占めていますか
[16ページの図版]
バプテスマは,真の崇拝に関連した責任を受け入れる点での肝要な一歩。毎月,全世界で約2万5,000人がその一歩を踏み出す
ロシア
セネガル
パプアニューギニア
米国
[17ページの図版]
聖書の真理を他の人に伝えることは真の崇拝の一部
米国
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