10. ギデオンはどんな難しい状況に直面しましたか。
10 マナセ族のギデオンとエフライム族の人たちの間に起きたことを考えてみましょう。ギデオンと300人の部下は,エホバの助けを得て劇的な勝利を収めました。そのことで誇りを抱いても不思議ではありませんでした。そこに,エフライムの人たちがやって来ました。ギデオンを褒めるためではなく,文句を言うためです。エフライムの人たちは,ギデオンが神の敵との戦いを始める時に自分たちに声を掛けなかったので,プライドを傷つけられたようです。彼らは,自分たちの部族の名誉のことばかり考えて,全体像を見ていませんでした。ギデオンはエホバの名をたたえ,エホバの民を守るために行動していたのです。(裁 8:1)
11. ギデオンはエフライムの人たちにどう応じましたか。
11 ギデオンは,エフライムの人たちに対して謙遜にこう言いました。「皆さんがしたことに比べれば私は大したことはしていません」。そして,エホバがエフライムの人たちを祝福した具体的な例を挙げました。すると,「エフライムの人たちの気持ちは治ま」りました。(裁 8:2,3)こうしてギデオンは,神の民の平和を守るために謙遜さを示したのです。
12. エフライムの人たちやギデオンからどんなことを学べますか。
12 この出来事から何を学べますか。エフライムの人たちからは,エホバをたたえることよりも自分の名誉のことを考えてはならない,という点を学べます。家族の頭や長老たちは,ギデオンから学ぶことができます。誰かが私たちのしたことに気分を害した場合には,その人の視点で考えるようにしましょう。その人が頑張っている点を褒めることもできます。そうするためには,私たちの側に謙遜さが必要です。相手が間違っている場合は,特にそう言えます。自分の正しさを示すことよりも,平和を守ることの方がはるかに重要なのです。
13. ハンナはどんな難しい状況に直面しましたか。どのように乗り越えましたか。
13 ハンナについても考えてみましょう。ハンナは,レビ族の人エルカナの妻で,エルカナから深く愛されていました。しかし,エルカナにはもう1人ペニンナという妻がいました。エルカナはペニンナよりもハンナの方を愛していました。しかし,「ペニンナには子供がい[まし]たが,ハンナには子供がい」ませんでした。それで,ペニンナはハンナを「傷つけようとして,……しきりにあざけって」いました。ハンナはどう感じたでしょうか。とても傷つきました。「泣いて,食事をしようとしなかった」ほどです。(サム一 1:2,6,7)しかし,聖書にはハンナがペニンナに仕返ししようとしたという記録はありません。ハンナは自分の気持ちをエホバに打ち明け,物事をエホバに委ねました。ペニンナはハンナに対する態度を改めたでしょうか。聖書には何も書かれていません。でも,ハンナは穏やかな気持ちを取り戻し,心が乱されることはもはやありませんでした。「もう沈んだ顔ではなかった」と書かれている通りです。(サム一 1:10,18)
14. ハンナからどんなことを学べますか。
14 ハンナから何を学べますか。誰かがあなたと張り合おうとするとしても,受けて立つ必要はありません。悪いことをされても仕返しをするのではなく,その人と平和な関係でいるようにしましょう。(ロマ 12:17-21)相手が態度を変えないとしても,あなたは穏やかな心を保てるでしょう。
15. アポロとパウロにはどんな共通点がありましたか。
15 では最後に,アポロとパウロの手本から学べる点を考えてみましょう。2人とも聖書をよく知っていました。人々によく知られていて,教えるのが上手でした。そして,イエスの弟子になるよう多くの人を助けました。それでも,2人がお互いをライバルと見ることはありませんでした。
16. アポロはどんな人でしたか。
16 アポロは,1世紀の学問の中心地である「アレクサンドリア生まれ」の人でした。また,話すのがとても上手で,「聖書によく通じてい」ました。(使徒 18:24)アポロがコリントにいた時,会衆内の一部の人たちは,パウロをはじめとするほかの兄弟たちよりも,アポロのことを気に入っていました。(コリ一 1:12,13)アポロは,会衆を分裂させるようなこうした考え方をあおったでしょうか。そんなことをしたとは考えられません。実際,アポロがコリントを去ってしばらくたってから,パウロはそこに戻るようアポロに勧めました。(コリ一 16:12)パウロは,アポロが会衆を分裂させていたと感じていたなら,そんなことはしなかったはずです。アポロは自分の能力を正しく用いていました。良い知らせを広めたり,兄弟たちを強めたりしていたのです。また,アポロは謙遜な人だったに違いありません。例えば,アクラとプリスキラがアポロに「神の道をより正確に説明した」時,アポロが腹を立てたという記録はありません。(使徒 18:24-28)
17. パウロはどのようにして平和を求めましたか。
17 パウロは,アポロの立派な働きを認めていました。しかし,アポロのせいで自分の立場が危なくなる,とは考えませんでした。パウロがコリントの会衆に与えた助言から,パウロが謙遜で,慎み深く,物分かりの良い人だったことが分かります。「私はパウロに従う」と言われていい気になるのではなく,皆の注意がエホバ神とイエス・キリストに向くようにしました。(コリ一 3:3-6)
18. コリント第一 4章6,7節からすると,アポロとパウロからどんなことを学べますか。
18 アポロとパウロからどんなことを学べますか。私たちはエホバのために一生懸命働いて,バプテスマを受けるよう多くの人を助けるかもしれません。それでも,全てはエホバの祝福のおかげであることを認めます。2人から学べる別の点は,会衆で委ねられている責任が大きければ大きいほど,会衆をさらに平和なところとするために一層貢献できる,ということです。長老や援助奉仕者たちは,会衆の平和と一致のために,聖書に基づく助言を与え,自分自身ではなく手本であるキリスト・イエスに注意を向けるようにしています。そのことに本当に感謝できるのではないでしょうか。(コリント第一 4:6,7を読む。)
19. 私たち一人一人には何ができますか。(「競争心をあおらないようにしましょう」という囲みも参照。)
19 私たち一人一人には,神から与えられた才能や能力があります。その能力を生かして「仕え合ってください」。(ペテ一 4:10)自分には大したことはできないと感じるかもしれません。それでも,一致に貢献する小さな行いの一つ一つは,服を縫い合わせる一針一針のように大切なものです。それで,人と競い合おうとするどんな傾向も自分の中から取り除くよう努力しましょう。そして,会衆の平和と一致に貢献するためにできることは何でも行うようにしましょう。(エフェ 4:3)