聖霊に満たされて大胆に神の言を語る
― 1964年度エホバの証者の年鑑から
スペイン
最高伝道者数: 2,935
人口: 30,093,000
比率: 10,253人に1人
政府とカトリック聖職者による圧迫は依然つづいていますが,スペインの勇気ある奉仕者たちは,大きな前進を見せました。昨奉仕年度について特筆すべきことは,スペインの兄弟が多数出席した,イタリア,ミラノの国際大会です。この大会は強い励みとなりました。「新世界訳聖書」のスペイン語訳ができたことも忘れてはなりません。こうして昨奉仕年度は,スペインの兄弟たちにとって,栄光ある年となり,豊かな祝福の1年となりました。以下はスペイン,アンドラから寄せられた報告です。
昨奉仕年度の間,兄弟たちは,家から家に宣教することの大切さを一層深く認めるようになりました。それにともなって,数々の良い経験があります。南スペインのカデス市で家から家に伝道していた一人の開拓者は,屋根裏式のアパートにはいり,小さなとびらの前に立ちましたが,一見,空室のようでした。たしかめるため一応叩いてみたところ,中から婦人があらわれ,喜んで開拓者の話を聞きました。数度の再訪問ののち,この婦人の息子と研究が始まり,その婚約者も研究に加わりました。まもなく二人は集会に出席し始め,巡回の僕の訪問のおりには浸礼を受けました。その後二人は進歩して休暇開拓者になり,今では二人そろって正規開拓奉仕をしています。人の住んでいないと思われたところでさえ,一応たしかめてみたことにより,良い結果がありました。
兄弟たちは,「あなたの手に善をなす力があるならば,これをなすべき人になすことをさし控えてはならない」という箴言の言葉をいつも心にとめています。これはとくに,偶然の証言の機会があるときにあてはまります。スペインで行なわれる「聖週」の祭の木曜日に,一人の婦人はタクシーに乗りました。この車の運転手はマドリッドの兄弟です。婦人は,その日の習慣として7つの教会を順にたずねるつもりだと言いました。この婦人はまじめで,敬虔なカトリック教徒だと感じた兄弟は,巧みに話題を聖書に向け,2時間も一緒に話しました。話の終りには,小冊子が1部配布され,婦人の聖書の理解を助けるため,兄弟の妻が婦人をたずねて家庭聖書研究を始めるとりきめもできました。その後婦人は,自分が受けとった「ものみの塔」誌に,1963年の「永遠の福音」大会に関する発表があるのを見つけ,自分も参加できるだろうかとたずねたところ,兄弟のタクシーで是非一緒にとすすめられました。こうして,はじめて真理に接して以来4ヵ月後に,霊的に飢えていたこの婦人は,ミラノ大会に出席し,8日間にわたるゆたかな霊の食事にあずかりました。このすべては偶然の証言の結果です。
昨奉仕年度には,すくなくとも12の州で行なわれたクリスチャン活動に,警察からの弾圧がありました。宣教活動をしている時よりも,ただ自分の家にいる時に逮捕される例がすくなくありません。スペインの法律は,国教以外の信教の自由を保障しているにもかかわらず,ほとんどどの場合にも,スペインの「宗教上の一致」を乱したということが逮捕の理由になっています。
スペイン語の「新世界訳聖書」が発表されたことは,大きな喜びであり,兄弟たちはこれを実際に野外で使う日を望みみています。記念式には伝道者数の2倍を上まわる6,223名もの人が集まりましたから,前途には明るい見通しがあります。それゆえ,仕事の上にエホバの祝福がそそがれて,現代のバビロンの暗やみに長年とざされていたこの国に,エホバを知る真理の知識がいよいよ広がってゆくことは疑いありません。
アンドラ
最高伝道者数: 5
人口: 9,000
比率: 1,800人に1人
スペインとフランスの国境,ピレネー山脈の南面に位置したアンドラは,面積わずかに497平方キロ,世界第5の小国です。しかし,喜ばしこいことに,昨奉仕年度には土地のカタウン方言を話す3人の奉仕者が,この国で働き始めました。人口1万に満たぬ小国ですし,雪におおわれた季節の長い土地ですから,適当な仕事を探すことはそれほど簡単ではありません。しかし,兄弟たちはよく耐え,エホバの助けを得つつ,割り当てられた仕事を続けています。
アンドラ人は,昔から独立心に富んでいます。それゆえ,この土地からも多くの人々が真の自由をもたらす聖書の真理を知るようになるでしょう。