愛に満ちた親切な心をもつ人々と御国
1 御国契約に関して今日,どんな質問が妥当となりますか。私たちの生命はそれとどんな関係がありますか。
今日わたくしたちは,ヱホバ神が御国に関してダビデと結ばれた永遠の契約に,どのように誠実を示すことができますか。ヱホバは今日誰と『不定の時まで続く契約,ダビデに対する愛に満ちたかわらざる親切に関するもの』を結ばれていますか。(イザヤ 55:3,新世)ふるいエルサレムの町は,マホメット教を信ずるアラブ人の手中にあるではありませんか。かつてヱホバの宮の立つていた山のいただきは,岩の丸屋根として知られている回教寺院が立つています。イスラエル共和国は,御国契約に入れられているダビデの王家から出た王をいただいていません。いつたいあの永遠の契約はどうなつたのでしようか。わたくしたちが,近づきつつある神の正義の新しい世において永遠の生命を得るか否かは,これに対する正しい答えを得ることとそれに正しく一致した行動をとることにかかつています。
2 エルサレムにおいて行使されてきた,ダビデの後継者による王権はどのように終りましたか。ゼルバベルが王権を再興しなかつたことについて述べなさい。
2 キリスト前618年,ダビデ王直系の10番目の支配者エホヤキンが王になりましたが,わずか3ヵ月と10日間エルサレムで統治を行つただけでした。彼はバビロンの王ネブカデネザルに降伏したのです。そしてバビロンに連れ去られ,子供たちはそこで生長しました。エホヤキンのおじゼデキヤがエルサレムの王位につきました。そして11年間統治しましたが,キリスト前607年彼も捕えられて,バビロンに連れ去られそこで死にました。彼には子供がいませんでした。ソロモンの建てた壮麗な宮は破壊されてしまいました。それから70年経つて,エホヤキンの孫ゼルバベルは,ヱホバの宮を再建するために,忠実なユダヤ人の残れるものを,バビロンからエルサレムに導き帰りました。新しい世界強国であつたペルシヤ帝国の一臣民としてのゼルバベルは,ユダの総督としてつかえましたが,ダビデと結ばれたヱホバの御国契約に沿つた王としては,エルサレムの王位につきませんでした。不忠実なゼデキヤ王がくつがえされて以後,どのダビデの家の王位継承者も,エルサレムの『ヱホバの位』につきませんでした。
3 それでヱホバは,ダビデの家がどんな経験をするのを許されましたか。ダビデの王統は19世紀の昔,契約の約束を果すのに失敗することなくどのように終りましたか。
3 ヱホバの御国契約は失敗に終つたでしようか。それは解消されましたか。いいえ,ヱホバの愛に満ちたご親切,ヱホバの誠実な愛は,そのようなことをゆるしませんでした。ヱホバが,エルサレムのご自身の位をくつがえされて,最後の地的王ゼデキヤをその王位から追放されたことは事実です。しかし,永遠の御国契約は解消されませんでした。契約の諸条項を成就させるために,ヱホバはエルサレムの『ヱホバの位』にあつて,ヱホバを悪く代表した多くの王たちの悪に対し,ダビデの家に罰を与えられただけです。この罰を受けている期間中もずつと,ダビデ王の王統に,男子の欠けたことはありまんでした。ところがこの王統は,1900年前に終りました。何ですつて? では神の契約による約束は失敗に終り,契約の相続人として奉仕する男子がダビデの王統から絶えたというのですか。決してそうではありません。なぜですか。なぜなら,ダビデの王統はその時,子供のいなかつたひとりの子孫の死と共に終りましたが,しかしその人は,永遠に生きているからです。彼は20世紀の今日にも生きていて,御国契約の相続人を必要としません。これと一致して,ダビデ王の王統の現存するただひとつの記録は,イエス・キリストで終つています。今日生存しているユダヤ人で,自分はダビデ王の子孫だと言えるものはひとりもありません。
4 正しい意味で,イエスはなぜダビデの子と呼ばれていますか。イエスの人間の母は,なぜ彼を産むことに同意しましたか。
4 イエスは,ダビデの誕生地ベツレヘムで生れました。イエスの家系は二つあつてダビデまでさかのぼることができます。そのため,彼は正しくダビデの子と呼ばれているのです。(マタイ 1:1–2:11。ルカ 3:23-31)人間としてのイエスの誕生は奇跡でした。というのは彼は実際には,天からくだつた神の御子だつたからです。彼の生命力は,天からダビデの家すぢにあたるユダヤ人の処女マリヤの胎内に移されました。神の子の母になるということに関して,彼女の同意を得るために,ヱホバは天使ガブリエルをつかわして,彼女が,約束された族長アブラハムの裔,また永遠の御国契約の約束された相続人を生む人間の母になるべく選ばれたことを告げさせました。天使ガブリエルは彼女にあいさつした後こう言いました。『マリヤよ,恐れてはならない,あなたは神から恵みをいただいているからです。見なさい! あなたはみごもつて男の子を産むでしよう。あなたは彼にイエスという名前をつけなさい。この子は偉大になつて,いと高き者の子と呼ばれるでしよう。そしてヱホバ神は彼に父ダビデの位をお与えになり,彼はヤコブ(イスラエル)の家を永久に支配し,彼の国は終ることがないでしよう。』(ルカ 1:26-33,新世)マリヤは,ヱホバの御国契約に誠実を示して,この奇跡が自分の上に起ることに愛をもつて同意しました。
5 どの預言の成就として,処女からの誕生がありましたか。その誕生はどのように発表されましたか。
5 イザヤ書 7章14節の預言は成就して,イエスは,一つの偉大なしるしとして,この若い婦人から誕生しました。そしてこの重要性は今日に至るまで変りません。天から来たヱホバのみ使は,この奇跡によつて生れたダビデの子は,ヱホバの油そそがれた者,キリストになる者であることをベツレヘムの羊飼たちに告げました。『見よ,すべての民に与えられる大きな喜びをあなたがたに伝える。きようダビデの町に,あなたがたのために救い主がお生れになつた。このかたこそ主なるキリストである。』― ルカ 2:1-12。マタイ 1:18-25。
6 イエスが御国契約の永遠の相続者になることは,彼がこの地に拘束されることになるか否かに関しては,どう言えますか。それでイエスは誰によつて油そそがれましたか。
6 イエスは,真に諸国民を祝福するアブラハムの裔となるために,また実際に,ダビデの永遠の御国相続人となるために人間に生れたとはいうものの,エルサレムのシオンの山にあつた有形的な王座に座して,この地に拘束されることになつていたのではありません。ヱホバ神は,3000年前にダビデと契約を結ばれた時,ダビデの永久の相続人のためには,最後に永遠の「天的」御国を建てることを考えておられました。どんなレビ人の大祭司も,そのような天の政府にイエスを任命することはできませんでした。イエスの水による洗礼の後,ヱホバが聖霊によつて彼に油そそがれ,彼をキリストとして是認されたのです。
7 だから,最もふさわしく何を伝道しましたか。御国契約に誠実を示して,彼は誰を歓迎しましたか。
7 そこでイエスは,神の霊によつて,将来の生命を天にもつところの神の霊的子として生み出されました。ですからイエスが神の御国,『天の御国』を宣べ伝えられたことは,最もふさわしいことでした。彼は,弟子たちにも,自分に従つて先ず御国を求めるように呼びかけました。彼らに呼びかけられていた時,実際にはイエスは,預言者イザヤを通じてさしのべられた神の御招待を彼らにさしのべていたのです。『耳を傾けてわたしに来なさい。よく聞きなさい。そうすればあなたがたのたましいは生きつづける。そしてわたしは,すすんであながたと不定の時まで続く契約を立てる。それは,ダビデに対する,愛に満ちたかわらざる親切に関するものである。』(イザヤ 55:3,新世)これはヱホバ神が,天的御国において,イエスにいく人かの共同相続人を与える目的を有しておられたことを意味しました。イエスは,御国契約に誠実を示して,それら神の御国の共同相続者たちを歓迎されました。ご自分の誠実な使徒たちと最後の過越を祝われた後,イエスは彼らにこう言われました,『あなたがたは,わたしの試錬のあいだわたしと一緒に最後まで忍んでくれた人たちである。それで,わたしの父が国の支配をわたしにゆだねてくださつたように,わたしもそれをあなたがたにゆだね,わたしの国で食卓について飲み食いをさせ,また位に座してイスラエルの12の部族をさばかせるであろう。』(ルカ 22:28-30,新口)このことは全くヱホバの愛に満ちた御親切だつたのです!
8 イエスが死んでショールに横たわつた時,事態はどのように見えましたか。そこでヱホバは,約束を守るために何をしなければなりませんでしたか。
8 この唯一の御国相続者イエス・キリストには,すこぶる多くの事がらが依存していたのです! 彼が死んで埋葬された時は,ダビデ家にもとうとう『ヱホバの位』であつた王位に座すべき男子が絶えてしまつたかのように見えました。ずつと昔,天使はダニエルに預言して,『契約の君』が,『卑しむべき者』,つまりローマ皇帝のテベリオ・カイザルによつて敗られるであろうと告げていたのです。(ダニエル 11:21,22,新口)イエスは敗れ死んで,罪ある人類の誰もが行くところの墓である,ショールまたはハーデイスに横たわりました。いまやダビデとの御国契約を再興するのは不可能なように思われました。しかしながら全能の神が,ご自身の契約を失敗に終らせることなど絶対にあり得ません。契約の中に約束され,この誠実な神の御子に与えられるべきであつた神の愛に満ちた御親切,つまり神の誠実な愛が,その契約を失敗に終わらせることは決してあり得ませんでした。ヱホバ神は,ショールもしくはハーデイスまたは『地獄』,つまり人類の行く共通の墓から,彼を出さねばなりませんでした。この奇跡的な事がらを行うということは,ヱホバにより前もつて詩篇16篇10節(新世)に約束されていたのです。彼はダビデに霊感を与えて言わせました,『あなたは,わたしのたましいをショールにすておかれません。あなたの愛に満ちた親切な人が坑を見るのをゆるされません。』この預言は,偉大なダビデであるイエスが,墓から復活することを保証していました。
9 ヱホバがイエスを復活させたことは,何のあらわれでしたか。パウロはこの事実をどのように明白に述べましたか。
9 神がイエスを復活させられたことは,ダビデとの御国契約を支持する,神の愛に満ちたご親切のあらわれでした。使徒パウロはこのことを次のようにはつきりと述べています,『神がイエスを死人の中からよみがえらせて,もう朽ち果てることのないものとされた事実については,このように述べられた,「わたしはあなたがたに,ダビデに与えた,確かな愛に満ちた親切を与えよう。」ダビデは,彼自身の世代に,神の御旨につかえて,死の眠りにつき先祖と共に横たえられて朽ち果てた。一方,神がよみがえらせたかたは,朽ち果てなかつたのである。』― 使行 13:34-37,新世。
契約に入れられた他の者たち
10 それで,誰がヱホバの『愛に満ちた親切な人』でしたか。彼を天に復活させることによつてヱホバは何を行う道を開かれましたか。
10 イエス・キリストは,ヱホバがショールに捨てておかれなかつたところの,『愛に満ちた親切なかた』または,誠実な愛をお持ちになるかたです。ヱホバは,彼を死から,天における不滅の生命によみがえらすことによつて,ダビデとの契約に関するたしかな愛に満ちたご親切を,他の『愛に満ちた親切な人々』または誠実な人々,つまり,忠実な使徒たちと,また神が生み出されて,天の御国における御子イエス・キリストの共同相続者にされるすべての人々にまで拡大する道を聞かれました。
11 詩篇145篇でダビデは,ヱホバの愛に満ちた親切な人々について何をうたいましたか。
11 ダビデは預言的にうたいました,『ヱホバよ,あなたの御わざはことごとくあなたをほめたたえる。そして,あなたの愛に満ちた親切な人々はあなたを賛める。彼らはあなたの王権の栄光について語り,強力なることを話す。その大いなる御わざと,その王権の輝かしき栄光を人の子らに知らせる。あなたの王権は不定の時までつづく王権であり,あなたの支配は世々につづく。』 ―詩 145:10-13,新世。
12 この終りの時に,そのような霊的な人々はどのくらい残つていますか。
12 世の終りである現在では,これら霊的な『愛に満ちた親切な人々』または誠実な愛をもつ人々,言いかえると,ヱホバ神に対する自分の責任を果すにおいて熱心なまたは忠順な人々の残りの者が地上にいるだけです。彼らは第一次世界大戦中,神に対する責任を十分に果していませんでした。それで神は,彼らに怒りをもたれました。その怒りによつて神は,バビロンにおけるユダヤ人のごとく,彼らを,とらわれの身とされました。(イザヤ 12:1,2; 54:7-10)ヱホバはなぜ,第一次世界大戦中,その戦争にともなつて生じたさまざまの迫害と試練のもとで見せた彼らの短所を理由としてこの残れる者を捨てられなかつたのでしようか。それは,ヱホバが契約に対して誠実であられたからです。
13,14 (イ)ヱホバは,ご自身の契約によつて,この残れる者の級に何を表現すべき責任を自分自身に課せられましたか。(ロ)それで残れる者は,第一次世界大戦中何を経験しなければなりませんでしたか。どんな経済的犠牲によつて,彼らのたましいは今日まで生きつづけていますか。
13 ヱホバは,イエス・キリストを通して,この残れる者の成員を御国契約に入れられました。そのためにヱホバは,その契約の中に約束された,ダビデに対する愛に満ちたご親切を示す責任を自分自身に課せられたのです。ダビデと契約を結ばれていた時,ヱホバは次のように言われました,『もし彼(国の相続人)が悪を行えば,わたしは人の杖と,アダムの子らの強打をもつて彼をこらしめる。わたしの愛に満ちた親切(誠実な愛)について言えば,わたしがあなた(ダビデ)の前より除いたサウルから取り去つたように,彼からは取り去らない。そして,あなたの家(王国をつぐあなたの共同相続者)と,あなたの国は,あなたの前に永久にかたくたてられたものとなるであろう。』― サムエル後 7:14-16,新世。
14 それで,『愛に満ちた親切な人々』の残れる者たちは,戦争の時,諸国民の手で罰を受けねばならなかつたのです。これこそ人間の杖によるこらしめ,アダムの子らの強打によるこらしめでした。それは,ずつと昔ダビデの王家が,エルサレムの崩壊したキリスト前607年から,約束の君なるメシヤ,ダビデ王の永久の相続者が現われた西暦29年まで,罰のもとにいなければならなかつたのと同じです。1919年,ヱホバは,彼に忠実を保つことを心に望んでいた残れる者たちを救い出されました。それから彼らをご自身の証者として,かつてなかつた広範囲にわたるわざを開始させられたのです。彼らはエレミヤ哀歌 3章22と23節(新世)の言葉をもつてこう言うことができました。『わたしたちが滅びなかつたのはヱホバの愛に満ちたご親切なみ行いにより,そのあわれみはつきることがないからである。これは朝ごとに新しい。あなたの誠実はほんとうにゆたかです。』このすべての救助と回復は『金を出さずに,ただで』彼らに与えられたのです。だからこそ彼らのたましいは今日まで生きつづけたのです。―イザヤ 55:1-3。
15 わたくしたちは今日,御国契約に対する誠実をどのように証明することができますか。ヱホバはご自身がこの契約を忘れることなく依然として,堅く守つておられることをどのように表明されましたか。
15 さてここで当を得た質問は,どのようにしたら,わたくしたちヱホバの証者は,今日において,昔のイスラエル人やイエスとその使徒たちのように,御国契約に対するわれわれの誠実を示しうるかということです。わたくしたちは,御国契約の永久の相続人の,支配しつつある御国に誠実であることによつて契約に対する誠実を示すことができます。ダビデの家の最後の王が,エルサレムの王位に座して以来,一度でもヱホバがご自身の契約を忘れられたことはありません。6世紀以上にわたつて,ダビデの国が運営されていなかつたのは事実です。しかし,『契約の君』イエス・キリストの奇跡的な到来は,ヱホバの,ご自身で誓われた契約に対する誠実を表明しました。ヱホバは決して偽りの誓いは立てられません。人が誓いを立てて,その誓つた事がらを行わないならば,それはその人が偽りの誓いを立てたのみでなく,自分自身にのろいをもたらすことを意味します。ヱホバは決してご自身にのろいをもたらされません。ヱホバは永久に聖なる方であられます。彼がご自身の御名によつて,またご自身をさして誓われる時,決して偽りの誓いを立てられません。かえつてその厳粛な誓いは,神の誓われた事がらが,必ず成就することを,ますまます確証づけるのです。従つてその昔,メシヤなるイエスが来られたのと,死人の中からの彼の復活は,ヱホバの誓いによる契約が,失敗に終つて朽ち果てなかつたことを証明したのです。たとえ王国がエルサレムで,635年の間,もしくはキリスト前607年から西暦29年まで,運営されなかつたにしても,ヱホバ神はやはりその契約を守つておられたのです。
16 イエスが長い間待たれたことと,御国の力を用いられなかつたことが,御国契約に法的終りをもたらさなかつたのはなぜですか。(ロ)なぜこれはキリスト教国を含みませんか。またそれにもかかわらずヱホバは,契約に対する誠実をどのように証明されましたか。
16 それにしても,これらのことすべてが,わたしたちの時代とどのように関連しているのでしようか。まず,契約の永久の相続者の御国は,西暦33年復活したイエスが昇天された時にはじまりませんでした。その年の春から1914年の秋まで,または1881年の間,イエスは神の右に座して,統治するのではなく,御国の敵どもを,御国相続者なるイエスの足台とすべき神の定められた時が来るまで,待つておられたのです。その待つていた長い期間に,契約は法的に無効になりましたか。いいえ,それは使われなかつたからと言つて,御国の力に関するイエスの権利が,天にいたイエスから取り去られたわけではありません。そうではなく,忍耐強く待つていたすべての世紀の間も,その御国契約は活動していたのです。どのようにですか。ヱホバが14万4000人の共同相続者たち,ヱホバの招待に応じるクリスチャンたちを集めて来られたという点で活動していたのです。そしてヱホバは彼らと『ダビデに対する愛に満ちたかわらざる親切に関する契約』を結ばれるのです。これにはキリスト教国は含まれていません。莫大な人口を擁するキリスト教国は,第4世紀以後ずつと,その契約に不忠実でした。キリスト教国は,ヱホバの相続者の御国が,神の指定された時に立てられるのを待ちませんでした。キリスト教国は,その契約を軽んじたのです。どのように? 教会と,悪魔サタンの支配下にあるこの世の政治国家もしくは諸国と同盟を結んで,この契約をないがしろにしました。しかしヱホバは,少しもかわることなく,この世から,すべての国民から,真のクリスチャンたちを取り出して契約に入れるわざを行いつづけて,ご自分が誓いを立てられた契約に忠実であることを証明されました。
17 残れる者を用いるのが終る前に,ヱホバはイザヤ書 16:5の成就として,御国に関して何をされましたか。
17 ヱホバは,14万4000人の共同相続者に関する仕事を終えられる前,または,地上における彼の証者として彼らを用いるのを終えられる前に,すべての誠実な人々が渇望して来た御国を設立されました。ヱホバは,ダビデとの永遠の契約を支持して約束されました,『ひとつの位が,愛に満ちた親切によつて,確かに堅く立てられるであろう。そして,ダビデの幕屋にあつてさばき,公平を求め,正義を行うにはやき者が,まことをもつてその上にすわる。』(イザヤ 16:5,新世)1914年という重大な年に,ヱホバが,御国相続者を『ダビデの幕屋』において支配する王として,またダビデの子でありながらダビデの天的主として,王位につかすべき時が到来しました。―詩 110:1,2。マタイ 22:41-45。
18 (イ)どんな天体のように,御国契約の永久の相続者は存続することになつていましたか。(ロ)それで残れる者の明らかな責任とは何ですか。誠実に対する報いとして彼らは何にあずかりますか。
18 太陽の昇らなかつた時があつたでしようか。または夜月が輝くのを止めたことがありますか。今日に至るまでそのようなことは一度もありません。それと同じく,契約と愛に満ちたご親切を保たれるヱホバは,彼が宇宙の正しい主権者であることを立証するところの,御国に関するこの最も重要な契約を忘れてもいなければ,おろそかにもされていません。ヱホバはご自身の神聖さに誓われました。そしてヱホバが,彼の王家がつづき,彼の王位は永久であるとダビデに言われたことは偽りではありませんでした。ダビデに対する愛に満ちた親切な契約の永久の相続者イエス・キリストは,ちようど太陽と月のように常に続きます。そしてイエス・キリストは今日,天的『ヱホバの位』から支配しておられます。(詩 89:28-37)ですからわたくしたちのなすべきことは明らかです。ヱホバの『愛に満ちたご親切を受けている人々』は,神に対して,また御位について統治しつつあるダビデの子であり主である王に誠実を示す義務があります。彼らの誠実な愛に対する報いとして,彼らは神の霊的食卓の肥えたものの良い部分を食べ,御国の大使として御国奉仕という喜びのさけを飲みます。
御国の地的国民
19 生来のイスラエル以外に誰がダビデに誠実でしたか。サウル王自身の家の誰すら彼に誠実でしたか。
19 ダビデ王の時代には,イスラエルに寄留していた異邦人も,彼に誠実を示しました。なぜならダビデは,ヱホバの油そそがれた支配者であり,彼とは永遠の王朝とかたく確立された王位に関する契約が結ばれていたからです。そうした誠実な異邦人たちの中には,ヘテ人(ペリシテのガテの人々)と,ヘレテ人,ケレテ人がいました。(サムエル後 15:18-22)排斥されたサウル王の息子ヨナタンすら,ヱホバに選ばれた者という理由で破ることのできない愛に満ちた親切をダビデに示しました。そうです,サウル王の兄弟たち,彼のやからのベニヤミンの人々も,個性よりもヱホバの選択を重要視して,ヱホバが選んで油そそがれた者ダビデの側に立ちました。―サムエル前 18:1-4; 20:8,14,15。歴代志上 12:1,2,19,29。
20,21 (イ)ダビデのそうした昔の後援者や支持者たちに,今日誰が見習つているのを私たちは知つていますか。(ロ)彼らは実際にどのように自分たちの誠実な愛を表現していますか。そして今どのように残れる者に仲間入りしていますか。
20 ヱホバの油そそがれた者であるダビデのそうした昔の支持者たちや賛成者たちに忠実に見習つている人々は今日もいます。イエス・キリストとその共同相続者と結ばれたヱホバの御国契約に関する知識を得た人々の大群衆は,今永遠の契約の永久の相続者に誠実に支持を与えています。もし彼らが多くの異なつた国民,種族,人々,言語であつたらどうなるでしようか。天にある神の政府に対する彼らの忠誠はそんなことにさまたげられることはありません。彼らは御座に座す方と,その小羊のごとき御子イエス・キリストに話しかけ,彼らをほめたたえます。そして声を大にし一致して次のように叫び公けに告白します。『救いは,御座にいますわれらの神と小羊からきたる。』夜も昼も彼らはヱホバに清い奉仕をささげ,ヱホバの小羊のごとき御子を自分たちの牧者なる王として導きを受けています。
21 自分たちの牧者なる王に対する誠実な愛を実際的に表現するために,彼らは,御国の共同相続者たちの残れる者,すなわち牧者なる王の兄弟たち,『愛に満ちた親切な人々』,ヱホバが御国契約に入れた人々,ヱホバが承認した者としてご自分のもとに集めて来られた人々に,誠実を保つています。(詩 50:5)これこそ牧者なる王が,『他の羊』たちを承認してご自身の右側に集められ次のように言われている理由です。『さあ来なさい。わたしの父の祝福を持つ者たちよ。あなた方のために世の創から準備された御国を相続しなさい。……ほんとうにわたしはあなたがたに言う。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたこと(すべての良きこと)は,すなわちわたしにしたのである。』マタイ 25:31-40,新口)このことによつて,なぜ『他の羊』も現在,キリストの忠実な兄弟の残れる者から今あふれ出ているおいしい『ぶどう酒とミルク』に金なく価なくして与つているかが分るわけです。
試錬は続いている
22 契約に関するダニエルのどの預言の成就を考える時,契約に対する誠実は今試みられているでしようか。
22 御国契約と,その統治している契約の相続者に対する誠実な愛の試験は今も続いています! 世界支配をねらう独裁権力は,単に民主主義のキリスト教国に反対しているのみでなく,主として,1914年王位につかれた御国の相続者に反対しているのです。ヱホバの天使の預言はこの野心に満ちた独裁権力のことを語つて,このことを明らかしています。『彼はおびやかされて帰り,聖なる契約に対して憤り,事を行うでしよう。彼は帰つていつて,聖なる契約を捨てる者を願み用るでしよう。彼は契約を破る者どもを,巧言をもつてそそのかし,そむかせるが,自分の神を知る民は堅く立つて事を行います。』― ダニエル 11:30,32。
23 どの自称クリスチャンたちがその契約を破りましたか。ホセア書 4章1節はその人々にどのように真実ですか。
23 キリスト教国の広大な地域は,神を信じない独裁権力に掌握されてきました。そしてキリスト教国の牧師たちは,独裁権力と妥協的な存在を続けてきたのです。彼らは,その巧言に屈服し,神より人間に仕えることを選びました。キリスト教国で,名だけの『自由』をもつ場所の牧師すら,その契約を犯し,それに反対して悪らつな行いをしました。彼らは,自分たちが従つていると主張し,毎年祝いをささげている『王なるキリスト』に対し,不誠実であることを証明しました。彼らは,王の『他の羊』の忠実な道に従わず,かえつて,王の兄弟たち,ヱホバの『愛に満ちた親切な人々』の残れる者たちを迫害して来ました。実際には彼らは,『わたしたちには,カイザル以外に王はありません』と言つているのです。(ヨハネ 19:15,新口)それは,預言者ホセアの時代の古代イスラエルであつた通りのことが,現在のキリスト教国にもあるのです。『ヤウエはこの地に住む者とあらそわれる。それは,この地には誠実がなく,愛に満ちた親切も神を知ることもないからである。』(ホセア 4:1,ロザハム)にもかかわらずヱホバは,ご自身に忠実を示す羊を確かにもつておられます。
24 わたくしたちはキリスト教国とどのように違いますか。わたくしたちの最も高い忠順はなぜ,ヱホバの初子の政府にささげられるべきですか。
24 わたくしたちは無知なキリスト教国に属していません。わたくしたちは自分の神を「知つています。」わたくしたちは,1914年に設立された神の御国の良い音信を伝道して,より偉大なるダビデと結ばれた神の契約に誠実を示しています。アジアにおいて,アフリカ,オーストラリア,ヨーロッパ,アメリカ諸国,多くの島々において,ヱホバが『諸国民への』主なる『あかし人』としてたてられた,天的指導者の指揮のもとに,わたくしたちはあらゆる場所で証言のために伝道します。(イザヤ 55:3,4)ヱホバはずつと昔に契約されたこの御国の良いたよりが,「この世の終りまで」伝道されねばならないことを彼を通じて宣言されました。そうとすれば,神がどうして「この世の終まで」永遠の御国に関する契約を忘れることができるでしようか。この御国は,この世のすべての政府よりも高いものです。例外は一つもありません。ヱホバはご自分の王についてこう言われています。『私はまた彼を私の初子となし,地上の諸王の最高の者にならせる。』(詩 89:27,新世)このヱホバの初子の神権的政府に対し,わたくしたちは,最も高い,最もゆたかな,つきることのない忠誠と献身と誠実を永遠にささげましよう。
25 敵の勢力がいかに反抗して戦おうとも,神の相続者による神の御国の何が依然として真実ですか。そしてなぜ?
25 共産主義の諸勢力,キリスト教国,異教国が,どんなに反抗して戦つても,彼らがどんなに自分たちの国家の主権と,地上の国土を離すまいと死にものぐるいで努力しても,神の契約の相続者による神の御国は,今日動かすことのできない真実であります。これだけが確かな永遠の将来をもつものです。イエスの示した模範的祈り(マタイ 6:9,10)に対する答えとして,天の父の御国は,ハルマゲドンの戦場にのぞみ,政府に関する激しい論争を解決します。そしてこの古い世のすべての政治的支配権は,ゲヘナに落ちこんで行かねばなりません。
26 わたくしたちはなぜ神の御国の良いたよりを,何かふるくさいもののように捨て去りませんか。何時まで私たちの御国伝道は拡大して行きますか。
26 わたしたちの伝道する神の御国に関する良い音信は,全くすばらしいものなのです。しかも,これは鼓張でもなく,冗談でもありません。わたくしたちは40年間この音信を伝道して来ましたが,これは,古くさくなつて人の心に訴える力と味を失い,ついには捨ててしまわねばならぬような音信ではありません。それは常に新しく,常に新鮮で,常に偉大さを増し加えています。神はそれを捨てられていません。私たちも捨てません。神の任命によるわたしたちの御国伝道は続行されねばなりません。それは,異教の国々とその支配権が終りを告げるまで,悪魔に霊感された人間のすべての宣伝が沈黙させられ,共産主義とその反対者の間の宣伝戦,また神の御国に反対する宣伝が絶え果ててしまうハルマゲドンの後,イエス・キリストの千年統治のもとに平和が訪れるまで拡大して行くでしよう。
27 わたくしたちは,その契約と御国に好意を示す人にどんな特質を働かさねばなりませんか。そのかわりにヱホバは私たちに何を示されますか。
27 以上のような理由で,わたくしたちは,ヱホバのより偉大なるダビデと結ばれた御国契約に対し,常に真実と忠節を示さねばなりません。箴言 3章3,4節,(新世)はこう述べています。『愛に満ちた親切と,まこととを捨ててはならない。それをあなたの首に結びつけ,心の碑にしるしなさい。そうすれば神と人との前にめぐみとほまれを得る。』これを行う報いとしてヱホバ神は,これらの同じ尊い特質を,自らご自身の王なるイエス・キリストを通してわたくしたちに行使して下さるでしよう。そしてわたくしたちの魂は,永遠に生さ続けるでしよう。『ヱホバのすべての道は,彼の契約とその助言を守る者にとつて,愛に満ちたご親切であり,まことである。』― 詩 25:10,新世。