ヱホバの伝達の経路
『誰が大雨を灌ぐ水路を開き,雷電の光の過ぐる道を開きしや』― ヨブ 38:25。
1 神の全き御意を理解するために,人間はなぜ自然以上のものを求めねばなりませんか? 人間は,どこで神の御意を知り得ますか?
尊厳の充ち溢れるヱホバは,暴風雨の中より,僕ヨブに向つて,深い質問を尋ねられました。ヨブの時代の賢人は,その質問に答えることができず,今日の科学者も答えることはできません。というのは自然の本は,尋ねられた事の目的には沈黙しているからです。ヨブになされた質問の答は,次の大事実を指し示しました。すなわち,宇宙にはひとつの創造の根源があり,人間はその至上権を無視することはできないという事実です。神の全き御意を悟るために,人間は自然の証跡以上のものを求めねばならぬと,ヱホバはヨブに示しました。このためには,主権者の伝達をうけ,その御意と御言葉を知らねばなりません。その伝達の際に,弱い人間が畏るべき全能者と論ずることは愚であります。―ヨブ 38:1より40:2。
2 大雨を灌ぐ水路を開くとか,その他についてヨブになされたヱホバの質問にたいする暗示の答は,何ですか?
2 ヱホバの尋ねた質問の一つは,こうでした。『誰が大雨を灌く水路を開き,雷電の光の過る道を開き,人なき地にも人なき荒野にも雨を降らし,荒かつ廃れたる処々を潤し,かつ若菜を生出しむるや。』別の言葉で言えばこうです。誰が空の雲の中に大水を貯え,地の各地に流して植物を生ぜしめるのですか? そして,それはどんな目的のためですか? 雷電により,地は即時に益を受けると現在知られていますが,地を電気的に肥沃せしめる雷電の目的は何ですか? 神などはいないし,絶対の権威はないなどと言う愚者の主張するごとく,これらの事はみな単なる偶然によつて生じますか? あるいは,このすべては,すばらしい業の一部として起りますか? ヨブになされた暗示の答より,それは絶対の企画によつて生ずると分ります。そして,全智の創造者が定めた自然の法則は,被造物の活動を制御し,支配します。ヱホバの宇宙界には,混乱や客観性の不足はありません。詳しいあらゆる出来事は,素晴らしい目的に貢献しているものです。―ヨブ 38:25,27。詩 14:1。ヘブル 3:4。
3 水を地にもたらす自然の働きは,なぜ興味深いものですか?
3 自然の水を空の天空より地上の必要な地区にもたらすことは,一つの径路でなされます。それで,真理の霊的な水を人々に伝えることにも,同様な原則が存在しています。更に,一つの道に従う実際の雷電の例と同じく,諸国民を震うためにヱホバの光の裁きが地に来る道があると知ります。それでいま霊的の真理と重大な裁きについてヱホバの伝達の径路を研究することは時機に適つています。
『経路』という言葉
4 『径路』という言葉は,どういう意味を伝えていますか?
4 実際の水と結びついて,『径路』という言葉は,水路,水の道,または設立された水の流を指し示すのに用いられます。『径路』という言葉は,大きな意味で,運ぶ手段つまりあるものが導かれて行く路,あるものが通過し進歩する道筋であると説明されています。『径路』という言葉は,この後者の方の大きな意味で,御自身の僕となされるヱホバの古い伝達の方法を良く指し示しています。
生ける中心と一致して運行
5 自然界には,定められた自然の法則があるという事実から,何が証明されますか?
5 自然の宇宙内の万物は,定められた行動の規則に従つて運行します。その法則は,今日運行の法則,引力の法則,発生の法則,その他のごとき自然の法則として知られています。法則が存在するためには,長なる立法者がいなければなりません。次に,立法者が存在するということは,伝達がなされていることを意味します。政府の今日の諸法律は,ぐうぜんに法令集に記されたわけでありません。諸法律は支配者の立法体である議会によつてつくられねばなりません。このことからも,生命のあるものも無いものも万物は直接に創造されたという聖書の教は,強い支持をうけるものです。偶然に任せられものは一つもありません。万物は,最初主なる理智,大いなる根源,全能の創造者によつて存在するようになりました。なお,その創造者からの伝達は可能であります。
6 宇宙内の神の御座はどこにありますか? このことは,自然界でどのように説明されますか?
6 ヱホバ神の御座は,無限の宇宙の絶対中心であり,宇宙創造の存立,運行,そして福祉になつています。無数の星の銀河,すなわち島宇宙の大銀河の星の中心にこの御座はありません。人間の目で,それらの島宇宙を見ることもできれば,人間の視界外のものもあります。その御座は,創造の中心にあり,必然の神はあらゆる業の基礎であります。全創造は,根源である神のまわりを廻り,神は生ける中心となります。生命を持つものも持たぬものも,すべてのものの求心力は,神に向つております。万物は,神としつかり結びついています。太陽系は,それを説明するものです。太陽系の中の各遊星は,定められた関係を保ちつつ,中心である太陽のまわりを廻転します。最小の例は,原子構造に見られます。微小の電子は,その中心である陽子核のまわりを回転します。定められた中心をまわる核運行は一般的のものです。―詩 93:2; 36:9。
7 神はどのように太陽に似せられますか?『時』と『空間』を神と比較しなさい。
7 聖書自体もヱホバ神を太陽になぞらえています。(詩 84:11)太陽は熱と力をつねに発散していますが,それと同じく霊的なものも自然のものも,神から,いろいろの力が永遠に発散されています。この輝しい永遠の放射は,神の栄光と述べられます。わずかな『時間』の中に,遠くに達するこれらの力は,『空間』を充たします。それで,『時間』と『空間』は神と同じく永遠です。神御自身にも始まりがないからです。(詩 90:2)空間内のどの所であつても,神が自然の力の停止を命ずるならば,質量または物体は即刻にでき上ります。(黙示 4:11)アインスタイン教授は,自然の本からこの基礎的な真理を知り,力は質量と光線速度を掛けて二乗したものに等しいという法則を発見しました。a それで,存在している万物は,宇宙の大根源者ヱホバから最初発射された力によつて創造されました。聖書の次の記録は,全く真実です。『初めに神は天と地を創造された。』― 創世 1:1,新世。
伝達をする神
8 伝達をする神を説明しなさい。
8 根源者であるこの神は,単なる偶然によつて働く抽象の力ではありません。神は絶対の理智,大いなる方,伝達をする方,かつ無限の愛,智恵,公正,そして力を全き平和と調和のうちに保ち,完全な幸福の状態で永遠に存在される最大の御方です。この最高の神ヱホバの力は,いつも頂点の状態であつて,祝福を与え,そして幸福を与えて居られます。(ヤコブ 1:17)ヱホバには,力を築き上げてそれからその力が衰微して行く循環期間はありません。ヱホバは絶対安全の磐であられます。(申命 32:4)ヱホバは御自分のよろこびのために,理智を有する霊者を天に創造し,幸福で目的のある愛の生活をさせました。神はまた同じよろこびのため,御自分の像に似せた完全な人間を地上に,創造し,幸福で,しかも目的のある永遠の生活をなさせようとされました。それで,無限の愛を持つこの御方に対し,理智のある全被造物は当然尊崇の念を抱きます。それらのものは,生命の根源との伝達を保つことを必要としており,かつ欲しています。―イザヤ 42:5。
9 どんな種類の社会は,天におられる日の老いたる者のまわりで働きますか?
9 この尊厳に充ちる至上者である神の特質は,秩序であります。神は,天にいる者たちでなり立つ社会にあつて,磁石の中心のようです。彼らは,父であり生命の与え主である神との家族関係にいて,永遠のよろこびを見出しています。神は,この家族関係を保つため,つねに伝達をされています。これら忠実な天の者たちは,みな奉仕者,つまり奉仕をする霊者であり,真の愛と自由意志から神に崇拝を捧げています。(ヘブル 1:14)聖書の述べるところによると,彼らは幸福な宮廷制度をつくり上げています。そして,幾百万という御使は,種々の階級,地位につき,すべては中央の御方,王にして日の老いたる者,ヱホバ神のまわりにいて,高尚な目的をなしとげています。―ダニエル 7:9,10。コリント前 14:33。
宇宙の伝達の制度
10 何の理由にもとづいて,神の伝達の制度は地にまで拡大しましたか? それは,どれ程の重要性を持つていますか。
10 地は愛らしくもヱホバ神の足台と言われています。神は,豊かな資源を持つこの足台の地をつくつて人間を住まわせたとき,奉仕者で成り立つ宇宙的な宮廷社会を拡大して,完全な人間の息子,娘をもその社会に入れようとされました。それで,地上の住民に伝達が拡大されたことになります。神の伝達の制度は,従順な宇宙全部を互にむすびつけます。完全に創造された私たちの最初の両親アダムとエバは,最高主権者のよろこびの民となり,楽園の地で永遠に生きる運命を持つていましたが,このことは,彼らが安全な家族圏の中にいて,賢い,愛のある臣民として存続するかどうかに依存していたのです。もし続けるならば,宇宙の大根源者から出る永遠の生命の恩恵を浴すことができます。御使と同じく,彼らは従属の奉仕者に創造され,神の御意と目的を果すために神からの伝達を必要としました。―イザヤ 66:1; 45:18。
11 霊的の水の大いなる泉を説明しなさい,そして,その水はどのように流れますか?
11 天と地のこの奉仕者の社会を支えて,全き幸福と目的を持たせるため,ヱホバは生命を与える知識を無限に有しています。そして,その知識は,順次になされる伝達に用いることができます。聖書はヱホバを『生ける水の源』と述べています。(エレミヤ 17:13)つまり,神は真理と生命の霊的な水の天的な大きな源であります。しかし,この天的の源からは,ただ一つの径路があつて,水はそれから注がれることに注意して下さい。エゼキエル書に,水は宮の面の戸の閾の下から流れ出て,それから一つの径路を取つて東に流れると説明されています。その水は,最初踝骨の深さで流れましたが,遂には河となり,それを渡るには泳がねばならない程深くなりました。これと類似して,黙示録の本の中に,『生命の水の河』は『神と小羊の御座より出て,大路の真中を流る』と説明されています。ここでも又,真理は多くの径路に流れるのではなく,只一つの径路を通して,伝達されることが強調されています。―エゼキエル 47:1-5。黙示 22:1,2,新世。
伝達系統の最初の段階
12 天における伝達系統の最初の段階を説明しなさい。
12 天と地の賢明な奉仕者の社会と結ばれていたヱホバの正式の伝達は,最初正しく任命された代弁者,すなわち長の奉仕者を通してなされました。その代弁者である長の奉仕者は,神の宇宙制度の中で最高の職につく者です。聖書は,その職務の称号を『言葉』と述べています。始まりを持たぬヱホバを別にして,言葉は宇宙で一番古い者です。神は最初その言葉を直接創造し,長なる働き手として用いました。生命のあるものも無いものも万物は,みな彼を通してできたのです。『もともとに言葉があつた。言葉は神と共にいて,言葉は神であつた。言葉はもともとに神と共にいた。すべてのものは,彼によつてできたのであり,彼によらないでは何一つとしてできたものはなかつた。』(ヨハネ 1:1-3,新世)彼はヱホバ神の言葉を聞いた最初の者でした。大いなる神御自身の御口から出る御言葉を直接聞くとは,本当になんと素晴らしいことでしよう! 言葉は最初に生まれて第一の地位におり,初めから神の御言葉を聞く機会を有していました。それで,彼は生ける神の御許近くにいつも行くことができました。―ヨハネ 11:42,新世。
13 どうして,地上にいたイエスは,宇宙で第2番目に偉大な権威であると言われますか?
13 時が経つて,天にいたこの高い位の言葉は,神により地に遣わされました。それは,多くの事につき証言するためであつて,その一つは,天の御座から来る真理の伝達ということに関連していました。『それで言葉は肉となつて,私たちのあいだに住まわれた。私たちはその栄光を見たが,それは父よりの独り子の持つ栄光であり,過分の御親切に充ちていた。……過分の御親切と真理は,イエス・キリストを通して来たのである。神を見た者はひとりもいない。御父のふところにいる独り子の神だけが,御父を説明されたのである。』神の真理を伝達する最初の段階は,言葉であるイエスを通してなされると,ヨハネは確言しています。宇宙の中で,イエスが第2番目の偉大な権威になるのは,論理的なことです。復活して天に戻つた後でも,イエスの称号の一つは『神の言葉』です。―ヨハネ 1:14,17,18,新世。黙示 19:13。
14 神の伝達ということにおいて,イエスはどんな種類の生涯を過していますか? イエスは,このことをどのように示していますか?
14 言葉(今のイエス)は,ヱホバの命令をうけて,それを実施させることについて,一番長い経験を持つています。伝達という昔からの長い生涯で,彼は神からの命令をみな忠実に伝えているという完全な名声を得ています。そして,自分の考えを入れて,その命令を変えるとか,神の御旨に逆つて自分の命令を伝え始めることはありません。イエスはこう証言しました。『私の教えるものは,自分のものではなく,私を遣わされた方のものである。神の御意を行おうと思う者は,だれでも,私の教が神からのものか,あるいは私自身からのものかを知る。自分自身からのものを語る者は,自分の栄光を求めている。しかし,自分を遣わされた方の栄光を求める者は,真実であつて,その者に不義はない。……私があなた方に話す事柄は,自分から語つているのではない。私と一致しておられる御父が,御業をしておられるのである。』― ヨハネ 7:16-18; 14:10,新世。
15 『ヱホバの言葉』という句は,何を意味しますか? 説明しなさい。
15 神の僕たちは,伝達される神の特定の音信を正式に『ヱホバの言葉』と言いますが,聖書はそのことを明白に示しています。『ヱホバの言葉』という表現は,聖書の中で少くとも252回用いられ,それに相当する句『神の言葉』は104回現われています。多くの霊感の啓示は,ヱホバより出て,聖書の中に書かれていますが,この『ヱホバの言葉』という合法の言葉はその霊感の啓示に真実を証する印を押しているものです。その表現は,伝達の根源を良く表わし示しています。それで,この後『ヱホバの言葉』という句を聖書の中で読むとき,神の伝達の大切な音信を指していることに注意して下さい。
伝達系統の地的な末端
16 天の伝達は,どのように地に達しますか? 伝達に用いられている地的の代理者を説明しなさい。
16 聖書に記録されている多くの事柄から,次のことを知ります。すなわち,公式な『言葉』は,人間の形に表われる御使を用いるか,あるいは神の聖霊を用いて音信を伝え,伝達の次の代理者を霊感します。特別な時には,言葉御自身も形を表わし,次の代理者に会いました。それでは,次の代理者は誰ですか? 地に達する超自然の伝達のため,その代理者(一般に人間ですが,しかし一度だけバラムの驢馬は用いられました)は,聖書の中で予言者と言われています。予言者は,地上における神の代弁者として,伝達されるものを語ります。神はひとり以上の多くの人に述べて知らせたいと思われるとき,予言者はその多くの人に発表しますが,予言者は,直接の地的な径路となります。そして,生命を与える真理の水はその径路を通して,渇いている地上の人々にもたらされます。このようにして,ヱホバの地的な伝達の径路は,はつきりと示されます。つまり,地的な径路は予言者あるいは予言者のごとき集合の制度です。
17 予言者として仕えるため,アダムはどのような資格を備えていましたか?
17 私たちの先祖アダムは,全く完全な人であつて,広範囲の言葉数を持つ言語を話しました。そして,神の最初の地的な予言者または代弁者として奉仕するのにふさわしい者でした。アダムは又言葉を書いて,記録することを学びました。彼は神の地的な代弁者となり,その子孫全部に仕えるべきでした。神の伝達を通してなされた啓示により,アダムは天地創造の概略の話を知りました。そして,アダムとエバは,地に人を殖やすため,産めよ殖えよの命令をうけました。アダムは聖書の最初の記録,創世記 1章1節より2章4節(新世)の中で,この霊感されて伝達されたものを忠実に書き留めました。その巻末,すなわち結論にこう書かれています。『これは,ヱホバ神が地と天を造られた日に,天と地が創造されたその歴史である。』
18 アダムは神の伝達の径路として,どのように仕えたかを示しなさい。
18 アダムはまた聖書の第2番目の記録,創世記 2章5節より5章2節までをも書きました。そして,エデンの園にいたアダムは神の伝達の言葉をうけたと記録されています。(創世 2:5-24)アダムは,すべての木の実を思うまま食べることができても,しかし善と悪を知る木の実を食べてはならないと告げられていました。また,彼は動物に名をつけることを神より命ぜられました。自分の妻エバが創造された時,つまり彼の結婚の日に,アダムは最初の詩をつくつて結婚についての神の言葉を述べました。『それで,人はその父母を離れて妻につき,二人は一つの肉にならねばならない。』予言者のアダムは,伝達されたこれらの言葉を述べましたが,そのことは後の誘惑の時にはつきりと分ります。その際,エバは,善と悪を知る木について,またそれに関連する死の宣告については,アダムより指示をうけたとはつきり認めていました。―創世 2:23,24; 3:3,新世。
サタンの模擬の伝達系統
19,20 (イ)サタンの模擬の伝達系統を説明しなさい。(ロ)アダムの時,彼はその模擬の伝達系統によつて何を成し遂げましたか? 今日,何を成し遂げていますか?
19 さて,ここで誘惑者サタンがどのように反逆を始めたかを見るのは,興味深いものです。サタンは自分の欺瞞を上首尾に行うため,霊界より伝達の独立した模擬系統を設けました。予言者アダムは神の律法を強く守つているために,霊的の惑しにかからず,自分の支配下につく偽りの予言者にならないとサタンは知つていました。それで,悪魔は地上にいた被造物,蛇を用いました。彼は蛇の機能に影響を及ぼして,間違つた悪い考えについての偽りの宣伝を述べさせ,嘘偽と背教の宗教を始めました。この地上にいた代理者である蛇は,実際のところ,サタンの模擬の伝達系統内で偽りの予言者になりました。その伝達系統は,人間の目に見えない主権者と僭越にも考えていたサタンと,エバとのあいだの系統でした。そして,サタンは,エバを新しく改宗した臣民にして彼女を支配しようと欲したのです。―創世 3:17。
20 エバはだまされて惑わされました。そして,真の主権者ヱホバ神に対して,許すことのできない大逆の罪を犯しました。狡猾なサタンは,それからエバを用いてヱホバの予言者アダムに影響を及ぼしました。彼はエバに対する肉慾のために,その影響に屈しました。アダムは惑わされたのではありません。彼はその悪い結果を充分認識しつつ,叛逆に加りました。サタンは,その時以来つねに偽りの予言者と霊媒を通して,悪い考えを伝達しています。その偽りの予言者と霊媒は,偽りと慾望でもつて地上にいるヱホバの真の崇拝者たちを不純にし,汚すため嘘偽を伝えています。―テモテ前 2:14。ヤコブ 1:13-15。
21,22 (イ)アベルはどのように奉仕しましたか?(ロ)エノクは,どのように奉仕しましたか?
21 簡単に言えば,アダムとエバはエデンの園から追放され,神の忠実な奉仕者の制度より追い出されました。そしてアダムは,神の予言者としての特権を失いました。(創世 3:16-24)エデンにおける叛逆の後,アダムは900年生きてから死んでしまい,存在を永久に失いましたが,その間ヱホバの伝達の系統は二度とアダムを通してなされなかつたのです。神は,アダムの子孫の中から正義の人を見出し,それらのものと霊的な伝達を復興し,そして地に真の宗教を建てました。アダムの後,アベルは最初の義人でした。アベルは罪人アダムの子孫であり,堕落した罪人でしたが,信仰の道を歩み,正しい犠牲を捧げました。その犠牲は,ヱホバの御旨にかない,彼は恩恵をうけました。アベルは神のエデンの契約にもとづき,地上はエデンの園のごとき完全さと永遠の生命を再び得るという希望を建てました。(創世 3:15)彼は,ヱホバの伝達の系統を通して啓示された真の宗教の代弁者になり,ヱホバの最初の証者として奉仕しました。サタンは再び現われた真の宗教を亡ぼすため,カインをそそのかして,悲惨にも忠実なアベルを殺させました。―創世 4:2-12。
22 幾年か後,神は別の正義の人エノクを見出しました。神は,偽りだらけのサタンの宗教的な世にのぞむ最後の亡びについて,いちじるしい予言をエノクに伝達しました。予言者エノクは,長年の伝道の業をなし終えた後,神は平和な死の眠の中にエノクを取り去られたため,宗教的な敵が加える非業の死を避けることができました。彼はおそらく回復された楽園内における将来の生命の栄光に充ちた幻を見つつ死んだことでありましよう。―創世 5:21-24。ユダ 14,15。
予言者ノアは径路
23,24 (イ)予言者ノアは,径路としてどのように奉仕しましたか?(ロ)ノアを助けた取り極めを説明しなさい。
23 天廷の伝達をうけたと記録されている次の人は,予言者ノアです。約50年のあいだ,彼は地上にいて,ヱホバの唯一の伝達の径路となつて奉仕し,神の真理の言葉を人々に分け与えました。そして,大洪水の後の約350年間,ヱホバの族長の代弁者として奉仕しました。ノアは自分に与えられた宣教の任務に従い,熱心な正義の伝道者になりました。洪水前当時の者たちへの明白な裁きは,ノアを通して述べられました。ノアは唯一の真の宗教を大胆に述べ伝えました。彼は恐れを感ぜぬヱホバの証者であつて,その世の危機にあつて自分の家族と自分自身を救いました。多分サタンは模擬の予言者たちを多く送り,平和であるという偽りの宣伝を述べさせて,人々を惑わし,偽りの宗教的な欺瞞を支持したことでしよう。ノアは唯一の真の宗教を持つと主張しましたが,宗教的な敵はノアのその主張を嘲笑したに違いありません。ノアを『径路主義』であるとさえ言つて,侮蔑し嘲笑したことでしよう。
24 ヱホバはノアだけを通して,霊感の指示を伝達していましたが,ノアはそのことをたしかに知つていました。ノアの妻,3人の息子とその妻はノアを信じ,ノアこそ神の唯一つの径路であると認め,その指導に従いました。彼らも正義の伝道者であるノアに加り,ノアを援助して大きな方舟をつくりました。ノアは天にいる神よりの直接の伝達をうけつつ,地上における長なる代理者かつ正式な予言的な径路となり,この小さな伝道者制度を指示しました。予言者ノアを通して語られた神の御言葉は,聖書に書き留められて今日の私たちのために保存されており,宗教的真理の一部になつております。―創世 6:1-22。
予言者アブラハムは径路
25,26 (イ)アブラハムは,予言者としてどのように奉仕しましたか?(ロ)彼に伝達された啓示は,今日なぜ特別に大切なものですか?
25 『いま彼の妻を返しなさい。彼は予言者であり,お前のために祈りを捧げるであろう。』(創世 20:7,新世)これは霊感の夢の中で,アビメレク王に語られた神御自身の御言葉です。そして,アブラハムはヱホバの予言者であると示されています。神の友,大いなる信仰の人,そして順次に啓示されてきた真の宗教を忠実に宣明した人,アブラハムは,地上におけるヱホバの正式の伝達径路として本当に長年のあいだ奉仕をしました。彼も又有名な伝道者であつて,その割当ての地である約束の地を隅なく伝道しました。ヱホバの証者として,彼が伝道したことについては,こう書かれています。『それから,彼はそこで(ベテルの近くで)ヱホバに祭壇を建て,ヱホバの御名を宣べ(伝道し)始めた。』― 創世 12:8,新世。脚註ろ。
26 アブラハムがヱホバの天的な伝達系統と接触をしていたということについて,次の出来事に注意しなさい。『これらの事の後,ヱホバの御言葉は幻の中にアブラムに臨んで,こう言つた。アブラムよ,恐れてはならい。私はお前を守り,お前は多くの報いを得るであろう。』さて,神の誓の言葉を伴う大きな約束がアブラハムに与えられました。その約束とは,アブラハムの裔(キリスト・イエスと彼の14万4000人の御国共同相続者たち)を通して,地上の全家族は正義の新しい世で祝福をうけるということです。(創世 22:17,18)神よりアブラハムに伝達された啓示のいくつかは,今日の宗教的真理の一部になりました。次の記事では,神の伝達に用いられているヱホバの地的径路を更に表わし示しています。
[脚注]
a ヘンリー・ディー・スミス著『原子エネルギー』(英文)その2貢にE=mc2の法則が記されている。
[308ページの図版]
יהוה
言葉