わたしの家庭は健全だろうか
『したがって監督は……自分の家をりっぱに治める人……でなければなりません」― テモテ前 3:2-4,新。
1 人は幸福を追求しながらも,しばしばどんな窮状に陥りますか。このことからどんな質問が提起されますか。
自分の家庭内で平和と満足を享受できないなら,幸福の追求は徒労に終わります。家庭と呼ばれる,きわめて個人的かつ私的な住まいに帰るなり,不平の沸き返るるつぼに陥るのでは,外で幸福を追い求めたところで,どんな満足が得られるのですか。あなたの家庭にはどんな雰囲気がみられますか。
2 子どもの見地からすれば,家庭のどんな状態は生活を幸福なものにしますか。
2 子どものみなさんはこうした問いにどう答えますか。ご両親は平和と一致のうちに気持ちよく暮らしておられますか。父の助言と母の理解ある態度は,むずかしい時にあなたの助けとなりますか。そうであれば,あなたの生活はほんとうに幸福であり,その思い出は末長く続くでしょう。他方,ご両親が絶えずいがみ合ったり,公然とけんかをしたり,あるいは親子の間の意志の疎通が妨げられて家庭が分裂したりしているのであれば,若い時代は早く忘れてしまいたい一種の悪夢に違いありません。
3 親は,家族の生活に影響を及ぼしているものがなんであることを感ずる場合がありますか。
3 親のみなさんの意見はいかがですか。あなたの家庭はどれほど健全ですか。時代の圧力や四囲の退廃的な影響が家族に浸透していますか。現代の世界では以前の指針はすたれ,それとともに過去の平和のための規範も消失したことにお気づきですか。自分の家庭の改善を要するところに気づきながらも,問題の原因を突き止めかねて,あるいは解決策を見いだしかねておられますか。
4 特に家族の生活について言えば,「健全」とはどういう意味ですか。
4 「健全」とは,健康的な,すっかり整った,完ぺきなという意味で,病弱,つまり病的,もしくは病んでいないという意味です。特にこれは霊的また道徳的な意味で重要です。道徳的また霊的に強健で堅実な家族は,不健康あるいは財政困難その他の問題が生じても,それに対処できるとともに,今日多くの家族を悩ましている不和をもたらす勢力すべてに対抗できます。
家庭における聖書の重要性
5 家庭において聖書はどれほど重要ですか。
5 では,どうすれば,家族の道徳的また霊的な健全さのそうした望ましい高い水準に達せますか。それはさほどむずかしいことではありません。聖書を愛読書の筆頭にする家族,聖書の原則を日常生活に適用する家族は,健全で幸福な家族です。神のみことばを用いて初めて,家族の成員おのおののうちに強い道徳的性格と霊的な強さを培うことができます。
6 家族の不一致をもたらす二つの主要な理由の一つをあげなさい。
6 家庭の健全な雰囲気を保つための戦いは絶えず行なわれていますが,それには基本的にいって2つの理由があります。第一にわたしたち各人に宿る生来の不完全さと弱さです。聖書が述べるとおりです。「義人なし,一人だになし……みな迷ひて……凡ての人,罪を犯した(り)」(ロマ 3:10-12,23。詩 14:3)「もし罪なしと言はば,是みづから欺けるにて真理われらの中になし」― ヨハネ第一 1:8,10。
7 (イ)子どもの遺伝的な特徴にどんな矯正を施せますか。(ロ)生来の不完全さを懲らしめと訓練によって完全に除去できますか。説明しなさい。
7 生まれ出る赤子は,不本意ながら,また自分のせいではないにしても,遺伝的に不完で罪深い人間です。「われ邪曲のなかにうまれ罪にありてわが母われをはらみたりき」とダビデが述べたとおりです。(詩 51:5)とはいえ,正しく訓練すれば,子どもは長じて,手に負えないならず者どころか,りっぱな人間になれます。箴言はこう述べます。「痴なること子の心の中に繋がる 懲治の鞭これを逐いだす」。(箴言 22:6,15; 23:13,14)これは,悪に走る生来の性向が懲らしめによって完全に除去されるという意味ではありません。悪に走る傾向は一生を通じてつきまといます。使徒パウロのように義に徹した人でさえその例外ではありません。パウロは告白しました。「われ…神の律法を悦べど,わが肢体のうちに他の法ありて我が心の法と戦ひ,我を肢体の中にある罪の下に虜とするを見る」― ロマ 7:22,23。
8 家族の不一致をもたらすもう一つの重大な理由はなんですか。
8 家庭の平和を保つために絶えず戦わねばならない第二の理由は,サタン悪魔とその悪霊が存在しているということです。サタンと悪霊は現に実在し,常に存在する,決して無視できない強力な勢力です。不正な欲望を人間のうちにはぐくませるだけでなく,人間の不完全さや罪の傾向をも利用して,人間を絶望のどん底深く落とし入れようとするのが彼らの奸悪な目的です。ですから,こう警告されています。「悪魔の術に向ひて立(て)…我らは血肉と戦ふにあらず……この世の暗黒を掌どるもの,天の処にある悪の霊と戦ふなり」― エペソ 6:11,12。
聖書の原則を問題に適用する
9 家族の問題を解決することに関して,ここでどんな提案がなされていますか。
9 聖書の原則を適用すれば,家庭での日常生活の問題を解決できるというのは,つかみどころのない実行不可能な考えではありません。聖書の助言が家族の日常および個人の事がらにおいて実行でき,かつ有用であることは容易に証明できます。
10 かしらの権が正しく行使されない場合,結果として家庭にはどんな状態が生じますか。
10 たとえば,かしらの権が正しく行使されていない,もしくは全然行使されていない家庭を例にとってみましょう。その結果は混乱と無秩序です。家族の成員はおのおの独自の行動を取ります。規則や規定がないので,家庭生活はやがて瓦解します。そうなると,実際のところ,家は“サービス・ステーション”つまり風雨を避け寝食をとるだけの場所と化します。そして,そうした必要がいったん満たされると,おのおの急いで出てゆき,気の合う他の仲間と交わります。賢明な王ソロモンが述べたとおりです。「相争ふ婦と偕に室に居らんよりは屋蓋の隅にをるはよし」。それとは逆に,『アルコール中毒の横暴な夫ととも家に住むよりは,家の小屋にいるほうがよい』ともいえるでしょう。―箴言 21:9,19。
11 それとは対照的に,かしらの権に関する聖書の律法が守られるならどんな事態が期待できますか。
11 しかし,かしらの権に関する聖書の律法が守られると,事態はなんと異なるのでしょう。この場合には,平和と一致を築く基礎があります。使徒パウロはいわばこう述べます。『我なんぢらが之を知らんことを願ふ。凡て家の頭は男なり』。男子の適正なかしらの権には,エホバ神とキリスト・イエスに導きを仰ぐ責任が伴います。それには,夫は自分のからだに対すると同様の優しい愛情をもって妻を扱わねばなりません。そして,家族の物質的また霊的な必要の両方をよく顧みます。―コリント前 11:3。エペソ 5:22-33。ペテロ前 3:1-7。
12,13 (イ)ご自分の家の模範的なかしらとしてのエホバについて述べなさい。(ロ)エホバにならう父親は,自分の家族をどのように取り扱うべきですか。
12 この点で父親のみなさんが,宇宙の偉大な父,エホバ神のすばらしい模範を見,それにならうのは良いことです。エホバは物質的また霊的な必要を顧みるだけでなく,ご自分の家の者すべてのために助言と激励をも絶えず差し伸べておられます。また,反抗を忌みきらい,違法者を偏ぱなく処罰されます。―箴言 6:16-19。申命 10:17,18。
13 しかしそれと同時に,エホバはなんと,愛のある,情け深くて,あわれみ深いかたでしょう。そうです,筆紙につくしがたいほどに非常なまでにそうであられるのです。(詩 103:8。ヤコブ 5:11)同様に,父親のみなさんは,愛と理解ある態度をもって家族の必要を優しく顧みるなら,家庭の健全な雰囲気をはぐくめます。知識に従って妻とともに住み,エホバの訓戒と精神の調整とによって子どもを養育してください。子どもたちをいらいらさせないでください。―ペテロ前 3:7。エペソ 6:4,新。
14 怒りを制することについて言えば,聖書はどんな実際的な助言を述べていますか。
14 苦々しい口をきいたり,感情を爆発させたりするのは,あなたの家庭ではいつものことですか。聖書の助言に従うなら,そうではないはずです。どならざるをえない事態が多すぎるように感じられるかもしれませんが,怒りを押えるのはやはり,概して自分の舌と霊を制するかどうかの問題なのです。(詩 34:13。箴言 25:28)これは取るべき賢明な道です。「自分の霊をすべて,愚鈍な者は出してしまうが,賢明な者はそれを最後まで穏やかに保つ」。(箴言 29:11,新)「怒をやめ忿恚をすてよ」。「怒を遅くする者は大なる知識あり」とあるからです。(詩 37:8。箴言 14:29)「柔和なる答は憤恨をとゞめ」ます。家庭の平和と一致を望むなら,「責むべき所なき健全なる言」を用いてください。―箴言 15:1。テトス 2:8。
15 個人個人の好みや個人的な特徴のために家族の平和や一致を乱させないようにするには,そうした事がらをどう見るべきですか。
15 家族の成員の間には気性や個性の違いによる取るに足りない好ききらいの問題があるかもしれませんが,それを口論や争いの種にする必要はありません。そうした特性の点で各人が全く同じであったなら,この世界はなんと退くつな所だったでしょう。むしろ個人個人の特徴は家庭の味わいや色どり,変化や生気を増し加え,単調さにうんざりさせられずに,ともどもに暮らす喜びを深めるものとなります。
16 家庭で子どもが手に負えない場合,その理由としてどんなことが考えられますか。
16 子どもが不従順で手に負えない家庭についてはどうですか。それは親が,反抗的な子どもに対して権威を保とうとする努力を完全にあきらめてしまったためですか。それとも,規則がはっきりしていない,あるいは理解されていないためですか。もしかすると,問題の原因は,「ただ,あなたがたの『然り』は然りを意味し,『否』は否を意味するようにしなさい」という聖書のことばを忘れた親にあるかもしれません。(マタイ 5:37,新。ヤコブ 5:12)親として,あなたは子どもに守ってもらいたいと思う規則を愚かにも破りますか。要するに,『わたしがするようにではなく,わたしの言うようにしなさい』と説いていますか。子どもは親の偽善をすばやく見抜きます。(マタイ 23:3)ですから,親がみずから規則を守って,子どもに良い模範を示せば,家庭の規則に強力な意義を付与し,同時に,子どもの敬意を得ることができます。
17 (イ)時に親子の仲たがいの生ずる場合があります。なぜですか。(ロ)恨みをいだいて親子の間に障壁を作るようなことは,どうすれば避けられますか。
17 誤解や意志の疎通の欠如のために家庭であつれきや激しい議論が生じますか。時に,親は子どもを理解しかねて途方にくれる場合があります。それはたいてい親子の間の親しい交わりの欠如に起因します。そうした状態は子どもが小さな時でさえ生ずることがあります。ほかに,子どもの十代の成長期に,親子が感情を害して口をきかなかったため,意志の疎通が途絶える場合があります。しかしながら,聖書は恨みをいだくことを戒めています。それを避けるため,「憤恚を日の入るまで続くな。悪魔に機会を得さ」せないようにしてください。―エペソ 4:26,27。レビ 19:18。
18 人体の働きは,家族の成員の見習える適切な模範となります。どうしてそういえますか。
18 健全な家族は,あらゆる器官がおのおの創造された目的に従って働く人体に比べられます。人体の場合,ある器官が働けなくなると,からだ全体が苦しみます。ところが,そうした事態が生じたからといって,健康な器官が,働けなくなった器官をせっかんしたり,打ったり虐待したりすることはありません。むしろ,からだの他の部位は助力や援助また支援を差し伸べ,病んでいる器官が力を回復するまで,その仕事を代行します。健全な力強い家族の場合もそうあるべきです。―コリント前 12:19-26。
19 注意しないと,他のどんな領域からの影響が家庭を乱しかねませんか。
19 あつれきを招くおそれのある内的な原因に加えて,厳重に注意して食い止めないと,家庭の静けさを乱しかねない数多くの外的な影響があります。
外部からの圧力
20 (イ)現代の圧力の源として普通に見られる事がらを幾つかあげなさい。(ロ)現状のもとで聖書はどのように助けとなりますか。
20 現代の圧力の源となる事がらは無数にあるようです。危害を加えようとする泥棒や不道徳な人間に対する恐れ,恐ろしい病気の危険,生活費の高騰,貯蓄したお金の購買力の減少,ストライキのために次から次に限りなく生ずる危機,暴動,戦争,革命などはほんの二,三の例にすぎません。こうした事がらは個人ではどうすることもできませんが,聖書の助けがあれば,そうした圧力のために家庭の静けさを乱されないようにすることができます。
21,22 宗教上の反対や迫害に対する正しい見方は,そうした事がらのために家庭を乱されないようにする点で,どのように役だちますか。
21 親族からのきびしい反対,あるいは近所の人びとから受ける身体的虐待が,家族に対する圧力の源となる場合があるかもしれません。が,その理由を理解すれば,圧力は排除できないにしても,それに耐えられるよう家族を大いに強められます。ごく身近かな親族が,エホバ神とキリスト・イエスに専心仕えている人たちに激しく反対する場合のあることを聖書は述べていませんか。―マタイ 10:21,22。
22 経済事情のゆえにやむをえず世の人びとといっしょになって働かねばならない親は,この体制に従わせようとする大きな圧力にしばしば直面します。この体制の神は悪魔なのです。「好色・欲情・銘酊・宴楽・暴飲・律法にかなはぬ偶像崇拝」などの放蕩の同じ卑しい深みに彼らとともにあずからないと,職場の同僚から悪しざまに言われるかもしれません。(ペテロ前 4:3-5)時には,政治上の論争に関して中立の立場を保つゆえに,あるいは正直・廉潔な行為・血の使用などに関して聖書の原則を妥協せずに守るがゆえに迫害される場合もあるでしょう。しかしここでもやはり,そうした経験のゆえに家族の思いの平安を乱させてはなりまん。イエスは言われました。「我がために,人なんぢらを罵り,また責め,詐りて各様の悪しきことを言ふときは,汝ら幸福なり」さらに使徒パウロはこう述べます。「凡そキリスト・イエスに在りて敵虔をもて一生を過さんと欲する者は迫害を受くべし」。―マタイ 5:11,12。テモテ後 3:12。
23 今日,学校に通う子どもたちはどんな圧力を受けますか。
23 学校に通う子どもは,下品なことばづかいや,ふしだらな行ないをする他の人たちとともに多くの時間を過ごします。麻薬中毒や蛮行の犠牲にされたり,脅迫・強要・殴打その他の方法で教師や生徒をおどして回るよた者に襲われたり強姦されたりする児童がふえています。また,学校で不和や反抗の種がまかれてはぐくまれる場合もあります。そうした種ははぐくまれるままにしておくと,ついには親が家庭で授けた健全な訓練を押しのけてしまうおそれがあります。こうした事がらはすべて,わたしちの住んでいる苦難の時代,つまりこの事物の体制の「終わりの日」のしるしを成す「対処しにくい危機」の時代の物事の一部なのです。―テモテ後 3:1-5,新。
あなたの唯一の守り
24 この「終わりの時代」にあって家族の一致のきずなを強めるために役だつどんな四つの助けがありますか。
24 まちがってはなりません。霊的な強さを保ってはじめて,世界を襲っている堕落の大波に首尾よく抵抗しうるのです。そうした潮流を押し返すことはできませんが,それに抵抗できるよう自分の霊的な強さを改善できます。神のみことばとその霊また神の組織の助けを得,また祈りによってそうすることができます。これら四つの助けがどんなに重要かを簡単に考慮してみましょう。
25 聖書の定期的な研究は家族のだれにとって有益ですか。
25 定期的な家族の聖書研究は老若の別なく家族の成員すべてにとってたいへん有益です。「あなたは昼も夜も[神のみことば]を小声で読まねばならない。すべてそこにしるされているとおりに行なうためである。そうすれば,あなたの道は成功し,かつ賢く行動できるからである」と語ったヨシュアは相当高齢の人でした。(ヨシュア 1:8,新)聖書を研究すれば,子どもは,「何事においてもあなたがたの親に従順でありなさい」ということを学びますし,不本意な仕事をせざるをえない親は,「何を行なうにしても,人にではなく,エホバに対するように魂をつくしてそれに従事しなさい」ということを学びます。―コロサイ 3:20,23,24,新。
26 この時代の道徳問題に関し,聖書はどんな健全な教えを与えていますか。
26 聖書研究を行なえば,他の多くの点で考え方が改められるので,自分の思いが「この事物の体制に合わせて形づくられる」ことはもはやなくなります。(ロマ 12:2,新)たとえば聖書は,「肉のわざ」をならわしにする人たちは神の王国を相続しないと警告しています。そうした「わざ」には,「淫行,汚れ,不品行,偶像崇拝,心霊術を行なうこと,うらみ,争い,ねたみ,怒り,抗争,分裂,分派,そねみ,泥酔,宴楽およびこれに類する事がら」が含まれます。(ガラテヤ 5:19-21,新)使徒の他の手紙には,「これに類する事がら」として貪欲,愚かな話,卑わいな冗談や(エペソ 5:3-5),欲情,有害な欲望,むさぼり,憤り,怒り,悪,ののしりのことば,卑わいな話などがあげられていますが,これらはすべて「古い人格」の一部として除き去るべきです。(コロサイ 3:5-9,新)さらに,「男娼となるもの,男色を行ふ者,盗するもの罵るもの,奪ふ者などは,みな神の〔王国〕を嗣ぐこと」がありません,― コリント前 6:9,10,〔新〕。
27 「古い人格」を脱ぎ捨てることに加えて,聖書は何を勧めていますか。
27 こうした悪行すべてを廃するなら,それだけでも家庭は確かにずっと健全なところとなるのではありませんか。しかし,「古い人格」を脱ぎ捨てるのは問題の一面にすぎません。聖書は,「慈悲の心・仁慈・謙遜・柔和・寛容」のそれとして描かれている『新しい人格』を身に着けるようにと述べています。同時に,互いに忍び,かつ許し合い,なかんずく,愛,つまり「一致の完全なきずな」をまとってください。―コロサイ 3:12,13; 3:14,新。
28 新しい人格を築く点で神の聖霊は何を助けるものとなりますか。
28 この点で家族は神の聖霊の助けを必要とします。そうした神の活動力なしには,キリストのような新しい人格を築くことは不可能だからです。なぜなら,「愛,喜び,平和,寛容,親切,善良,信仰,柔和,自制」は神の霊の実だからです。こうした実を結ぶのを禁ずる「律法はありません」が,「あなたは隣人を自分自身のように愛さねばならない」と命ずる律法,つまり「王の法」があります。この律法は特に家庭内の隣人(つまり「近くに住む人たち」)に適用されます。―ガラテヤ 5:22,23,ヤコブ 2:8,新。
29 良い交わりは健全な家庭にとってどのように助けとなりますか。そうした交わりをどこに見いだせますか。
29 家族の平和と一致を得るための三番目の重要な助けは,献身した熱心な人びとで成る神の組織との交わりです。『悪い交わりは有益な習慣をそこなう』という自明の理は,健全な霊性にとって良い交わりがどれほど重要かを強調するものです。では,王国会館でエホバの証人とともになる以上にすぐれた交わりをどこに見いだせますか。確かにエホバの証人は「愛と良いわざとを」鼓舞し合うためにそこに集まり,この体制の終わりが近づくのを見るにつけ,なおいっそうそうするのです。―コリント前 15:33。ヘブル 10:24,25,新。
30 この終わりの時にあって,分裂をもたらすサタンの勢力に抵抗する点で助けとなる祈りについて聖書はなんと述べていますか。
30 この危急の時代にあって,祈りも強力な助けです。神の定められた方法でいっしょに祈る家族は,ともに耐える家族です。聖書は,「何事をも思ひ煩ふな,ただ事ごとに祈をなし,願をなし,感謝して汝らの求を神に告げよ」。「祈を恒にし」「絶えず祈れ」と述べています。(ピリピ 4:6。ロマ 12:12。テサロニケ前 5:17)「武具をもて鎧ふ」とともに,それに加えて「常にさまざまの祈と願とをなし,御霊によりて祈り」さえすれば,悪魔に敢然と立ち向かえます。(エペソ 6:11-18)そして,なんのために祈るべきですか。一番重要なのは,エホバの名前が清められること,また神の王国が地上の事がらを引き継ぐことであるとイエスは言われました。他の事がらは重要さの点でそれらに次ぐものです。―マタイ 6:9-13,新。
31 わたしの家庭は健全だろうかと自問して,それに対する肯定の答えを,どうすれば確かに出せるようになれますか。
31 わたしの家庭は健全だろうか,ともう一度自問してごらんなさい。もしあなたがクリスチャン会衆の監督であれば,「然り」と答えるに違いありません。なぜなら,「人もし己が家を理むることを知らずば,争でか神の〔会衆〕を扱ふことを得ん」と使徒が論じているからです。(テモテ前 3:2-5,新)一方,肯定的な答えを出せない場合は,ここで論じた聖書の原則を適用してください。そうすれば,あなたも健全で幸福な家庭を享受できるようになるでしょう。
[41ページの図版]
健全な家庭を維持する最も重要な方法の1つは,定期的な家族の聖書研究