6章
金銭の問題 ― どんな助けがあるか
「ごちそうにあずかることはあなたを喜ばせ,ぶどう酒はあなたを元気付ける。しかし,お金がなければどちらも得ることはできない」― 伝道 10:19,福音聖書。
2 お金はどこの国でも人々の関心の的となっています。その一つの理由はインフレです。生活費は日ごとに高くなっており,必要な食物を買うことさえできない人も少なくありません。二つの仕事を持たねばならない人や働きに出る主婦が増えています。家族は苦しい思いをし,健康は損なわれます。この上に,クレジットで買い物をするとなれば,問題は一層大きくなるのが普通です。たくさんの負債を抱えていながら,クレジットに頼って,特別必要でもない物にお金を費やし続ける人は大勢います。これは先進国だけでなく,人々が貧しい土地においても見られます。
3 聖書からどんな実際的な助けが得られるでしょうか。その助けは,仕事を見付けたり,失業しないようにしたりするのに役立つでしょうか。それによって,金銭についての家族の心配は和らげられ,より幸福な生活が送れるようになるでしょうか。
正直であることと,ほねおって働くことは助けになるか
4 「ほねおって働く人はすばらしい幸運に恵まれることがない。あなたもそう思いますか」。ある調査で85%の人は,そう思うと答えました。成功はごまかし,盗み,わいろ,そして有力な縁故関係にかかっているかのように思える場合がよくあります。しかし聖書は,正直さと勤勉さの価値を強調しています。例えば次のように述べています。
「盗む者はもう盗んではなりません。むしろ,ほねおって働き,自分の手で良い業を(しなさい)」― エフェソス 4:28。
「怠惰な人は渇望するが何も得ない。勤勉な人は豊かにあてがわれる。あなたは仕事を巧みに行なう人に会うだろうか。そのような人は王たちに仕えるようになるだろう」― 箴 13:4; 22:29,モファット訳。
「わたしたちが以前に話したように,静かに生活し,他人の私事に干渉せず,自分で生計を立てることを目標としなさい。そうすれば,信者でない人々の尊敬を得ます。また,だれかに頼って必要なものを得なければならないということもありません」― テサロニケ第一 4:11,12,福音聖書。
5 歴史的にも,多くの経験からもこの助言が実際的であることは証明されています。なるほど,怠惰な人の中にも成功しているかに見える人がいます。しかし,一般に,また結局のところ,聖書の助言を適用する人はそれを無視する人よりも成功します。
6 従業員がよく遅刻をし,怠けてばかりおり,不潔で信用できない,といった苦情を雇用者はしばしば口にします。ですから聖書の原則に従って,時間を守り,注意深く,清潔で,信頼できそして勤勉な人は,大抵良い就職口を見付けます。そして比較的良い賃金を得るものです。なぜなら,雇用者は,出来ばえの良い仕事にはそれに見合った賃金を払ってもよいと考えていることが少なくないからです。そういうことが実際にあったという報告がエホバの証人からたくさん寄せられています。
7 しかし,今では,うそをついたり欺いたりすることは必要悪に近いと言えるのではありませんか。聖書の原則に従うがゆえに盗むことやうそをつくこと,人を欺くことなどをしようとしなかったクリスチャンたちは,聖書の助言に従うとうまくいくことを経験してきました。
南アフリカはヨハネスブルクの,ある電気器具販売店は,経営不振に陥っていました。その原因の一つは,盗みをする従業員が多いことでした。ある日,店の支配人は,アフリカ人の店員を集め全員を解雇しました。ところが,翌朝一人の従業員はいつも乗る通勤電車の中で,同僚に会いました。『おや,今日出勤ですか』と尋ねました。その同僚の話によれば,支配人は,その人が正直なので例外を設けたのだと,個人的に話したということでした。先の従業員も自分の場合もそうだと言いました。職場に着くと,やはり,普通どおり仕事に来るように,と個人的に告げられたという3人目の従業員がいました。その3人はみな真のクリスチャンたちでした。
英国の道路建設会社に勤務していたロバートという人は次のような経験をしました。ある日ひとりの重役が,だれかから電話がかかってきたら,いないと言ってくれ,とロバートに言いました。しかしロバートは電話に出た時,重役は今忙しくて手が離せない,と答えました。それを聞いて,重役はロバートをとがめました。しかし,ロバートが私はエホバの証人なのでうそはつけませんと言うと,重役はそれ以上何も言いませんでした。(エフェソス 4:25)後日ロバートが昇進することになった時,ある貪欲な同僚はロバートの正直さを疑わせるようなことを言いました。すると,重役は,ロバート君は正直な人間だときっぱり言い,彼を昇進させました。
8 自分で事業をしている場合,正直であることは可能でしょうか。場合によっては,正直に事を行なうのは実際的でないように思えるかもしれません。それでも正直であることは最善の道です。神のみ前に清い良心を持つことができますし,心の平安を得ることができます。それに,多くの人は,ごまかしのない人と取り引きするほうを好みます。また,正直であれば,聖書の言葉通り,「信者でない人々の尊敬を得ます」。
住宅難を克服するにも助けになる
9 適当な家を見付けることももう一つの大きな問題です。国によっては,一家全員が一室にすし詰めのようになって生活しなければならないところもあります。あるいは,家賃が手ごろで清潔な家を見付けることが難しい場合もあるでしょう。聖書はこれらの問題の解決にも役立つでしょうか。
10 家を借りれば,人の資産を取り扱うことになります。神がイスラエル人に,他の人の持ち物を尊重して大切に扱うよう勧めておられることは注目に値します。(申命 22:1-4)神は身体を清潔に保つことも奨励されました。(申命 23:12-14。出エジプト 30:18-21)ですから,良心的なクリスチャンは,資産を傷付けないようにし,借りている家ならどんな家でも清潔に保ちます。こうした理由や『静かに暮らす』ということもあって,良心的なクリスチャンは良い借家人として広く認められており,家を探すのはあまり難しくありません。
クリスチャンの一家族は,アフリカのある首都の前市長の家を借りていましたが,その家を清潔に保ち,家賃をきちんと支払っていました。(ローマ 13:8)その家族は引っ越すことになった時に,会衆の別の家族を家主に紹介しました。すると家主は,普通ならば家賃を「上げるのですが」と言いました。それは家賃が2倍になるということでした。しかし家主はそのクリスチャンたちが信頼できる,清潔な人たちであることを知っていたので,家賃をすえ置きにしました。それはそのあたりにある同じ程度の家の家賃の約半分でした。
11 事情がどうしても許さないために,良い家を見付けることができない場合でも,クリスチャンはやはり益を得ます。クリスチャンは家を清潔にきちんと保ちます。それが一層健康で幸福な生活を送るのに役立つのです。
お金を賢明に用いる
12 富裕な王ソロモンは書きました。「知恵は金が身の守りであるのと同じく身の守りとなる……。しかし知識の利点は,知恵がそれを所有する者たちを生き長らえさせることである」― 伝道 7:12,新。
13 お金は,貧困に伴いがちな苦しみに対する守りとなる,ということをソロモンは認めていました。わたしたちもそれを認めなければなりません。ですからお金は浪費せずに賢明に管理すべきものです。聖書は,お金を管理する上でどんな実際的な助言を与えているでしょうか。
14 イエスはこう語られました。「あなたがたのうちのだれが,塔を建てようと思う場合,まず座って費用を計算し,自分がそれを完成するだけのものを持っているかどうかを調べないでしょうか。そうしないなら,その人は土台を据えてもそれを仕上げることができないかもしれず,それを見ている人たちはみな彼をあざけ(るでしょう)」― ルカ 14:28-30。
15 この言葉は家計にもあてはめることができます。大きな買い物をしようとする場合,それができるかどうか,またそれを買うのが賢明かどうかを考えるため,一緒に座って家計を冷静に検討するのがよいことに,多くの夫婦は気付いています。また,予期しない事が実際に起こるという聖書の諭しからも益を得ています。(伝道 9:11)そのために衝動買いをしたり長期にわたる借金をしたりしないように助けられました。
16 また,「借りる人は貸す人の奴隷である」という至言にも注目してください。(箴 22:7,改訂標準訳)聖書は貸し借りを禁じてはいないものの,不必要に借りる人は結局銀行や貸す人の奴隷になる,と警告しています。近ごろは,ついついクレジットで買い物をして結局負債を抱え込んでしまい,高い利子を払う人が非常に多い,ということを忘れない人は賢明です。
17 聖書は,むだを省いて金銭の問題を減らすよう多くの家族を助けてきました。イエスはりっぱな手本を残しておられます。大群衆に食物を与えた後,残りを集めるように指示されました。(ヨハネ 6:10-13)このような手本に倣ってクリスチャンは,年を取っていても若くても,むだを避けるようさらに気を付けることができます。
18 金銭に関する聖書の助言に従うことを学ぶには,考え方を大きく変えねばならないかもしれませんが,次の例が示す通り,良い結果が得られます。
ジンバブエのある若い夫婦は,結婚後間もなくお金の問題を抱えるようになりました。夫の収入は少ないのに,妻のほうは多くの新しい物や特別な食べ物を欲しがりました。そのうちに妻も働きはじめましたが,たいして足しになるとは思えませんでした。夫婦の関係は非常に緊張し,二人が一緒に暮らせるかどうかも危ぶまれました。そこで数人のクリスチャンの長老が援助を申し出ました。聖書に基づいて,予算を立てることの大切さが話し合われました。(ルカ 14:28-30)その夫婦は,大体の値段を書き込んだ買い物メモを作ることや,食品を1週間分まとめて買うとかなり節約できることを知りました。(箴 31:14)長老たちは,満足することや,今は手の届かないぜいたく品を欲しがらないようにする必要について,聖書が与えている助言を一緒に考えました。(ルカ 12:22-31)その聖書的助言は大きな助けになりました。金銭の問題が大分落ち着いたので,その夫婦は以前よりも幸福になりました。近所の人たちでさえ,二人の関係が良くなったと言いました。
19 収入の固定している人たちも,聖書の実際的な助言から益を得ています。スペインの退職したある夫婦の場合もそうでした。
フランシスコとマリアの固定収入はとても十分とは言えません。それでも二人は,聖書から学んだことを実行して上手にやっていると言っています。例えば箴言 6章6節から8節(新)には次のように書かれています。『ありのところに行きなさい。そのやり方を見て,賢くなりなさい。ありは夏に食物を備える。収穫の時に食糧を集めたのである』。マリアはこの言葉から,旬の果物のように,手に入りやすく値段が普通より安い物を買うことを学んだと語っています。また,バーゲンセールを待って,次の年に着る衣類を買います。また,家から歩いて45分くらいの所にあるわずかな土地に菜園を作って,『夏に食物を備えています』。ヨハネ第一 2章16節の言葉も役立ちます。二人は,たとえ古めかしい家具でも,それで満足することを学びました。そしてお金のかかる娯楽よりも,他の人が神について学ぶのを援助することを楽しんでいます。
経済に支障をきたさないようにしなさい
20 麻薬,過度の飲酒,喫煙,とばくなどにふけると,お金は財布からどんどん出ていきます。聖書はこうした面での助けも与えています。a
21 アルコール飲料について考えましょう。聖書はアルコール飲料を適度に用いることは禁じていません。しかし次のような忠告は確かに与えています。
「快楽を愛する者はいつも貧しく,ぶどう酒と良い暮らしを愛する者は,富むことがない」。
「いつも酒をちびりちびり飲んでいる人間になってはいけない……大酒飲みと大食家とは貧しくなり,うとうとしていると,ぼろをまとうようになるからである」― 箴 21:17; 23:20,21,エルサレム聖書。
22 大酒は色々な面で家計に響いてきます。アルコール飲料自体が高価なもので,1週間分の給料の半分を酒に使ってしまう人もいるほどです。カナダのケベック州だけを見ても,年間10億㌦(約2,400億円)を上回るお金がアルコール飲料に費やされています。大酒に伴う他の事柄,例えば欠勤,飲酒による事故などのために,さらに多額のお金が失われます。
チリの南部に住むひとりのくつのセールスマンは,大酒のせいで仕事を失いました。それで,借りていたあばらやのわきの差し掛け小屋でくつの修理を始めました。それでも収入の大部分は酒に費やされ,妻はしばしば夫を留置所に引き取りに行かねばなりませんでした。食費を賄うために妻も夜遅くまで,かつらを作る仕事をしなければなりませんでした。ところが妻はエホバの証人と聖書を学びはじめ,もっと理解のある,そして支えになる妻にならなければと思うようになりました。その結果,夫も研究に同席するようになりました。大酒飲みはクリスチャンになれないことを知ると,夫は酒をやめました。それで家族は,前よりも良い食事をすることができるようになりました。やがてその夫婦は小さな家と仕事場を買うまでになり,夫のくつの修理の仕事はうまくいきました。
23 競馬場やカジノでの大きなかけにせよ,絶えず富くじを買うことにせよ,とばくはどうでしょうか。多くの人はかけ事に引きずられてお金の問題を抱え込みます。そのような人は「大もうけ」することを絶えず夢見ていますが,実際に行なっていることは資産の浪費で,家族を苦境に追い込むことが少なくありません。
24 オーストラリアのある男の人は,長年の間「とばくに完全にとりつかれ,毎日かけ事を行ない,1週間がもっと長くてもやはりずっととばくをしていただろう」と語っています。その人は,友達から金を借りたので,しまいには彼らも寄りつかなくなりました。「損をすると,時々,壁に頭をぶっつけて,『50㌣でいいからくれないか。今度は勝つよ』と妻に哀願したものです」。
25 その人は聖書研究を始めた時,「油断なく見張っていてあらゆる貪欲に警戒しなさい」というイエスの助言に心を動かされました。(ルカ 12:15。コリント第一 6:9,10)かけ事をするのは非常な貪欲さの表われだと考えたその人は,一生懸命に努力してとばくをやめました。すると給料を家族のために使えるようになったので,次の箴言の言葉をいっそう深く認識することができました。「たくらみによって得た富[「かけ事で得た富」,リビングバイブル]は少なくなる。しかし,少しずつ集める人は蓄えを増す」― 箴 13:11,アメリカ訳。
満足することがかぎ
26 金銭に関しては,個人の考え方の面で聖書が大いに役立ちます。テモテ第一 6章7-10節には次のように書かれています。
「わたしたちは何を世に携えて来ただろうか。何も携えては来なかった。わたしたちは何を世から携えて行くことができるだろうか。何も携えては行けない。だから,食物と着る物があるなら,それで満足すべきである。しかし,富むことを欲する者は誘惑に陥り,多くの愚かで有害な欲望のわなに捕らえられる。……ある者たちは[金を]得ることを欲するあまり信仰から迷い出て,多くの悲しみで心を痛めた」― 福音聖書。
27 貧しくても金持ちでも,金銭を愛する人は満足するということがありません。カリフォルニアのある会社の猛烈幹部は妻に向かって,「ぼくは金持ちになりたい……だから,君と[会社]のどちらを選ぶかと言われると,会社の方だね」と言いました。その人はある大会社の社長となり億万長者となって,70万㌦(約1億7,000万円)の家に住んでいます。しかしその人は「どんなに持っていてもそれで十分ということはない」と言っています。この事は,お金が幸福の保証とならないことを示しています。大金持ちの石油業者J・P・ゲッティーは亡くなる2年前に,「金銭は必ずしも幸福と関係があるわけではない。むしろ不幸のほうと関係があるかもしれない」と言いました。
28 聖書は,金銭その他の物を持つことを非としてはいないものの,それらに対する愛を大きくすることを強く警告しています。そして命は持っているものによらないということを思い起こさせています。―ルカ 12:16-20。
29 ですから富を得ようとして心配の多い生活を送るより,持っている物,あるいは無理なく得られる物で満足することです。ルカ 12章22-31節に述べられているイエス・キリストの次の言葉はそのような見方を持つように助けてくれます。
「何を食べるだろうかと自分の魂のことで,また何を着るだろうかと自分の体のことで思い煩うのをやめなさい。魂は食物より,体は衣服より価値があるのです。わたりがらすが種をまいたり刈り取ったりしないことによく注目しなさい。また,納屋も倉も持っていません。それでも神はそれを養っておられます。あなたがたは,鳥よりずっと価値があるではありませんか。……それで,自分は何を食べるだろうか,何を飲むだろうかと尋ね求めるのをやめ,心配して気をもむのをやめなさい。これらはみな,世の諸国民がしきりに追い求めているものですが,あなたがたの父は,あなたがたにこれらのものが必要なことを知っておられるのです」。
30 高価な衣服・豪華な食事・豪しゃな家はある程度の喜びを与えてくれるかもしれませんが,それらは人の寿命を1年たりとも延ばしてはくれません。むしろ何年か縮めることさえあります。一方,富はなくても,人生に大きな幸福を見いだすことができます。
31 友達を得るのにも富は不必要です。友達の心を引くためにお金に頼る人は,考え違いをしています。その種の「友達」はその人の食物を食べ,持ち物を使いますが,お金がなくなれば,彼らもいなくなります。―伝道 5:11。箴 19:6。
32 ところが労働に関する聖書の平衡の取れた見方を受け入れ,生活に喜びを持ち,他の人に善を行なう人は,「神の贈り物」を得ます。伝道之書 3章12,13節(新)はこのことを次のように表現しています。「彼らにとって,その一生の間歓び,善をなすに勝るものは何もない。また,人はすべて食べ,実に飲み,自分のすべての勤労によって善を見る……それは神の贈り物である」。
33 こうした事柄に関する神の助言は非常に健全なものなので,次のように考える人があっても不思議ではありません。神はいつの日か,金銭の問題につきものの,貧困・栄養不良・粗末な住宅などが完全に無くなる道を開かれるだろうか。神は確かにそれらのものに終わりをもたらされます。後の章でそう確信できる根拠となる証拠を考慮します。しかしまず人々の生活に現在深刻な影響を与えている他の問題を考えましょう。
[脚注]
a 10章の「健康の増進と長生き ― その方法」もご覧ください。
[研究用の質問]
金銭に関してなぜ導きが必要ですか。(1-3)
聖書には,労働に関するどんな異なった,そして実際的な見方が示されていますか。(伝道 8:12,13)(4-6)
正直さはどれほど価値がありますか。(ローマ 2:14,15)(7,8)
住まいに関して聖書の教えを適用すると,どのように役立ちますか。(9-11)
金銭に関してどんな実際的な助言が得られますか。(12-16)
聖書の助言を十分に役立たせたどんな例がありますか。(17-19)
飲酒に関する聖書の助言はどうして役立ちますか。(20-22)
とばくはどのように問題を一層大きくしましたか。(23-25)
満足するようにという聖書の助言はなぜ役立ちますか。(26,27)
イエスは富に関してどんな健全な助言をお与えになりましたか。(28-30)
より豊かな人生を送るために聖書の助言はどのように役立ちますか。(31-33)
[53ページの囲み記事]
南アメリカのある女店主の話
ガイアナのジョージタウンで,48歳のノルマという婦人は,大きなマーケットの一つに店を持っていました。ノルマははかりをごまかし,塩漬の魚4オンスの注文があるとそれを3オンス量るというぐあいにしていました。また,天びんのおもりも目方が足りなかったので,店の客が注文通りに品物を得ることはありませんでした。
ある日曜日のこと,ノルマは親せきの人から,商売に関する聖書的原則を扱った「ものみの塔」誌をもらいました。それには不正直な行為について述べられていたので,そのことがノルマの心に突き刺さったようでした。(箴 20:23。レビ 19:35,36)月曜日にノルマは目方の足りないおもりを捨てて正確なおもりを手に入れました。そしてエホバの証人の王国会館で開かれている集会に出席し,聖書研究をするようになりました。家族からはばかにされましたが,ノルマ自身は,自分が正しいことをしたのだという確信を強めました。
商売の方はどうだったでしょうか。ごまかさなければもうけのない商品もありました。それでそのような商品を扱うのをやめなければなりませんでした。しかしその他の商品については,客は変化に気付いて,『奥さんがクリスチャンになってから,以前よりもたくさんくれるようになった』と言いました。その結果,商売は実際にはうまくいきました。正直な方法でお金をもうけて,ノルマは住宅ローンを返済することができ,銀行に預金をし,寛大な寄付をすることができました。また,ごまかしを見破られはしないかという心配があったときのような,神経性の頭痛がなくなったので,体の方も元気になりました。
[59ページの囲み記事]
「過去3か月間に,オーストラリア人の87%が何らかのとばくに手を出した」― サンデー・メイル紙(ブリスベーン)。
「3度のめしより,とばくのほうがいい! クィーンズランドの人たちは週に推定1,200万㌦(約1億4,400万円)をとばくに費やしている ― それは野菜や肉に費やすのとほぼ同じ額である」― サンデー・メイル紙(ブリスベーン)。
[57ページの図版]
聖書の助言は,家計のやりくりに役立った
[60ページの図版]
酔酒,喫煙,とばくなどに関して聖書の原則はどれほど実際的だろうか