火のような激しい終わりがほんとうに近づいていますか
1 地球の運命についてはどんな一般的な見方がありますか。
たいていの人は,『地球はいつの日か火のような激しい終わりを迎えるだろう』といったことばを耳にしたことがあります。中には,神がそのような終わりをもたらすと考えている宗派もあります。また,最後には太陽が断末魔の苦しみに陥って膨張し,地球を包含して焼きつくし,火のような激しい終わりをもたらすであろうと唱える科学者もいます。
2-6 科学的な見地からすれば,地球とその上に住む生物は永遠に存続するよう造られたということをどのように論証できますか。
2 そのような説は真実でしょうか。
3 英国の科学者,H・W・チャトフィールドは自著,「神を尋ね求める科学者」の中で,偉大な創造者がその英知をもって地球とその上に存在する生物を設計し,生物にとって,とりわけ人類にとって肝要なものすべてを絶えず供給できるよう事前に取り計らわれたことを示す膨大な証拠を提供しています。次いで,その科学者は,このことが人間に対する神の関心もやはり依然続いていることをどうして裏づけているかを最後の章でこう指摘しています。
4 「創造物がたいへんな規模で自ら限りなく繁殖を続けているということは,偉大な設計者の関心はすべて,創造作用の緻密な技巧が行使されていた期間だけに限られ,その後は,少なくとも部分的に設計者のかたちに創造された人間に対して設計者自身が何らの関心もいだかなかったとする考え方とうまく合うものではない」。
5 それどころか,ご自分のかたちに似せて人間を設計し,創造したかたが,その人間を見捨てるようなことは決してなさいません。それは愛のある父親が突然わが子をほったらかしにするようなことがないのと全く同じです。チャトフィールドはさらにこう述べます。
6 「人為的計算によれば,創造活動にさいし長年月にわたって緻密な技巧が尽くされてきたことを,科学的事実は示しており,それほどの長期間にわたって関心が示されたのちに,その生きた所産が当の造物主から完全に見放されてしまうというのは不合理なことではなかろうか」。
7 神は人間に対する大いなる配慮のほどを示す他のどんなことを行ないましたか。
7 さて,そのようにすぐれた仕方で事物を造り,またそれほどまでに時間をかけて世話をした創造者が,理知のあるその創造物なる人間と交信をするのは当然でしょう。まして,創造者がご自分の地的創造物を人間に管理させたのであってみれば,なおのことです。(創世 1:26-28)聖書はそうした交信,つまり神の指示とその目的にかんする陳述とで成り立っています。では,地球とその上に存在する生物は永遠に存続するという考え方を聖書は支持していますか。
地球とその上に住む生物は存続する
8 ノアの日の洪水のさい,神は地上の生き物に対する配慮をどのように示されましたか。
8 神は,ノアの日の地球全域に及んだ大洪水にさいして,人間と動物の代表となる種族を両方とも生き残らせました。こうして,神は,この地を動物や人間で絶えず,そして永遠に満たしておくよう配慮するとともに,そうする意図であることを示されました。もし神が何も意に介していないなら,あるいは創造物すべてをいつの日にか一掃するつもりでおられたのなら,どうして人間や動物を生き残らせたのでしょうか。―創世 7:1-3; 8:1,17。
9 神は最も偉大などんな方法で地上の人類に対するご自分の配慮を明らかにしましたか。
9 また,神はご自分の民イスラエルに系図にかんする詳細な記録,特にメシヤの到来する家系の記録を保存させるよう配慮されました。もし家系が絶えて忘れられてしまうのであれば,どうして記録など保存する必要があったのでしょうか。それに,神のみ子であるメシヤがこの地に来たのはなぜですか。それは人類を生き残らせ,アダムが反抗して人類家族に対して失った完全な命を回復するためでした。したがって,キリストは死んでゆく人類のために贖いを備えることによって,『終わりのアダム』また『とこしえの父』となりました。こうして,神はおよそ考えられる最も強力な仕方で,人類に対するご自分の配慮を実際に示されました。―コリント前 15:45。イザヤ 9:6。
10 霊感を受けた詩篇作者のことばは,地上の生き物を永遠に存続させるという神の意図をどのように示していますか。
10 さらに,霊感を受けた詩篇作者は神についてこう歌っています。『エホバは地を基のうえにおきて永遠にうごくことなからしめたもう』。次いで,神の驚くべき創造のわざ,なかでも動物のための神の備えを描写したのち,その同じ作者は,『願わくはエホバの栄光とこしえにあらんことをエホバそのみわざを喜びたまわんことを』とつけ加えています。(詩 104:5,31)もし創造者がそれらのものを焼きつくしてしまうのであれば,どうしてそうした創造のわざを喜ぶことができるでしょうか。
火のような激しい終わりは,預言され,予表されていた
11-13 (イ)聖書の中で,神が地に対して壊滅的な火を用いるとしるされているのはどういう意味か,どうすればわかりますか。(ロ)これから考慮する実例は,単なる主張だけでは,あるいは神に仕えている人たちと単に交わるだけでは安全が保証されてはいないことをどのように示していますか。(ハ)エホバはエルサレムに対して裁きを下そうとしておられたことを,どのようにエゼキエルに明示しましたか。
11 では,聖書の中で,神が地に対して壊滅的な火を用いるであろうと,しるされているのは,どういう意味でしょうか。それが何を意味するか,またごく近い将来に何が起ころうとしているかを非常に明確に示す聖書中の実例を調べてみましょう。そうすれば,火のような激しい滅びを免れる機会にあずかれるでしょう。
12 奇妙なことですが,これから考慮するできごとの場合,神の国民と唱えた民の上に火が臨みました。このことから,神に仕えていると単に唱えるだけでは,あるいは,ほんとうに神に仕えている人たちと単に交わっていさえすれば,安全が保証されている,とは言えないことがわかります。
13 そのできごとは,西暦前612年,はるかバビロンにいた預言者エゼキエルに与えられた幻の中で生じ,それから5年後にはその成就を見ようとしていました。驚くべき高さを持った車,つまり戦車がエゼキエルの前に現われ,そのてっ辺には天上の戦車の塔乗者としてのエホバ神を表わす形が見えました。エゼキエルはその記述の最初の箇所(一章)で幻の戦車を描写し,その輪の高さや戦車に随行している生き物について述べています。後に,エゼキエルは戦車がエルサレムにあるのを幻で見ましたが,そのとき,戦車は神殿の内庭に通ずる北の門の外側にあり,エホバの栄光は戦車の上方から移って,神殿の至聖所の敷居の上方に位置していました。―エゼキエル 8:3,4; 9:3。
14 エホバは,エルサレムにもたらそうとしていた滅びの裁きをある者たちに免れさせようとしておられたことをどのように示しましたか。
14 それ以前にエホバは,ご自分に対するエルサレムの反抗とその徹底した憎むべき不潔な行ないのゆえに,その中にいる邪悪な人びとを滅ぼすということを,描画的な仕方でエゼキエルに示しました。しかし,エホバはまず,幻の中の人物,つまり『布の衣を着た者』に向かって,都の中を行き巡り,その中にいる義に心を傾ける人たちに,生き残れるようにするためのしるしをつけるよう命じました。エゼキエルはまた,その者のそばに『滅ぼしの器具』を手にした他の六人の者が並んでいるのを見ました。―エゼキエル 9:2-7。
天からの「火」
15-17 『布の衣を着た人』は,しるしをつけるわざを終えたのち,次に何をするよう命じられましたか。その命令が与えられたとき,エホバの栄光が神殿に満ちたということは何を示していましたか。
15 エゼキエルは,次に起きたことをこう述べています。
16 『ここにわれ見しにケルビムの首の上なる空に青玉のごとき者ありて宝位の形に見ゆ 彼そのケルビムの上にあらわれたまいて かの布の衣を着たる人に告げて言いたまいけるはケルブの下なる輪の間にいりて汝の手にケルビムの間の炭火をみたし これを町に散らすべしとすなわちわが目の前にてそこにい(れり)』― エゼキエル 10:1,2。
17 エルサレムの都を燃やすための材料は,戦車の輪の間から運ばれて来ることになっていました。エホバの栄光が神殿に満ちていたのですから,明らかにエホバは,ご自分の判決を執行させるよう取り計らうためにそこに臨在しておられたのです。―エゼキエル 10:3-5。
18-20 (イ)エルサレムを燃やすことになったのは,人手によって起こされた火でしたか。それとも,何でしたか。(ロ)幻の中で火が用いられたことは何を意味していますか。
18 次いでエゼキエルは,布の衣を着た者の活動を述べています。
19 『彼布の衣を着たる人に命じて輪の間ケルビムの間より火を取れと言いたまいければすなわちいりて輪のかたわらに立ちけるに 一つのケルブその手をケルビムの間より伸べてケルビムの間の火を取りこれをかの布の衣を着たる人の手にいれたれば彼これを取りて出づ ケルビムに人の手の形の者ありてその翼の下に見ゆ』― エゼキエル 10:6-8。
20 こうして幻の中でエルサレムを燃やしたのは人手で起こした火ではありませんでした。それは,戦車のような神の天的組織からの奇跡的な火でした。これは何を意味していますか。つまり,あたかも火によってもたらされたようなエルサレムの完全な滅びは,同市に対するエホバの激しい憤りの表現と考えられるということです。預言者エレミヤは彼の著わした書,エレミヤ哀歌の中で,エホバの激怒(エルサレムはそれをこうむって滅びた)を火にたとえています。しかし,火はもとより,剣や飢きんや疫病も用いられたのです。―哀 2:2-4; 4:11。
事前の警告
21 『布の衣を着た人』によって炭火が散らされたことは,現代においてどのようにその成就を見ていますか。
21 エホバは,布の衣を着た者を用いて,ご自分の火のような怒りを注いでエルサレムに滅びをもたらすということを事前に知らせておられました。同様に,布の衣を着た者の現代的対型,すなわち霊によって生み出されて油そそがれた,イエス・キリストの兄弟たちは,神のみことば聖書からの火のような音信をキリスト教世界のいたるところにまき散らしています。これは,きたるべき「大かん難」においてエホバの火のような怒りが同世界に浴びせられるということの事前通告の役をしています。―マタイ 24:21,新。
22 エホバの油そそがれたクリスチャン証人は,キリスト教世界の滅びに多少でも関与しますか。
22 エゼキエルに与えられた幻は,エホバの油そそがれたクリスチャン証人は実際にはキリスト教世界に火を放つわけでもなく,また同世界を滅ぼすのに何ら積極的に手をかすわけでもないということを示しています。滅ぼす仕事をしたのは,布の衣を着た者ではありませんでした。それをしたのは,打ち砕く武器を携えた「六人の者」でした。(エゼキエル 9:2,4,5)同様に,今日エホバの証人はキリスト教世界に対する「われらの神の刑罰の日」をふれ告げているにすぎないのです。彼らは刑罰を執行するわけではありません。―イザヤ 61:1,2。ロマ 12:19。
23,24 (イ)エホバの証人は火のような音信をどこから得ましたか。(ロ)キリスト教世界は実際にはどのようにして破滅をこうむりますか。
23 エホバの証人はこの火のような音信をエホバの天的組織,つまりその天上の「戦車」を通してエホバから得ました。あたかも,あの天上の戦車に所属している天のケルビムのひとりが,「ケルビムの間」の象徴的な「炭火」を手のひらにのせて出てゆき,キリスト教世界という都の上で警告としてそれをほうり投げたようなものです。
24 しかしながら,栄光を受けたイエス・キリストのもとにある,目に見えないエホバの天的組織は,キリスト教世界を実際に拭い去るわざに一役買います。西暦前607年,バビロニア人が偽善的なエルサレムを滅ぼしたように,天のさし図のもとに,地上の急進的な機関も用いられて,キリスト教世界は悲惨な滅びをこうむるでしょう。
『悲しむ者』にならないようにしなさい
25 黙示録は,キリスト教世界があたかも火によって滅ぼされるかのように滅亡するという点で,エゼキエルの幻をどのように支持していますか。
25 ですから,キリスト教世界には火のような激しい終わりが近づいています。同世界の宗教組織は滅ぼされてしまいます。使徒ヨハネは大いなるバビロン,つまりキリスト教世界の宗教諸団体がその主要部分を成している,偽りの宗教の世界帝国に対して語られた次のような預言的なことばを聞きました。『このゆえに,さまざまの苦難一日のうちに彼の身にきたらん,すなわち死と悲しみと飢きんとなり。彼また火にて焼きつくされん,彼を審きたもう〔エホバ〕神は強ければなり』― 黙示 18:8〔新〕。
26,27 キリスト教世界あるいは大いなるバビロンのいかなる部分であれ,その没落を悲しむ者のひとりになるのはなぜ危険なことですか。
26 大いなるバビロンの壊滅は,全く公正に即したことなのですが,それを悲しむ者もいるでしょう。そのような者について,天のみ使いの声はこう述べます。『彼と淫をおこない,彼とともにおごりたる地の王たちは,その焼かるる煙を見て泣きかつ嘆き,その苦難をおそれ,はるかに立ちて「災いなるかな,災いなるかな,大いなる都,堅固なる都バビロンよ,汝の審判は時の間にきたれり」と言わん』― 黙示 18:9,10。
27 次いで聖書は,神の至上の支配権を否定し,神の創造物を汚す者たちすべてはもとより,大いなるバビロンのことを悲しむ者たちが大いなるバビロンの跡を追って滅びるということを述べています。そういうわけで,偽りの宗教を奉ずるあの大いなる組織に同情の気持ちをいだいてしがみつくのは危険なことです。―黙示 11:18; 19:19-21。
28 エホバのもたらす「火」は,どのように人類を益するものとなりますか。命を愛する人は,何をしなければなりませんか。
28 しがって,火のような終わりがやってきているとはいえ,それは,ほんとうに義の原則に従って生活したいと願う同胞のことを利己的にも全然顧みようとしない者たちを一掃して,地を清めるものとなるでしょう。(ペテロ後 3:12,13)自分のことしか考えず,神やそのすばらしい創造物のことを意に介さない人たちは,あたかも火によって焼き払われるように,必ず拭い去られてしまいます。(マラキ 4:1)神の怒りは,特にキリスト教世界に対して激しく燃えています。なぜなら,同世界は神のみ名の最大の侮辱者となってきたからです。(黙示 18:5-7)命を愛し,神の創造物を楽しむ人は,キリスト教世界や他の偽りの宗教を今捨て去ってください。キリスト教世界の支持者や同世界のことを『悲しむ者たち』に臨もうとしている火のような滅びを避けてください。