ハルマゲドンで示される神のあわれみ
1,2 (イ)エホバはだれの結婚生活における問題にご自分のそれを表わすよう仕組まれましたか。(ロ)イスラエルはヤラベアム一世の時代にどのようにして姦淫を行なうようになりましたか。
男と女の結婚は,地上で罪と悪が支配する間に多くの問題にぶつかりました。エホバと古代イスラエル国民との結婚に生じたのもそれです。
2 神はご自身の結婚において生じた問題を,預言者ホセアの結婚生活における問題を通して表わすように仕組まれました。ホセアは神の命令により,デブライムの娘ゴメルと結婚しました。このことは,西暦前1513年に神がシナイ山でモーセの律法契約により古代イスラエルと結婚されたことを表わしました。ダビデの子ソロモン王が西暦前997年に死んだ後,長く結婚生活を送ってきたイスラエル国民は二つの部分に分裂しました。ユダとベニヤミンの二部族は共にユダ王国の下に,他の10部族はイスラエル王国の下にとどまりました。イスラエル王国の最初の王は,エフライム族のネバテの子ヤラベアムでした。このヤラベアム一世の下にイスラエル王国はエホバとの結婚契約を破りました。エルサレムにおけるエホバの崇拝をボイコットし,二個の金の子牛の偶像を,一つをダンに,もう一つをベテルに設けて,その国自身の国民的崇拝を打ち立てました。こうして10部族のイスラエル王国は,預言者ホセアの妻ゴメルのように,姦淫を行なう者となりました。
3 エホバはゴメルの二番目の子にどんな名前を付けるように言われましたか。なぜですか。
3 ゴメルがホセアにエズレルという名前の嫡出子を産んだ後,エホバと12部族のイスラエル国民との間の問題を示す例としてのホセアの結婚生活に生じた問題は,どう発展したでしょうか。ホセアは続けて次のように語ります。『ゴメルまた孕みて女子を産みければエホバ,ホセアに言いたまいけるは汝その名をロルハマと名づくべし そは我もはやイスラエルの家をあわれみて赦すがごときことをせざるべければなり されどわれユダの家をあわれまん その神エホバによりてこれ[ユダ人]をすくわん 我は弓 剣 戦争 馬 騎兵などによりてすくうことをせじ』― ホセア 1:6,7。
4 ゴメルの娘の父親はだれでしたか。彼女の名前は預言的にだれに向けられましたか。
4 この場合にはホセアは,ゴメルが「彼に」娘を産んだ,とは述べていません。それでロルハマと名付けられたその娘は一般に『淫行の子』と解されています。(ホセア 1:2)ホセアの妻ゴメルがそのようにして姦淫をしたことは,エホバ神とイスラエル国民の結婚関係における問題の経過と一致しています。もちろん,ホセアの問題の場合にここで重要な事柄は,ゴメルの娘に与えられた名前の意味 ― またエホバがホセアにそういう不快で不吉な名前を彼女に付けるように告げられた理由です。その娘の名前ロルハマの字義通りの意味は,「あわれまれぬ女子」です。エホバはその名前を,エズレルの町に王宮を持つ,霊的な姦淫を行なう10部族のイスラエル王国に対して預言的に向けられました。それにはどんな理由がありましたか。
5 エホバが10部族のイスラエル王国にあわれみを示されなかったことはどんな結果を招きましたか。キリスト教世界はどのように同様の経験をしますか。
5 この20世紀においては,キリスト教世界がエホバの示される理由に耳を傾けねばなりません。なぜなら,ロルハマという名前は現在に当てはまるからです。エホバが示しておられる理由は今日のキリスト教世界に当てはまります。『そは我もはやイスラエルの家をあわれみて赦すがごときことをせざるべければなり』。(ホセア 1:6)キリスト教世界は現在のあわれまれない者,あわれみを示されていない者です。西暦33年にイエス・キリストの仲介によって成立した「新しい契約」によりエホバ神と結婚関係にあると彼女は主張しますが,10部族のイスラエル王国と同じく,そのエホバ神に背いて霊的姦淫にふけっています。(エレミヤ 31:31-34。ルカ 22:19,20。ヘブライ 8:6-12)ホセアの時代以降,エホバはもはや10部族のイスラエル王国にあわれみを抱いておられなかったので,結果はどうなりましたか。霊的に不貞なその王国は,一世紀たたないうちに,すなわち西暦前740年に滅びました。同様に,エホバはイスラエルの現代の相対物にもはやあわれみを抱いておられないので,きたるべき「大患難」がハルマゲドンで頂点に達するとき,キリスト教世界は滅びてしまうでしょう。―マタイ 24:21,22。
6 ホセア書 1章7節によると,10部族の王国の滅びの時,エホバのあわれみは全イスラエルから撤去されましたか。
6 10部族のイスラエル王国を一掃されたとき,エホバは少しもあわれみを示されなかったでしょうか。シナイ山で与えられた律法契約を通して最初に神と結婚関係に入っていたすべての部族から,あわれみを完全に撤去されたのでしょうか。エホバご自身がその問いに答え,次のように言われました。『されどわれユダの家をあわれまん その神エホバによりてこれをすくわん 我は弓 剣 戦争 馬 騎兵などによりてすくうことをせじ』― ホセア 1:7。
7,8 (イ)エホバがユダの家にあわれみをかけられた理由はどこにありましたか。(ロ)その時優勢な世界強国が存在していた故に,戦争の道具によらずにユダを救うためには,エホバは何をしなければなりませんでしたか。
7 エホバが,エルサレムを首都とする二部族のユダ王国にあわれみを示すことにされた納得のいく理由に注目するのは良いことです。ホセア書 11章12節でエホバはご自分があわれみを示す理由を明確にし,次のように言われています。『エフライムはいつわりをもて イスラエルの家[主要な部族エフライムにより表わされた]は詐偽をもて我を囲めり ユダは神と信ある〔至高の聖者〕とに属きみつかずみ漂蕩おれり』。a ユダの家はまだエホバを至高の聖者,己が神として,『つかず離れずたゆたって』いました。ですからエホバはご自分の名のためにユダの家を救わざるを得ませんでした。「その神エホバによりてこれをすくわん」とエホバが言われたのはそのような理由からでした。
8 エホバは,10部族の王国を取り除いて『イスラエルの家の国をほろぼし』,それと同時にユダの家を救う目的を立てられました。そうするためには,アッシリア帝国と対決しなければなりません。アッシリアは高度の軍備を整えて,当時の支配的な世界強国となっていました。そうした状況の下で,弓,剣,戦争,馬,騎兵などによらずにユダの家を救うためには,エホバは何か特別のことを行なわれねばなりません。
ハルマゲドンにおける神のあわれみを予示する
9 サマリアが滅びた後,エルサレムに関し,事態はエホバにとってどのように極めて挑戦的なものになってきましたか。
9 西暦前740年,エホバは世界強国アッシリアをご自分の「斧」として用いて,偶像崇拝を行なう不貞な「イスラエルの家」を切り倒されました。エズレルにあった王宮はあき家にされ,首都サマリアは覆され,生き残ったイスラエル人は,アッシリアの遠隔の諸州に流刑にされました。(イザヤ 10:15)それはエルサレムにとって脅威となりました。エルサレムにはダビデの王家のヒゼキヤ王がいて,二部族のユダ王国を統治していました。八年後,アッシリアの大軍がユダの地に侵入し,その町々を従わせ始めました。攻め寄せるアッシリア王セナケリブは,弓,剣,戦いの道具,軍馬,騎兵などを十分に有していました。さて,エホバのあわれみはどんな方法でユダの家に示されるでしょうか。事態はエホバに対し極めて挑戦的なものになってきました。
10,11 ご自身の名前を高めるために,エホバは今やユダの家をどのように救われましたか。
10 リブナの町を包囲している間に,セナケリブは,30余キロ離れたエルサレムのヒゼキヤ王に対して,神にいどむ最後通牒を発しました。憤りを感じられたエホバは,預言者イザヤに霊感を与えて挑戦的な通告を出させ,エルサレムの城壁の前にいたアッシリアの代表をしてそれを不敬なセナケリブに持ち帰らせ,同王がその警告を受け取った後,エホバはご自分の名前を高めるためにユダを救われました。
11 列王紀略下 19章35節から37節には次のように記録されています。『その夜エホバの使者いでてアッスリヤ人の陣営の者十八万五千人を撃ちころせり 朝早く起きいでて見るに皆死にて屍となりおる アッスリヤの王セナケリブすなわち起いで帰りゆきてニネベにおりしが その神ニスロクの家にありて礼拝をなしおる時にその子アデランメレクとシャレゼル剣をもてこれを殺せり しかして彼らはアララテの地に逃げゆけり ここにおいてその子エサルハドンこれに代わりて王となれり』。
12 エホバがユダの家にあわれみを示されたことは,何を予示しましたか。
12 これは,当時エホバとの霊的結婚関係を忠実に保っていたユダ王国に対するエホバのあわれみの,この上なく優れた表示ではありませんでしたか。それは,将来ハルマゲドンの戦いの時にエホバが示されるあわれみを予示するものであり,今日のわたしたちに慰めとなる意義を持っています。(啓示 16:14,16)悪魔サタンの下で,ハルマゲドンbと呼ばれる「全能者なる神の大いなる日の戦争」の時に忠実なエホバの証人と戦う,神にいどむ地上の大軍には,神のあわれみは示されません。エホバは,地上にいるご自分の忠実な証人たちが弓や剣,戦争,馬,騎兵その他の戦争手段に訴えなくても彼らを救われます。
13 ではロルハマという名前はだれに当てはまりますか。それで神が「憤りの器」に怒りを示される時にだれが生き残りますか。
13 それは神が「憤りの器」に怒りを示され,そして「ユダの家」によって予表されているキリストの共同相続者の油そそがれた残りの者にあわれみを示される時となるでしょう。(ローマ 9:22)油そそがれた残りの者は,新しい契約に対して忠実を保つでしょう。エホバはその契約によって霊的イスラエルと結婚しておられます。その残りの者は忠実な霊的イスラエル人ですから,ロルハマ(あわれまれぬ者)という名前は,それが現在キリスト教世界に当てはまっているようには,彼らには当てはまらないでしょう。(ガラテア 6:16。ヤコブ 1:1。啓示 7:4-8)霊的残りの者が救われるのは,「その神エホバにより」ます。彼らは生き残ります!
14,15 (イ)レカブの子ヨナダブはエヒウ王と共にどんな経験をしましたか。(ロ)ヨナダブの子孫はどんな国家的災いを生き残りましたか。それらレカブ人は今日のだれを予表しましたか。
14 その昔セナケリブがエルサレムを脅かしたとき,エホバのあわれみを経験したのは「ユダの家」だけではありませんでした。レカブ人として知られていた非ユダヤ人もそれを経験しました。レカブ人は,ケニ人レカブの子ヨナダブの子孫でした。イスラエルのエヒウ王は,サマリアにおけるバアル崇拝を滅ぼしてエホバの命を果たすべく同市に向かって車を駆っていた時に,自分と一緒に車に乗るようにヨナダブを招き,「我とともに来りて我がエホバに熱心なるを見よ」と言いました。(列王下 10:15-27)ヨナダブはそうしました。
15 西暦前740年にサマリアが陥落したとき,レカブ人ヨナダブの子孫は生き残りました。また西暦前732年にセナケリブがユダの地に侵入した時にも生き残りました。後日レカブ人は,預言者エレミヤの時代のユダ王国と交わっています。それはエルサレムが西暦前607年にバビロンに滅ぼされる前で,エルサレムの終末の時でした。彼らは忠実だったので,エルサレムが滅びる時に生き残ることをエホバはレカブ人に約束されました。(エレミヤ 35:1-19)エホバのあわれみを受けたその人々はだれを予表しましたか。今日,油そそがれた残りの者と交わっているエホバ崇拝者の「大群衆」です。彼らもパラダイスの地に希望を抱いて,きたるべき「大患難」を生き残ります。―啓示 7:9-17。
『わが民にあらず』と言われた人々
16 (イ)キリスト教世界はエホバの民の一員となることを拒否しますが,それは彼女にとって何を意味しますか。(ロ)ホセアの妻の二番目の子にはどんな名前が付けられましたか。なぜですか。
16 近い将来に「大患難」のぼっ発を控えている今は,エホバのあわれみを受け入れるべき時です。キリスト教世界はきたるべき患難の間にあわれみを示されない,ということを忘れないようにしましょう。したがってわたしたちは彼女との関係を絶たねばなりません。その時,彼女がエホバの民に属さぬ者として退けられていることは,否定できないまでに明らかにされるでしょう! それは彼女の滅びを意味します! 彼女は今日のロルハマ(あわれまれない者)です。(ホセア 1:6)彼女が完全に退けられることは,預言者ホセアの結婚生活におけるさらに別の問題によって予表されていました。彼はその妻ゴメルについて次のように述べています。『ロルハマ乳をやめゴメルまた孕みて男子を産みけるに エホバ言いたまいけるはその子の名をロアンミと名づくべし そは汝らはわが民にあらず我は汝らの神にあらざればなり』。(ホセア 1:8,9)こうした言葉をもって,ユダヤ人の翻訳聖書の,またギリシャ語七十人訳のホセアの預言の書の第一章は終わっています。
17 ロアンミはなぜゴメルの二番目の子にふさわしい名前でしたか。それに関連してエホバは10部族のイスラエル王国に対しなんと言われましたか。
17 ホセアの妻ゴメルの二番目の息子もホセアを父として生まれたのではなく,ゴメルの姦淫の子と解されています。ホセアはゴメルが彼にこの二番目の子を産んだとは言っていません。ですからエホバがその男の子にロアンミという名前を付けさせたのには十分の理由がありました。その名前には『わが民にあらず』という意味があるからです。それは預言的な意味を持っていました。エホバはその男の子にそのような不吉な名前を付けた理由を説明するに当たり,10部族の「イスラエルの家」に向かって次のように言われました。『そは汝らはわが民にあらず我は汝らの神にあらざればなり』。この言葉をもってエホバはご自分がもはや,契約を破る「イスラエルの家」の天的夫でないことを宣言されました。
18 いつ,どのように,エホバは10部族のイスラエル王国がご自分の民でないことを知らせましたか。
18 エホバはご自分がもはや背教した「イスラエルの家」の神でも霊的夫でもないことを,はっきりと知らせました。西暦前740年,アッシリアがイスラエルの首都サマリアを攻略するのを許して,そのことを知らされました。こうしてその「イスラエルの家」はもはやエホバの民ではなくなりました。エホバが言われた通りそれはロアンミ,すなわち『わが民にあらず』でした。離婚した妻のようにその人々はアッシリアに流刑の身となりました。霊的姦淫を行なった「イスラエルの家」は,モーセの律法契約の中で与えられた,エホバに対して『祭司の国』となる機会を見下していたのです。―出エジプト 19:5,6。
19 イエス・キリストはどの言葉が実現する時にキリスト教世界に対し,彼女が新しい契約の目的の成就にあずからないことを知らせますか。
19 大いなるモーセ,イエス・キリストを仲介として成立したエホバの「新しい契約」も,同様の目的を持っています。その目的は,イスラエルの現代の相対物であるキリスト教世界では実現しません。彼女は,宗教上の連れ合いとしてこの世の政治支配者たちに仕えることにより,この事物の体制の中で地に君臨することを試みてきました。イエス・キリストは,彼女が天の王国におけるご自分の共同相続者の中に入っていないことを彼女に知らされるでしょう。その時にはイエスの次の言葉は真実となります。「わたしに向かって,『主よ,主よ』と言う者がみな天の王国に入るのではなく,天におられるわたしの父のご意志を行なう者が入るのです。その日には,多くの者がわたしに向かって,『主よ,主よ,わたしたちはあなたの名において預言し,あなたの名において悪霊たちを追い出し,あなたの名において強力な業を数多く成し遂げなかったでしょうか』と言うでしょう。でもその時,わたしは彼らにはっきり言います,わたしはいまだあなたがたを知らない,不法を働く者たちよ,わたしから離れ去れ,と」― マタイ 7:21-23。
個々の人が神のあわれみを受ける希望
20,21 (イ)流刑にされた「イスラエルの家」の個々の人は,エホバのあわれみを活用することをいつ,そしてどのように許されましたか。(ロ)エホバはホセア書 1章10,11節にあるどの言葉をもってそのことを指し示されましたか。
20 キリスト教世界の古代の型であった10部族のイスラエル王国は,中東にあった,神から与えられた地に再建されることはありませんでした。けれども,退けられた「イスラエルの家」の個々の成員は,エホバのあわれみを受け入れてエホバに帰り,エホバの是認された民の一員となることが許されました。その特権は,アッシリアの後継者である世界強国バビロンが覆される時に彼らのものとなります。その時には征服者クロスが,アブラハム,イサク,ヤコブの神の,流刑の身の崇拝者たちを解放します。そのことを指摘してエホバはご自分の預言者ホセアを通し次のように言葉を続けられます。
21 『されどイスラエルの子孫の数は浜のいさごのごとくに成りゆきて量ることも数うることもなしがたく前になんじらわが民にあらずと言われしところにて汝らは活ける神の子なりと言われんとす かくてユダの子孫とイスラエルの子孫は共に集まり一人の首をたててその地より上りきたらん エズレル[神,種まきたまう]の日は大いなるべし』― ホセア 1:10,11。
22 その預言が予表的に成就したのはいつですか。彼らにとって「エズレルの日」はどのように「大いなる」ものとなりましたか。
22 このあわれみに満ちた預言は西暦前537年に予表的に成就し,バビロンを征服したペルシャ人クロスは,「ユダの子孫とイスラエルの子孫」の忠実な残りの者を去らせ,バビロン捕囚の『地より上りきたらせ』ました。エホバのしもべクロスの命令の下に彼らはエルサレムにエホバの神殿を再建すべく,共に集まって行きました。(歴代下 36:20-23。エズラ 1:1-11)そしてその残りの者は,彼ら自身の地において再び,量ることも数えることもできない浜のいさごのように人口が増加しました。そのように『エズレルの日は大いなるもの』となるでしょう。この場合,「神,まきたまう」という意味のエズレルという名前は有利に成就することになっています。神は復帰した民の子等を種のようにまき,増やされます。
23 (イ)イスラエル国民はだれを退けた後,そしてエホバがどんな行動を取られた後,エホバの民ではなくなりましたか。(ロ)エホバは,その退けられた国民の中のだれにあわれみを示されましたか。どのように?
23 ですからエホバはもはや彼らに対して,ロアンミ,すなわち『わが民にあらず』,とは言われません。予表的に,『活ける神の子』と呼ばれます。使徒パウロとペテロは,キリスト教の領域におけるこのことの対型的成就に関し,ローマ 9章25,26節,ペテロ第一 2章9,10節の中で書いています。生来のイスラエルの子らは,西暦33年にメシアとしてのイエスを拒否して以来,エホバの民ではなくなりました。エホバはモーセの時代に律法契約によって12部族のイスラエル国民と結婚されましたが,その律法契約を廃止されました。しかしエホバはあわれみ深くも生来のイスラエル国民の,信仰を持つ残りの者を受け入れて,メシアなるみ子イエスを仲介者とする新しい契約に入れられました。そのようにしてエホバは新しい国民,霊的イスラエルの基礎を置かれました。―ガラテア 6:16。ヤコブ 1:1。ローマ 2:28,29。啓示 7:4-8。
24 エホバはなぜ,そしていつ,エホバの民でなかった人々に目を向けられましたか。そしてどのように彼らをご自分の民にされましたか。
24 地のもろもろの国民は「アブラハムの胤」を通して祝福されることになっていますが,クリスチャンになった生来のイスラエル人はその「アブラハムの胤」の数を満たすには,不幸にして不十分でした。そこでエホバは,一度もご自分の民でなかった者たち,『わが民にあらず』であった人々,すなわちロアンミに目を向けられました。西暦36年,エホバはそれら非イスラエル人が,新しい契約の下にある霊的イスラエルの一員となる道を開かれました。彼らは,浜のいさごのごとくになることになっていた「アブラハムの胤」の一員とされました。―ガラテア 3:8-29。創世 22:18。
25 (イ)『共に集まった』霊的イスラエルの残りの者が『立てた』『一人の首』はだれですか。それにはどんな解放が伴いましたか。(ロ)だれが彼らと共にハルマゲドンの戦争を生き残ることを期待していますか。
25 『共に集まった』霊的イスラエルが『たてた』『一人の首』というのは,現在統治しておられるイエス・キリストのことです。大いなるクロスとしてのイエス・キリストによって悔い改めた残りの者は,第一次世界大戦後の1919年に,大いなるバビロンの力から解放されました。この残りの者は,地上にエホバの清い崇拝を復興することに用いられました。エホバはこれら自由にされた霊的イスラエル人を『活ける神の子』とされました。彼らは神のあわれみに従い,近づきつつあるハルマゲドンの,「全能者なる神の大いなる日の戦争」に救われること,そうです,それを生きて通過し新秩序が始まるのを見ることを期待しています。古代のレカブ人のような仲間の崇拝者の「大群衆」も,神のあわれみにあずかって残りの者と共に生き残ることを期待しています。
26,27 (イ)神のあわれみを今望んでいる人々は,キリスト教世界が霊的に言って何であることを認めねばなりませんか。彼らはなぜ彼女の「子等」となることを望みませんか。(ロ)エホバのあわれみを受けている者たちに対してなんと言うようにエホバは彼らに教えておられますか。
26 わたしたち自身は今日エホバのあわれみに希望を抱いていますか。もしそうであるなら,わたしたちはキリスト教世界がまさに霊的姦通女であることを認めねばなりません。彼女は,バビロン的な宗教で身を汚すことにより,大いなるバビロンの一員となりました。彼女は,その偽りの宗教の世界帝国と共にきたるべき「大患難」において滅ぼされます。わたしたちは彼女の「淫行の子等」のどれにもなりたくありません。エホバのあわれみを受ける者として,エホバが今わたしたちに与えてくださる指示に従って行動します。
27 『汝らの兄弟に向かいてはアンミ(わが民)と言い 汝らの姉妹にむかいてはルハマ〔あわれまれる女!〕と言え なんじらの母とあげつらえ 論弁うことをせよ 彼はわが妻にあらず 我はかれの夫にあらざるなり なんじらかくしてかれにその面より淫行を除かせ その乳房の間より姦淫をのぞかしめよ しからざれば我かれを剥て赤体にしその生まれいでたる日のごとくにし また荒野のごとくならしめ 潤なき地のごとくならしめ 渇によりて死なしめん 我その子等を憐まじ 淫行の子等なればなり かれらの母は淫行をなせり かれらを生める者は恥ずべき事をおこなえり そはかれいえる言あり 我はわが恋人たちにつきしたがわん 彼らはわがパンわが水わが羊の毛わが麻わが油わが飲物などを我に与うるなりと』― ホセア 2:1-5。
28 宇宙の前で何をあげつらうことにおいてエホバを支持することは従順の道ですか。それでわたしたちは,「大患難」の時にエホバが取られるどんな処置に賛意を表しますか。
28 ではわたしたちは,妻としてエホバと契約関係にあると偽善的に主張するキリスト教世界とあげつらう天の夫エホバを支持しましょう。彼女がこの世の友となって霊的淫行,姦淫の罪を犯していることを宇宙の最高法廷で指摘しましょう。(ヤコブ 4:4)彼女は,自分の利己的で物質的な欲望を満たしてもらうために,この世の名利を追う著名な人物や有力な人物,金持ちなどを慕いました。神の訓戒にもかかわらず,自分の顔の前から淫行を除きその乳房の間から姦淫を除くことをかたくなにこばみました。彼女の宗教上の子らである教会員は,「[霊的]淫行の子等」です。エホバが「大患難」で彼女を滅ぼさせる時,わたしたちは心からそれに賛意を表します。
29 わたしたちはだれに対して家族関係を表現しますか。きたるべきどんな戦いの時にエホバの一層のあわれみを得るということを希望できますか。
29 わたしたちは,聖書的に見てエホバの民であると自分が認める人々,エホバが「わが民」と言われる人々に兄弟愛を抱きましょう。迫り来る「大患難」前の,世界史のこの「終わりの時」にエホバがあわれみをかけておられる,清められた,忠実な組織と,姉妹同士のような家族関係を持ちましょう。(マタイ 24:21,22。啓示 7:14)彼女を現代のルハマと認め,彼女に向かって「あわれまれる女!」と言いましょう。(ホセア 2:1)誠実な気持ちでそうするなら,ヘブライ語でハルマゲドンと呼ばれている所で行なわれる「全能者なる神の大いなる日の戦争」でエホバがそれにふさわしい者たちにあわれみを示される時に,エホバの一層のあわれみを経験できるという希望を持つことができます。―啓示 16:14,16。
(つづく)
[脚注]
a アメリカ訳,リーサー訳,英国改正訳,アメリカ改正標準訳も参照。
b 「ものみの塔」1976年5月1日号の「反宗教的斧からのきたるべき解放」という記事をご覧ください。
[380ページの図表]
預言に関する類似
ホセアとゴメルの結婚 西暦前1513年におけるエホバ 西暦33年におけるエホバと霊的
とイスラエルの結婚 イスラエルの結婚
「淫行」 偽りの神々の崇拝に転じて サタンを神とする世の友となる
不倫な行ないをする
エズレル 西暦前740年に,10部族の エホバは「大患難」において
(神,まきたもう) イスラエル王国に対して キリスト教世界を滅ぼされる
エホバが取られた
まき散らし滅ぼす処置
ロルハマ エホバに退けられた不忠実な キリスト教世界はもはや神の
(あわれまれぬ者) 10部族のイスラエル王国 あわれみを受けることなく
滅ぼされる
ユダの家は救われた 二部族の王国の首都 霊的イスラエルの残りの者は,
エルサレムは,エホバに ハルマゲドンの時エホバに
より侵略者アッシリアから 救出される(「大群衆」も
救われた(レカブ人も命を 命を助けられる)
助けられた)
ロアンミ 契約を破った10部族の キリスト教世界は,「新しい
(わが民にあらず) イスラエル王国 契約」の作成者に対して
不忠実である
以前は『わが民にあら 西暦前537年にバビロン捕囚 西暦36年から,異邦人の信者
ず』であったが,今 から帰還したイスラエル人 たちが霊的イスラエル人に
は『活ける神の子』 加えられた。西暦1919年に
霊的イスラエルは正しい状態
に復帰させられた
「一人の首」 クロス王 イエス・キリスト
「エズレルの日は 神は帰還したイスラエル人を 西暦1919年以来,エホバは復帰
大いなるべし」 増加させられた した人々をまき,彼らを増加
させられた